Fly Fishing Shop
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$3ブリッジの秋景色
スプルース モス
スペント スプルース パターン
マジソンのブラウン
新しい本

■ Spruce Moth

  6月中旬までの大雪がやっと終わったかと思ったら、次の日から夏の太陽がぎらぎら照っていましたが、もう周りの山々は雪に覆われています。

 今年のシーズンは雪解けが遅く、水が落ち着くまで時間がかかりましたが、その分水量も多く、川が健康だったせいか、どの川もいい釣りができたような気がします。ただ9月1日にヘプゲンダムのゲートが壊れて、9月中はマジソン川の釣りがほとんどできなかったのがとても残念でしたが。。。。

 今年の夏、私はウエストイエローストーンの町にある老舗のフライショップ「Blue Ribbon Flies」で働かせてもらいました。老舗だけあって、オーナーのCraig&Jackie Mathewsさんはもちろんのこと、お客さんたちもベテランばかりで、フライロッドを握って20年以上もたつのに私はまだまだ青二才。みんなの会話を盗み聞きしながら、休みや早番の日にはその釣り情報を確かめに川に行くそんな日々でした。7月の初め、あるお客さんが「マジソンで大きなブラウンが蛾を食べている」という話をしていました。早速、Craigさんに聞くと「Spruce Moth」だというのです。特にマジソンリバーのライオンブリッジより上流には、ロッジポールパインがたくさん生えているので、「Spruce Moth」が初夏にたくさん発生し、鱒たちの餌になるそうです。ライオンブリッジのそばに住むパトリック君はクレージーフライクリエーターで、「Spruce Moth」のフライを考え出してくれました。エルクヘアーカディスやスペントカディスでも代用できるのですが、ウイングをデバイスするのと、ウイングの下にジーロンをつけて、いかにも蛾が水面を羽ばたく様子です。

 これが大ヒット。パインの木が多い、ビッグスカイ付近のギャラティンでも釣れる釣れる。お店のフィッシングレポートでも紹介したせいで、巻いても巻いてこのフライのコーナーはいつも空。私も、お店が暇なときはこのフライを巻きに巻きました。多少形が悪くても、鱒たちは疑いもせず、飛び出してくるので7月から8月の初めは本当に楽しい釣りができまし、お客さんたちも口々に私たちが巻いた「Spruce Moth」を買ってくださって、いい釣りができたと喜んでくださいました。

 9月にCraigさんとJohn Jurackさん(お店の前の共同オーナー)が「Fly Patterns of Yellowstone」Vol 2を発刊され、私も早速読んでみましたが、この「Spruce Moth」の部分を読んで、ちょっと自己嫌悪に陥りました。この「Spruce Moth」の幼虫は華氏ー50度を過ぎると死んでしまうそうで、「Spruce Moth」が発生するということは、昨年の冬が暖かかったということです。確かにいつもなら寒さのためさらさらの乾いた雪なのに、今年の雪は湿った重い雪でしたし、ー30℃を超えた日は少なかったような気がします。また楽しい釣りは実は温暖化のこと思うと少し悲しくなりました。また「Spruce Moth」の幼虫はパインの木を枯らす原因だそうです。魚を釣ることと環境問題の反比例。複雑な気持ちです。

 CraigさんとJohn Jurackさんはこの地に住んで、もう35年以上、ずっとイエローストーンやマジソンを見てきたそうです。変わりゆくこのあたりの自然を彼らはどうみているのでしょうか?本当にこの夏、いろんなことをこの二人から学びました。