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新しい釣りフィルムの上映会招待状
A River Runs Though Itの本
映画のシーンのようなギャラティンリバー
きれいな虹鱒がたくさんつれます
ストームキャッスル付近のギャラティン
水温は華氏50度をきって冷たいです
15インチほどのいい型の虹鱒
川原で見つけた足あと。オオカミかな?
■A River Runs Though It を めぐる旅 @
 ギャラティンリバー


 10月初め新しい釣りのフィルムの上映会があったのですが、ヘンリーズフォークやウエストイエローストーンから来た釣り友達が「もう8インチの雪がふったよ」と寒そうな顔をしていました。先週もイエローストーン国立公園内のマジソンに釣りに行ったのですが、観光客も少なく川はベイティスの釣りになっていました。冬の訪れです。

私たちの世代 フライフィッシャーはノーマン マクリーンの「A River Runs Though It」に随分影響を受けたものです。今でもたくさんのフライフィッシャーがこの小説と映画を愛していると思うのですが、私もその一人。この映画で若きブラッドピットが脚光を浴び始めたといっていいほど彼の演技に魅了された方も多いと思います。


 この映画、私が亡くなった前夫とみた最後の映画です。ですから思い出深い映画には違いないのですが、フライフィッシングの世界は狭いもの。今の夫がこの映画の撮影のころにリビングストンでフライフィッシングガイドをしていたので主人公の神父さんであるお父さんのシャドーキャスターの声がかかったそうです。確かにめがねをかけ、背格好がよく似ているのでうってつけだったのですが、ガイド業が忙しく断ったそうで、口の悪い私は「やっていれば今頃きっとブラピと仲良くなっていたのに。。。」と残念がっています。(笑)


 ときどきTVでこの映画をやっていて見ていると、たくさん夫の知り合いや地元の人たちがでているそうです。主人公とその弟の少年時代も地元の子供さんだとか。いま彼らは大きくなってフライフィッシングガイドかな?なんて思ってしまいます。

 そんなこともあって私はこの映画になにか縁があるのだなあと勝手に偶然を美化しているのですが、せっかくモンタナに住んでフライフィッシングをしているのだから時間はかかるかもしれないけれど、この映画の舞台やノーマン マクリーンにまつわる旅をしてみようと思いました。


 手始めはギャラティンリバー。この川でこの映画の撮影が行われたことは有名な話で、この映画が上映されたあとに全米のお金持ちがこの川の周辺の土地を買い始めたそうで、いい釣り場周辺が有名人の私有地になってしまい、フィッシングアクセスができなくなってしまったところもあります。


 この川は高低差1500フィートをヘッドウオーターからからスリーフォークスの合流点までまでたった100マイルほどの短い距離で流れているので流れが強く、浅そうに見えていてもウェーディングがきつく感じます。とくに夏場は日本の渓流のように岩に藻がついて滑りやすく、クリーツつきのウェーディングシューズがほしくなります。またこの川にはムースクリーク、スワンクリークグリーククリーク、グレイリングクリークなど数え切れないほどのクリークが流れ込んでいてその多くが3000m級の山々を源流とするので、水がいつまでも冷たく、ホッパー、スプルースモス、メイフライ、カディスと8月の気温が高くなるころでも釣りが楽しめます。ですからよくブルーリボンフライズで真夏の渇水の頃マジソンがスローになる頃はギャラティンでの釣りを勧めたものです。

 この川の上流部、イエローストーン国立公園内は5月のメモリアルウィークエンドにならないと解禁しませんが、それより下流、公園の外は年中釣りができます。特に私のお気に入りは気温が華氏45度を超える3月4月の暖かい日に丁度イエローストーン公園の境界からテーラーズフォークの間にスノーフレイクスプリングクリークがある周辺での釣りです。水温が安定しているのでベイティスがハッチし、ライズの釣りが楽しめるのです。ビッグ スカイより下流も気温さえ上がれば釣りができるので、冬場でも釣り人をよく見かけます。


 5月に入ると雪が解け出して、支流から流れ出る雪代で下流部7月中旬まで釣りになりません。今年などは8月まで雪代が続き全く釣りができませんでした。そのころになるとエクストリームなカヤックが急流に挑戦しています。9月に釣りに行ったときに水温を計ったらなんと華氏43度。摂氏だと6,7度といったところで、太陽が照って気温は高いのに、手が凍りつきそうでした。日陰では氷が張り始めますから、9月下旬にはこの川の釣りは終了といった感じで、実際のギャラティンの釣りシーズンは短いのです。


 よくギャラティンの魚は小さいから。。。という声を聞きます。確かに平均サイズは12インチぐらいから15インチといったところですが、魚の引きは強く、小さいからといって簡単にランディングできるものではありません。また実際私はこの川で20インチクラスを何度か釣ったことがあり、またそんな大きいのがつれるかもと期待せずにはいられません。日本から釣りに来たときにいきなりヘンリーズフォークなどに行くのではなく、まず私ならギャラティンで虹鱒のあわせやファイトに慣れるといいと思っています。日本の渓流に似た感じで魚影も濃いので十分楽しめますし、ハイウエイがすぐそばですから、道に迷うこともないと思います。それになんといってもギャラティンは渓相が美しく、冬春の雪景色、夏のワイルドフラワー、秋の黄葉と歩いているだけでも気持ちがよく、木々や草花のにおいはなんともいえません。


 私がA River Runs Though itの中で一番好きなシーンは、ポールが死ぬ前に、兄のノーマン、お父さんの3人で釣りをしているシーンです。題名にある「It」は何なのかいろいろ想像するのですが、私の結論はこのシーン。言葉や文字にはならない3人の関係だと思っています。そしてこのシーンもギャラティンで撮影されていて、はっきりとした場所は分かりませんが、ストームキャッスルのあたりらしくです。映画の中でお父さんとノーマンが腰掛けていたあたり木々は今も同じです。ブラピが演じたポールがキャスティングをした岩はどれかなあと今でも探してしまいます。あのときシカゴ大学で仕事を得たお兄さんのノーマンがポールに「一緒にシカゴにいこう。」と誘われるのですが、ポールは「兄ちゃん、オレはモンタナを離れない。」と答えます。あのときのブラピの笑顔は、演技とは思えないほどのモンタナ スマイル。モンタナのフィッシングガイドやフライショップのお兄さんが見せる笑顔そっくり。本当にポールはモンタナが好きだったのだと思い知らされる一瞬です。ときどき辛いことがあって、なぜ私は日本から遠く離れた異国にいるのだろうと思うことがありますが、そんなときこの映画のこのポールの言葉に初心を思い起こすことがあります。NYやLAなどの都会は便利で日本人もたくさんいるから住みやすいのかもしれないけれど、私もポールと同じで釣りそしてモンタナの大自然が大好きなんだと。

 先日もよい天気に誘われてギャラティンに釣りにいきました。元気で美しい虹鱒とカットボーがたくさんつれました。ボーズマンからたった一時間でこんな美しい自然に出会えるのです。ノーマン マクリーンのお父さんは死んだ息子 ポールはBeautiful だったといっていますが、ポールがモンタナの美しい大自然の一部だったからだと思わずにはいられません。

 ちなみにギャラティンという名前は、このあたりが開拓されたころのアメリカ政府の高官の名前だそうです。またボーズマンから下流のマンハッタン、ローガンあたりの緩いながれのギャラティンもお薦めで週末になると親子でフライフィッシングを楽しむ姿が見られます。


 ぜひ名画「A River Runs Though It」の撮影された場所を訪ねてみてください。