ヘンリーズ フォーク ラストチャンス 最後の夏
2018年8月18日更新
このグレーター イエローストーン周辺で過ごす日々はあっという間に過ぎてしまい、気が付くとずいぶんこのモンタナ通信をさぼってしまいました。
この冬のモンタナは記録的な大雪に加え、昨年9月から5月初めまで雪が降り続けたものですから、どこの川も6月下旬から7月初めまで釣りになりませんでした。
私はといえば、この夏ヘンリーズフォークで大きなニジマスを追っています。気候の変化や釣り人の増加など、このヘンリーズフォークの環境も昔とはずいぶん変わってしまい、なかなかいい魚に出会う機会がないのですが、それでもPMDがハッチし。大きなニジマスがライズするのをみることができます。
でもこの地をしばらく離れている間に風景はあまり変わっていないのだけれど、いろいろなことがありました。特にここは冬-50度を超える極寒の地ですから、夏の終わりにほとんどの人が地元に帰っていきます。いままでは“See you next summer!!” と何気なしにいっていましたが、次の夏もう永遠に会えなくなってしまった人もたくさんいます。最近は自分も年をとってきて本当に次の夏またここで会えるのかなあと思うこともしばしばです。
「グラブ ステーク」。ヘンリーズフォークに来たことがある人ならヘンリーズフォークアングラーズやトラウトハンター同様必ず立ち寄ってサンドウィッチをオーダーしたことがあるラストチャンス唯一の食料品店。 オーナーのブラッド&ダイアン スミスさんと長年交流のある日本の方も多いので私が彼らのことを語る必要もないでしょう。大昔私が初めてアメリカに釣りに来たとき、日本から国際線でアメリカ西海岸に降り立つまではまだ機内案内も日本語があってなんとなく安心でしたが、ウエストイエローストーンに行く小さなプロペラ機の中ではすべてが英語で回りに日本語を話す人など一人もいないことに気が付き、とても不安になったものです。でも「グラブ ステーク」に行くと、日本語は通じなくてもブラッド&ダイアンさんに温かく接してもらってほっとしたことをいまでもしっかり覚えています。
旦那さんのブラッドさんが突然亡くなったのは2年前の晩秋。亡くなる前にに私は夫のキャビンを掃除するためにラストチャンスにきていました。あの時は晩秋だというのに温かい日が続いていて、アイスクリームを買いに「グラブ ステーク」に行きました。釣り人も旅人もがほとんど町から去った静かなお店の中で、ブラッドさんは私の仕事やボーズマンのことなど長話に付き合ってくださいました。やんちゃだったと聞く若かりし頃、病気やケガで元気がなかった時期もあったのですが、彼もとても落ち着いてお元気そうで、それこそ“See you next summer!!”とお店を立ち去ったのですが、残念ながら次の夏に会うことはありませんでした。
日本で茶道を学んでいたころによく聞いた「一期一会」をいう言葉が身に染みます。人も魚も旅ももう会うことはないかもしれないから、一回一回の出会いを大切にしていかねばなりません。
お店にはお客さんとブラッド&ダイアン さんの昔懐かしい写真が貼られていて、日本人のフライフィッシャーの写真もあります。先日「日本からくるお客さんはみんないい人ばっかりだったわ」と懐かしそうにダイアンさんが言いました。私もラストチャンスの住人達もみんなダイアンさんが町を去ることをとても寂しく思いますが、彼女にとっては多くの思い出があるヘンリーズ フォーク ラストチャンスでの 最後の夏。ありがとうの気持ちと新しい門出にエールを送りたいと思っています。