その昔、私のお友達にガラの悪い先輩がおりまして、いたってマジメな七三分けの中坊だった私は、その先輩によくパンク修理材を買いに行かされました。当時のパンク修理の溶剤はブリキの缶に地球のマークが入った接着剤で、缶を開けるやいなや、クラクラっと遠い世界へ行けるトルエンがバリバリのものでした。そんな危ない接着剤は、前歯の無い先輩達には売ってもらえませんでしたが、七三分けでロードレーサーを駆る私には、何にも言わず自転車屋のオヤジは売ってくれたんです。

　フライのフロータントもよく考えれば怪しげな溶剤が入っていて、たまにこの匂いを嗅ぐと、クラクラときちゃう時があります。でもこのクラクラが効果的なんだな、なんて関心しちゃったり。このドライディップ2もそのクラクラ系ドブ漬けフロータントの新製品（らしい）です。ボトルはフルックスとほぼ同サイズのプラスティックボトルで、落としても割れません。

　それにしてもクラクラっとくるこの溶剤、ラベルを剥がしてフライベストに一杯に詰め、新宿歌歌舞伎町あたりで「君もハイフロートしてみない？」と声を掛けたら、間違えて「ください」なんて若者はたくさんいるだろうな（不謹慎な発言ゴメンナサイ）。