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■ North Umpqua River (USA) Sep.2007 

 North Umpqua (ノースアムクァ)川はオレゴン中部を流れて太平洋に注ぐUmpqua川の支流で、その中流部と上流部の美しさと6月から3月にかけて遡上してくるスティールヘッドで有名な川。なんと45kmほどの区間がフライ専用になっている。おまけに数年前から4月から10月まではウェイト付きフライは禁止、一年を通してインディケーターは禁止、という厳しい制限が設けられている。

  サマーランは55cmから70cm位までの小型が多いが、元気のいい魚が多いのが嬉しい。たまに80cmオーバーも出る。私が写真で見た最大は全長112cmほど。釣りで狙える程度に魚がたまり始めるのが7月上旬。それから10月か11月に雨季が始まるまでは多くのサマーランが川にとどまっている。

 ウィンターランは川に入って来てすぐに産卵場の支流に上ってしまうので狙うのは難しい。この川には春にシルバーとキングも遡上してくる。おまけに日本では余り耳にしないシーランカットスロートも夏に遡上してくる。遡上魚の他には少数ながら普通のレインボー、そしてブラウンが居る。スティールヘッドを狙っていて小物の当たりがあったら殆どがレインボーかスティールヘッドの幼魚だ。シーランカットも時々掛かるが殆ど40cm以下だ。(右上へ)

4年間のブランク

 私がこの川でサマーランのスティールヘッドを追っかけ始めたのは1999年の夏の事。当時ロサンゼルス近郊に住んでいた私は、北カリフォルニアでも飛びっきり美しいSmith川でウィンターランを追っかけて空振りばかり続け、「それならフライに反応の良いサマーランを」という事でNorth Umpquaまでの片道1300kmの道のりをもろともせずに通い始めた。最初の夏は惨敗。雨が多くて水位が高く、遡上してきた魚が釣り禁止の上流や支流へとどんどん上ってしまって、計10日間、約130時間釣って一匹も掛けられなかった。

 翌2000年夏は1999年の経験が実って、まぁまぁのコンディションの中、計12日間(約150時間)釣って80cmを頭に10匹掛けて6匹上げる事ができた。それから東海岸へ引っ越してしまったが、2002年には一週間、2003年には2週間の釣行を実現させて、長さ81cm胴回り46cmのオスを頭に8匹掛けて7匹を上げることができた。その後4年間は仕事と家庭の事情で結局行けなかったが、その間頭の中でスティールヘッドが泳ぎ回ってかなり危険な状態になってしまった。

 そこで、今年は何が何でも行くんだと決めて、7月中旬12日間の釣行を早々と決めてしまった。狙いは、まだ遡上してきて間もない、フライを余り見てない魚をバンバン釣ってやろう、というところだ。魚が少ないという危険もあるが、当たれば爆釣(平均一日一匹とか・・・)もあり得る。過去には8月から10月を釣ったが、今回は家庭の都合もあって、ちょっとギャンブルをやってみる気になった。(左下へ)


異常気象?

 さて、宿は3月には予約して、飛行機の切符も早々と5月上旬には購入し、やる気満々で日々オレゴン中部の天気を見ていたが、5月は異常に暖かくて乾燥という状態、6月に入ってそれが改善するどころか、どんどん悪くなっていく。6月下旬にNorth Umpqua川の生き伝説、Blue Heron Fly ShopのJoe Howell氏に電話して訊くと、魚は入ってはいるが遡上数は少なく水温は高め、水位は異常に低い、という事で、過去に経験した中で最悪の状態。これが車で運転して行くんなら絶対に延期するところなれど、既に返金不可の飛行機の切符を買ってしまったので、もうこれは状況が改善する事を祈って行くしかない。

 という訳で、出発前2週間は頑張って足らなくなってたパターンを補充するのに夜な夜なフライ巻き。こうやって行く準備を始めると、状況は最悪と聞いていても、不思議と絶対に釣れるという自信に溢れてくる。過去に北カリフォルニアとオレゴンを中心に計90匹ほどのスティールヘッドの成魚を掛け、その内50匹弱を上げている。他の釣り人が釣れてないときに自分だけ数匹上げた経験もある。「殆どのアングラーは釣れてないが、何人かは釣っている。」と聞くと、「じゃあ、わしは釣れる!」と信じて疑わない。完全にいかれたスティールヘッダーの証拠だ。

 お天気の方は容赦無い異常事態が続いている。出発前2週間は毎日晴れ、最高気温は35℃から38℃。水位はじわじわと下がり続けている。そうこうする内に出発の夜がやってきた。その日の午後、オレゴン中部は最高気温38℃を記録したが、夕方、山間部を中心にとんでもない雷雨にみまわれる。これから先一週間の予報はやや低めの気温と若干の雲。「ふっふ、見ろ、こんなもんだ。」とほくそ笑んで空港へ向かう。

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 翌朝ポートランド空港に無事到着。空は薄曇り。早速予約してあったレンタカーを借りて、高速道路を南に向かう。殆ど眠ってないが元気一杯だ。この辺の道は良く知ってるので地図も必要無い。約4時間の運転でNorth Umpquaへの入り口、Roseburgに到着。見慣れた町並みだ。3年の間に何も変わってない気がする。North Umpquaのフライ専用区間が始まるIdleyld Parkへはこの町から138号線に乗って30分弱だ。途中、大きいスーパーで食料を買い込み、Danielsson Reel北米販売担当のRon Larson氏宅へ寄ってちょっと話をする。この辺りはまだ西岸内陸部特有の乾燥した風景、短い草や雑木が生えている。

 しばらく行くと、行く手に次第に緑に覆われた山並みが見えてくる。North Umpquaの水源だ。2年前までUmpqua Feather Merchantsが本拠を構えていた町、Glideを通り、North Umpqua川をまたぐ橋を渡ってIdleyld Parkへ入る。

 まずはJoe Howell氏と話して行こうと、Blue Heron Fly Shopに立ち寄ってみる。見慣れた丸く人なつっこい顔が笑顔で迎えてくれ、「しばらく見なかったなぁ。まだ日本に住んでるのか?」と切り出してきた。それからちょっと日本の釣りについて話して、Umpquaの釣りの状況について話をする。やはり非常に厳しいらしいが、少数ながら魚が入っているのは入っているとの事。昨日の雨で水位がほんの僅かながら上がって、水温もちょっと下がったので、気温が余り高くならなければチャンスはあると言う。貴重な地元のショップを僅かながらでも応援するジェスチャーとして、マテリアル、フック等の小物を数十ドル買って、予約してあるDogwood Motelへ向かう。

 ここはフライ専用区間の最下流部近くにあり、比較的良心的な値段で釣り人に宿を提供してくれるありがたいロッジだ。オーナー兼マネージャーのNormanと暫く話して、11泊分の代金をまとめて精算してもらう。その額はなんと$444.40。日本ならとんでもなく縁起の悪い数字だ。勿論そんな事は全く気にしない私は「ふん、よくもまぁ4が4つも重なったもんだ。」で済ませてさっさと釣りへ出る準備に取り掛かった。12日間にわたるSteelheadingの始まりだ!

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