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11月に大雪がふりました
こんなフライが大活躍
大きなカットスロートがつれました
カットスロートの脅威 レイクトラウト
イエローストーンリバー
マジソンリバーに関する報告書
■いとしのカットスロートへ

 10月末から11月一杯日本に一時帰国していました。日本の運転免許の更新と歯医者さんが主な目的でしたが、富山ではおいしい食べ物に感動し、長野県白馬村の管釣りに出かけ、そして最終日は東京でハーミットさんにお寄りしてと楽しい日々でした。途中アメリカから連絡があり、ご覧のような大雪。。。ヘンリーズフォークへの道ハイウエイ20は2日半通行止めになったそうで、トラウトハンターがあるラストチャンスは孤立状態だったそうです。12月や1月にこういう状態になることはしばしばですが、11月にこんな大雪になるなんて長年ここにすんでいる人でもびっくりしています。

 今年の釣りを振り返る時期になりました。前回も書きましたが、今年のヘンリーズフォークではほんとうに楽しい釣りができましたし、ビッグホールやボルダーでは期待を裏切らない魚との出会いがありました。反対にマジソンやギャラティン、ファイヤーフォールは魚の出方がいつもの年とは何か違うそんな完全燃焼な気持ちがのこりました。

 もうひとつ印象深いのは、公園内のイエローストーンリバーです。ご存知の方も多いと思いますが、イエローストーンレイクを水源に流れるイエローストーンリバーはミズーリーリバーに合流するまでダムがひとつもない大きな川です。特に最上流部イエローストーンレイクからヘイデンバレーまではかつて多くのカットスロートが釣れる川として有名で7月15日の解禁日には多くの著名なフライフィッシャーがオープニングセレモニーを催したほどです。しかし近年、この川は激変しました。

 私がはじめてこの地で釣りをしたころは、なかなかリールで大型の虹鱒やブラウンとやり取りすることのできなかったのでフィッシングガイドが「カットスロートならファイトの仕方が違う」と冗談交じりに話をしてくれたことを今でも覚えていますが、運よくキャリベイティスやPMDのハッチに出会ったお陰もあってこの私でさえびっくりするほどのカットスロートをこのあたりで釣ったものです。

 ところがその後こちらに移り住んでからは全くといっていいほど、イエローストーンリバーやレイクの話は聞かなくなったのです。「釣れるけれどライズも少なく、昔の面影は全くない」というのが長年このあたりを釣る人たちの意見です。誰かが外から持ち込んだレイクトラウトは弱者のカットスロートの稚魚を食べてしまい、ワイヤリングディジーズはどんどん魚の数を減らしていきました。そしてその結果が今にいたっているのです。外来種が生態系を変えていく悪い意味での手本のようなこのイエローストーンリバー。ブルーリボンフライズの大ベテランジョンも今年解禁後にここへ釣りに出かけたそうですが、「素晴らしいカットスロートが一匹つれたけれども、それだけだった。」となんとなくさびしいそうな顔。

 8月半ば遠ざかっていたイエローストーンリバーをのぞいてみることにしました。この時期カットスロートは赤やピンクのホッパーが大好き。ラバーレッグなど着ければもっと効果的ということで、一見ちょっとふざけたフライですが、ほんとうに写真のようなフライを使います。

 今回もライズはなく、ブラインドで魚が着いていそうな深みがあるところにフライを流すと、目を疑うような大きな魚が出たのです。ファイトの仕方はあいもかわらず。なんとなく日本の岩魚のように水中をグネグネして、なかなか近くによってきません。私の竿が半月に曲がり、やっとの思いで寄せてみると、びっくりするような大きなカットスロート。レイクトラウトなどの脅威から生き延びた力強いこの川の主。尊厳に満ちたすばらしい魚でした。
 その後は昔いやというほど魚がつれた場所にいき竿を何十回も振りましたが、何の反応もないのです。周りにいた釣り人たちも釣れた様子がありませんでした。大きな魚が釣れた嬉しさより魚の気配の無くなった川への寂しさだけが残りました。

 先日マジソンリバーに関するモンタナ州のFWPの調査結果を読みましたが、私の好きなウエストフォーク辺りでもまだワイヤリングディジーズが報告されています。ここ2年間何かがおかしい感じ。同僚のガイドたちも同様の意見です。それが単に天候によるものなのか、報告に見られるような生態系の変化による影響なのか私にはわかりませんが、魚が釣れなくなるというのはなにか悲しい気持ちにさせられます。

 虹鱒はもともとシエラネバダ山脈、ブラウントラウトもヨーロッパ原産。遠い昔に人間の手で持ち込まれ、このあたりでもネイティブではありません。最近ではレイクトラウトが持ち込まれ、イエローストーンのネイティブ カットスロートはどんどんそのすみかを追われてきています。人間の手で何気なしに持ち込まれたエイリアンがネイティブに及ぼす影響をフライフィッシングを通して目の当たりにしています。日本ではどうでしょうか?一時帰国をした際に「イタセンパラ」という富山のネイティブの魚についてのTVをみました。もうすでに虹鱒などは日本の市民権を感じもしますが、外来生物によってカットスロート同様日本のネイティブは一体どうなるのかなあと遠い母国の魚やその環境も気にかかっている今日この頃です。