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ときどき「一番釣りたい魚は?」と聞かれることがありますが、今の私はすかさず「カットスロート」と答えます。モンタナのネイティブの魚ですし、フッキングしたあとのドローンとした魚の動き、そしてなんともいえない愛嬌のある顔が大好きだからです。 9月の第一週月曜日はレーバーデイというアメリカの祝日。土日をいれて3連休なのですがこれがすぎると夏も終わり。いっきに、イエローストーン国立公園は静けさを取り戻します。正直6月半ばから夏休み中はイエローストーンに行きたくありません。今年も入園者数は過去最高だったようですが、とにかく人が多く動物たちが現れるごとに渋滞になるのでなかなか前にすすめませんし、心無い人たちがフライフィッシングオンリーのサインの前でルアーを投げていたりして悲しい気持ちになることが多々あります。 夏休みも終わり、少しは釣り人も減ったかなと思い、公園のノースイーストにあるラマーバレーにカットスロート釣りにいってきました。ラマーリバーは私にとっては思い出深い川。1998年に釣りをしに単独で渡米しました。そのときにイエローストーンインスティチュートのフライフィッシングのクラスに参加しそのとき寝泊りしたのがラマーのレンジャーステーションのそばにある丸太小屋でした。皆で自炊、電気のない小屋でシュラフに包まりながら眺めた星空、小熊を連れたグリズリーが歩いていったこと、イエローストーンリバーの奥地へ2時間以上歩いての釣りなど本当に楽しい思い出が残っています。今では偉そうにフライショップのお客さんにラマーの釣りポイントを教えてあげたりしていますが、あのころ自分がそんな立場になるなんて思ってもおらず、いつかまたこの川にもどってくるぞと心にちかっていたのです。 今回もラマーの思い出深いレンジャーステーションの近くで釣り。夏の晴天のときは大型のホッパーやアントフライ。見えやすいし、かじかんだ手でホットチョコレートを飲みたいと思いながら#20のベイティスを結ぶ釣りよりは終わったら今日はどのビールかなと思いながらの釣りのほうが気持ちが楽です。 この日は夏の間たくさんのフライマンに釣られてきたせいか、フライをみきるのがうまくなかなかフッキングしてくれないのですが、そんな魚をなんとか釣りたいといろいろ手を変え品を変え、魚と釣り人の知恵比べも楽しいものです。釣れる魚は16インチから20インチと大型のイエローストーンカットスロートばかり。虹鱒のようなファイトはないけれど、重い感じのなかなか寄ってこないファイトは大型のカットスロートならではです。写真のネットは新潟のフライフィッシングの大先輩「手塚アートクラフト」の手塚さんのバンブーネットで長いほうの径が16,17インチぐらいですから魚の大きさが分かっていただけるかと思います。 ラマーには動物も多く、冬場はオオカミの群れなどもよく見られますが今の時期はバッファローがたくさんいて、気がつくと何十匹ものバッファローが寄ってきたということもよくあります。この日もそんなバッファローを避けていたつもりでしたが、群れから離れた大きなバッファローが10m先の川を渡っていきました。はぐれバッファローはちょっと危険ですから、彼の邪魔をしないようにそっと川を離れました。ちなみに今年の夏知り合いの人が川に向って歩きだしたら、いびきが聞こえるので見てみると、大きなグリズリーがセージブラッシの中で寝ていたそうです。ベアスプレーもこの川には必需品です。 季節はもう秋。昨日山の上に初雪が積もっていました。アスペンの葉っぱも少しずつ黄色に変っています。今年はどこもかしこも8月になるまで水が高くてなかなか思うような釣りができませんでしたが、イエローストーンの厳しい自然にいきるカットスロートたちはまた今年も私に会ってくれました。今年はたぶんこれが最後のイエローストーン公園での釣り。また来年もカットスロートにあえるといいなと思いながら公園をあとにしました。 日本でも外来の虹鱒やブラウン、レイクトラウトなどが川や湖で市民権を得ているようですが、ぜひこんど日本に行って釣りができるとしたら、やっぱり富山の岩魚に会いたいなあとモンタナのカットスロートを見ながら思っています。 |