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熊さんがりんごを食べにきました
マンハッタンで食べたモンタナ名物フラットヘッドチェリーのワッフル
アスペンの黄葉
小さなベーカークリーク
愛犬リリーがガイドしてくれました
大きな虹鱒がつれました

■ 小さな秋 小さな町 大きな魚

 10月3日 初雪が降りました。前日までは華氏75度(摂氏25度)、Tシャツで仕事をしていたのにうって変わってダウンジャケットを着込んだくらいです。この夏は山火事で空が煙ってずっとグレーの空でモンタナの青空を見ずに冬の寒いグレースカイがもどってきました。
 ウエストイエローストーンにいたころより、ボーズマンは1500フィートほど標高が低いのでずっと気候はマイルドなのですが、それでもロッキー山脈のど真ん中なので夏が終わると春や秋を感じることなくすぐ冬がくる感じがします。

 それでも見渡すと家の裏のブリッジャーマウンテンの木々は秋色になり、庭にある3本の野生のりんごの木にはおいしそうなりんごが実のり、ほんの一瞬小さな秋を感じることができます。ある日、森の熊さんがもちろんやってきてお隣さんが猟犬といっしょに庭仕事をしている横でおいしそうにりんごをほうばり、庭仕事を邪魔することなく森の奥に帰って行きました。職場のボブさんも「せっかく実った西洋梨が鹿にほとんど食べられた!!」といって笑いながら最後に残ったなしの実をくださったので、昔読んだ宮沢賢治さんの「やまなし」の話を思い出しました。

 そんな9月の穏やかな日、秋をさがしに家から車で30分ほどの町、マンハッタンを流れるベーカークリークに釣りにいきました。マンハッタンってニューヨーク??と思ってしまいますが、ボーズマンからIー90を西に20分ほど走ると右手に見えてくる小さな町です。有名なミレズニックランチのスプリングクリークはマンハッタンにいく途中にあります。この町はオランダからの入植者が多く、町の多くの人たちが熱心なキリスト教の信者さんだそうです。そのせいかとてもこぎれいで、とてもみなさん親切。この日も町に唯一ある朝ごはんのお店、ガーデンカフェで期間限定 モンタナの名物 フラットヘッドのさくらんぼのワッフルを頂きましたが、元気なウエイトレスさんが「もちろんホイップクリームもよね!!」とウインクしながら聞いてくるので、みんな大笑いです。

 ベーカークリークはギャラティンの支流で、このマンハッタンの町はずれを流れる小さなクリークです。パブリックアクセスが少ないのですが、幸いクリーク付近の牧場主のピーターさんに電話をして、牧場の中も歩かせてもらいました。ピーターさんの愛犬スプリンガー スパニエルのリリーはハンティングとフィッシングが大好きなので、今日は私のお供をしてくれることになりました。ルビークリークが流れるシェリデンあたりから、ウィンストンがあるトゥインブリッジ、ミズーリリバーのヘッドクオーターの町スリーフォークス そしてこのマンハッタンという町は、「モンタナ バナナ ベルト」と呼ばれていて比較的 冬でも雪が少なく気候が安定しているせいでしょうか、黄葉も他よりも遅れている感じでしたが、アスペンの木々は確実に夏から冬への季節の移り変わりを感じているようです。

 そして魚たちも秋を感じてか、特に産卵期に入ったブラウンはこの小さなクリークにあがってきていました。私と別れて隣を流れるキャンプクリークに入った夫はその大きなスポニングのブラウンを釣ってしまったようです。私は、愛犬 リリーといっしょにベーカークリークを釣りあがりました。まだまだベイティスには早いようでなかなか思うように釣れません。しかも水はクリアーでそっと近寄っても魚が逃げていくのが分かります。ミッジが飛んでいるのがみえたので、ライズをしている魚にグリフィスナットを投げると、15インチほどの虹鱒が連れてくれました。グリフィスナットはご存知のようにグリズリーのハックルを巻いただけのフライで、こんなので本当に釣れるのかと思うようなフライですが、10月後半雪の降るヘンリーズフォークや3月4月パラダイスバレーのスプリングクリークで大きめのグリフィスナットはいい型の魚を釣らせてくれる魔法のフライです。

その後は グリフィスナットのみ。流れ込みでいいライズが見えました。新しいティペットに変え魔法のフライをキャストしたら、しっかりと魚がフライをくわえてくれました。小さなクリークなので木々にラインが絡まないようにやっとのことでランディングすると、20インチはありそうな大きな虹鱒でした。

 帰りに愛犬リリーをピーターさんに返しに行く途中、リリーはフェザントを見つけてはハンティングの練習。モンタナの小さな秋が静かに過ぎて行きます。マンハッタンの町にもどると、朝ガーディンカフェであったおじさんがいて「釣りはどうだったかい?」と聞いてきます。マンハッタンは小さな小さな町ですが、大きな優しいハートを持った町です。最近のボーズマンはどんどん大きくなって便利は便利なのですが、なんとなく人の気持ちが粗くなってきている感じがしてたまりません。フライフィッシングのスタイルもマジソンやイエローストーンリバーでもボートで下りながら、大きなストリーマーを投げて釣る釣りが主流になってきています。「ボーズマンに住んでいても、イエローストーン国立公園内は釣ったことがない、歩いてライズを探して釣るなど疲れる。フライなど巻いたことがない」。というのが若い世代のフライフィッシャーのようです。

 小さな町マンハッタンを流れる小さなクリークで、飾り気のないグリフィスナットを使うなど若い人から見れば古い釣りなのかもしれませんが、小さな秋を感じながらちゃんと大きな魚は釣れてくれました。そんな釣りこそモンタナの楽しみ方だと私は思っています。