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気がついてみるともう10月。町にはハロウィーンの飾りつけが始まりました。今年は冬が終わるのが遅く、そして秋の始まりが早くてみんな「Too Short Summer」といって夏を名残惜しんでいますが、秋の黄葉と青空は冬が近づいてくる恐れを紛らわしてくれます。 2014年の釣りシーズンも終盤を向え、2015年への待ち時間。やっと1週間だけ休みが取れましたのでどこに行こうか地図とにらめっこをし、今年は「カナダ」に行くことにしました。私はカナダをすでに3回訪れていますがすべて日本から。当然のことながら飛行機での訪問です。カナダはモンタナ州にも接していて、ボーズマンからただただまっすぐ車で北に6時間強走ればもうそこはカナダとの国境北緯49度線です。日本と他の国の国境は海上で(陸の国境はあるのでしょうか?)、日本から陸路で国境を越えるということはほとんどないわけですから、車で国境を越えるという好奇心が沸いてきました。またずいぶん前に私の釣りの大先輩であるR子さんと二人でカナダのアルバータ州を流れるボウリバーに釣りにきました。女性フライフィッシャーが少ないその当時R子さんは国際交流団体に勤務なされて英語教員、日本語教師として資格もお持ちで英語も堪能でしたし、すでに何度もアメリカニュージーランドと釣り歩いておられて、海外の釣りはお手の物。アメリカワシントン州、そしてカナダアルバータ州と2カ国を2人で釣り歩いたのですが、私は海外での釣りがはじめてで英語もチンプンカンプン。そしてたぶん日本の方はだれでも体験するであろうドリフトボートでの釣りへの戸惑いで大きな魚が釣れたにもかかわらず、不完全燃焼。課題の残る釣行で、「またいつか必ず戻ってきて釣りをしたい」思っていました。 そんな2つの思いが今回のカナダへの釣行を決意させました。夫が昔カルガリーでフライショップを友達と経営していたこともあって、その当時の釣り友達が案内してくれるということで準備万端。ボウリバーで釣った大きな虹鱒が頭をよぎります。 ボーズマンを午前9時ごろ出発。モンタナの州都へレナを抜け、途中トイレ休憩でミズリーリバーのクレッグに立ち寄るとトライコのスーパーハッチがあって、カナダまで行かなくてもここで大きな魚を釣るのもいいかも。。。という浮気心を押しつぶして、さらに北に向います。国境に近いシェルビーの町に着き、アメリカドルが使える最後の給油は午後2時過ぎ。インターステートの行き先を示す表示が、南はアメリカモンタナ州のグレートフォールズ、北はカナダ アルバータ州 レスブリッジとなり、いよいよ国境が近づきます。同じ国のシアトルやミネアポリスに行くよりも近いのに、国境をこえるということで当然のことながら同じ国の移動とは異なることがいくつもあり、ここはアメリカではないのだと認識させられたことがたくさんありました。 パスポートが必要 私は非居住者 アメリカ最後の町スイートグラスが見えたかと思うともうそこは国境のゲート。カナダの赤白メイプルリーフの国旗が掲げられ、ゲート直前の道端に小さなお土産やさんの様な免税店などもあって思わず「バックと化粧品売っているのかな?」と思いましたが。。。 家から車でたった6時間強の国境ですが、ここを越えるにパスポートzが必要です。以前アメリカ市民は運転免許証があればカナダ、メキシコ国境を越えることができたそうですが、物騒な世の中になりアメリカ市民であってもパスポートの提示をしなければなりません。私は日本国籍なのでもちろんパスポートとアメリカの永住権カードの提示が必要です。こちらに住む知り合いの人が陸路ということでうっかりパスポートを忘れて大変だったと聞いています。夫ともに入国審査でいくつかの質問を答えカナダに入国です。日本から他の国に飛行機で降り立つと、まず言葉や文字が違い空港にいる人たちの様相が異なり、「あー、海外にきたのだ」と感動と不安がよぎるのですが、今回は正直風景も言葉もなにも変わらないのです。別に悪いこともしていないのに、いつもながら入国審査というのはどきどきします。それが国境を越えるということなのかもしれないと思いました。ところで今回はいくつかの場所を移動しながら釣りもするということで、車の中にパスポートをおいて釣りに行くのは少々不安。ひさびさにパスポートを身に付けながらの釣りでジップロックのビニール袋を使おうかと思っていましたが、灯台下暗しでした。毎日私が発送しているものの中に小さくて地味なのですがSIMMS 社の結構人気商品DRYCREEK TECH PUCHというのがあるではありませんか。よく考えてみればメキシコやカナダ、中南米につりに行く人はたくさんいるのでパスポートはもちろんのことカメラや携帯、フィッシングライセンスをこれに入れて首からさげれば大事なものを身に付けられる必需品です。よく似たものは旅行用品を扱うお店にあったとは思いますけれど、ここモンタナでもセーフティボックスがあるような立派なホテルは少ないと思いますので、パスポートを持っての釣りをしなければならない人には一押しの商品です。ちょっと宣伝のようですが。。。 モンタナではモンタナ州居住者は年券たった$26でそのあとはどこでも釣っていいのですから、すっかりフィッシングライセンスの代金を計算にいれていませんでした。日本からアメリカに釣りにいらっしゃる方はモンタナ、アイダホとライセンスを買われることもあるでしょうから、「当たり前だよ」と笑っておられるかもしれませんね。 カナダの友達によると、アルバータ州で1回フィッシングライセンスを買うと情報がアルバータ州でで管理され、また釣りに来るときはいちいち住所や生年月日などを申請しなくていいそうです。これはモンタナも同じで、2回目からはラストネームと生年月日もしくはALSナンバーをコンピュータに入れるだけでいいのです。アルバータがモンタナと違うのはしばらくすると、WINカード(Wildlife Identification Number Card)というのが自宅に送られてきて、次回フィッシングライセンスを買うときはそのカードを見せるか、オンラインでカードに書いてある番号をいれればいいそうです。昨日郵便受けにそのカードが届いていました。ちなみにフィッシングライセンスを買ったのは「カナディアン タイヤ」というホームセンター。ライセンスが印刷されるまで、私はお買い物をしていました。日本も遊魚券はコンビにで買えましたけれど、身近なところでフィッシングライセンスや遊魚券が買えるのは便利ですし、フィッシングライセンスや遊魚券なしで釣りをする人が減る効果があると思います。
カナダ入国後夫が「モンタナと何が違う??」と聞いてきましたが、正直牧場とモンタナ北部とカナダ南部でみつかった石油を掘削する機械が転々と見え風景は何もかわらないのです。ふと道路の速度表示を見ると「100」。カナダはアメリカの「マイル」とは違い、日本と同じ「メートル」法。またホテルのフロントで「今日は25度まで気温があがるそうよ。」いわれ、頭の中が???温度もカナダは日本と同じ摂氏。今でもアメリカの単位表示は戸惑いますが、このときは「100マイルではなく100km。華氏25度ではなく摂氏25度」と反対に戸惑ってしまい、ここでも国境を超えたのだと再認識させられました。 またお金は同じドルでもカナダドル。アメリカドルも使えるそうですが一応カナダドルを用意していきました。お札が種類によって色が違ってわかりやすいけれど、やはり$1、$2コインなどもあってコインは迷います。アメリカドル$1よりカナダ$1は若干安いようですが、それでも2人で簡単な食事をするとモンタナはセールスタックスがないのもあってモンタナでは$30程度ですが、カナダでは税金が加算され$50を超えました。物価が高いのかなあと思ってもみましたが、その分お給料もモンタナよりずいぶんいいのそうです。クレジットカードはPINコード(暗証番号)を聞かれました。アメリカ国内ではきかれたことがなかったのですっかり忘れてしまい、思い出すのに一苦労しました。地続きだというのにちょっとした買い物に戸惑うのでちょっと参りました。カナダにかぎらず海外釣行されるときには暗証番号を確認されることをお勧めします。フィッシングガイド料金、ホテル代などクレジットカードを使う機会は多いと思いますので。 国は違えどフライフィッシングは万国共通 今回は初日に夫の古い友人でガイドのデイブさんの案内でアルバータ南部を流れる川、そして2日目はカルガリーにあるアイロンボウフライショップのオーナーのマイクさんの家の敷地を流れるクリークを釣りました。結果はタフ。行く前週に季節はずれの大雪が降り、私たちが訪ねたときにはインディアンサマーと呼ばれる夏に逆戻りしたような晴天で雪が一気にとけて川の状態が激変したといいわけしたいのですが、ホームグラウンドを離れるとなかなか自分の釣りができない自分の釣りが情けなくなりました。それでも夫は初日に22〜3インチはあろうかというレインボーを16番ほどのCDCカディスで釣りました。このときは雲ひとつない晴天で、ティペットを6xまで下げての釣り。「フレッシュなトラウトハンターの6Xは強いなあ」と改めて感心していましたが、かならず釣りの前にリーダーの長さを確認し、新しいティペットに換えるのはさすが元ガイド。このときもちゃんとティペットはフレッシュなものでした。私も翌日のクリークでやっと22インチぐらいのブラウンが釣れましたがカメラは車の中。写真なしでちょっと残念です。旅の終盤バンフの人ごみに疲れた私たちは私たちはカナディアンロッキーを超え、ブリティッシュコロンビアに入り、カットスロートで有名なエルク リバーの支流ミッシェルクリークで釣りをしました。入渓地がハイウェイに近いこともあってか、魚はシビアで水温も下がっていて目だったハッチもなく、ここもなかなか苦戦。粘りに粘って午後にやっときれいなウエストロープカットスロートが釣れてアメリカに帰国することにしました。もう少しフライショップで情報を仕入れておけばよかったと反省です。 なれない土地で限られた時間ではガイドなしで自分で川を探して釣るというのは無理があります。今回夫の友人のデイブさんやマイクさんの案内がなければどこをどう釣ればいいのか迷いに迷って時間を無駄にしたに違いありません。 日本でも有名なバンフにあるボウ湖から流れ出すボウリバーはカナダのフライフィッシングの銘川でその川が流れるカルガリーにはカルガリーには現在7つもフライショップがあるそうです。そのひとつアイロンボー フライショップのオーナーは夫の古い友人。バンフに向う途中に立ち寄りました。 SIMMSのディーラーさんですから、休暇の前に職場で「カルガリーのアイロンなんとかというフライショップに行くの」というと即座に「アイロンボーね」とみんなのほうがよく知っていました。たずねてみると、ここはアメリカのフライショップとまったく同じ。SIMMSの製品をはじめ、SAGEやScoot SA Rioなどアメリカで見るものばかり。ほっとする一瞬です。ホテルの近くにはWESTWIND FLYSHOP、 FISH TAIL FLYSHOP、ブリティッシュコロンビアにはELK RIVER FLY SHPには私が手がけたLOGOのキャップがあったり、先日送ったであろうSIMMSの秋冬ものがあったりしてフライフィッシングの世界だけは国境を感じさせないのです。 カナダの友達たちは、モンタナのミズーリーリバーによく来るそうで「あんないい川があるのに」とうらやましそうだったので私は「ボウリバーがあるのにわざわざモンタナに来なくたって」と大笑いしてしまいましたが、国境を超えてもいい魚に出会いたい気持ちは万国共通です。 蛇足ですが、ウエストイエローストーンで8年間観光客相手に仕事をしていた私は今回バンフ国立公園で観光客になりました。バンフには日本人観光客も多く、日本レストランや日本人の方がたくさん働いていらっしゃってうれしくなりました。氷河に削られた山々は25年ほど前スキーでバンフを訪れたときとかわりませんでした。あのときホテルの横を流れるボーリバーをみて「いつかはカナダに釣りに来るぞ」と心に誓いましたが、川はあのときと同じ美しいエメラルド色。そういえばイエローストーンカットスロートが黄色ががっているのに対し、カナダで釣れるウエストロープカットスロートも青緑ががっているのはそのためなのかなあと勝手に思ったりします。 民族の違い、宗教の違い、言葉や習慣の違いなどさまざまな要因が人々の心と大地に境を作ります。でもフライロッドを片手に旅することで世界中のフライフィッシャーとその土地の人たちと友好的な関係を作ることができるような気がします。細い細いティペットは国と国、そしてフライフィッシャーの心を結ぶ見えない不思議な糸なのだと確信した今回の旅でした。 |