Fly Fishing Shop
 Expert Advice and TOP-of-the-Line Gear Hermit フライフィッシングの世界へようこそ   TOP

 強烈な風雨で思ったようには快適な釣りが出来なかった今回のパタゴニア釣行でしたが、気分良く晴れた日もあり、そういう日にたまたま小規模な川でのウェーディングの予定が入っていると至福の日となります。

ポルックス川

 ポルックスは銘川シンプソン川の支流の規模の小さい清流で、マスのサイズも大きくないとのことだったのでタックルは9ft#4のロッドとWFフローティングラインのみ。夏らしい快晴の天気の中、バックパックに弁当と水筒その他を詰めこんで、遠足ルンルン気分で釣り上がりました。

 入渓地点でチビマスのライズがあり、#17のEHカディスを結んでキャストすると、20cmくらいのレインボーやブラウンが元気良く飛び出してきます。その後も同じ場所で数匹釣って独りでニコニコ。こうなると先に進めません(笑)。こんなことではイカン、イカンというわけでチビマスを構いつつも少しづつ上って行くと、川のカーブに倒木が数本重なっていかにも、といういい感じの淵を作っている場所が。(右上へ)

 フライを大き目の#12のカディスに代えて、忍び足でそっと倒木の上に忍び寄り、何気なくフライを落としてみると、これまた何気なく倒木の下から浮上した影が一閃、パクッとフライをくわえました。呆気にとられやや遅れ気味に合わせるとギラッと光る魚体は40cmを優に超えるサイズのレインボー。ガッチリとフッキングはしたものの、マスはしばらく淵の中を疾走して程なく私の足元に沈む倒木の下へ。3Xのティペットだったので一度は無理矢理引き出したのですが、両脇が立ち木に囲まれていてランディングのスペースがなく、またまた倒木にもぐりこまれて動かなくなり万事休。やむなくティペット切断。思えばこれがこの川の最大クラスでした。

ここでいきなり出ました

 その後も随所に魅力的な淵や瀬が次々に現れ、20~30cmのレインボーを中心に釣れつづけました。小さな落ち込みで盛んにライズをしていた1匹を釣り上げてストマックポンプをかますと食っていたのは黒っぽいメイフライの成虫が中心。ちなみにヒットフライは赤のロイヤルハンピー!チリの夏はテレストリアルパターン万能という気がしないでもありません。(左下へ)


ギジェルモ皇帝の勇姿

ギジェルモ皇帝川

なんでこういう名前なのかというと、写真の山を見てくださいませ。この真中の聳え立つ岩の形が馬に乗った人間の勇姿に見えるじゃあーりませんか。この山の名前がセロ・エンペラドール・ギジェルモというので、その下を流れる川も同名になったのです。問題はギジェルモなる人物が何者なのかですが、ガイドに聞いても『わからん』という返事。

 この川はコジャイケから車で約40分。ポルックス同様足場もよく、天気さえ良ければお手軽に至福の時間を味わえるハッピーな川ですが、牧草地を流れるポルックスとは違い玉砂利の明るい開けた川原の中を流れます。天気はこの日も快晴。ガイドのクラウディオといっしょに長閑な川原を釣り歩きます。(右上へ)

美しい渓流

 魚はレインボーの30cm前後のサイズが中心。11時過ぎくらいから気温の上昇と共に小型のメイフライのハッチ。それに合わせてあちこちでライズリング。#16程度のアダムスやトライコのパラシュートで連続ヒット。パワーのあるレインボーがロッドを心地よく曲げてくれます。またこの時期、日中にバッタも多く見られるので、おなじみチェルノブイルアントやグラスホッパーでも良い釣りが出来ました。なんで釣りするのか、と聞かれたら、やっぱり麗しい川で心穏やかに自分の時間を過ごしたいからと答えます。こんな日ばっかり続いたら、社会復帰出来なくなってしまいそう。

平均サイズ

ガイドサービス他

 今年もガイドサービスはRUMBO PATAGONにアレンジをお願いしました。ガストンとクラウディオのウレホナ兄弟がやっているアウトフィッターです(Webサイトはhttp://www.rumbopatagon.cl)。今年驚いたのは、彼らがベテランガイドのフリオ・メイラー(現アイセン州観光協議会会長)らと協力しながら、ガイド業だけでなく、コジャイケ近郊の釣り場保全、スポーツフィッシングの普及と観光による地域興しも見据えて組織整備の活動を精力的に進めていることでした。昨年から話は聞いていましたが、まだ実現は先のことかと思える内容でした。それが今年は既に政府レベルでの動きが見られ、町のあちこちにポスターや看板が掲げられ、ライセンス制度なども進行中でした。『楽しんで、そして水に還してあげよう!』のフレーズとともに、禁漁期の説明やキャッチしてよい魚のサイズ制限等が記されています。職業漁業から遊魚中心にかわりつつある状況はこの国でも同様だそうです。こうした製作物は基本的には遊魚や魚資源の保護について無知なチリ国内の人々の啓蒙のために作っているのだそうですが、他の国にお邪魔して釣りをする我々外国人としてもいろいろと考えさせられます。


スポーツフィッシング委員会作成の看板