Fly Fishing Shop
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六日目

 またまた朝から雨まじりだった。最後くらいは晴れて欲しかった。目指すはYサイトだ。前日は中小型は結構見たが50ポンドを軽くオーバーしそうな大物は見なかったので、Yサイトの中でも大物GTが狙える場所へ連れて行ってくれと頼んだ。しかし、潮が悪かった所為もあって、最初に行ったポイントではボーンの姿しか見えなかった。ちょっとだけ8番ロッドを出してボーンをサイトで狙って遊んでみた。16番ロッドにデカポッパーを乗せてブラインドをかますが、全く反応が無かった。

 午後になって潮が良くなり、この日3箇所目のポイントで遂にウルアの影を見た。この頃になると、雨がかなり強くなり、おまけに風もビュウビュウ吹いてきて、レインジャケットを着ていても寒いくらいだった。雲もかなり厚くて薄暗く、結構厳しい条件になってしまった。が、スティールヘッダーの私は少々の悪天は全く気にしない。そんな条件なら大物GTの警戒心が薄れて良いだろうと、逆に自信が出てくるわけだ。浅場のエッジを歩いてブラインドキャストをやったり、一番入って来そうな場所で待ち伏せをしてもみた。しかし、期待に反して大物は姿を見せず、時々サッと入ってすぐに出ていく中小型のGTが見える程度だった。

 その内、やっと2匹の小物が浅場に入ってちょっとウロウロしたので、素早く5m程先にストリーマーをキャストしてリトリーヴした。すると、1匹が猛然とダッシュしてストリーマーに喰らいついた。「やったぜ!ちっちゃいけどな!」と叫んで、走ろうとするGTを強引に左手でラインを手繰って寄せて、まるで6番ロッドで10cmのヤマメをあげるかの様に水面でバチャバチャさせながら寄せて引っこ抜いた。30秒かからなかった。「こいつは小さいなぁ、パピオだ。3〜4ポンドか?」と訊くと、ヨブが、「いや、それでも7〜8ポンドはあると思う。」と答えた。「へぇ、こんな小さいのに?」と変に思った私はメジャーを取り出して長さを測ってみた。すると、かなり小さく見えたのに、一応又長が57cmあった。体も上から見ると、結構分厚い。「なるほど、思ったよりも大きいんだな。でも昨日のに比べるとグッピーだな。」と私。16番ロッドだと、こんなサイズはリールに乗せるまでもない、ちょっと勿体無いが。この魚は、雨の中をずぶ濡れになりながら待っていてくれたヨブと彼の家族に夕飯のおかずとして提供する事にした。

 この後も更に雨の中を1時間近く待ったが、全く魚が入ってこなかった。これ以上ヨブと運転手を待たせると悪いと思い、「よし、今回はこれでおしまい。待っててくれてありがとう。」と声をかけ、暗くなる中をホテルへ戻り始めた。ホテルに着くと、マネージャーが出て来て、「あ〜良かった!どこかで遭難したかと思って捜索隊を出そうと話し始めていたところだったのよ!」、と。危うく迷惑をかけてしまうところだった。

一匹目と同じ場所で捕った二匹目のウルア、一匹目よりも若干大きめ
右上へ

 

雨風の中で捕った又長57cmのパピオ。ウルアと呼ぶには及ばない小物

 最終日は、何と朝4時に朝食を取らされ、5時に空港へ行き、冗談のような出国手続きを済ませて、檻のような待合室で飛行機の到着を待った。小雨の降る曇り空の中、冗談のような空港を飛び立つと、3時間後には見慣れたホノルルへ到着。本当にあっけない。時差も無いし、気候も殆ど同じで、余り遠征したという感じがしなかった。これならいつでも来れるなぁと思った。

 今回の釣行には、総額$3500ほどかかったが、飛行機代、3日間のボートの使用、6日間の食事、ガイド、宿泊、と全て込みでだから、結構お得な釣行だと思う。ボーンフィッシュは本当にウヨウヨしていて簡単に釣れるので、ストレス無しに釣りを楽しめるし、飽きたらフラットで大物GTを狙ったり、オフショアでマグロやサワラ、夏から秋にかけてはセイルフィッシュやマーリンを狙うのも面白い。80〜90年代に比べるとGTやオフショアの釣果がガタ落ちになったとは言え、クリスマス島のフライフィッシングは素晴らしいと思う。

 タックルだが、ボーンに集中するなら8番が2本あれば大丈夫だろう。ラインは少なくとも2本、できれば4〜5本持って行くと良い。3ポンド以上のボーンを8番で掛けると、珊瑚でギタギタにされる可能性大だ。リーダーはナイロンの9〜15フィート。ティペットにはクロロの12〜20ポンド。フライは8〜4番の様々なボーンフライを用意すると良い。リールは丈夫で回転が滑らかな中型、できればラージアーバーの物が良い。30ポンドのバッキングを最低200ヤード巻けるキャパシティが望ましい。

 GT狙いだが、20ポンド位までなら12番で何とかなりそうだが、真剣に20ポンドオーバーを捕りたいなら14番、40ポンドオーバーを捕りたいなら16番以上をお薦めする。大物GTの頭の向きを変えさせるには、相当なパワーが必要だ。リールは大型で、ドラッグが滑らか、かつ強力な物。Mako, Charlton, Tibor, Abel等は安心して使えそうだ。リーダー兼ティペットは9フィート前後の80〜120ポンドをラインに直結。ラインはフローティングで大丈夫だが、コアの強度が50ポンド以上ある物(例えば、AirFlo GT line,Rio Leviathan 550gr floating)が良い。バッキングは50ポンド以上の物を300ヤード以上。フライはポッパーよりもストリーマーへの反応が良かったが、ブラインドでやる際にはポッパーが出す音の集魚効果も無視できない。ウルアの喰い下手を考えると、タンデムフックシステムが望ましい。フックは4/0~8/0の頑丈な物が必要だ。

 最後に、普段8番以上のロッドでロングキャストを延々とやる釣りに慣れてないなら、クリスマス島遠征の数ヶ月前から練習を始めて、ボーン狙いならせめて8番ロッドで20mのキャストを数時間はできるように、ウルア狙いならせめて12番ロッドで20m以上のキャストを数時間続けれるように鍛えておくと良い。14番以上のロッドを使う場合は、腱鞘炎を起こさないように要注意。私は元々手首が強いので16番ロッドで4時間位ぶっ続けでブラインドキャストをしても平気だが、時々手首や肘をやられたという話を聞く。利き腕を傷めてしまっては元も子もないので、この点には気を付けたい。