Fly Fishing Shop
 Expert Advice and TOP-of-the-Line Gear Hermit フライフィッシングの世界へようこそ   TOP
泊まったバンガロー。海のすぐそばで波の音が凄かった
2日目 

 二日目、早朝は初日同様に好天。またしてもジャーナリストと一緒にナリオにボートでガイドしてもらった。「俺はウルアのみがターゲットだ。」とナリオに伝えると、「よし。じゃあ朝一番はウルアスポットへ行ってみよう。」と言い、ボーンフィッシュを独りで釣ってみたいと言うジャーナリストをボーンのフラットに下ろして、私とナリオはウルアの好ポイントへ向かった。16番ロッドを手に小さなフラットに降り立ち、ガイドと一緒にフラットの縁付近を見ていると、「来た!ウルアだ!40ポンド以上あるぞ!」とナリオが言った。見ると、左から大きな黒い影がゆっくりとこちらへ動いている。話に聞いていたよりも遅い動きだ。キャストしようとすると反転して戻って行ってしまった。「あの魚は腹が減ってない奴だ。腹が減って攻撃的な奴はもっと速い。50ポンドはあったな。」とナリオが言う。相手のサイズを見て、やはり100ポンドクラスを真剣に捕りたいと思ったら16番しかないと確信する。↓

 また暫くすると、今度は右から来た。こいつもゆっくりと動いている。さっきと同じ位デカイ。16番ロッドでバカデカポッパーを行く手にキャストする。と、ポッパーが魚の2m程先に着水したと同時に驚いて逃げてしまった。残念。その後、暫くブラインドキャストをやってみたが、ウルアの姿は見えなかった。場所を移動しようと、ジャーナリストをピックアップに行くと、なんとロッドが二箇所で折れていた。「どうしたんだ?」と訊くと、やっと独りでボーンを見つけてちゃんと喰わせて釣ったのはいいが、その後で魚を掛けた時にロッドティップ付近にラインが絡まっているのに気が付かないで、ティップを折られたらしい。それにもめげずに彼は釣り続け、何とティップの折れたロッドでまた一匹掛けたとか。見上げた根性だ。ところが、そいつに走られた際に、無理に止めようとしたか何かでティップの下のセクションも折られてしまった。Winston Boron MXシリーズの8番。なんと高いロッドを折ってしまったことか。ショップからの借り物だから多分保証が効いて修理代$40で済むだろうが、奴はこれで釣りは終わりになってしまった。しかし、こんなド素人にもボーンが普通に釣れるのだから、クリスマス島は凄い。ある意味つまらないが、とにかくボーンをバンバン釣ってみたいという方にはお薦めだ。加えて言うなら、ここはオアフでのボーン狙いに備える為の良い練習場だと思う。

 さて、次のウルアポイントに向かい、ボートを降りる前にフライをやや小さめのポッパーに換えていると、一足先に12番ロッドを持って降りたナリオがドロップオフに向けて小さめのポッパーをキャストすると、すぐに何かが喰らい付いた。Gulf Streamのスプールが良い音を立てて逆転している。2〜3分後に上がってきたのは、3ポンド程度のブルーフィントレヴァリー(現地では小さめのトレヴァリーを総じてパピオと呼ぶ)だった。「おぉ、やっぱり居るんだな。よし、デカイのを釣るぞ!」と気合を入れてブラインドを延々とかますが反応無し。

 その後ウルアには潮と時間が良くないとナリオが言うので、気晴らしにボーンをちょっと狙ってみた。ところが、このあたりから空がどんよりと曇ってサイトフィッシングが難しくなってしまった。ナリオが何匹か見つけてくれるものの、初日みたいに簡単じゃあない。近くに来ないと見えないので、すぐに魚が驚いて逃げてしまう事が続いた。そうする内に、30m程離れた所で何やら大きな魚がテールを出して喰っているのを私が見つけた。

「あれは何だ?」と訊くと、「ああ、あれはトリガーフィッシュだ。」とナリオ。「おぉ、あれがトリガーフィッシュか。よし!」とロングキャスト。気持ち良い位キャストが決まり、一発で喰った。余りにあっけ無かったのでナリオと二人で大笑い。ところが、こいつはなかなかのファイターで、Horizon8番をグリップまで曲げて抵抗し続けた。数分後、やっと手元に寄せてみると、全長40cmは軽く超える奴。カワハギの様な形をしていて、小さめの口には鋭い歯が沢山見える。どこを掴んで持ち上げようかと考えていたら、ティペットを噛み切って逃げてしまった。面白いフォトチャンスだったのに残念。

右上へ

 そうこうする内に、空は厚い雲に覆われ、今にも雨が降りそうになってきた。風も強くなってきた。ナリオが「嵐が来るぞ。」と言うので、ボートでオフショアへ逃げてマグロやサワラを狙おうと提案して全速力でラグーンの外へ逃げた。ラグーンの外は快晴。風こそ強いものの、トローリングには関係無い。ナブラを探しつつ、16番ロッドにGulf Streamを付け、1150グレインのシンクティップに45ポンドのクラスティペット、その先にワイヤーリーダーに取り付けられた全長30cmほどのストリーマーを装着してトローリングを始めた。ナブラは全く見当たらないので期待はしていなかったが、1時間ほどして突然凄まじい逆転音と共にバッキングが物凄い勢いで引き出された。とんでもないスピードだ。一番弱い部分が45ポンドなので過信して、ドラッグをどんどん締め込んだ。と、急にテンションがなくなった。「クソッ、バレタ!」と叫ぶと、ナリオが「今のは大きいサワラだった!惜しかったなぁ、刺身が美味いんだ。」恐らく200m以上引っ張り出されたバッキングをやっと巻き取ってみると、案の定45ポンドが切れていた。リールのドラッグはGulf Streamだからどんなに締め込んでも10ポンドから14ポンドなのだが、重たいラインが水の中を凄いスピードで引っ張られる際に発生する摩擦からくるドラッグがティペットに掛かるという事を計算に入れてなかった。特に方向を変えられると、このラインから生じるドラッグは相当なものになる。大きな失敗だが、これで一つ賢くなった。

 気を取り直して新しいストリーマーを装着してラグーンの方向に戻りながらまたトロールしてみたが、当たり無し。ここでちょっと恐い体験をした。ラグーンの入り口近くまで戻り、ラグーン内の雨が収まるのを待っていたら、ボートのエンジンがかからなくなってしまった。ボートの操縦士がエンジンをかけようと一生懸命紐を引っ張っていると「ブチ」と紐が切れて使えなくなってしまった。オールは無い。ナリオと操縦士が何やら現地語で話し合ってエンジンの稼動紐を結ぼうとしたりしている。ジャーナリストと「おいおい、大丈夫かいな?」「う〜ん、まぁ一応陸は見えてるけどな・・・」「風は沖へ向かってるから南半球で助かるんじゃないか?」とか、いろいろと話していると、とうとうナリオと操縦士がエンジンを外してしまった。「スペアのエンジンを取り付ける。」というナリオの言葉を聞いてホッと一安心。二人でゴソゴソと甲板の下から小さめのスペアエンジンを引っ張り出し、これでやっと陸へ戻れる事になった。聞くと、無線も持っているとか。どうやら海の上でエンジンが止まるのは日常茶飯事のようだ。おまけに、ホテルに向かう途中、1km弱まで近づいた頃になって、今度は車のボンネットから煙が出始めた。車を止めて見てみると、どうやら冷却液が無くなってしまったようで、完全にオーバーヒートしている。仕方ないので、残っていた飲み水を全てエンジンにぶっかけて冷やし、なんとかホテルまで無事に戻りついた。

(左下へ)


三日目

 この日はガイドがアリーという奴にかわった。天気は最悪、朝から雨風が強い。ボートに荷物を乗せながら、「俺はボーンなんかどうでもいいから、ウルアとかオフショアの大物を釣りたい。朝はウルアの警戒心が低いから朝一はウルア狙いをしよう。」と言うと、「よし分かった。ウルアポイントへ行こう。」と言う。安心していたら、まず連れて行かれたのはラグーン入り口すぐ外の底に岩がゴロゴロしている深場。「ここはウルアポイントだ。ボートの上からキャストしてみろ。」とか言う。ところが、このボートのキャスティングプラットフォームは幅1mも無い滑りやすいもので、海からほんの10cmほど上に出ていて、手摺りも何も無い。おまけに海はかなりうねっている。「ここから釣れって、どういう事だ?」と訊くと、「そこから適当にキャストしてポッパーを引いてみろ。」と。「何言ってやがる。ここからこの状態でフライキャストなんかしたら海に落ちる。」と言うと、自分も出てきて確かめ、「あぁ、なるほど、じゃあウェイディングできるところに移動しよう。」と言い、ラグーン入り口の岩場に移動した。

 ところが、このポイントはどう考えてもスピニングタックルでの釣り場であって、フライタックルの釣り場ではない。おまけにキャストしようとしても、利き腕の方向から強い風が吹いていて危険極まりない。しばらくできるだけの釣りはしてみたが、やはり駄目だと悟って、「おい、ここはフライで釣れる場所じゃない。スピニングタックルで釣る場所だろうが。パリスフラットへ連れて行け。すぐそこだろう?」と指示した。これでこのガイドはフライでウルアを釣るという事に関しては無能だと悟った。相変わらずの雨の中をパリスフラットでウルアを探してウロウロしてみたが、全く見当たらない。これ以上この無能ガイドに変な所へ連れて行かれるのはゴメンだと思い、「もうウルアはいいから、ボートでオフショアへ出よう。トローリングだ。」と指示した。オフショアのトローリングならガイドの無能さは余り影響しないだろうと考えたわけだ。

 早速トローリングのセットアップをし、二日目と同じコースでトローリングを始めた。が、風もうねりも二日目の比ではない。ボートがザッパンザッパン上下左右に揺れる。船に弱い私はシーバンドなる酔い止め具を着けてはいたが、だんだんと微妙になってきた。トローリングを始めて2時間もしただろうか。急に凄い音を立ててバッキングが出始めた。「サワラだ!」とアリーが叫ぶ。「やったぜ!今日こそは捕ってやる。今夜の刺身だ!」と私も叫んで慎重にドラッグを強くした。300mも走ったろうか。やっと魚が止まった。が、簡単には寄ってこない。ゆっくりポンピングしながら巻き取り始めてしばらくすると、また突っ走った。「こいつはデカイぞ!」とアリー。二度目の走りは短かった。こいつは捕ったと思いつつ、ポンピングを始めた。と、またしても手応えが無くなった。「なんだ?バレタか?どうなってんだ?」と言いつつラインをどんどん巻き取った。やっと戻ってきたリーダーを見て愕然とした。なんと、ワイヤーリーダーを固定してあった金具が外れてしまっていた。「何じゃこりゃあ?プロが作った仕掛けなのに、ふざけやがって〜」と私がこぼすと、「次のを付ける前にリーダーを点検してみよう。」とアリーが言い、プロが作ったフライ・ワイヤーシステムの強度を手で調べ始めた。単に両手で持って引っ張るだけだが、こんなので簡単に切れたり外れたりするようでは話にならない。残念ながら、プロに作ってもらったオフショアのリーダー付きフライはことごとくビミ二の結び目か、ワイヤーの止め具で壊れてしまった。仕方ないので、アリーはワイヤーリーダーだけを取り外し、仕掛けを作り直してくれた。

        (右中へ)

 そうやって作りなおしたワイヤーリーダーだったが、その後魚は掛からなかった。この頃には天気が若干回復していて、少なくとも雨はあがっていたので、船酔い気味だった私はラグーンに戻ってフラットでウルアを狙うように指示した。この後フラットを二箇所歩き回ってみたものの、全くウルアの姿は見えなかった。そうこうする内に潮が高くなってウェイディングでは釣りづらくなっていたし、アリーのガイドとしての能力に見切りをつけていた私は、「おい、今度はラグーンをトロールしてみよう。今日はもうそれで終わりだ。」と告げた。そして16番ロッドとMako9550のセットに20cm位のストリーマーを結んでトロールし始めた。正直言って期待はしていなかったが、突然ロッドがグリップまでひん曲がり、バッキングがどんどん出始めた。「やった!きたぞ!ウルアだ!」と叫び、ドラッグを10ポンドまで締めた。が、全くお構いなしに走っていく。12ポンド、13ポンド、15ポンドと、とうとうドラッグを締めきってしまった。が魚はまだラインを出している。やっと止まると、今度は頭を振り始めた。「ゴンゴンゴン」と大きく頭を振るのがロッドに見える。アリーが「こいつはかなりデカイぞ。どう控えめに見積もっても40ポンドはある。」と言う。そうこうする内に、急に手応えが無くなった。「クソッ、珊瑚でやられたか!」と叫んでラインを巻き取ると、案の定45ポンドの部分が珊瑚で切られていた。この後は80ポンドのモノフィラを通しで使うことにした。が、この日はこれが最後の魚の感触になった。

四日目

 またまた朝から雨が降っていた。幸い風は弱い。ガイドは前日のハズレガイドのアリーだ。この日からは陸上移動の釣りになるので、ウルアのみがターゲットだ。最初のポイントに着くと、雨が止んでいた。トラックを停めて12番と16番のセットを持ってフラットの縁をサイトやブラインドで狙いながら釣った。この日は歩きだという事もあって、アリーが釣りに関係無い下らない事をグチャグチャ喋っているのが鬱陶しかった。つくづくハズレをあてがわれたもんだと腹が立ったが今更どうしようもない。断りもなく持ち歩かせている私のロッドをキャストしたり、GTを寄せようとロッドティップで海面をバシャバシャやったりと、とにかく使えない上に鬱陶しい奴だった。

 この日もガイドとしての能力が低いのが明らかになる事が何回かあった。そうする中、サイトキャストで2〜3ポンドのパピオを12番で一匹掛けたが、ちょっと遊んだらバレテしまった。また、最初のフラットでブラインドキャストしたストリーマーを10〜20ポンドのウルアが5〜6匹争うようにして追いかけていて、その内一匹は実際にフライを咥えた。残念ながらフックは咥えなかったので掛からなかった。

 それにしても奴らは動くフライを喰うのが下手だと思った。何度もフライを喰おうとするのだが、たった一回を除いてことごとく空振りしていた。結局この日は最初のフラット以降は全く何も無かった。雨が降ったりとタフなコンディションだったのは確かだが、連れて行ってもらったポイントが悪かったと思う。私に言わせればウルアポイントらしかったのは最初のフラットだけだった。