フライフィッシングをはじめよう(改訂版)P6

夢は大きく「世界を釣る」
無限に広がるフライフィッシングの世界

日本の自然はまだまだ捨てたものではなく、ロッドをしならせる大物たちが各地の湖や川のそこかしこに潜んで、あなたを待っているかもしれない。湖に立ち込んでフライを振り続け一本の杭になってみる。または北海道でアメマスやレインボートラウト、イトウなどにチャレンジするのも良いだろう。海へ出ればカツオやマグロ、シイラなどがロッドを満月にして絞り込む魚たち。フライフィッシングの対象魚に求めるものは引きの強さだったり、その美しさだったり、偏食する魚を釣る難しさだったり、釣り人の好奇心は止まることを知らない。

さらにフライフィッシングの視野を広げて海外へ向けてみてはいかがだろう。中南米の青く広がる海にはターポンやパーミット、ボーンフィッシュといった魚たちがフライフィッシャーマンを魅了する。南米では自分よりも大きなピラルクー(アラパイマ)、アラスカではキングサーモン、アメリカではワイルドなレインボーやブラウン。カナダにはスティールヘッド、ニュージーランドでは牧歌的な風景の中で釣るブラウントラウトがあなたを待っている。

今や先輩たちが引いたレールがあるおかげで、昔に比べるとはるかに簡単に海外釣行への扉は誰にでも開かれている。その昔、開高健さんが「毎日秋刀魚を食べてアラスカへ行きなさい」との明言を残し、それに感化された私の後輩たちはアルバイトでお金を貯めて学生時代にアラスカへ行ったものさえいる。人は本気になれば夢は叶えられるもの。難しく考えず、「いつかは行きたい。」ではなく、本気であるならば、今すぐその準備に入る事をおすすめしたい。

ハワイのボーンフィッシュ
ハワイではこんな景色の中でボーンフィッシュを探して釣る、いわゆるサイトフィッシングのスタイル。目の前に見える山並みは、映画ジェラシックパークの一部に使われた場所(カウアイとオアフ)。
ハワイのボーンフィッシュ
環礁のゴーストと言われるほど、その姿はおぼろげで見つけるのが難しいボーンフィッシュ。この魚をキャッチできれば自分のキャスティングがかなりレベルアップしたと確信できる。ヒットすると最初の猛ダッシュで100m近いラインが引き出される。
イスラホルボッシュのターポン
ターポンは口がとにかく硬い。掛けても掛けてもジャンプで外されるので、1時間のファイトの後にランディング寸前にポロリと取れて逃げていくこともしばしば。こうして手にした時の感激は幾度となく記憶として蘇る。<メキシコ>
タイのアラパイマ(ピラルクー)
南米に棲む憧れの魚であるアラパイマ(ピラルクー)。その渡航費用が高いので私は釣り仲間と一緒に、タイにある管釣りでこの魚をフライフィッシングで釣って楽しんだ。魚の重さは自分たちと変わらない。
バラマンディのフライフィッシング
タイには管釣りが沢山あり、ここに載せきれないほど色々な魚を釣る事ができる。一番メジャーな釣りはバラマンディ。この魚は食用として養魚されている。日本でも釣れたらなぁ・・。
プラー ブック
メコンオオナマズによく似たブラックイヤー キャットフィッシュで、前述のバラマンディと同じポンドで釣れた。入漁料は意外に安く、現在は500THB(タイバーツ)で、一日約¥2,000くらい。JTBでフラッと三泊四日で遊んでも総合計で6〜7万円位だったと思う(コロナ明けは変わるかな?)
トラック諸島の無人島で夕闇の中フライをキャスティング。古い写真を並べると長くなるので、今回載せた写真意外に、ニュージランドやミクロネシア連邦、モルディブやバハマなど、色々な国を旅歩いた私。釣りの思い出は釣り人には貴重な経験の宝物。
カナダのスティールヘッドをダウブルハンドで釣る
カナダではリールを唸らせるスティールヘッドの釣り。ラインを手繰らないこのダブルハンドの世界は、淡水でもリールファイトの楽しさを教えてくれる。
アラスカのキングサーモン
初めてアラスカへ訪れた時に見たイルカのようなサイズのキングサーモンの姿は今でも忘れない。流石にそんなサイズはヒットしても取ることはできなかったが、一週間も投げ続けると嬉し涙が止まらない1本がキャッチできる。それが例え朝に釣れたとしてもレギュレーションは一日に1本のみ。釣れたものは祝杯を上げに宿に帰るのである。
スルークリークの流れ
モンタナにあるイエローストーン国立公園の中では、こんな景色の中で釣りができる。この流れを独り占め。
モンタナのカットスロートトラウト
そのイエローストーン国立公園の中では日本にはいないマウンテンカットスロートが釣れる。喉の所が赤く染まっているのが名前の由来。性格はイワナっぽく見た目は点が少ないイエローとオレンジが入ったレインボー。
モンタナのフライフィッシング
簡単なライズ(魚が水面の虫を食べる動作)もあれば、渋くてなかなか気難しい奴がほとんど。そんな魚を仕留めた時にはしてやったり、ロッドは大きく曲がり込みリールは悲鳴をあげる。フライフィッシングって最高、と思う瞬間。
モンタナのブラウントラウト
アメリカでの淡水の釣りは主にブラウントラウト、レインボートラウトとカットスロート。このブラウンはスプリングクリーク(湧水の川)にいる気難しいヤツを食い気(時合い)がある時に仕留めた。ライズを見つけてどう攻めるか、その戦術の組み立てを楽しみながら釣るのがフライフィッシングである。
ビーバーヘッドリーバーのレインボートラウト
一番最後にアメリカといえばレインボートラウト。メイフライ(カゲロウ)を好んで食べるので、小さなライズを見つけて釣るまで帰らないハンティングのようなスタイル。見つけた魚を釣れなかった時の敗北感は次回への布石であり、すぐに次回釣行をスケージュールに入れたくなる。世界は広いようで狭い。人生に一度だけ自分に長期休暇がもらえるのであれば、是非ともこんな釣りを楽しんで欲しい。その思い出は瞼を閉じれば幾度となく蘇るのだから。