Winston の新作であるPure2 のインプレッション

ウィンストンのピュアがリリースされたのが2019年ごろで、確かコロナ騒ぎになる少し前だったでしょうか。このモデルも6年の時を経てマイナーチェンジとなり、2025年から名前はピュア2になります。今回そのシリーズのうち5種類をお借りすることができたので、そのインプレッションを書いていこうかと思います。

生粋のウィンストンアクションを継承したということで命名されたピュアシリーズ。ピュア2になったことで目に見えた変化は、まずは長さでしょうか。実はこのロッドが発売される1年以上前に、ウィンストン販売店に向けてアンケートが実施されていて、私はこんな事を要望として書いていたのでした。

「ウィンストンに求めるものはありふれたロッドではなく、こだわりを持ったロッドであること。現在のウィンストンは一般的なフィート(○フィート)とフィートハーフ(○フィート6インチ)のロッドラインナップで、あまりにも一般的な長さでありロッドの長さにこだわりを感じない。他のメーカーや違うモデルとの差別化で僕らの気持ちをくすぐる長さが欲しい。そしてオービスでかつて使っていたようなロッドに愛称名があったら嬉しい。」

とまぁ、言いたいことを書いてみたのです。
その願いが届いたのかどうか分かりませんが今回ピュア2になり、ロッドレングスは9フィートモデルを除き、全てキリの悪い長さにしてきたではありませんか! そう、僕らが求めているものはコレなんですよ(余談ですが、オービスのロッドネームは2025年のスーパーファイングラファイトで復活しました)。

またピュアからピュア2になったことで明らかに変わったと感じるのは4〜5番モデルは以前のピュアよりもバットが細く、よりミディアムアクションになったと感じられます。なのでピュアシリーズとエア2シリーズは明確なロッドアクションの違いがより一層変わりました。このモデルはグラファイトロッドにナノパウダーを入れたハイモディラスグラファイトですが、ボロンがない分だけバットがよりしなやかな感じになります。両モデルを知っている私からするとピュア2はエライ変わったなと思うのですが、今回お借りしたロッドを一つづつ紹介してみましょう。

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Winston Pure2 693/4:6feet 9inch・3weight・4piece
ピュアシリーズの中で一番短いモデル。前作には6フィート6インチがありましたが、それは短い分だけスローでピンピンしたアクションに仕上がってしまっていました。この69モデルは限りなく7フィートに近いこともあって、妙に弾かれる感じの違和感が少なくなったショートロッドといえます。バットが極めて細くロッドは全体の半分ぐらいまで曲がり込みます。また、短さも手伝って誰が持っても「竿を持っている感覚がないね。」と言われるくらい軽い(実際にはロッドバランスが優れている)ロッドになっています。
Fine:短すぎず長すぎず、この微妙な69の長さがアキュラシーの精度を上げている感じで、ショートレンジでのキビキビしたテンポよいアプローチが、フライをプレゼンテーションしていて楽しくなります。
Weak:以前よりもバットが細く全体にしなやかな印象なので、10メートル程度のミドルレンジになった途端にアキュラシー(正確な投射)が落ちてしまう感は否めない。ロングレンジに至ってはロッドがグッと曲がり込んでしまうので15m以上のキャスティングには全くもって向いていないでしょう。

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Winston Pure2 793/4:7feet 9inch・3weight・4piece
もしこのピュアシリーズの中でヤマメを専門に狙う一本を選ぶとすればこれ一択と言って良いでしょう。ある程度のメンディングや細いティペットを使った時のアワセの衝撃の吸収力。以前の763/4よりも少ししなやかで、8フィートよりのアクションといえます。
Fine:69よりもゆったりと振れてアキュラシー性能を損なわないギリギリの長さ極めた感があります。何よりも短いレンジでもロッドが硬く感じることはなく、柔らかすぎない程よい硬さは、メンディングする時にも違和感を感じません。実際に朝霞ガーデンで実釣をしたところ、広場でキャスティングした時の柔らかさはあまり感じず、短い距離でも割とグラファイトらしい張りを残した腰があります
Weak:このロッドに求めるものはショート〜ミドルレンジのアキュラシー性能とトリックキャストのしやすさですから、明らかにドライフライフィッシング専用であります。よってニンフを使うなんてもってのほか(個人的な見解)、常にライズ待ちを楽しみにしている人のロッドですから、遠投はエア2に任せましょう。

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Winston Pure2 834/4:8feet 3inch・4weight・4piece
ピュアシリーズの中で一番の万能ロッドとして使えそうなのがこのモデル。私はこのロッドを注文しました(皆さんが優先なので、私は3月後半に購入予定)。4番ロッドに必要な、ある程度の大きなフライのデリバリー性能、あるいはコントロールを犠牲にしない長さがこのロッドの魅力だと感じました。
Fine:以前のピュアよりもバットが細く全体の半分ぐらいまで曲がり込む感じで、ロッド全体のしなやかさを感じる。渓流での万能性を感じられ、かといってキビキビしすぎていない、ベンドカーブは私のお好みであります。
Weak:いつもならば4番ならば楽勝でフルラインが出るでしょうと思ったけれど、思いの外しなやかで30ヤードラインをフルキャストするのは少し難しいです。もっともフルラインで挑む釣りをお望みであればエア2・864/4をお勧めします。ちなみにこのロッドも朝霞ガーデンで実釣してみましたが、実釣の距離になるとわりかし硬く感じますが、エア2の864/4ほどの張りは感じません。

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Winston Pure2 835/4:8feet 3inch・5weight・4piece
5番でこの長さ。よくぞ出してくれましたという感じで、ウィンストンのキャプションにはビーバーヘッド・リバー用と書かれてある点に極めて惹かれました。ビーバーヘッドリバーはウインストンの故郷であるモンタナ州ツインブリッジに流れる川でブラウントラウトが有名な川。川幅はそれほどなく両岸のバンクにピンポイントにホッパーパターンを打ち込んでいく、まさしくそんな感じ。このロッドはビーバーヘッドスペシャルと呼びましょう。
Fine:日本では小規模な河川なのに40センチ以上の大物が出る可能性がある河川用。例えば北海道に流れる某河川なんて、ビーバーヘッドリバーに近い感じなので、そのままこのロッドが活躍してくれる事でしょう。またボートで川下りしながらのピンポイント打ち。あるいはトラウトに拘らずフローターフィッシングで小物狙いという設定でも面白いかもしれまん(トラウト以外は邪道かな?・・)。
Weak:ロッド全体の曲はミディアムファーストといったところ。アキュラシー性能が際立っている反面ロッドの長さが83と短いので、ロングディスタンスにはそれほど向きません。シチュエーションが限定されるので番人向きのロッドとはいえないでしょう。

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Winston Pure2 905/4:9feet・5weight・4piece
以前のピュア905/4はエア2と明確な差がなかったので2本を同時に振り比べて始めてそのロッドの違いがわかるといった微妙な違いでしたが、今回は全く別物。エア2はボロンバットがあるので一定以上はバットが曲がり込んでこないのですが、このピュア2はバットが以前よりも細く大きな負荷を掛けるとその分だけバットも曲がります。ボロンがない分だけ伝統的なウィンストンアクションの継承モデルともいえます。
Fine:ショート〜ミドルレンジまでのアキュラシー性能が高く、ロッドバランスの良さからその重さを感じさせません。エア2と比べるとミディアムファーストで、ロッドを介してフライラインをしっかりとロードしてくれる感じがします。バットがカチカチでピンピンするロッドが嫌だという方にはこのロッドはかなりお勧めです。
Weak:9フィート5番となるとディスタンス性能を求めたくなりますが、エア2の9フィート5番の楽チンなキャスタビリティからすると、フルキャストするには少々レベルが高い人向け。エア2とピュア2を天秤にかけた場合、距離が必要ならばエア2、魚との駆け引きをより明確に楽しみたい曲がるロッドならばピュア2でしょうか。

という訳でこれ以上長々と書いてもしょうがないのですが、各写真に追記事項を付記しておきます。

ウィンストン ピュア2
ウィンストンのピュア2は全8ラインナップ。エア2と明確な違いは、9フィートモデル以外は長さが被らない点。選ぶ上でも分かりやすいです。またグリップ長がエア2よりも若干短いのは以前と同じ。ウィンストンはモデルが変わっても見た目は全部一緒なので、モデルが古くなってしまっても、古く見えないのが良い点でもあります。
ピュア2693-4
ピュア2 693-4とオービスCFO IIIのコンビネーション。ラインはエアフロ リッジ2.0 ユニバーサル WF3F。エア2よりも半インチグリップが短いことで日本人向きであり、リールをつけた時のバランスも良くなっています。
Pure 2 834-4
ピュア2 834-4と今は無きロスリールのエボリューション。ラインはSAのマスタリートラウトだったかな? グラウンドで振っている時はかなり柔らかいロッドだと思ったけれど、実釣ではそれほど柔らかさを感じず一般的な硬さだという事がわかった。キャス練と実釣では受ける感覚はかなり変わるのです。
WInston Pure2 835-4
ピュア2 835-4とマーキス5のコンビネーション。ショートレンジでキビキビとアキュラシーを決めていくモデル。このロッドを持ってビーバーヘッドリバーへ行きたいなぁ。このモデル以外にもロッドの愛称が欲しいですね。
Pure2 835-4
ピュア2 905-4のベンドカーブ。エア2と比べるとロッド中央から大きく曲がっている事がよくわかる。ただこれ以上負荷をかけても、それほどバットは曲がり込んでこない。全体には柔らかく感じるけれど、ボロンの入っているエア2と比べているから、そう感じるのかもしれない。
Winston Pure2
自分のリールを持ってきた方は自分のリールでその雰囲気を楽しんでいただいた試投会。ピュア2は大河川を除く川のフライフィッシング専用として作られたモデルという事がその長さとしなやかさからもわかる。
ピュア2
ピュア763/4とピュア2 793/4の振り比べ。すでにピュア763/4を持っている人はピュア2・793/4は大きな違いはないので買い換える必要な無いかも。写真ではわかりづらいかもしれませんが、長いピュア2 793/4の方がバットが細いでしょう?
ピュア2 793-4
ピュア2 793-4でレインボートラウト25センチ程を掛けるとこれくらいの曲がり。ミッジ22番にティペット8Xで遊ばせていただきました。

 

投稿者:

Hermit55

ハーミット店主の釣行記やよもやま話です。 お店にいる時間の方が長いので、釣りよりも店の話の方が多いかもしれません。漢字変換ミスが多々ありますが、見つけならが直しますので、ご勘弁を。