オービスの2024年モデルであるヘリオス・ディスタンスのインンプレッション

毎回長たらしい思い出話で前置きが長過ぎたので、今回は無駄話無しに以前お借りしたヘリオス・ディスタンスモデルを実際にはどんな感じだったかをインプレッションしていきます。

新しくなったヘリオスは大きく分けてフィネスディスタンスモデルが存在します。フィネスが繊細な釣りやラインコントロールを中心とする近距離〜中距離を得意とするロッドとすれば、こちらのディスタンスモデルはパワフルさと軽快な遠投性能を持ち合わせた現在のハイエンドモデル。

見た目の違いはフィネスが濃いめのオリーブマットカラーのブランクに対し、ディスタンスはマットブラック。そしてネームインデックスの部分にDの文字があしらわれています。ディスタンスモデルは全16モデルで、日本では8フィート5インチの14番は紹介されていませんので、日本での販売は15モデルになるのかな。

今回はそのシリーズのうち、以下の4本をお借りし、実際にキャスティングスクールの時に感じたその振り心地を書いてみます。

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Distance D1004-4:10フィート・4番・4ピース
今までの私的感覚では低い番手のロングロッドは、ラインが軽いモデルだとガイド数が増える事でその摩擦抵抗で結果的に遠投には向かないので、お客様に勧めることはまずなかった。しかしこのロッドは見事に覆してくれた10フィートロングロッド。今までにない軽さと投げやすさを持つのにはビックリ。

Fine:10フィートという長さを活かして、ホールするラインを12mくらいの長さまで持ってくると、ロッドに掛かる負荷がグッと上がってロッドを曲げやすくなり、そのスピードがある反発力によって軽くフルラインを飛ばしてくれる。振っていて面白いし何に使おうかワクワク。

Weak:長いロッドはちょっとした手首の角度やその位置でティップの軌跡がブレてしまうので、丁寧なキャスティングが必要になり、必然的に中級者以上の方が持つべきロッド。長いから飛ぶぞ、なんて安直に考えている方には向きません。日々キャス練が楽しいと感じている方は、きっと面白さが分かってもらえるはず。ただ、10フィート4番でフルラインをぶっ飛ばして、どんな釣りをすれば良いかを考える必要があるかもしれません。

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Distance D955-4:9フィート5インチ・5番・4ピース
遠投=9フィートの長さがトータルバランスのベストという時代は終わったのかな、と感じたロッド。5番という番手でも軽さが手伝って手首への負担を感じず、スムーズにそしてキャスティングアークも自然に同じリズムになるイメージ。

Fine:ディスタンスモデルはティップがしっかりしているので、先っちょで飛ばしている感覚はなくロッド全体のパワフルなスピードでラインが滑り出す。9フィートより5インチ増えたという重さや違和感がないので、キャスティングしている感覚は9フィートであり、わずかに長いロッドのパワーで無理なく遠投ができる。

Weak:5番という番手だから中近距離でアキュラシー(正確性)を求めたいところだけれど、ディスタンスモデルは特に短い距離ではラインウェイトが足りず、投げにくくなってしまう。なので、万能な5番とは言えず、中距離以上のメンディングが必要な川などのドライフライフィッシングに向いているかもしれない。私だったら湖のドライフライロッドとして使うかな。

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Distance D906-4:9フィート・6番・4ピース
一般的に考えてディスタンスモデルのパフォーマンスで皆さんが欲しくなるのは、9フィート6番〜8番あたりのモデルだと思うが、トータルバランスを感じさせてくれる遠投派モデル。9フィート6番はフィネスも存在するが、6番ともなるとアキュラシーよりも楽に遠投ができるモデルが欲しいという方が多いのではなかろうか。このモデルは必然的にディスタンスがお好みの人が多くなると思う。

Fine:フィネスの時にも感じた事だが、ブランクの塗装面であるマットブラックは何か特別な加工がされているのかな? フライラインとの相性がよく、ブランクとフライラインの接触感がなく(それともガイド配置が良いのかな?)、シュート後のライン放出が他のメーカーよりもスルスルと飛んでいくように感じる。この番手になると6番でフルラインはかなり楽に投げられるようになる。

Weak:フィネスよりもバットが硬くティップもしっかりしているので、近距離は極めて投げづらい。と言ってもそんなシチュエーションは稀でしょうから、あんまり関係ないかも。

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Distance D908-4:9フィート・8番・4ピース
フィネスモデルとく比べるとティップがしっかりしていて、9m以上のラインをホールするのにスピード感がある。ロッドバランスと軽さはハイエンドモデルなのでいう事なし。

Fine:フィネスの時に感じたロッドへ負荷をかけ過ぎた時にラインが放出される方向は、ロッドは暴れずにキャスティングがしやすいロッド。多少のキャスティングの乱れでは飛距離のロストは起きないように感じる。ラインコントロールがしやすく、中距離以上のアキュラシーは楽に行える。

Weak:フィネスとの違いはアクションの違いで、フィネスがティップから曲がってセカンドセクションぐらいまで曲がりそれ以上が曲がらないのに対し、ディスタンスモデルはティップが曲がらず全体が少しずつ曲がってロッドを反発にスピードを感じる。好みの問題だが、ループコントロールやシャープなループを作ることを優先するならば、フィネスモデルになるかもしれない。

オービス H4 ヘリオス ディスタンス・ORVIS H4 Helios Distance
オービスのハイエンドモデルであるヘリオスロッド。沢山のモデルが存在するのですが、ハイエンドモデルは高額なのでロッドインプレッションだけで購入までに行き着く方がどれだけいらっしゃるかはわかりませんが、少しでも私のいたらない言葉でそのイメージが湧いていただければ幸いです。
オービスヘリオディスタンスシリーズのグリップ
ディスタンスモデルのグリップは4モデル。5番まではハーフウェル(Aグリップ)で、9フィート6番だけがBのトンプソンっぽいグリップ。7番から上のモデルは全てフルウェルグリップ(Cグリップ)で、番手が高くなるとエクステンションバットが長くなるので、その分だけリールが前に行き、タックルバランスをとっている。Dグリップは8フィート5インチの14番のみで、マグロやGTなどとファイトするためのフォアグリップがある。
ヘリオスディスタンスのブランク
メーカーのHPを見てもこの塗装に関して情報がないのですが、マット塗装のブラックがサラサラしており、水切れがよくラインがまとわりつかない。何か加工されているのかはわかりませんが、そう感じます。ガイドはソルト対応の大口径のチタンフレームガイド。
アルミシート
リールシートはアルミ・ダブル・ロッキングシートで、タイプ3のアルマイト加工が施されている。このシートはミラージュリールの工場で作られているそうなので、外注ではないらしい。
オービスのロッド
個人的な好みで言えばグラファイトの素材感が見えないマット塗装ブランクがどうしても苦手ですが、この塗装面がラインの飛距離に関係しているとすれば必需品。ちなみにオービスは25年保証で、ウィンストンやスコットのような生涯保証よりは短いですが、25年も面倒見てくれれば問題なしですよね。それに25年も経っていたらそれこそその時はビンテージロッド。その頃にはきっともっと素敵なロッドがラインナップされているに違いありません。

ファーガスの新製品であるアクティブハイカーというパックロッドが投入された件

先だってのNRX SRよろしく、秋になると新製品のラッシュ。で今回は岩手のロッドメーカーのファーガスの新製品、「Active Hiker」の試投ロッドを借りられたので、そのインプレッションを書いていきます。

その前に余談を一言。ファーガス社長のNくんは、一昔前はハーミットに通う大学生でした。就活が近くなると、「フライ業界で働いてみたい。」なんて言い出すものだから、「趣味を仕事にするのは大変だしビンボーになるから辞めておきなさい。」と私は窘めたのですがこの業界に入ってきました。ハーミットはそもそも店頭販売では学割があり、また学生のうちは「ハーミットで金など使うな。」と、中古で使えそうな物は学生に上げているのです。その本音を言えば、就職したらハーミットへ貢いでくれるだろうというものなんですが、ハーミットに出入りしていたその後の学生たちも順調に育ったのですが、私の意見を制して皆この業界に入ってきてしまうので、当初の目論見とは違い思いのほか回収ができていません(笑)

余談はさておきアクティブ・ハイカーのお話。今回は朝霞ガーデンに持っていき、お客様にも直接振ってもらったり、釣ってもらいながらのご意見もお伺いしたので、それを交えて話していきたいと思います。

このロッドを見る前はフォレストバムのテイストを6ピースにしたものかな、と想像していたのですが別物でした。一番短い7フィート3番は総重量は58.5gとペグ(ジョイント部分のこと)が増えたのにとても軽い。アクションはティップ側で曲がり、真ん中ら辺が少し硬く、バットセクションがグッと曲がるのでミディアムスローアクションと言えます。しかし、ラインを乗せた時の印象はフォレストバムよりもロッドに腰があり、ラインスピードが早いモデルに仕上がっています。

6ピースなので魚をかけた時にペグ部分に硬さが大きく残ってしまうかと思いましたが、思いの外カクカクとはせずに自然なベンドカーブを持っています。ただ、ロッドのミドル部分が硬いので、大きく曲げたときにグリップ側が曲がってくるので、この感覚が好きかどうかは好みが分かれるところでしょう。


f-7003AH/7feet0inch・3weight・6pcs:ロッドバランスがよく、リールをセットした時にちょうどグリップ位置に重さが来るので、キャスティングは軽快。極端にティップが曲がることがない為か、ミドルセクションの硬さによりラインスピードがあるプレゼンテーションができる。

Fine:フォレストバム7フィートモデルより使用レンジが広く使えそうで、中距離でのもたつき(ロッドのラインロードが遅くなるなど)が無い。リーダーとティペットの返りが早いのが印象的で、グラファイトに近い軽快感を持ち合わせている。

Weak:力を込めたキャスティングではグリップからグニャリと曲がるので、人によってはこの感覚が苦手な人がいるかもしれない。遠投は必要ないけれど、フルキャストをするのはかなり難しい。
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f-7033AH/7feet3inch・3weight・6pcs:4つのラインナップを見た時に、76の4番を買おうかなと思っていたけれど、実際に振った感じでこのモデルが欲しくなった。私は幅広くロッドを使うので、極端に柔らかいロッドを渡されるとキャストの修正に少し時間がかかるのですが、グラスなのにこのロッドはソレがない。

Fine:フォレストバムで気になっていた、魚を見つけてキャストが力んだ時に生まれるロッドの曲がり過ぎがなく、多少あったとしてもラインから生まれるループがテーリングしにくい。もしくはキャストの状態を選ばす、グラスでありながらかなりシャープなループが生まれる。

Weak:昨今のプログレッシブアクションのグラファイトロッドを振っている人はミドルセクションが硬めのこのロッドを振った第一印象はバットの腰の弱さにアレ?と感じるかもしれない。ただ、ラインを澱みなくロードする能力は優れているので、慣れたら振るのが楽しくなるのではないかと思う。
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f-7034AH/7feet3inch・4weight・6pcs:7フィート3インチは3番と4番が存在するが、バット径がやや太くなる程度の違い。同じ長さだけれど4番モデルの方がロッドバランスはややトップヘビーになる

Fine:昔のグラスロッドを振っている感覚で、ティップに感じる重さが自然にキャスティングアークの幅を誘導してループを生んでいる感じが、キャスティングがとても楽しくなってくる。出張の際にどんなヤマメやイワナ、あるいは管釣りでちょっと遊ぶとなったら、力に余裕があるこの4番モデルが良いかな。

Weak:振り心地は私にとっては快適なのだけれど、トップヘビーになった事で持ち重り感を感じてしまう人も多い筈。しかし、トップヘビーのロッドはラインのデリバリーがロッド自体で仕事してくれているので、それをわかって欲しいかな。使用時のロッドバランスの事を考えると、リールは最新モデルの超軽量は使わず、110〜120g位あるリールが良いかも。今回はスピードスター-3+なのでリールウェイトは91グラム位。
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f-7064AH/7feet6inch・4weight・6pcs:このシリーズで最大の長さと番手を持つモデル。3番モデルよりもトップヘビーが顕著で、ロッドがラインを運んでいる感が得られるロッド。大きめでバルキーなフライを使う人へのモデル。

Fine:ロッドが仕事すると表現する人が多いけれど、まさしくそんなロッド。所定の位置でロッドストップさえ出来れば、綺麗なループが生まれる4番。73よりも3インチ長いだけだけれど、振り心地は少し穏やかになる。グラスらしさがあり、幅広く楽しめる一本。

Weak:古い人間である私には快適なんですが、グラファイトだけを振り回している方が最初に使うグラスはこれじゃないと思います。その反対にピンピンするグラファイトが嫌でグラスらしい振り心地と釣り味を求める方であれば、コレだと思います。

アクティブハイカー
メーカーの表記でスモーキーグリーンとされたこのカラーは、ファーガスロッドのカラーの中では一番好きかも。ただ、こういった中間色は釣り休憩の最中に草むら近くにロッドを置くと、竿を探すのが大変なんです(汗)。
アクティブハイカーのインデックス
ファーガスロッドはインチは二桁であることを考慮して00インチと表記される。フックキーパーはロッドの下側。グリップ長は全てのモデル一緒で、バットエンドからワインディング(グリップ一番上)までは24センチ。グリップだけの長さは15センチ。魚をロッドに並べた場合、#の当たりが30センチになる。
ロッドバランス
7フィート3番のリールをセットした時のロッドバランス位置。この位置が前(ティップ側)に来るとロッドは重く感じ、後ろ(リール側)に来ると軽く感じます。キャスティングを快適にするためには、自分がロッドを握った位置からグリップ前10センチ程度までが快適です。あなたのリールとロッドのバランスは合っていますか?
ダウンロックリールシート
私がずっと使っているオービスのCFOIIIをセットした図。リールシートはカップ&リングのスライドバンドタイプ。リングをグッと押し込むことでコルクが締まって止まります。危なっかしく見えますが、ちゃんと止めれば落ちることはありません。
オービスのグラスロッドと比べてみる。
お客さんが持ってきたオービスのスーパーファインシリーズ(現行モデルの一つ前)と比べてみる(ピンボケでスミマセン)のは同じ7.6フィート4番。写真ではわかりにくいのですが、オービスの方がずっとバットが太くロッドバランスを考えてバット側に重心を持ってきています。なのでオービスは持った時の印象はとても軽く、そしてグラファイトチックな振り心地。それに対してアクティブハイカーはバットがやや細くスローなので、ロッドの重心がもっと前にあります。そういった場合、リールをやや重くしてロッドバランスをグリップ位置に近づけると、キャスティングが快適になります。
アクティブハイカーのベンドカーブ
魚を掛けた時の曲がり方はこんな感じ。4ピースのフォレストバムと比べるとミドルセクションがやや硬めで、グリップ側が少し曲がります。ベンドカーブを見る限りジョイント部分の硬さはそれほど感じません。
朝霞ガーデンのレインボートラウト
ということで私もこのロッドたちで実釣しましたが、ティペットをいくら細くしても切れないのは、グラスのいなす力があってこそ。そしてキャスティングはフォレストバムよりも投げやすく感じます。ちなみに朝霞ガーデンのフライポンドで横(距離が短い方)に向かって投げた場合、3番ロッドで対岸までギリギリでした。なのでこのモデルでフルキャストができる方は達人です。

 

G Loomis IMX-PRO Creek/7’9″・#2のロッドインプレッション

先月だかに新製品としてリリースされたIMXプロのクリークシリーズ。そのシリーズの2番モデルをお借りしましたので、そのインプレッションを書いていきたいと思います。

プロシリーズに新たなラインナップが出来たと思う方もいるかもしれませんが、7フィート9インチのシリーズは以前にもあったのです。私の撮り溜めた写真をひっくり返すとありました、以前のロッドの写真が。以下にその写真を載せますが、2009年頃まであったGLXウィスパークリークシリーズの流れを組んで出来上がったのが、このクリークシリーズだと推測されます。要するに現代のブランクを使った復刻と私は考えます。

Gルーミスのブランクと言えば、4ピースだとトップセクションだけが曲がり、セカンドセクション以降は曲げられるものなら曲げてみなさい、と言わんばかりに張りの強いブランクがイメージされます。しかしこのシリーズはトップセクションをとても柔らかく仕上げていますが、ロッドを曲げ込むとサードセクションの真ん中ぐらいからまた曲がり始めるという、ちょっとクラシカルなアクションを感じさせてくれるモデル。なので、パッと振った感じではロッド全体でラインの重さが感じられるので、日本人に好まれるアクションではないでしょうか。

ただロッドは全体によく曲がってくれるのですが現在の素材をIMX-PROのブランクを使用しているので、ロッドの復元力は早く、ロッドの曲がりに対してラインスピードは上がりかなりシャープなイメージを受けます(個人的な感想)。今回はエアフロのアクティカルテーパー WF2Fを乗せてみました。


0〜5mキャスト:ロッドの短さも相まってその軽さが際立ちます。グリップは通常モデルと違いハーフウェルグリップなので、一回り小さく握りやすい。今回持っていたエア2の863/4に比べると同じキャストレンジでもロッドがセカンドセクション近くまで曲がり込む感じ。しかしシャープな振り抜きで良い意味で野暮ったさはなく、むしろスピード感のあるラインがコンパクトに放出されるイメージ。コントロール感も抜群に感じるのは、このレンジに合わせたロッドと言えるでしょう。

5〜10mキャスト:さらにキャスティングレンジをあげるとロッドはグッと曲がり込み、サードセクションの下あたりがもう一度曲がり込むようなベンドカーブ。つまりティップがしなってセカンドセクションはスローに曲がり、サードセクションでもう一度曲がり込むようなスタイル。復元力が良いブランクから放出されるラインスピードは早く、展開の早い釣り上がりにも向いたロッドの感じを受ける。

10〜25mキャスト:このロッドの曲がり方の特徴から遠投には向いていないロッドなのを無理やりキャスティングアークを広げて振ってみましたが、ラインの重さが十分にあるところに負荷をかけ過ぎるとロッドが大きくお辞儀をするために、結果的に距離は失速する感じがありグリップも曲がります。もっともロッドの反発力を生かして遠投しようとしている私の投げ方の問題もあるかもしれない。逆に言えば、こういうロッドで遠投ごっこをすると私は燃えてしまうのです(笑)

Weak:人によっては「柔らかいロッド」と表現するかもしれませんが、ロッドを曲げて振るとそのスピードは速くシャープなイメージになるかもしれない。全体が曲がるロッドで復元力が早いモデルを言葉の上でどう表現するかは私的に難しく、「ロッドは曲がるけれどゆったりとは振れない感じ。」とでも言いましょうか。以前使っていたウィスパークリークもこんな感じでした。今回使ったのは2番ラインですが、人によっては3番を使ったほうが快適に感じるかもしれません。

毎回新しいロッドが出る度にこうして振り比べることができるのは釣り具屋の特権ですが、そのロッドのポジティブとネガティブ要素を引き出して、どう言うシチュエーションで使って欲しいかを考えるのが、私にとっちゃ一苦労。今回このロッドを私的表現するのであれば、以前私が使っていたウィスパークリーク同様にマルチな渓流ロッドで、このアクションが気に入ればツボにハマる掛け心地の良いロッド、と表現しておきます。中間価格帯(といっても高額)だけにこの辺のモデルが幅広くラインナップが増えてくれるとお店的にはありがたいのですが、増えるかな? ラインナップ。

G Loomis ウィスパークリーク
以前私が使っていたウィスパークリークシリーズ。ブランクカラーは私が「象のウンコ色」と表現したメタリックオリーブグリーンには賛否がありましたが、シートデザインがカッコ良かった。お店で販売した数も少なく短命だった記憶が。結構高額だったしね。
IMX-PRO クリークシリーズのグリップ
そのウィスパークリークを継承したであろうIMX -PROクリーク。シートデザインはちょっと安っぽいけれど、グリップの感じはくびれが大きく握りやすい。
IMXプロクリークのストリッピングガイド
ストリッピングガイドは通常のSICリングのモデルで大きな特徴はなし。
Gルーミスのワンフットガイド
Gルーミスと言えばこのワンフットガイドがイメージされる。最近のハイエンドモデルはスネークガイドが多い。個人的にこのワンフットガイドはあまり好きになれず、ラインの抵抗を感じるのと高温の日はライン絡みが気になってしまう。今回のモデルは渓流用だからその心配はほとんどなし。
IMXプロクリークのトップガイド
トップガイドは特に特徴はなく汎用品なので、線形も太め。まぁ、こういった細かい点はハイエンドモデルとの差別化なので、致し方ないのかな。
7フィート9インチ・2番モデル。
このロッドで遠投を試みましたが、タクティカルテーパーをフルキャストすることはできませんでした。必要以上にロッドを曲げるとロッドがお辞儀しすぎてラインの放出角がどうしても下に向き過ぎちゃうんですね。力まないでスッとアークを広げられた時のみ、残り数ヤードを残して飛んでいきます。
IMXプロクリークのロッドの曲がり
25センチほどのレインボーを掛けた時の曲がり。この日は気温の上昇と共にドライへの反応が悪くなったので、結果的に22番のミッジドライを使って入れ食いモード。ティペットは8Xですが2番ロッドなので魚をいなしやすくバレも少なく楽しめました。でも管釣りだけに使うにはちょっともったいないかな。

FAGUS Forest Bum(フォレスト バム) のインプレッション

さて、こちらはフォレストバムのインプレッションです。ファインループとの大きな違いは見た目のカラーリングとシリーズのアクションの違い。ファインループが繊細なアクションのシリーズだとすると、こちらはそれよりもバットの腰があり初めてグラスロッドを振る方でもキャスティングの難しさは無いと思います。但し、それでもグラスの中ではかなり柔らかい方なので、グラファイト並みの硬さを求める場合は、エピックやオービスのスパーファイングラスという選択肢になるのかな?

私のフライ歴史の前半はグラスロッドで育ったので(と言うかグラスしかなかったので)グラスへのキャスティング慣れがあるので、書いてある文章にはかなり使いやすい風に書いてあるかと思います。ですが、グラファイトロッドしか振った事がない人にはファインループシリーズを含め想像以上に柔らかいと思いますので、そんな方は話半分で聞いておいてください。今回は一辺に6本振ることができ私にとってはフォレストバムの投げやすさはかなり刺激的でしたので、来年までにはまた私のロッドストックは増えてしまう事でしょう。


f-7003FB/7feet ・3weight・4pcs:見た目のグリーンが自然に溶け込むカラーで使っているとなんとなく和やかな気分になってくるシリーズ。これくらいの長さだとひと握りのグリップもしっくりきます。そして7フィートモデルはこの三種類の中では私的意見では1番の優等生。扱いやすいグラスロッドらしいグラスロッドでした。

Fine:ロッドのコントロールが良く、そして持ち重り感が無い振り抜けが良いロッド。軽快なステップで自分の思うポイントへ次々と打ち込んで行きたい気分。テンポの良い釣りが楽しめるはずです。ファインループに比べてバットより少し上の部分に硬さを感じるので、腰砕け感は少ないです。キャスティングレンジは0.5〜7mくらいが振りやすいでしょう。

Weak:そもそもグラスロッドはグラファイトとキャスティングアーク(振り幅)が異なるので、グラファイトロッドしか振った事がない人は自身のキャスティングスキルを上げる必要があります。なので、買ったは良いがその柔らかさに翻弄されて「振りにくい」の一言でキャスティングを諦めてしまう人は、買わない方が良いです。でも、ファーガスの中ではこのロッドが一番マルチに使える優等生でオススメ。


f-7063FB/7feet 6inch・3weight・4pcs:ファインループシリーズの7フィート4インチと比べてティップがしっかりしているのと、ややティップヘビーになるので、ロッドを軽く振り抜くだけでラインを気持ちよくデリバリーしてくれるロッドです。長さで言うとこの長さが最も使いやすいと思いますが、7フィートモデルよりはやや軽快感が損なわれます。

Fine:長くなった分だけラインの処理がやりやすくなるので、リーチキャストやメンディングがしやすい。そして長過ぎないので、ロールキャストも気持ちよく決まります。手首だけでキャスティングしている方でも、ループはかなりしまって投げられます。0.5〜7mくらいが快適。

Weak:ややティップ側にバランスが寄ってくるので劇的な軽さみたいなものは感じませんが、この長さにしてはとてもバランスが良いと思います。ただ長さの分だけ7フィートモデルほどのアキュラシー性能は出てこない感じを受けました。


f-8003FB/8feet・3weight・4pcs:ファーガスのグラスロッドの中で最長の長さ。長いからダヨ〜ンとしてキャスティングにバイブレーションが入るのかと思いきや、思いの外振り抜けがよく、振り抜いた時にロッドの重さを感じ易いため、キャスティングのタイミングがとても取りやすく感じました。

Fine:投げやすさは自分の想像した以上によく、アークを十分に広くとってティップの直進性を保てばループが締まりかなりの遠投が可能だと言う事がわかりました。もちろんグラスロッド特有の復元力の弱さはあるけれど、それをあまり感じずにラインが伸びていくのがとても気持ち良かったです。快適なキャスティングレンジはやや伸びて1〜14m位までは楽しめる感じ。

Weak:長い分だけトップヘビーになるので、リールとのバランスが必要になる長さ。最新の超軽量リールよりは少し重めのリールを選択する事でロッドバランスが保たれます。ただティップの暴れはグラスの8フィートとしては致し方ないのかもしれませんが、風の中でピンポイントキャストするのは玄人の人だけかも。

総括するとこのシリーズはファインループに比べてバットからミドルまでに硬さを持たせているので、どのモデルも投げやすさがありました。そして8フィートモデルは予想以上に振りやすくそんなに重くありません。早々に私もこのシリーズのどれかを一本買おうと悩んだ結果。7.6ftモデルを購入しました。現在は夏の渓流ロッドとして大活躍しています。

G Loomis NRX+ シリーズ・インプレッション

本日はキャスティングスクールは合計17名という盛況です。というのも皆さんさんのお目当ては新製品であるGルーミスNRX+シリーズの性能を知りたくて、振り倒しに来たのです。なので、キャスティングスクールは程々に、試投会メインで楽しんでまいりました。

ハーミットでは『魔法の杖』と言う愛称で長く愛されたNRXは12年の務めを終えモデルチェンジし、NRX+ に変わりました。この長い間愛され続けたNRXとどんな違いがあるのかをご紹介デス。

今回の大きな変更点はやっぱり軽さ。発売から12年も経つと他メーカーの現行モデルと比べちゃうとどうしても重かったのですが、今回のモデルチェンジで飛躍的に軽くなりました。ちなみに本国のGルーミスのHPにその重量が書いて無いので測ると、9フィート8番で107.49g。同番手ウィンストン エアソルトが117.85g。スコットセクターが120.37gありましたので、ハイエンドのソルトロッドではとても軽いです。もっとも、「ロッドの軽さ=バランスの良さ」ではありませんので、持ち重り感は別物ですが、軽いのは確かです。

今回の変更点で皆さんが思う残念な点は、カラーリングとストリッピングガイド。見慣れたレック社のリコイルガイドはsicチタンガイドへ変更。そして当初は独毒しいと言われたたブルースレッドは、ブルーラインだけになってしまいました。この二つは見た目でNRXと一瞬で判るポイントだったので、NRXオーナーはこの2点は継続して欲しかった様です。

ではでは今回お借りした6本のロッドのインプレッションを紹介。そうそう、TFOのアクシオムII 890-4A2-Xもサンプルをお借りしたのですが、このインプレッションはまた別の日にブログを書きます。長々と書きますので、お暇な時にお読みください。


NRX+LP 383 (8ft 3inch・3weight・4pcs):前作と同様にNRXにはLP(ライトプレゼンテーション)モデルがあります。最大6番までで、これは最小番手の3番。名前に反して他のメーカーに比べたらキビキビしたファストアクション。決して柔らかいロッドではありません。プレゼンテーションがフワッと落ちるロッドでありますが、ラインスピードの早いシャープなループが特徴。

Fine:軽快に大きめなフライでもピンスポットに打ち込めるキビキビ感。ロッドに伝わる細かな振動も伝えるので、伝達が良いコントロール重視のロッドと言えます。軽さが手伝ってその軽快感は感動です。

Weak:ロッドの曲がりを感じ取りたい人には棒のように感じるかも。ロッドの反発力が強いので、平均的なヤマメやイワナサイズだと掛けた後のバレが頻発しそうな印象を受けた。でも、普段釣る魚が25cm以上中心の方であれば、その心配は少ないと思います。


NRX+LP 486 (8ft 6inch・4weight・4pcs):オールマイティに使える長さを持ったモデル。いい加減に振っても綺麗な直線を描くトラッキングの精度がよく、キャスティングがとても上手くなった気になれるロッド。

Fine:ロッドのトップセクションが綺麗にお辞儀し、その分だけのループ幅が放出されるので、タイトループが作りやすい。ラインコントロール性能がよく、軽快に振り続けることが可能。

Weak:以前のモデルよりもシャープになり、ややノーマルのNRX寄りにアクションを持ったロッド。デメリットじゃないけれど、LPにしなやかさを求める感じではなくなった。


NRX+LP 590 (9ft ・5weight・4pcs):今回は前作のNRXと振り比べることができたので、その違いがよくわかった。やっぱり飛躍的に軽い。そしてティップだけお辞儀していたロッドのブレが減り、タイトループがとても作りやすくなったのがよくわかる。

Fine:比較的ショートレンジでもティップが曲がりラインウェイトが乗らない状態からでも振りにくさが無い。ミドルレンジまではシャープに感じるが、ロングレンジではググッとロッドの曲がる点が下がり、ロッド全体で振り出すアクションに。そして軽さが際立ちます。

Weak:ノーマルのNRX+があるのでその差別化がよく出ていたので、ロングショット中心の場合はNRX+590を選択してください。


NRX+LP 690 (9ft ・6weight・4pcs):LPシリーズは全てハーフウェルグリップでその中の最高番手。LPシリーズらしいティップセクションがお辞儀する曲がりで、シャープなループを放出する。

Fine:ロールキャストからのフォルスキャストと言う一連の動作がとてもスムーズ。そしてLPアクションも手伝ってタイトなループが放出しやすい。1日振っても疲れない軽さを持ったモデル。

Weak:フライラインを10m以上ホールすると、やや腰砕け感があった。でも590同様にノーマルモデルとの差別化なので、ロングディスタンスを中心にしている人はNRX+ 690を選択してください。


NRX+ 590 (9ft ・5weight・4pcs):NRX+ モデルのグリップは全てフルウェルグリップなので、グリップ力があります。ロングレンジと空気抵抗の大きいフライを投げたい時に向いたモデル。

Fine:フライラインのベリー部が全て出るとロッドが生き生きする感じで、ループの乱れを感じ無い。誰が投げてもループがまとまりやすい、やっぱり魔法の杖かな。

Weak:LPモデルに比べるとティップ部も硬いため、ショートレンジでは少々扱いにくいロッド。なので、河川では7〜8m以上から先を狙う時用に。向いているのは湖のドライフィッシングと言う感じ。


NRX+s 890 (9ft ・8weight・4pcs):皆に「魔法の杖」と言わせたルーミスアクションは健在。タイトループを乱れなく作り出すのはやっぱりNRXですな、と感じた。

Fine:規定の9mを超えた時のフォルスキャストの安定感は抜群で、誰が投げてもある程度以上のタイトループを作り出すことができるでしょう。

Weak:9mよりもラインが短い状態で繰り返しフロティングミノーを投げるような環境だと、重さがロッドに伝わりづらく投げにくく感じるでしょう。なので、ロングディスタンス向きのロッドです。

コスメが一気に変わった感じ。でもNRX発売当初はこのブルーが不人気でイチャモンが多かったのです。ですが、長い年月でこのラッピングがNRXのシンボルカラーになったので、コスメの変更は少しがっかりだった人も多いです。
ああでも無い、こうでもないと投げ回している時間は楽しいものです。自分のロッドと比べて何が違うのかを、皆さんに感じていただきました。これで2〜3本は売れるかな?(笑)
NRX+LPは全てハーフウェルグリップ。全体の印象は少し硬くなった雰囲気。でもその分だけロッドティップがペコペコお辞儀しないので、ライントラッキングの性能が上がってます。
体が温まったところで、最後は皆で記録会。人と比べる大会とは違い、次回来た時までの成長を数字に変えるものです。初めての人は次回来た時に1mでも延びる様に頑張りましょう。リピーターの方は前回から何が成長できたかを考えながら、記録を伸ばせる様頑張ります。その成長はとても嬉しいものです、そして他人と比べる必要は決してありません。
今回は私を含めて3名のインストラクターがいましたが、今回はイケピー先生にそのデモンストレーションをお願いしました。さすが先生、フルラインを一発で決めてくれます。これも練習の成果であり、努力の賜物です。

Winston Air Salt 908
インプレッション

インプレッションになっているかどうかはかなり怪しいので、私がウィンストン好きだという事を加味して話半分で聞いてください(好きな話は長文になります)。

ウィンストンがソルトウォーターボロンロッドを世に送り出してから、全てのモデルを使ってきた私。どんなにヒイキ目に見ても決して褒められない竿が過去にありましたが、批判の話はつまらないので却下。私が過去のシリーズでお気に入りだったのはBoron II Mxシリーズかな。このモデルはGルーミスのNRXシリーズによく似ているアクションで、極めてファーストアクションでありながらティップがお辞儀するのでラインの乗りが非常にわかりやすいロッドでした。それに加えてルーミスよりもずっと軽いですからバランスもとても良かったのですが、そのモデルは4年ほど続きモデルチェンジに。

そのモデル以外にソルトウォーターロッドは色々と売られてましたが、どれもティップが硬く全体的に曲がる点が何処にあるのかわからない万人向けじゃないシリーズが多かった気がします。なのでハーミット的にもソルトモデルはあまり前面に押さず、「クセがあるロッドは私だけ使ってればいいか。」的な扱いになっていたのが今までのハーミット。

しかし今回のエア・ソルトはかなり『ヤバイ』です。いや、今までのウィンストン・ソルト・ロッド史上一番使いやすいと断言しちゃいます。

このシリーズはヨーロッパのフィッシングショーであるEFTTEX2018にてビジター賞(来場者が決める賞)をとりました。ちなみにフライロッド賞はTFOのアクシオム・スイッチです(後日この話も書きます)。来場者が決めた賞をエアソルトが取ったということは、何のしがらみもなく純粋に一般の皆さんが欲しいと思ったものですから、それだけ皆さんが絶賛したモデルです。

ロッドのアクションを簡単に言うと、ウィンストンプラスをマイルドにした感じ。全体のテーパーはプラスに似ていてティップは野暮ったい太さを持つのはウィンストンらしさ。ライン荷重が少ない段階ではセカンドセクションの真ん中ぐらいから少し曲がり始めます。ラインが乗って荷重が大きく掛かるとその曲がる点は少しバット側へ下がりますが、それ以降はロッド全体がしなる感じでバットがガチガチなイメージは受けません。それとコルクグリップの質は大手フライメーカーではダントツ、ウィンストン社の質は良くコルクが沈み込むことはありません。

ロッドはよく曲がるけれど、復元力がとても早く反発力が早く得られる感じで、ロッドが曲がるのにラインスピードは上がる印象です。今までのGルーミスNRXの様なロッドはセカンドおよびバットセクションはビクともしない代わりにロッドのブレを最小限に抑え、手首の強い人が曲げ切って遠投するロッドですが、このエアソルトはそんな釣り人側の負担など感じずスッと軽く飛んでいく印象です。

実は私の開口一番のインプレションは「何だ、プラスより若干柔らかくしただけじゃん。」と思ったのですが、実際にリールをセットした時のバランスはプラスとは比べ物にならず、振り抜いた時の曲がり具合は溺愛したボロンIIIx908よりティップが少しだけ硬い程度で、実際の釣りでのギャップに衝撃を受けた次第です。

ちなみにシーバスで同船したお客様にも振っていただきましたが、持たせた瞬間に発した言葉は「え?これ5番ロッドじゃないんですか?」と言われたほどバランスが良いので、今までの8番ロッド史上最もバランスが取れていると思います。

さて、珍しくウィンストンのソルトボロンを褒めちぎった後には気になる点も書いておきます。価格に関してはハイエンドモデルなので今回はスルー。ブランクのコーティングに関してですが、届いた私のロッドは今までのウィンストンよりもマット感があるのですが、これはこのロッドの特徴なのかな? 他と比べるものがないのでわかりません。それとブランクの野暮ったさは慣れた私には何の違和感もありませんが、初めて手にする人は持つ前にそのティップの太さから重そうなイメージを持つでしょう(実際には軽いです)。あとはウィンストンなので、グリップの直径はそれ程太くありません。なので、手がデカイ人には小振りに感じるかもしれません。また、ロッドに癖がありませんから、玄人向きとは言えないでしょう。

いやぁ、久しぶりに熱く語らせていただきました。このインプレッションを見て買おうなんて思わなくて良いですよ。今までウィンストンのソルトウォーターロッドなんてほとんど売れてなかったので、これからも私一人で密かに楽しみますから(笑)

Winston Air Salt
プラスとの違いはリールシートのカラー。プラスはグリーンでエアソルトはガンメタル。それぞれ左巻きのリールをセットした時にやや斜めでこの社名が見える様になってます。
Winston Air Salt
上がプラスのジャングルロッド。下がエアソルト。相変わらずネーム以外は大きな違いはシートだけ。唯一、ブランクの社名前後のティッピングカラーが異なります(撮り忘れました)。バットガイドはエアソルトの方が一回り小さくて線径が細いチタンガイド。
ベンドカーブがとても綺麗で、ジャンプを繰り返すシーバスでもいなしてくれます。このタックルはリールとラインを含めるとワンセット税込25万円オーバー。あぁ恐ろしや・・。ちなみに私的ソルトロッド番付評価は、現在は次の通り。1位:Winston Air Slat・2位:Scott Meridian・3位:Winston Boron III Plus・4位:TFO Axiom II ・5位:Scott Tidal ・6位:G Loomis NRX。NRXは発売からもう12年経ったので、今の竿と比べちゃうと少し重いのでこの順位(折れにくい肉厚の重さと言えます)。
ウィンストンが好きですがティボーも好きなので、どちらもティボーが付いてます。この2本はプラスがシンキングライン用、エアソルトがフローティング用として使い分けてます。今後エアソルトは芦ノ湖や本栖湖にも連れて行きます。淡水8番ロッドと違い海水8番はどっちも使えて良いですよね。

HMT of the Year / ROD

私が釣りを始めた幼少期はグラスロッド全盛期。フライフィッシングを始めた頃にようやくカーボンロッドが出てきた時代だから、フライフィッシングを始めて最初のロッドはもちろんグラスロッドでした。シェイクスピアの入門セットで¥9,800くらいだったと思う。その後にお年玉を貯めて買ったのがフェンウィックのFF765というグラスロッドで、当時は5-6番が標準ロッドでした(というか3番なんてなかったもの)。カーボンのフライロッドを手にしたのはそのずっと後で、最初のカーボンはスピードスティックのフライロッドだったかな?余りにも古い話なのでちょっと思い出せない。

グラスロッド時代はその復元力の弱さにキャスティングループに波が入り、それをどう殺して投げるかがキャスターに求められたもの。ロッドは重いのでリールをわざと重くして手元にバランスをくるようにしていたのである。それがグラファイトに変わるとそのバイブレーションは非常に抑えられるようになったが、ロッドテーパーは試行錯誤の時代で、人の好みにより大きく人気が別れたものだった。

フライロッドを40年間振り続けて私が思うことは、今のロッドの進化は本当に凄まじいもの。ロッドのバランス、軽さ、復元力、テーパーのスムーズな曲がり、どれを取っても昔のロッドとは比べ物にならない。メーカーが安易に”effort less”(努力知らず)”を多用するのにも合点がいく。もちろんバンブーロッドやグラスロッドにもメリットは沢山あるけれど、多様性で考えればグラファイトロッドが現代の主軸となっていることは間違いない。ただしグラファイトロッドは優等生が多く個性がなくなったことは事実である。また、古いロッドを良しとする人は玄人であるから、キャスティングが上手な故にわざと難しい方向へ行きたがる傾向なので、自分のキャスティング能力に酔いしれるために懐古主義になるのでしょう。

話が逸れそうなのでここで修正して今年のハーミットが選ぶHMT・タックル・オブ・ザ・イヤー・ロッド部門の話へ。一つだけ紹介しようかと思ったのですが、甲乙つけ難いので、二つあげます。

まずはTFO のBVKシリーズ。こちらのシリーズは発売されてからすでに10年近く経っていると思うのですが、その人気は衰えず価格以上の価値があるとお客様からの声が多いロッド群。私が勧めなくても勝手に売れてくれる素晴らしいロッドです。以前はTFOフィネスがそのような感じで、ネットに広がる持っている人の評価を見て、連鎖的に購入者が多かった感じ。それが現在は時代がもう少し張りのあるロッドを求めているのか、BVKにやや分があるようです。ロッドのコスメには賛否がありますが、グラファイトシートと穴の空いたシートリングなどが今のラージアーバーリールに合うのでしょう。

そしてもう一つのロッドは今年もハイエンドのロッドとしてとても人気があったScottのラディアンシリーズ。スコットの新しいGシリーズはもちろんとても人気があり供給がまだ行き渡ってない状態ですが、発売して間もないので年間のトータルで見てスコットのラディアンに決めました。最近は北海道に遠征する人が多くそのメインロッドとしてラディアンを使う人が多いので、とても活躍しているロッドです。私もその一人で湖のドライと北海道の渓流用に購入したのですが、私のラディアンはとても出番の少ない一年となってしまいました。

ということで今年はこの2シリーズを表彰します。私がウインストン愛が強い人だからWinston・エアを表彰すると思ったでしょ?でもね、エアは少し価格が高いというだけで評価する人の数が少なないんです。リールの表彰と同様に私の気持ちをゴリ押しするのはちょっと違うと思うので止めました。もちろん皆さんにエアの良さを知ってほしいのですが無理強いはしません、ハーミットですから。

今年の写真を見て思うことは、ダブルハンドのロッドを振っている時期がとても長かったこと。そしてエアを入手以降はずっとエアの写真ばかり(笑)。そりゃそうだ、ロッドを手に入れたら誰でもそのロッドで釣りへ行きたくなるでしょ?

TFO AXIOM II 908/4
インプレッション

昨日はシーバスのボートフィッシングだったので、新製品であるTFOのアクシオムII のサンプルロッドで実釣とキャスティングのフィーリングを楽しんできましたので、そのインプレッションをご紹介。

TFOがリリースしているソルト対応ロッドは現在、4種類。アクシオムは2000 年代後半にTicrXシリーズの後に出たモデルで、ケブラーを混入したグラファイトと記憶してますが、そのシリーズがリニューアル。以前のモデルはとても張りが強くロッドを曲げることに腕力のいるロッドでしたが、硬い=飛ぶというイメージが一番根付いていた頃なのでそれに納得して使ってた感があります。私はウインストンロッドのバックアップ用ロッドで使っていましたが、硬すぎるゆえに手首に負担がかかり疲れるロッドと感じてました。

数年前からTFOは古いモデルからリニューアルを始め、今回は新ロゴを携えたアクシオムII。今回の仕様変更でロゴと同様にTFOのイメージをガラリと変えたモデルになったような気がします。

ソルトウォーターロッドとして同社にあるクラウザーシリーズ、マングローブシリーズと比べると、アクションを言えば一番プログレッシブでしなやかという印象でしょうか。それぞれの特徴でロッドを区分すると、クラウザーミノーのような重いフライや大きなフライをデリバリーするのに、やや大きなループを主体として投げるロッドがクラウザーシリーズ。ダンベルアイを持つフライをピンポイントへ打つときに、フライがロッドに当たっても衝撃を和らげるチタン塗装加工が施されているのがマングローブロッド。そしてアクシオムの役目はオールパーパスソルトウォーターモデルだと思います。

メーカーの表記では淡水でも海でもどちらでもという表記ですが、9feet5番〜12番というラインナップから考えれば「フレッシュウォーターで使えるよ」と言うのはとって付けたようなもの(もちろん使えます)で、バリバリのソルトウォーター戦闘竿です。

アクションはファストアクション。ティップがよく曲がり、キャスティング負荷によって曲がる点が綺麗にしたへ下がる典型的なプログレッシブなロッド。シャープさは損なわず気持ちのいい振り心地でした。今回はシーバス狙いで3/0番で10cmほどのエンリコ・ミノーを投げたので、フライが大きすぎてティップが少し暴れましたが、近距離でもロッドティップがよく曲がり、フローティングゲームからインタミのシチュエーションにとても向いたロッドという印象を受けました。

ロッドバランスはマングローブに比べるとややティップ側にありますが、これはリールシートをグラファイトにしたせいなので、実際のリール装着時のバランスはとても良い印象でした。

デザイン的な面はシンプルなロゴに変更され、見た目はセージみたいな印象。あまりにもシンプルすぎるので、その辺は好みが分かれそうです。今回のモデルはロッドケースが付属されてますので、その点を加味すると値上げではなく、実質マングローブと価格は一緒ということになります。私的にはとても欲しくなりましたので、6か7番あたりを買おうかと思ってます。

最後に一つ。TFOのロッドデザインにはロッドデザインの巨匠ゲーリー・ルーミスが携わっていることを知っている人も多い筈。本国のTFOのHPで”Our legendary Advisory Staff designers have tested to date.”(伝説のアドバイザリースタッフのデザイナーがテストしています)と書かれているところを見るとそのアクションに合点がいき、ゲーリーがロッドのテーパーデザイン携わったとしても、G.Loomis社があるので名前は出せないんだな、という推測ができます。

さて、話が長くなるので、昨日の実釣の話は次のブログへと続きます。

上がマングローブで下がアクシオムII。グリップ長と太さはほぼ同じだが、エクステンションバットの長さが、ややアクシオムIIの方が長い。デザイン的なものとロッドバランスの意があると思う。

TFO AXIOM II
グラファイトのリールシートフィラーに施されたグリーンの線は、リールポジション。暗がりでも簡単に装着することができた。
上からTFOアクシオムII、Scottタイダル、Winston ボロンIIIプラスの準。他のメーカーのソルトモデルと比べるとグリップ長は短めだけれどグリップはやや細めなので、日本人に合っている。

私のリールとセットして見た状態。TFOにはTFOのリールが合うと思うのは、個人的な感想。

NEW Scott GS844/4 の
インプレッション

今まで台風の最中に何度かキャス練をしたことがあるけれど、今回は雨風が予想よりも少なく、なんとかやり過ごした感じ。それでも濡れならがのキャス練は皆さまお疲れ様でした。

さてスコットの新しいGシリーズですが、メーカーさんにサンプルロッドもなく、そして自分の注文分のロッドもまだ届かないので、すでに購入られた方のロッドを一日お借りしまして使用してきました(ありがとうございます)。そのインプレッションを少しお話。

 

10年ぶりにモデルチェンジされた今回の大きな変更点は、インターナルフェルールが軽く改良され、そしてアクションに負担がより少なくなったベンドカーブ。さらにブランク素材の進化とディテールです。見た目の変化は海老茶だったカラーがもう少しブラウンに近くなった程度で、大きく変わった感はありません。リールシートはフィラーにマイカルタ(ナイフが好きな方ならご存知のフェノール樹脂と繊維が織りなす綺麗な柄)が使用され、スクリュー部分はマットフィニッシュでラディアンと共用のものになりました。なので見た目は大きな変化は少ないので、Gシリーズのディテールが好きな方であれば、そのまま移行できる感じです。

ではアクションはいかに?

—- 0〜20feet キャスト —-

ロッドを握っての印象は、最近ウインストンのエアシリーズばかり使っていた私にはずば抜けて軽いという印象は受けません。でも数人に試しぶりしてもらいましたが「すごく軽いですね。」という好印象です。慣れって怖いですね。以前のG2・8ft4inch4番ロッドの印象はG2シリーズの中では比較的ハリがあり、シャープなイメージがあるモデルでしたが、あれ、こんなに先っちょが良く曲がったっけ?というのがNEWモデルの印象。ラインコントロールが良く、ブレがないのはメーカーさんの言う通り。ショートレンジはキビキビして快適でした。

—- 20〜40feet キャスト —-

今回ラインはSAのウェーブレングストラウトを使ったのですが、ラインの特性としてヘッド部の長さが20.3mもあるので、ラインを長くホールするほど重さが得られます。なので、通常の7-8mキャストあたりまでは若干のキビキビ感があったものの、9m以上ホールしたあたりから、「あ、Gのしなやかさが隠れてた。」という感じで、やっぱりGなんだという印象があります。そして、振り抜きがとても軽い。

—- 40〜90feet キャスト —-

このロッドでフルラインキャストのシチュエーションなんてほとんどないと思いますが、とりあえずどんな感じなのかテスト。もちろんフルキャストと言っても最後のシュートでラインを全部飛ばすわけですから、4番ラインでそこそこの重さを得つつシュートを快適にするには、12〜13mあたりでホールし、残りの17mを放出する感じです。で、やってみたんですが、しなやかさがあるロッドなので必要以上に空中にホールするラインを長くするとそのままの体勢だと少々無理な姿勢になるためにキャスティングアーク(ロッドの振り幅)を広げる必要があり、振り方を変えなくてはなりません。それにより、遠目で見たらグラスロッドで遠投しているように見えるでしょう。とはいうものの、最新のグラファイト素材ですから上級者の方なら難なく投げこなせます。

実釣は朝霞ガーデンでレインボーフィッシング。ティペットサイズを落としてもロッドの曲がりでいなしてくれるので、安心して寄せと掛け心地が楽しめる感じ。ラインさばき(メンディングやロールキャストなど)もロッドの軽さとブレがほとんどないので、とても快適でした。

総合的に見てこのロッドは渓流のオールラウンダー的なロッドで、岩魚釣りで求められるラインコントロールと、シビアなコンディションで中距離を要求される尺ヤマメ狙いに向いたロッドという印象でした。G2に比べて軽く、そして硬くなったのだろうと言う勝手な思い込みとは逆に、なんか前のモデルよりも少し柔らかく感じた次第。そしてこのロッドに向かないシチュエーションは、頑張って遠投する竿じゃないといこと。快適な釣りは15m(50feet)以内だと思います。

最近使い込んでいるウインストンエアと違うテイストなので、もう少し実釣で使ってみたい感じですが、お客さんに返さないと(笑)。私のロッド早くこないかなぁ・・・。

雨の中、集まったお客さんにも試しぶりしてもらいました。
New Scott G844/4
以前のG2と同じく、尺(12インチ)マークがあるので、釣った魚が尺上であるかどうかをその場で判定できます。

 

ここまで読んでい頂いた方にHow to的なお話を一つ。

本日は雨でしたが、雨の日って飛ばないと感じたことはありませんか?実はロッドに付く雨粒や水滴が多いと、フライラインとロッド間で接着剤的な役目の抵抗が生まれて飛ばないんです。購入後にロッドを手入れせず、ロッド皮膜の撥水性が失われると水滴はたくさん着いたまま。特にロッドを買ったままずっと放置している方はそんな感じでしょう。

フライキャスティングは少しの抵抗で大きく変わるものなので、ラインを手入れすることはいうまでもなく、ロッドは常に綺麗に磨いてフッ素コート剤などで磨くことをお勧めします。現在ハーミットでは置いてませんが、個人的なお勧めはボナンザスプレー(スプレータイプでなくても大丈夫)です。これをかけておくと水滴がつきにくく、サラサラなのでラインとロッドとのまとわりつきが軽減します。ハーミットでも置いた方が良いですか?