オービスの思い出を語りつつ、H4 ヘリオス フィネスのインプレッションを書いてみる

私はフライフィッシングを初めてもう50年近くになるのですが、釣具屋でアルバイトを始めたのが1980年なのでフライロッドを販売するお仕事は、かれこれ44年も続いているのですね、自分でもビックリ。当時はまだそのほとんどがグラスロッドでしたが、オービスはすでにグラファイトロッドがありました。その価格は¥85,000ぐらいだったかな? まだ1ドル¥250位の時代だから仕方ないのですが、舶来ものってホント高かったのです。

私はアルバイトしたお金を貯めてやっとこさ買ったのがセブンイレブンという7フィート11インチ4番のモデル。当時のグラファイトロッドには、「スプリングクリーク」や「ティペット」、「ウェスタン」などの名前があり、その名前からロッドの使い道を想像しアメリカの釣りに憧れていたものです。

オービスが世に送り出したグラファイトロッドは数え切れないくらいあるので、すでに忘れてしまったシリーズもありますが、現在のハイエンドモデルであるヘリオスが2024年に新たな進化を遂げてリリースされました。モデルはフィネスシリーズとディスタンスシリーズに分けられます。ここではメーカーにお借りしたフィネスモデルを実際にキャスティングしてみた感じをインプレッションしてみます(ディスタンスモデルはまた後日紹介)。

オービスは長きにわたりロッドアクションをわかりやすく数値化できないかとフレックスインデックス(ロッドの曲がる場所を数字で表したもの)を続けてましたが、その頃の名残?とも言えるのが一つのシリーズに二つの曲がり方が違うロッドを用意してあるというもの。わかりやすく言えば「フィネス=技巧精度」と「ディスタンス=遠投性能」に長けたものに二分類されるというもの。同じ長さと番手のモデルがそれぞれあれば、あなたが重視する方で選んで欲しいというコンセプトです。

今回お借りしたフィネスモデルは全9種類。話が長たらしくなるので、気になるモデルだけどんな竿かを見てもらえれば幸いです。

issue July/August 1979
1979年夏号の『FLY FISHER MAN』表4広告。当時から3番の低番手〜12番のターポンロッドまでありました。日本国内で当時12番なんて使うところがなかったので、実際販売していた高番手はナイン バイ ナイン(9フィート9番)までが多かった気がします。ちなみに1980年代に入るとボロンロッドが販売され、ボロン シューティングスターなどを売っていましたが、当時で12万円以上したのを覚えています。私は使ったこともないのに、「よく飛びますよ!」と営業トークで売っていましたっけ(笑) ちなみに私の当時の時給は¥500デス。あ、今でもたいして変わらないかも・・。
ORVIS H4 Helios Finesse Series
ニューヘリオスはグリップの種類がとても多くフィネスとディスタンスを合わせると8種類。そのうちフィネスのグリップは上記の4種類。ほとんどのモデルはハーフウェル(トップがトンプソンっぽいもの)のウッドスペーサー、アップロックスクリューシートモデル。7.6フィートモデルはハーフウェルのグリップで、コルクリングが1個分短くなります。

Finesse F762-4:7フィート6インチ・2番・4ピース
今まであったヘリオスと比べればグッと柔らかくなったのですが、それでも国産のロッドと比べればまだ硬く感じるのはハイモデュラスのグラファイトを使っている事と、日本とアメリカのキャスティングレンジ(快適に投げやすい距離)の違いからくるもの。なのでシャープなイメージで軽快な2番モデルといった感じ。ピシピシとキャストが決まる2番なんて珍しいから、きっと使いたくなるはずです。メッチャ軽いしね。

Fine:7.6フィートのモデルはホント軽い。フライロッドの軽さは1日のキャスティング負担を減らしてくれるので、体力が無い人にはこんなモデルが良いのでしょう。比較的極端な近距離でもキャスティングしやすく、ラインコントロールに優れている。

Weak:軽さが仇になりキャスティング時にラインの重みを感じられないので、さキャスティングのリズムが早くなりがちになってしまう。ラインを確実にターンさせるために、魚を見つけても平常心のリズムを心がけましょう。
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Finesse F763-4:7フィート6インチ・3番・4ピース
このロッドは朝霞ガーデンに持っていき、キャスティングだけでなく実釣もしてみました。ポンドタイプの管釣りにはやや短いけれど、30センチサイズのニジマスでも寄せるパワーがあります。

Fine:やっぱり7.6フィートは軽い。そして3番の重さも手伝ってある程度の遠投が可能であり、大きめの12番のドライフライでもターンしやすかった。私は面白がってこのロッドで朝霞ガーデンの反対岸まで投げて遊んじゃいました。ティップが柔らかく1番セクションがお辞儀し、タイトループを作って吹っ飛んでいきます。

Weak:面白がって遠投を楽しんでいたのですが、力の入れ加減を多く入力しすぎると、ロッドが2段で曲がるような感覚になり、突然失速します。もっとも力を込めて投げちゃいけないロッドなのでそんな事する人はいませんが、優しく丁寧なキャストを心がけることで、コントロール性能にひと際美しさが感じられます。

オービス ヘリオスのフィネスシリーズ
朝霞ガーデンに持って行ったのはフィネスの7フィート6インチ3番モデル。リールはCFO IIIをセット。ラインは2024モデルのエアフロ リッジ2.0 タクティカルテーパーを使いました。新しいヘリオス フィネスモデルのブランクカラーはオリーブドラブのマットカラー。透明感がないので自衛隊っぽいカラーでなんか嫌だったのですが、いざ使ってみるとそんなに気にならない。そして、その塗装の効果なのか、それとも新しいラインのせいなのか、ラインがロッドにまとわりつかずスルスルと伸びていく感覚があった。

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Finesse F843-48フィート4インチ・3番・4ピース
8フィート4インチという長さが手伝って、3番でなんでもこなせるモデル。変化する渓流のシチュエーションで、ちょっとしたプールでも後方から遠投をすることも可能だし、その長さを使ってメンディングなどのライン処理がラクです。フィネスシリーズ全般に言えることはタイトループが作りやすく、そしてラインの飛型に波が入らないのです。これはやっぱり今回の売りである「微細な振動を最小化」という事から得られるものなのかも?

Fine:多くの3番の中ではシャープであり、ループコントロールやキャスティングアキュラシー(投てき精度)が優れているように感じる。なんかラインがスルスル出ていく感じを受けるのは、ロッドの表面処理のせいなのかな? 早春のミッジで遠投とライン処理を得意とするであろうモデル。

Weak:とても優等生なロッドであるのだけれど、その反面玄人をくすぐる癖がない点がキャスティングスキルが高い方には触手がそそられないかもしれない。釣り人って偏屈ですねぇ・・。
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Finesse F864-48フィート6インチ・4番・4ピース
この軽さでこの長さ。アメリカで釣りをするのならばこの長さを私は持っていくだろうな、と思う絶妙な軽さとバランス。さらにパワフルさを感じるバットがあります。

Fine:軽い入力で綺麗なループが生まれるエフォートレス(努力知らず)なロッド。ヤマメやイワナではなく北海道の虹鱒を中心にC&R区間や管釣りなどの大物を中心に狙う渓流&本流ロッド。快適なレンジは6〜20ヤードくらいだと思います。グリップが細めで握りやすい。

Weak:フルラインを出すことは可能なのですが、フィネスモデル全体の特徴として、力の入力をちょっとずらしたり多すぎたりすると、カックンと失速することがあります。なので遠投時の力の入力加減に繊細さを感じます。
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Finesse F904-4:9フィート・4番・4ピース
USAでは近年9フィートモデルが標準なのでしょうね。9フィートにして感覚は8.6という感じ。さっきまで8.6がぴったりと言っていたけれど、4番ラインでマルチに使う一本と考えれば、このモデルかもしれません。

Fine:9フィートで持ち重り感を感じず、そしてロッドストップ時のブレが少ないので、9フィートモデルでもループの乱れがありません。トルクを感じるモデルで、北海道ドライフライフィッシングメインのロッドかな?

Weak:ティップ側のセクションがよく曲がり、真ん中は硬めのロッドなので、小さい魚が中心の川では魚のバレが頻繁に起きそうな感じ。
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Finesse F905-49フィート・5番・4ピース
北海道遠征、あるいは海外釣行へ行くならば、マルチに使えるメインとなるのはこの9フィート5番でしょう。ハイエンドモデルはとても軽く軽快なフライフィッシングを楽しめます。ロッドはトップセクションがよく曲がり、力の入力を多くすると徐々に真ん中あたりまでが曲がります。

Fine:スコットのGS、ウィンストンのエア2、このヘリオスと、どれをとっても現在の9フィート5番は優秀で、自分が上手になったような感覚になります。オービスを選択した場合、9フィート5番はフィネスとディスタンスの2タイプのアクションから選べます。距離よりもコントロールとライン処理を中心とする大物狙いの河川での釣りならばこのフィネスモデルをお勧めします。

Weak:ディスタンスとフィネスを迷った場合、間違った選択をしないようにする事が大切。他人の意見よりも自分の好みをよく考えてフィネスかディスタンスかを迷いましょう。ちなみにフィネスモデルだと6〜20ヤードくらいのレンジで、コントロール性能が程よく楽しめるのは15ヤードぐらいまでです。
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Finesse F906-4:9フィート・6番・4ピース
9フィート6番になるとその使用範囲はさらに広がり、ライトソルトウォーターから湖のドライフライフィッシング、あるいはバスフィッシングなど、その使用用途は多岐にわたります。フィネスはディスタンスよりもティップアクションで、コントロール重視。

Fine:距離よりもコントロールを優先するクロダイのサイトフィッシング。あるいはバスバギングなど、中距離レンジでゴルフのカップぐらいの大きさに正確にキャストしたい場合は、やっぱりフィネスかな。

Weak:ティップ側のセクションがよく曲がり遠投のために強い入力をすると、ティップからカクンと大きく曲がり、ラインに波が入り失速気味になります。ディスタンスモデルとの差はこのアクションの差。刻むのキャストではなく、ぶっ飛ばすようなドライバー的感覚を望むのであればディスタンスモデルです。
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Finesse F908-4:9フィート・8番・4ピース
このモデルは芦ノ湖に持っていき実釣しました。ディスタンスモデルとフィネスモデルは他のモデルと同じで、アクションの違い、ティップアクションの分だけループはタイトに締まり綺麗なループを生み出します。

Fine:遠投という面では充分なパワーを持ちラインコントロールもしやすい素直なアクション。ティップから感じるアタリが取りやすい感じを受けました。また、グリップのトップ部分がラバーコルクになっているので、置いている指がズレにくく、力が入れ易いです。

Weak:ディスタンスモデルと比べるとやや癖がある遠投性能。でもそれほど気になるほどでは無いので、このアクションの違いは好みかなぁ・・。

オービス ヘリオス フィネスシリーズ9フィート8番
芦ノ湖には9フィート8番のフィネスとディスタンスを持ち込みました。どっちが良いかはその人のお好み次第。試投会で振ってみた多くの意見はディスタンスモデルに人気があるみたい。

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Finesse F113-4:11フィート・3番・4ピース
あれま、このロッド11フィートを持っている感覚が無いですよ。3.3mの長さで3番なので、日本で言えば3.3mのテンカラロッドにフライリールをくっつけたようなものです(先調子です)。メーカーのページには何に使うか書いてありませんが、おそらくユーロニンフ用のロッドです。そんなに極端なティップアクションでは無いので、キャスティングも可能です。

Fine:もし、テンカラからフライフィッシングへ移行する場合、こんなロッドから入るのもアリかな?なんて思ってしまった。もっともこのロッドの価格に驚愕して購入される方は少ないかもしれませんが、いざとなったらラインを伸ばしてさらに遠いポイントを点で釣る事ができるシロモノ。

Weak:オタクなロッドだけに万人向けではありませんが、こういったクセの強いロッドを渡されたらどんな風に使おうかと考えて、僕らはワクワクしてしまうのです(笑)

フィネスロッド
マシンカットされたタイプ3加工のアルミリールシートはオービスのミラージュリールの工場で製造されているとのこと。ストリッピングガイドはチタンフレーム、スネークガイドはレックのリコイルガイドを採用しています。
ヘリオス フィネスシリーズ
写真だと分かりにくいですが、ブランクはオリーブドラブのマット塗装されています。ディスタンスはブラックのマット。以前のモデルよりもこのラインインデックスが書かれている場所が落ち着いたカラーになりましたね。

投稿者:

Hermit55

ハーミット店主の釣行記やよもやま話です。 お店にいる時間の方が長いので、釣りよりも店の話の方が多いかもしれません。漢字変換ミスが多々ありますが、見つけならが直しますので、ご勘弁を。