エアフロのラインが新しくなったので色々なモデルのWF6Fを振り比べてみた件

私的な意見ですが、最近はどのラインメーカーさんも結構いやらしくて、大体2年に一回くらいパッケージを変えるんです。すると中身が一緒でも古く見えてしまうので、お店的には古いパッケージのものを早く処分しなきゃとセールにして、お店の商品をごっそり入れ替えるわけですが、コレってメーカーさんの策略のような気がします(ちなみにリーダーやティペットもね)。

さて今回はその逆で、見た目は変わらないのに、商品のほぼ全てを一新しましたというエアフロ。私は一昨年(実際にはまだ1年半くらいしか使ってないのです)にほぼ手持ちのラインを一新したばかりなのに、また新しくなったのかとため息。フライラインの入れ替えに掛かるコストを考えると、また懐が寂しくなってしまう事に肩を落としてしまいます。ま、釣具屋は皆さんのリーダー的存在にならにゃならんので、仕方ないか・・。

そんな訳で単にラインの入れ替えの話をしても面白くないので、今回は同じ番手でモデルがどのように違うかを振り比べてみました。用意したラインはエアフロのWF6番ラインで、「リッジ2.0 スーパーフロ パワーテーパー」と「リッジ2.0 スーパーフロ ユニバーサルテーパー」、「シックスセンス フローティング」そして今まで使っていた 「リッジスーパーフロ パワーテーパー」の4種類。

今回のエアフロラインが一新した理由は、外側の素材に変更があったということ。PVCを使わない環境に配慮したポリフューズを使うのは今まで通りなのですが、さらに浮力をアップさせるためにマイクロバルーンが混入されたことと、それに潤滑作用を持たせた事(要はサイエンティフィックアングラーズが用いている技術をプラスアルファしたって事かな)で、それ以外の変更点はカラーになります。なので各モデルのテーパーデザインは変わりません。

新しいモデルになっての全体的な印象を言えば、ラインがさらに細くなった感じがするのですが、以前のモデルよりもほんの少しだけ体積が減った様に感じます。また表面はサラサラした感じの乾いた音に変わった点。浮力に関しては昨年までのモデルで充分な高浮力を感じていたので、特にその違いは感じません。浮力の持続性やラインの寿命に関しては今後使用して気になったら、どこかでお伝えします。

ではお暇な方はお付き合いください。

エアフロ スーパーリッジ2.0 パワーテーパー
こちらが昨年まで使っていたエアフロ リッジ2.0 スーパーフロ パワーテーパーWF6F。このカラーは意外と気に入っていたのに廃盤になってしまいました。このモデルになってから、ラインは細くなり、空気抵抗が少ない分だけシンキングラインを振っている感覚に近い感じになりました。リッジ(凸部分)はマイルドになったのでゴワゴワ感も無く、先端浮力はポッカリ。さすがハイエンドラインという感じで汚点をつけるところが無いんです。でも今回変更されました。
フライラインを巻き取る。
今回は同じロッドとリールを使用するためにラインを替える毎にこの様にしてラインを巻き替える羽目に・・。巻いている時はトラウトを掛けているように楽しんじゃったりして。ロッドはウィンストン エア9フィート6番。リールはスピードスター -5+です。

Ridge2.0 Superflo Power WF6F Chartreuse/White
6番のラインに求められるのが遠投であるならば、ある程度のラインをホールした時点で、すぐにクイックモーションで遠投が可能なラインといえます。色変わりの位置でホールすればラインはそもそもハーフヘビーウェイト(6番であれば6.5番の重さ)になるので、少し硬めのロッドでも充分に曲げる事ができます。フロントヘビーのラインですから、ショートレンジでもラインの重量が早めに得られるのも良い点で、リッジ2.0加工も手伝ってラインの滑り出しがとてもなめらか。苦手なのはホールするラインを必要以上に長くすると一番重い位置がロッドから離れてしまうので、その際には力がカックンと抜けてしまいシュートしにくくなります。

エアフロ リッジ2.0 スーパーフロ パワーテーパー2024
こちらが新しいパワーテーパー。といってもカラーだけの違い。実際投げ比べてわかったことは、ラインの触った感じがニューモデルのラインはサラサラしていて、去年までのモデルは少ししっとりした触り心地で、ラインキャパがさらに減ったような気がします。でも飛距離や飛び具合、ライン姿勢は全く一緒。パワーテーパーはすっ飛んでいくのですが、ラインの後ろが軽いので、プレゼンテーション時はややリアから落ちるような姿勢になります。ラインの長さは90フィート(27.4m)

Ridge2.0 Superflo Universal WF6F Chartreuse/White
エアフロには「Power」・「Universal」・「Tactical」と3種類のテーパーがあるのですが、ラインのカラーが重複しているモデルがあり、以下の写真の様に見た目の違いはありません。ですが、テーパーが異なるので投げ心地はまるっきり別物。ユニバーサルはヘッドが長くバランス良く重量配分がされているので、ホールしている時のライン姿勢がよく、力が抜けた時に落ちていく様子も偏りなく綺麗に落ちていきます。ラインがターンする時に余分なパワーが残らないので、プレゼンテーション時にフライがふわりと落とすことができるのがその特徴。ラインの重量はAFFTA規格通りなので、リッジ2.0加工の滑らかさも手伝って、とても投げやすい。パワーテーパーと違い重さを早めに得られないので、このラインで遠投しようと思う時はホール位置をずっと後方(ホールする長さを12m位)にする事で、重さが乗り遠投が可能になりますが、パワーテーパーよりテクニックが必要な分だけ、やや遠投しにくくなります。

エアフロ リッジ2.0 スーパーフロ ユニバーサルテーパー
今回の変更でよく無い点が一つ。ライン形状が違うのに同じカラーが存在します。なので、この二つのラインを同時に使うと、どっちがどっちだか分からなくなってしまいます。お店の立場で言えば、通販の出荷時に間違えそうになるし、さらにリッジとそうでない普通のスーパーフロがパッケージがほとんど一緒なので困りもの。写真上じゃこの二つのラインがどう違うのかが分からないので、左下のライン形状の違いをご覧ください。この二つを簡単に説明すると、遠投とターンの力強さ優先のパワーテーパーと、飛型の美しさとプレゼンテーションの静かさのユニバーサルテーパー。あなたはどっちがお好み?
フライラインインデックス
もし同じカラーのラインでテーパーの違いを知るには、実際にキャスティングして確認するか、ライン先端にあるラインインデクスで確認する必要がある(ピンぼけでスミマセン)。
エアフロライン
無造作に置いた新品のラインですが、この糸屑が1.6万円ですゾ! あぁ、恐ろしや。でもエアフロでは一番のハイエンドがこの価格ですが、他メーカーさんは平気で2万円越えますから、まだまだマシな方なんです。ちなみにリッジ2.0はUSAで$129.99なので、現在のレートで考えれば日本で税込1.6万円はかなり良心的な価格。

Superflo Sixth Sense2 WF6/7F Peach
現段階でまだハーミットでは店頭在庫していないラインですが、投げて見て非常に気に入ったライン。リッジ加工はされていないので通常のスーパーフロ(断面にボコボコが無い)なので、お値段がリッジ2.0モデルよりも多少お手頃。ヘッド長がとても長く46フィート(14.02m)。ホールするラインを長くできる人ほどそれだけ重さが得られるので、遠投が可能なライン(40フィートの位置でリリースすれば9番ラインの重さ)。要は玄人向けぶっ飛ばしラインとでも言いましょうか、それに合わせてラインの長さも105フィート(32m)あるので、遠投に興味があるひとはぜひこのラインでぶっ飛ばしてフルラインを目指してください。ライン重量は6/7番の30フィートの位置で185グレン(13.61g)あるので、大体一番手上の7番の重さ。

シックスセンス2のフローティング
ラインの形状はシンキングラインのシックスセンス2と同じで、ヘッド長がとても長い。メリットは遠投に燃える玄人向きのリアテーパーの長さで、デメリットはラインが単色なので、リリースポイントがどこが良いかが分からない点。ラインにマーキングするのもアリだけれど、シンキングライン同様にどこかに目安となるマークが欲しかったかな。さすがにこの長さになるとラインを全部出すのはかなりしんどくなりますので玄人向け(と言ってもエキスパートディスタンスのコンペティションよりも4m短いので、玄人は普通に出せるでしょう)。
フライキャスティング
先だってのキャスティングスクール時にこの企画を行なっていたので、お客様にもその違いを堪能してもらいました。
朝霞ガーデンでフライフィッシング
キャスティングの後は朝霞ガーデンにて昼練。フライをはじめたいという女子にたくさん釣ってもらって、1日が無事終了。しかし、私は釣り足らないのでその翌日も釣りへ向かうのでアリマシタ。続く・・・。

 

オービスの思い出を語りつつ、H4 ヘリオス フィネスのインプレッションを書いてみる

私はフライフィッシングを初めてもう50年近くになるのですが、釣具屋でアルバイトを始めたのが1980年なのでフライロッドを販売するお仕事は、かれこれ44年も続いているのですね、自分でもビックリ。当時はまだそのほとんどがグラスロッドでしたが、オービスはすでにグラファイトロッドがありました。その価格は¥85,000ぐらいだったかな? まだ1ドル¥250位の時代だから仕方ないのですが、舶来ものってホント高かったのです。

私はアルバイトしたお金を貯めてやっとこさ買ったのがセブンイレブンという7フィート11インチ4番のモデル。当時のグラファイトロッドには、「スプリングクリーク」や「ティペット」、「ウェスタン」などの名前があり、その名前からロッドの使い道を想像しアメリカの釣りに憧れていたものです。

オービスが世に送り出したグラファイトロッドは数え切れないくらいあるので、すでに忘れてしまったシリーズもありますが、現在のハイエンドモデルであるヘリオスが2024年に新たな進化を遂げてリリースされました。モデルはフィネスシリーズとディスタンスシリーズに分けられます。ここではメーカーにお借りしたフィネスモデルを実際にキャスティングしてみた感じをインプレッションしてみます(ディスタンスモデルはまた後日紹介)。

オービスは長きにわたりロッドアクションをわかりやすく数値化できないかとフレックスインデックス(ロッドの曲がる場所を数字で表したもの)を続けてましたが、その頃の名残?とも言えるのが一つのシリーズに二つの曲がり方が違うロッドを用意してあるというもの。わかりやすく言えば「フィネス=技巧精度」と「ディスタンス=遠投性能」に長けたものに二分類されるというもの。同じ長さと番手のモデルがそれぞれあれば、あなたが重視する方で選んで欲しいというコンセプトです。

今回お借りしたフィネスモデルは全9種類。話が長たらしくなるので、気になるモデルだけどんな竿かを見てもらえれば幸いです。

issue July/August 1979
1979年夏号の『FLY FISHER MAN』表4広告。当時から3番の低番手〜12番のターポンロッドまでありました。日本国内で当時12番なんて使うところがなかったので、実際販売していた高番手はナイン バイ ナイン(9フィート9番)までが多かった気がします。ちなみに1980年代に入るとボロンロッドが販売され、ボロン シューティングスターなどを売っていましたが、当時で12万円以上したのを覚えています。私は使ったこともないのに、「よく飛びますよ!」と営業トークで売っていましたっけ(笑) ちなみに私の当時の時給は¥500デス。あ、今でもたいして変わらないかも・・。
ORVIS H4 Helios Finesse Series
ニューヘリオスはグリップの種類がとても多くフィネスとディスタンスを合わせると8種類。そのうちフィネスのグリップは上記の4種類。ほとんどのモデルはハーフウェル(トップがトンプソンっぽいもの)のウッドスペーサー、アップロックスクリューシートモデル。7.6フィートモデルはハーフウェルのグリップで、コルクリングが1個分短くなります。

Finesse F762-4:7フィート6インチ・2番・4ピース
今まであったヘリオスと比べればグッと柔らかくなったのですが、それでも国産のロッドと比べればまだ硬く感じるのはハイモデュラスのグラファイトを使っている事と、日本とアメリカのキャスティングレンジ(快適に投げやすい距離)の違いからくるもの。なのでシャープなイメージで軽快な2番モデルといった感じ。ピシピシとキャストが決まる2番なんて珍しいから、きっと使いたくなるはずです。メッチャ軽いしね。

Fine:7.6フィートのモデルはホント軽い。フライロッドの軽さは1日のキャスティング負担を減らしてくれるので、体力が無い人にはこんなモデルが良いのでしょう。比較的極端な近距離でもキャスティングしやすく、ラインコントロールに優れている。

Weak:軽さが仇になりキャスティング時にラインの重みを感じられないので、さキャスティングのリズムが早くなりがちになってしまう。ラインを確実にターンさせるために、魚を見つけても平常心のリズムを心がけましょう。
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Finesse F763-4:7フィート6インチ・3番・4ピース
このロッドは朝霞ガーデンに持っていき、キャスティングだけでなく実釣もしてみました。ポンドタイプの管釣りにはやや短いけれど、30センチサイズのニジマスでも寄せるパワーがあります。

Fine:やっぱり7.6フィートは軽い。そして3番の重さも手伝ってある程度の遠投が可能であり、大きめの12番のドライフライでもターンしやすかった。私は面白がってこのロッドで朝霞ガーデンの反対岸まで投げて遊んじゃいました。ティップが柔らかく1番セクションがお辞儀し、タイトループを作って吹っ飛んでいきます。

Weak:面白がって遠投を楽しんでいたのですが、力の入れ加減を多く入力しすぎると、ロッドが2段で曲がるような感覚になり、突然失速します。もっとも力を込めて投げちゃいけないロッドなのでそんな事する人はいませんが、優しく丁寧なキャストを心がけることで、コントロール性能にひと際美しさが感じられます。

オービス ヘリオスのフィネスシリーズ
朝霞ガーデンに持って行ったのはフィネスの7フィート6インチ3番モデル。リールはCFO IIIをセット。ラインは2024モデルのエアフロ リッジ2.0 タクティカルテーパーを使いました。新しいヘリオス フィネスモデルのブランクカラーはオリーブドラブのマットカラー。透明感がないので自衛隊っぽいカラーでなんか嫌だったのですが、いざ使ってみるとそんなに気にならない。そして、その塗装の効果なのか、それとも新しいラインのせいなのか、ラインがロッドにまとわりつかずスルスルと伸びていく感覚があった。

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Finesse F843-48フィート4インチ・3番・4ピース
8フィート4インチという長さが手伝って、3番でなんでもこなせるモデル。変化する渓流のシチュエーションで、ちょっとしたプールでも後方から遠投をすることも可能だし、その長さを使ってメンディングなどのライン処理がラクです。フィネスシリーズ全般に言えることはタイトループが作りやすく、そしてラインの飛型に波が入らないのです。これはやっぱり今回の売りである「微細な振動を最小化」という事から得られるものなのかも?

Fine:多くの3番の中ではシャープであり、ループコントロールやキャスティングアキュラシー(投てき精度)が優れているように感じる。なんかラインがスルスル出ていく感じを受けるのは、ロッドの表面処理のせいなのかな? 早春のミッジで遠投とライン処理を得意とするであろうモデル。

Weak:とても優等生なロッドであるのだけれど、その反面玄人をくすぐる癖がない点がキャスティングスキルが高い方には触手がそそられないかもしれない。釣り人って偏屈ですねぇ・・。
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Finesse F864-48フィート6インチ・4番・4ピース
この軽さでこの長さ。アメリカで釣りをするのならばこの長さを私は持っていくだろうな、と思う絶妙な軽さとバランス。さらにパワフルさを感じるバットがあります。

Fine:軽い入力で綺麗なループが生まれるエフォートレス(努力知らず)なロッド。ヤマメやイワナではなく北海道の虹鱒を中心にC&R区間や管釣りなどの大物を中心に狙う渓流&本流ロッド。快適なレンジは6〜20ヤードくらいだと思います。グリップが細めで握りやすい。

Weak:フルラインを出すことは可能なのですが、フィネスモデル全体の特徴として、力の入力をちょっとずらしたり多すぎたりすると、カックンと失速することがあります。なので遠投時の力の入力加減に繊細さを感じます。
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Finesse F904-4:9フィート・4番・4ピース
USAでは近年9フィートモデルが標準なのでしょうね。9フィートにして感覚は8.6という感じ。さっきまで8.6がぴったりと言っていたけれど、4番ラインでマルチに使う一本と考えれば、このモデルかもしれません。

Fine:9フィートで持ち重り感を感じず、そしてロッドストップ時のブレが少ないので、9フィートモデルでもループの乱れがありません。トルクを感じるモデルで、北海道ドライフライフィッシングメインのロッドかな?

Weak:ティップ側のセクションがよく曲がり、真ん中は硬めのロッドなので、小さい魚が中心の川では魚のバレが頻繁に起きそうな感じ。
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Finesse F905-49フィート・5番・4ピース
北海道遠征、あるいは海外釣行へ行くならば、マルチに使えるメインとなるのはこの9フィート5番でしょう。ハイエンドモデルはとても軽く軽快なフライフィッシングを楽しめます。ロッドはトップセクションがよく曲がり、力の入力を多くすると徐々に真ん中あたりまでが曲がります。

Fine:スコットのGS、ウィンストンのエア2、このヘリオスと、どれをとっても現在の9フィート5番は優秀で、自分が上手になったような感覚になります。オービスを選択した場合、9フィート5番はフィネスとディスタンスの2タイプのアクションから選べます。距離よりもコントロールとライン処理を中心とする大物狙いの河川での釣りならばこのフィネスモデルをお勧めします。

Weak:ディスタンスとフィネスを迷った場合、間違った選択をしないようにする事が大切。他人の意見よりも自分の好みをよく考えてフィネスかディスタンスかを迷いましょう。ちなみにフィネスモデルだと6〜20ヤードくらいのレンジで、コントロール性能が程よく楽しめるのは15ヤードぐらいまでです。
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Finesse F906-4:9フィート・6番・4ピース
9フィート6番になるとその使用範囲はさらに広がり、ライトソルトウォーターから湖のドライフライフィッシング、あるいはバスフィッシングなど、その使用用途は多岐にわたります。フィネスはディスタンスよりもティップアクションで、コントロール重視。

Fine:距離よりもコントロールを優先するクロダイのサイトフィッシング。あるいはバスバギングなど、中距離レンジでゴルフのカップぐらいの大きさに正確にキャストしたい場合は、やっぱりフィネスかな。

Weak:ティップ側のセクションがよく曲がり遠投のために強い入力をすると、ティップからカクンと大きく曲がり、ラインに波が入り失速気味になります。ディスタンスモデルとの差はこのアクションの差。刻むのキャストではなく、ぶっ飛ばすようなドライバー的感覚を望むのであればディスタンスモデルです。
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Finesse F908-4:9フィート・8番・4ピース
このモデルは芦ノ湖に持っていき実釣しました。ディスタンスモデルとフィネスモデルは他のモデルと同じで、アクションの違い、ティップアクションの分だけループはタイトに締まり綺麗なループを生み出します。

Fine:遠投という面では充分なパワーを持ちラインコントロールもしやすい素直なアクション。ティップから感じるアタリが取りやすい感じを受けました。また、グリップのトップ部分がラバーコルクになっているので、置いている指がズレにくく、力が入れ易いです。

Weak:ディスタンスモデルと比べるとやや癖がある遠投性能。でもそれほど気になるほどでは無いので、このアクションの違いは好みかなぁ・・。

オービス ヘリオス フィネスシリーズ9フィート8番
芦ノ湖には9フィート8番のフィネスとディスタンスを持ち込みました。どっちが良いかはその人のお好み次第。試投会で振ってみた多くの意見はディスタンスモデルに人気があるみたい。

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Finesse F113-4:11フィート・3番・4ピース
あれま、このロッド11フィートを持っている感覚が無いですよ。3.3mの長さで3番なので、日本で言えば3.3mのテンカラロッドにフライリールをくっつけたようなものです(先調子です)。メーカーのページには何に使うか書いてありませんが、おそらくユーロニンフ用のロッドです。そんなに極端なティップアクションでは無いので、キャスティングも可能です。

Fine:もし、テンカラからフライフィッシングへ移行する場合、こんなロッドから入るのもアリかな?なんて思ってしまった。もっともこのロッドの価格に驚愕して購入される方は少ないかもしれませんが、いざとなったらラインを伸ばしてさらに遠いポイントを点で釣る事ができるシロモノ。

Weak:オタクなロッドだけに万人向けではありませんが、こういったクセの強いロッドを渡されたらどんな風に使おうかと考えて、僕らはワクワクしてしまうのです(笑)

フィネスロッド
マシンカットされたタイプ3加工のアルミリールシートはオービスのミラージュリールの工場で製造されているとのこと。ストリッピングガイドはチタンフレーム、スネークガイドはレックのリコイルガイドを採用しています。
ヘリオス フィネスシリーズ
写真だと分かりにくいですが、ブランクはオリーブドラブのマット塗装されています。ディスタンスはブラックのマット。以前のモデルよりもこのラインインデックスが書かれている場所が落ち着いたカラーになりましたね。

ファーガスの新製品であるアクティブハイカーというパックロッドが投入された件

先だってのNRX SRよろしく、秋になると新製品のラッシュ。で今回は岩手のロッドメーカーのファーガスの新製品、「Active Hiker」の試投ロッドを借りられたので、そのインプレッションを書いていきます。

その前に余談を一言。ファーガス社長のNくんは、一昔前はハーミットに通う大学生でした。就活が近くなると、「フライ業界で働いてみたい。」なんて言い出すものだから、「趣味を仕事にするのは大変だしビンボーになるから辞めておきなさい。」と私は窘めたのですがこの業界に入ってきました。ハーミットはそもそも店頭販売では学割があり、また学生のうちは「ハーミットで金など使うな。」と、中古で使えそうな物は学生に上げているのです。その本音を言えば、就職したらハーミットへ貢いでくれるだろうというものなんですが、ハーミットに出入りしていたその後の学生たちも順調に育ったのですが、私の意見を制して皆この業界に入ってきてしまうので、当初の目論見とは違い思いのほか回収ができていません(笑)

余談はさておきアクティブ・ハイカーのお話。今回は朝霞ガーデンに持っていき、お客様にも直接振ってもらったり、釣ってもらいながらのご意見もお伺いしたので、それを交えて話していきたいと思います。

このロッドを見る前はフォレストバムのテイストを6ピースにしたものかな、と想像していたのですが別物でした。一番短い7フィート3番は総重量は58.5gとペグ(ジョイント部分のこと)が増えたのにとても軽い。アクションはティップ側で曲がり、真ん中ら辺が少し硬く、バットセクションがグッと曲がるのでミディアムスローアクションと言えます。しかし、ラインを乗せた時の印象はフォレストバムよりもロッドに腰があり、ラインスピードが早いモデルに仕上がっています。

6ピースなので魚をかけた時にペグ部分に硬さが大きく残ってしまうかと思いましたが、思いの外カクカクとはせずに自然なベンドカーブを持っています。ただ、ロッドのミドル部分が硬いので、大きく曲げたときにグリップ側が曲がってくるので、この感覚が好きかどうかは好みが分かれるところでしょう。


f-7003AH/7feet0inch・3weight・6pcs:ロッドバランスがよく、リールをセットした時にちょうどグリップ位置に重さが来るので、キャスティングは軽快。極端にティップが曲がることがない為か、ミドルセクションの硬さによりラインスピードがあるプレゼンテーションができる。

Fine:フォレストバム7フィートモデルより使用レンジが広く使えそうで、中距離でのもたつき(ロッドのラインロードが遅くなるなど)が無い。リーダーとティペットの返りが早いのが印象的で、グラファイトに近い軽快感を持ち合わせている。

Weak:力を込めたキャスティングではグリップからグニャリと曲がるので、人によってはこの感覚が苦手な人がいるかもしれない。遠投は必要ないけれど、フルキャストをするのはかなり難しい。
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f-7033AH/7feet3inch・3weight・6pcs:4つのラインナップを見た時に、76の4番を買おうかなと思っていたけれど、実際に振った感じでこのモデルが欲しくなった。私は幅広くロッドを使うので、極端に柔らかいロッドを渡されるとキャストの修正に少し時間がかかるのですが、グラスなのにこのロッドはソレがない。

Fine:フォレストバムで気になっていた、魚を見つけてキャストが力んだ時に生まれるロッドの曲がり過ぎがなく、多少あったとしてもラインから生まれるループがテーリングしにくい。もしくはキャストの状態を選ばす、グラスでありながらかなりシャープなループが生まれる。

Weak:昨今のプログレッシブアクションのグラファイトロッドを振っている人はミドルセクションが硬めのこのロッドを振った第一印象はバットの腰の弱さにアレ?と感じるかもしれない。ただ、ラインを澱みなくロードする能力は優れているので、慣れたら振るのが楽しくなるのではないかと思う。
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f-7034AH/7feet3inch・4weight・6pcs:7フィート3インチは3番と4番が存在するが、バット径がやや太くなる程度の違い。同じ長さだけれど4番モデルの方がロッドバランスはややトップヘビーになる

Fine:昔のグラスロッドを振っている感覚で、ティップに感じる重さが自然にキャスティングアークの幅を誘導してループを生んでいる感じが、キャスティングがとても楽しくなってくる。出張の際にどんなヤマメやイワナ、あるいは管釣りでちょっと遊ぶとなったら、力に余裕があるこの4番モデルが良いかな。

Weak:振り心地は私にとっては快適なのだけれど、トップヘビーになった事で持ち重り感を感じてしまう人も多い筈。しかし、トップヘビーのロッドはラインのデリバリーがロッド自体で仕事してくれているので、それをわかって欲しいかな。使用時のロッドバランスの事を考えると、リールは最新モデルの超軽量は使わず、110〜120g位あるリールが良いかも。今回はスピードスター-3+なのでリールウェイトは91グラム位。
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f-7064AH/7feet6inch・4weight・6pcs:このシリーズで最大の長さと番手を持つモデル。3番モデルよりもトップヘビーが顕著で、ロッドがラインを運んでいる感が得られるロッド。大きめでバルキーなフライを使う人へのモデル。

Fine:ロッドが仕事すると表現する人が多いけれど、まさしくそんなロッド。所定の位置でロッドストップさえ出来れば、綺麗なループが生まれる4番。73よりも3インチ長いだけだけれど、振り心地は少し穏やかになる。グラスらしさがあり、幅広く楽しめる一本。

Weak:古い人間である私には快適なんですが、グラファイトだけを振り回している方が最初に使うグラスはこれじゃないと思います。その反対にピンピンするグラファイトが嫌でグラスらしい振り心地と釣り味を求める方であれば、コレだと思います。

アクティブハイカー
メーカーの表記でスモーキーグリーンとされたこのカラーは、ファーガスロッドのカラーの中では一番好きかも。ただ、こういった中間色は釣り休憩の最中に草むら近くにロッドを置くと、竿を探すのが大変なんです(汗)。
アクティブハイカーのインデックス
ファーガスロッドはインチは二桁であることを考慮して00インチと表記される。フックキーパーはロッドの下側。グリップ長は全てのモデル一緒で、バットエンドからワインディング(グリップ一番上)までは24センチ。グリップだけの長さは15センチ。魚をロッドに並べた場合、#の当たりが30センチになる。
ロッドバランス
7フィート3番のリールをセットした時のロッドバランス位置。この位置が前(ティップ側)に来るとロッドは重く感じ、後ろ(リール側)に来ると軽く感じます。キャスティングを快適にするためには、自分がロッドを握った位置からグリップ前10センチ程度までが快適です。あなたのリールとロッドのバランスは合っていますか?
ダウンロックリールシート
私がずっと使っているオービスのCFOIIIをセットした図。リールシートはカップ&リングのスライドバンドタイプ。リングをグッと押し込むことでコルクが締まって止まります。危なっかしく見えますが、ちゃんと止めれば落ちることはありません。
オービスのグラスロッドと比べてみる。
お客さんが持ってきたオービスのスーパーファインシリーズ(現行モデルの一つ前)と比べてみる(ピンボケでスミマセン)のは同じ7.6フィート4番。写真ではわかりにくいのですが、オービスの方がずっとバットが太くロッドバランスを考えてバット側に重心を持ってきています。なのでオービスは持った時の印象はとても軽く、そしてグラファイトチックな振り心地。それに対してアクティブハイカーはバットがやや細くスローなので、ロッドの重心がもっと前にあります。そういった場合、リールをやや重くしてロッドバランスをグリップ位置に近づけると、キャスティングが快適になります。
アクティブハイカーのベンドカーブ
魚を掛けた時の曲がり方はこんな感じ。4ピースのフォレストバムと比べるとミドルセクションがやや硬めで、グリップ側が少し曲がります。ベンドカーブを見る限りジョイント部分の硬さはそれほど感じません。
朝霞ガーデンのレインボートラウト
ということで私もこのロッドたちで実釣しましたが、ティペットをいくら細くしても切れないのは、グラスのいなす力があってこそ。そしてキャスティングはフォレストバムよりも投げやすく感じます。ちなみに朝霞ガーデンのフライポンドで横(距離が短い方)に向かって投げた場合、3番ロッドで対岸までギリギリでした。なのでこのモデルでフルキャストができる方は達人です。

 

あなたはフロータントを何種類持っていく?管理人の持ち物公開(フロータント編)

ようやく釣果が出たので休憩する気になった時、ふと思った事はフィッシングベストってドラえもんのポケット状態だってこと。「あれ、こんなものも入れていたっけ?」なんて、色々と出てきませんか? 私の場合は携帯食品(エナジーバー)やおにぎりの食べカス(外装フィルム)が至る所から出てきたりして、うっかりするとおにぎりの化石と遭遇するのです(笑)

一昔前は一眼レフをぶら下げながら釣りをしていたので、それが一番重い持ち物だったけれど、私のベストってなんで今だに重いのだろう?と思うのですが、フライフィッシャーマンは心配性だから色々なものを突っ込むのですね。ちなみにフライは数があるほど安心が生まれるので、常時持ち歩くフライボックスは大体5個かな。でも最近はその中身がスカスカ・・。

ちなみに今回持ち込んだフロータントの数は全部で7個。これでもいつもに比べると少ないんですが、そんなフロータントの良い点や使い分けについてご説明。そのついでで、昨日の釣果報告となりますので、「お前の釣りには興味がない!」という方はフロータントのハウツーだけお楽しみください。

kty 3フロータント(リキッドタイプ):液体ドブ漬けタイプでは速乾性が高く軽い(イメージ?)。フライを選ばずなんでも使える、持続性も○。魚を連チャンで釣りたい時に、水分だけ飛ばせばすぐに使える。主にパラシュートやスタンダードフライに使用。難点は部分塗りができない。

ドライシェイク(パウダータイプ):高浮力で使う人が多いフロータント。私の場合は主にフライドライヤーと同様に乾かす為のものとして考えている。なので、魚を釣った後の乾かし役。持続性は×。

フライディップ(リキッド+パウダータイプ):最近ハマっている、高浮力持続性タイプの粉もの。パウダーの付着性が高くドライシェイクやスプレーパウダータイプよりも持続性がある。しかし一匹釣った後は浮力が復活しないので、一回乾かしてからもう一度漬ける必要がある。また、速乾性はKty3よりも劣る。

ルーンダスト(パウダーハケ塗り):ミッジのインジケーターポストやイマージャーの浮力を得たい部分だけ塗布し、フライを半沈状態にする為のもの。なので使うのはラストチャンスクリップルやミッジ中心。今の時期は必要無いかもね。

⑤リフトフォース(リキッドスプレータイプ):液体のスプレータイプ。速乾性はないけれど、半乾きでも浮力はある。高圧ガスを使ってないので遠征時に持っていく人が多い。浮力の持続性が高く役目はkty3と同じかな。でも塗布直後はフライが水面につくと油膜ができるので、それを見ていると環境に悪い事をしている気分になる。

kty 激粉スプレー(パウダースプレータイプ):お店で一番売れるのはドライシェイクスプレーだけれど、それよりも白さが少ないので、フライが真っ白けよりは少しマシなので、巻いたフライのカラーの認識ができる。手軽さゆえに最初にコレを吹く事が多い。手間をかける時はパワーフロートを少量塗りこんだ後に、このスプレーを拭くと、さらに持続性が増す(と思っている)。

パワーフロート(ペーストタイプ):ルーンダストは浮力が高いけれど、持続性がない高浮力の部分塗り。こちらは浮力の持続性が高く、部分塗りが可能。なので最初にコレを塗って、浮力が落ち始めたところでルーンダストを塗ることが多い。もしくはその両方かな。ペーストはなんだかんだで万能なので、一つしか持っていけないとすれば、このパワーフロートが良いかな。

釣具屋の私なので、お店で販売しているフロータントはどれも使ったことがありますが、最近はこん7つに収まってます。ちなみにシーバスのフライフィッシングにもフロータントを持っていくのですが、フローティングミノーとリーダーにはシルバートラウトのUBFホットデイを塗ります。

余談ですが、最近フロータント以外の工業用グリースや防水スプレーをフロータントとして紹介するページを見受けますが考えることは皆同じで、もちろん私も過去に色々と試しました。結果、衣料に使う防水スプレー類はフライに防水効果はあるものの浮力はほとんどないので銀幕を覆ってフライは沈みやすいです。工業用グリースは粘度が高くフライの産毛が潰れてしまい、つけ過ぎると重くなりその効果はほとんどありませんし、CDCに向いていません。やっぱりフライメーカーさんは色々と配分を考えて製品を出しているのだなぁと思うのが私の意見です。

フロータントをこんなに持ち歩きたくない方は、最初の一本はペーストタイプを買いましょう。CDCフライを使わないのであれば、アクエルもオススメできます。私はペーストフロータントをドバッと大量に付けますが(染み込ませたほうが効果が長続きする様に思えるので)、一般的には薄く伸ばして浮かせたい部分だけに塗ります。

さて、フロータントの話はこの辺にして、後半戦は昨日の釣りのお話。

岩陰から魚
最近はフライが足りていないので、手元にあるフライでなんとか釣りをしている次第。なのでお店で売っているコマーシャルフライを使うか、色目だけ夏っぽいフライだけれど季節感がないフライを使っていたりして・・。そして今回訪れたこの場所も車を降りて2時間以上渓流を歩きました。渓に入ってみると既にヤマメの盆隠れが始まってました。
夏はポイントまでが遠い
この木の実がいっぱい落ちている時点でどこの県にいるかお分かりですね。
イワナ
この川はかなり深く入り込んでもイワナとヤマメの混棲。落ち込み前や岩陰にはイワナ。早い流れの筋や流れの頭ではヤマメが釣れます。
ヤマメ
ヤマメはすっかり黒ずんでしまい、レッドバンドが色濃くなりました。時折見かける大物はとても浅い細かな砂利上で定位し、見つけるとすぐに深みへ逃げてしまいます。仮に見つからないようにして上手くキャストしても、フライが通ると逃げちゃいます。まだペアにはなっていませんが、すでに産卵モードに入ってしまった個体がいるようです。
山奥の渓流
どシャローの強敵を見つけてはチャレンジはするものの、何を投げても一投目で逃げてしまいます。なので、見えた尺に近いヤマメは一つも取れず。元気が良いのはまだ食欲旺盛な6〜7寸サイズのヤマメ達。
イワナとヤマメ
イワナもヤマメもそこそこに釣れたのですが、ツ抜けは出来ず。見えている大物は一つもキャッチできません。更に渓流には虫っけは何もなし。アブさえもいません。イワナ狙いならばもう少し釣りにはなるでしょうが、これからのヤマメは釣れても婚姻色が強くなるので、私の中では今シーズンの渓流釣りはこれで終わりだと感じました。
ナースローグ
こんな場所をかき分けて斜面を降りると、この川があります。様々な紅葉樹に支えられたこの森は、朝方に雨が降って気温が上がったので、退渓するために下流へ降った時に要所でなんとも言えぬカツラの甘い匂いが漂っていました。もうすぐ秋ですねぇ。
2023年渓流シーズン終焉
今月の火曜日は残すところあと一回ですが、私の2023年渓流シーズンは幕を閉じましたので、あとはみなさまに任せます。秋になれば湖の釣りやシーバスが忙しくなるのですが、まずはフライを巻かないことには、すべてのフライボックスがエンプティ状態です。明日はタイイングできるかなぁ・・。

水道橋を離れ、新天地 大塚駅からHMTまでの道のり

ハーミットは2022年11月30日に26年間お世話になった水道橋を離れ(ビル老朽化解体の為)、同年12月1日より大塚駅南口へ移転しました。そもそもなぜ水道橋にあったかといえば、私の実家が近所な事と、若かりし頃に後楽園の中にあった釣具店で働いていたので、勝手知ったる場所なので居心地が良かったのです。そんな愛着ある街から離れて今度は豊島区の大塚になった訳ですが、決して私にとって未知の領域ではありません。

僕らの世代都民あるあるの話なのですが、私は文京区出身なので第四学区の人間で、当時の学区制度があったお陰で、その中が自分のテリトリーといった意識があるのです。ちなみに第四学区は豊島区・文京区・北区・板橋区の4区からなり、ビンボーな家の私はもちろん都立高校へ行ったので、何群に入ったかで頭のレベルが分かってしまうので、言わない(笑)。ちなみに四学区の秀才集団は41群を受けて小石川か竹早高校に割り振られます(自分が行きたい高校へは行けないのです)。

1970年代後半の豊島区内の僕らの遊び場といえば、巣鴨拘置所跡地に作られたサンシャイン60で、その地下にあったザ・ゴリラというゲーセン(まだギャラクシーとかスペースインベーダーの時代)で、キングコングの原寸大とも言えそうなゴリラのロボットがあった印象的な場所。そして高校生になって初めてアルバイトをしたのが大塚駅・北口にあったマクドナルド(この話どこかで書いたかな?)。そうそう大塚と言えば吉田幸二さんがやっていた喫茶店『ルイ』にも良く行ってましたなぁ(B.A.S.Sのオターズの方々に遊んで頂いてました)。

いずれも既にその姿はありませんが、学生時代はかなり頻繁に遊んでいた地域なんです。さて、そんな場所に引っ越したハーミットですが、お客様に「大塚へ引っ越しました。」と言っても山手線の駅だと言う事さえ知らない方もいるほどの知名度の低さ。これから大塚の知名度向上の為にハーミットは頑張って参ります。

以下は電車(JR)でいらっしゃった場合に見える景色と解説を加えましたので、ご来店いただける時の参考になれば幸いです。それ以外には有楽町線(東池袋駅)丸の内線(新大塚駅)都営荒川線(向原)などからでもご来店頂けます。

ハーミットの看板
ハーミットの大きな看板は持っていく事はできず、このまま水道橋でビルと一緒に解体される事となりました。裏話ですが、この看板はとあるコンビニの看板制作に失敗したものを裏返しにして作ったものなのです(笑)
水道橋ハーミット
水道橋ハーミットの最後はこんな感じ。お仲間の手伝いあって、半日でこの状態に。壊すのは早くても復旧は時間が掛かりましたなぁ。
JR大塚駅南口
さて現在のハーミットですが、大塚駅は改札が一つしかありません。改札を抜けたら右手に曲がり南口へ。出たらすぐに駅前をもう一度右に曲がります。駅ビルのatre vieに沿って緩い登り坂を上がって行きましょう。
大塚駅南口空蝉橋方面
ゆるい坂道を登り始めるとすぐにポストがあります。右手のアトレヴィエが終わると地続きでホテルベルクラシック東京に変わります。
大塚駅アパホテル
左手に見えるのはアパホテル。この辺はホテルだらけで、泊まるところは沢山あります。緩い上り坂は空蝉橋までずっと続くので、250mくらいはあるでしょうか。釣りに行くための準備運動だと思って、ゆっくりと歩いてお越しください。ハーミットまでは歩いて4分ほどです(合計300mほど)。坂道が苦手な方は有楽町線(東池袋駅から約12分)か都営荒川線(向原から約5分)からだと、その道のりは平坦です。
空蝉橋南側
登り切ると空蝉橋南側の信号です。その目の前へ来ると、コインパーキング越しにハーミットが見えてきます。ちなみに奥に見えるビルはサンシャイン60で池袋サンスイさんからハーミットまでは歩いて20分程。土日においでの方はお散歩がてらに買い回りする事をお勧めします。
空蝉橋周辺
駐車場を突っ切ってそのまま進めば最短ルートですが、気になる方は左右どちらの通りでも来られます。
ハーミットの看板
幸ビルという名前ですが幸が薄そうな雑居ビルの2階がハーミット。見上げるとこの看板が見えると思います。慌てて作った看板なので、味も素っ気もありませんが、まぁ許してください。
ハーミット
左の道から回って入ると、見上げた場所にこの看板が見えるかと思います。右側から回った場合はALKAという有名なシューズ屋さん手前を曲がったところです(ALKAはこの周辺に3軒ありますので、ハーミットはALKAさんに囲まれた格好になっています)。
Googleマップ
Googleマップで見るとこの位置になります。大塚駅ホームの端よりやや上にあるのですが、住所は東池袋になります。地下鉄・有楽町線の東池袋駅(Y10)からだと歩いて12〜3分程度です。また、丸の内線の新大塚駅(M24)からでも約10分程度なので、JR山手線・有楽町線・丸の内線・都営荒川線の4路線からハーミットへ向かうことができます(もっと言えば都営三田線の西巣鴨からだと20分かな、ちょっと遠いけれど・・)
ハーミットの扉
なんとなく怪しい階段を2階へ登っていただければ、こんな感じの反社会勢力の事務所でもありそうな鉄扉のハーミット。ノックをせずにそのまま開けて頂いて問題ありません。扉を開けるのに勇気がいるかもしれませんが、その扉の先にはフライフィッシングの夢が詰まっています、と言うか皆様にそう思われるお店になれる様、精進してまいります。

Scott Wave(ウェーブ)シリーズのインプレッション

今秋の新製品としてスコットから高番手モデルとしてウェーブシリーズが発表されました。発売を機にメーカーさんからサンプルロッドを早々にお借りしたので、荒川の土手にて試し振りを楽しんできましたヨ。

このロッドはコロナ禍のマテリアル不足の影響で製造中止に追い込まれてしまったタイダルシリーズの後継機種にあたります。高番手モデルということでソルトウォーター専用のイメージがありますが、実際にはブラックバスやコイなどのターゲットを含めて考えられているロッドで、狙うターゲットの重さが1キロ以上の魚であれば、トラウト類を含めてこのシリーズの出番だと思ってください。

同じ高番手のシリーズである上位機種のセクターとの違いは、使われているテクノロジーは同じですが見た目が似通っていてもカーボンマテリアルやパーツが異なります。ロッドは全て9フィートモデルで統一。安直にセクターのテーパーデザインをそのまま使ったものなのかと勘ぐりましたが、同じ番手を比べても各セクションの太さが異なるので、テイストは全く別物だと思って良いでしょう。リールシートのフィラーにはブルーのクロス柄が採用され、リールとセッティングをした時に良いアクセントとしてロッドを引き立ててくれます。

さて、前置きはこの辺にしてこれから1本ずつインプレッションしていきますので、お暇な方は長い文章にお付き合いください。
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W 906/4 9feet・6weight・4pcs:「あれ、結構硬い。」と感じたのが私の最初の一振りの印象。セクターと同じラインウェイト推奨レンジになっていますが、こちらの方がやや硬めに感じたのは今回使用したラインがフレッシュウォーター用の標準ラインだったせいかも? バットは太めでフォルスキャスト時の感覚は先端から3割が曲がり込みます。

Fine point:お店でロッドを振っていると特に高番手はリールが付いていないので振り抜いた時にその反動が重さとして感じてしまいがちですが、そんな反動が感じにくくて更にはミドルレンジまではループに乱れを感じませんでした。ロングレンジでもティップは暴れにくくハイエンドモデルと遜色のないキャスタビリティだと思います。

Weak point:ラインの推奨値は30フィートで160〜180となっていますが、今回は一般的は160グレインの重さを使ったら軽く感じました。なのでハーフヘビーウェイトなどの若干重めのラインにセッティングされているのだと思います。

6番モデルの活躍するシチュエーションは、フラットでのクロダイ狙いに堤防のカマスやアジなど、近隣で楽しめるコイやブラックバスなど。フローティングミノーで狙う中小型のシーバスゲームでも活躍しれくれることでしょう。このシリーズはワンポイントになっているシートのブルーがカッコイイです。
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W 907/4 9feet・6weight・4pcs:誰でも直感で「これ欲しい。」と思ったこはあるのでは? なんかビビビときましたので、私はこのロッドを注文してしまいました。それとも7番を使う機会が少ないから、使ってみたくなったのかな?

Fine point:ロッドが素直に曲がる7番で6番モデルよりも硬さを感じませんでした。通常のフォルスキャストでロッドの曲がっているポイントは先端から2.5割くらいで、6番よりもややティップアクションと感じます。遠投時に大きな負荷を掛けた時にバットは硬すぎず曲がり込んでくれます。

Weak point:雰囲気は6番モデルのアクション違い的な感じで、遠投時にティップがやや暴れている感じをうけます。多分パーツがセクターと違い一般的なガイドが使われているので、その重量がブレを生んでいるのだと思います。最もジャジャ馬と感じると、キャスティング魂に火がつくので、スキルを磨き上げたくなる私みたいな人が欲しくなるのかも。

このロッドのライン推奨値は185〜205となっていますが、一般的な185に近いラインが良いと思いますので、ハーミット的にはエアフロのコールドウォーターWF7Fがドンピシャかな?この7番だけがシリーズ的に特に変わっているわけではないので、6番モデルの延長線上にあるものと思ってください。
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W 908/4 9feet・8weight・4pcs:私はセクターの8番を使っているので、そのモデルと比べると微妙に柔らかく感じました。ロッドへの負荷をかけると徐々に曲がるプログレッシブな感じはセクターと同じ。

Fine point:ショートレンジでもロッドがよく曲がりミドルレンジまでの素直さが際立つアクション。この8番手にはソルト用のリールをセットする事でロッドバランスが劇的に上がり、キャスティングに疲れを感じさせません。

Weak point:ロングレンジではティップの暴れを少し感じましたが、ロングレンジの力を込めた時だけなので釣りにはさほど影響はないでしょう。7番モデルと同様にティップが細く仕上げられているのに、パーツが一般的なガイドなので、そのあたりがティップの暴れを少し生んでいるような気がします。

私は8番のシリーズは色々なモデルを使用しているので、その違いがロッドによりかなり変わるのを感じますが、一般的に言えばこのロッドはとても優等生。だって30ヤードのフルキャストなんて、実際の釣りではほとんどないのだから。グリップの硬さ、アキュラシー性能、ロッドの汎用性などを考えたら、ソルトウォーターはこの一本でかなりの種類が楽しめるでしょう。
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W 909/4 9feet・9weight・4pcs:ロッドバランスよろしく、持ち重り感がとても少ない9番手。アクションはややティップ気味で8番に比べるとバットが少し太くなります。

Fine point:ラインウェイトも9番になると安心したデリバリーができるウェイトがあるので、風に負けないフルキャストが可能なパワフルさを感じます。フォルスキャスト時のロッドの曲がりは、トップから2割程度が曲がるファストアクション。バットの強さを感じます。

Weak point:パワフルさに伴ってショートレンジでのキャストがしづらくなる番手なのは致し方無いかな。

9番ロッドを振り回していた時に丁度強い風が吹いていましたが、風を切り裂くウインドカッターの様な狭いループを生み出します。8番ロッドを使って曲げ切らない人は9番のラインウェイトを使ってシーバスを狙うのもアリだと思います。時に東京湾は大きなブリやサワラも釣れますしね。

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W 9010/4 9feet・10weight・4pcs:10番から急にパワフルらしさの次元が違う感じがするのとロッド単体の時と違い、リールをセットした時のロッドバランスがとても良く、10番でありながらキャスト時にかかる負荷が少ないイメージ。

Fine point:バットのトルクが更に強くなる番手でありながら、持ち重り感がとても少ないロッド。手首や握力が弱い無い方で大物をチャレンジするのであれば、この10番は人への負荷が少なくフライをより遠くへデリバリーすることが可能と感じます。

Weak point:大物狙いをしない人には用無しの竿。10番から上のモデルは汎用性が乏しいので、よく考えて慎重に選びましょう。

このシリーズを全て振ってみて思うことは、より高番手なほどリールをセットした時のロッドバランスがとても良く感じます。もしシイラ、カツヲ、その他青物などを狙うのになるべく使い勝手の良いロッドを、という方には、かなりお勧めできる一本です。

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W 9011/4 9feet・11weight・4pcs:11番のラインを持っていなかったので、12番のターポンラインでキャスティングしました。体への負担をかけずに一発でフルキャストができる頼もしいバランス。キャストを繰り返す度に大海原へ出かけたくなる気分になります。パワーを持たせるためにティップが太くなるので、フォルスキャスト時のロッドの曲がりは、トップから3割あたりまでが曲がり込みます。

Fine point:11番と12番のラインウェイト差は50グレイン(約3gちょっと)なので、この辺の番手になるとラインが1〜2番手変わったところで重さが足りないと感じることはありません。11番って本当に必要なの?と思っちゃう私。しかし、12番よりも軽くキャスティングを繰り返しても体への負荷が少ないと感じる11番はとても優秀です。

Weak point:11番というロッドを選択した場合、11番のフライラインをストックしているフライショップはまずないでしょうから、ラインが取り寄せになります。最もメーカーさんもほとんど在庫していない番手なので、欲しくなったら実際に釣りへ行く相当前にロッドもラインも予約した方が良いと思います。衝動買いでタックルが一式揃いません。

私にとっては振り抜きがとても軽くとても欲しくなった一本。インタミのターポンラインを振り回すたびに、ターポンの釣りを思い出し、その先頭へ着水させるイメージでキャストを繰り返していたら、また中南米に行きたくなってしまいました。歳も歳だし、今のうちにもう一度行っとかないとねぇ。

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W 9012/4 9feet・12weight・4pcs:ウェーブ最大番手である12番のパワフルさは文句なし。バットがとても強く、ラインを木に縛って思いっきりしならせちゃいましたが余裕のトルク。多分その光景を見ている人がいたとしたら、「あいつ大丈夫なんだろうか?」と思われてたと思います(笑)だってニヤけながら木と引っ張りっこしてたんだもの。

Fine point:ティップの直径がかなり太く反発力をロッド全体で伝えるパワフルさがロッドから感じられます。その分ロッド全体が曲がる感覚で、キャスティング時はトップから3割ぐらいでフォルスキャストをしている感じ。ロッドもある一定のところからバットの支えを強く感じます。

Weak point:11番に比べるとそのパワフルさを持たせるために、ロッドを振り抜いた時の反動がやや重いので、腕力のある人向きといった雰囲気がある。

最大番手であるこのモデルは、遠投を繰り返すのは体に堪えるので、ワンキャスト必殺のターポンや、近場の散水周りを狙う大型シイラなどに向いたモデルといえます。
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今回このシリーズ全体を振ってみてしみじみと感じた事は、スネークガイドやトップガイド、更にはバットガイドの重さやリコイルガイドの反発力は、軽く低い番手にはとても影響するんだなという事を感じました。8番〜12番はそれを感じませんが、低い番手はその重さを感じてロッドがややブレていると感じるのは、普段高級なロッドを振り過ぎているからでしょう(あくまでも私の感想です)。まぁ微妙な差なのですがその差の6万円に対して問題がない方は、低い番手に関してはセクターをオススメします。

スコットのwave
ウェーブシリーズのシートはアップロックダブルロックスクリュータイプ。GSシリーズのシートに似ていますが、アルミの支柱が4本でシートフィラーにカーボン柄のブルーフィラーが使われています。
セクターとウェーブの比較
グリップとシート部分を私が使っているセクターと比較すると、ウェーブの方がカッコイイ。グリップ長は同じでエクステンションバットの形が異なります。
セクターとウェーブのロッド比較
スコットロッドは全てネームインデックスとロゴはペンによる書き文字。なので、どれもその時の個性があります。セクターはメタリックブルーのティッピングに対し、ウェーブは普通のブルーカラー
ティボーとライトスピードM
今回キャスティングインプレッションを書くために持って行ったリール達。私はティボー好きなので高番手の8割近くがティボーかな。それ以外はラムソンのライトスピードMとビリーペイト、TFOなどなど。
ウェーブとリールのコンビネーション。
ロッドをセットした時の雰囲気をみてもらうために、写真を撮ってきました。ソルトの場合、リールは軽ければ良いということもなく手元に重心があった方が良いので、高番手はある程度重さのあったバランスの良いリール選びが大切です。

エアフロ スーパーフロ リッジ2.0 パワー テーパーを使ったインプレッション

今回も長たらしい名前なのでハーミット的には、「フロリッジ・パワー」と呼びましょう。スパーフロのパワーテーパーはこの2.0と通常のスーパーフロ、そしてソルトがあります。通販の時に間違えそうでやだなぁ、と思いながら仕事をしてますが、今のところ間違えずに頑張っておリマス。

今回は芦ノ湖へドラワカの釣り用として持って行ったのですが、実際にはこのラインでじっくり釣りをする時間が取れず、ラインの振り心地を含めて正味2時間程度使った話になります。タックルはウィンストンエアの9フィート6番ライトスピード -5+でリーダーはTHトラウト10feet・2x

スーパーフロ・パワーテーパーとの違いはタクティカルテーパーと同様にッジ加工がしてあるかどうかの差で、それ以外はテーパーデザインを含めて全部一緒。リッジ2.0の効果はいかがなものか? に尽きるというところ。タクティカルテーパーと違って今回は距離が必要な遠投のシチュエーションなので、リッジ効果はかなり感じますな。ラインのサラサラ感とガイド離れの良さはかなり違うと感じます。

ウィンストンエアは他のメーカーのハイエンドモデルと比べるとやや柔らかく感じる6番なので、ショートレンジの重さがないシチュエーションであっても、ティップが程よくしなってくれるのでラインデリバリー時に重さが足りない感は無いので、このラインでなくても振りやすい印象。そしてライン癖がなく使っていて気持ちが良い(まだ新しいからですが)。

このラインは番手によりヘッド長が変わりますが、6番ラインの場合は37フィート(約11.1m)。AFFTA規格の規格である30フィート(9m)時の値(重さ)で言うと6.5〜6.8番ぐらいになる計算。私の場合はホールする長さがこのヘッド全体を生かしてキャストするので8番に近い重さでシュートしている事になります。ロッドがボロンロッドということもあるので、その重さでも腰砕けする事は無いので私は思いっきり振り抜いちゃいますが、ラインは適度な硬さがあるので暴れる事なく飛んでいきます。

ラインの表面はサラサラした感じで、リッジのイメージがあまり感じられないのですが、その触り心地が以前のリッジとは全然違う事を感じてます。ただリッジを持たない通常のスーパーフロの方がライン直径がやや細く感じるのですが、これは気のせいかも? ノギスで測りたいところですが、硬い素材では無いので測りづらくその辺はメーカーさんに確認を取らないとその詳細は分かりません。またラインは見た目が鮮やかなカラーで、ランニングラインがオレンジ(ブレイズ)で、ベリー部はシアンブルーなのは個人的に好き。通常のスーパーフロはランニングラインが紫ですからねぇ。

高番手で遠投の場合はリッジの効果は絶大ですから、特に遠投を意識する5番以上のラインを求める方にとっては価格差¥5,000の価値はあると私は思います。

今回使ったこのリッジフロ・パワーテーパーのダメ出しは考えても少ないのですが、あるとすれば今後使用していての耐用年数がどれぐらいかとライン癖が後にどれ位残るかなどの点なので、一年位使ってみないとその様子は分かりませんので、それはそまたどこかで報告いたします。

ラインの使い心地
同じパワーテーパーのスーパーフロは個人的にそのカラーがいただけなかったので、配色は私的には好き。ラインインデックスは以前のものよりもカラーがはっきりしていて、老眼の私でも読み取りやすくなったと感じます。
スーパフロリッジ2.0パワーテーパー
商売だから致し方ないことかもしれないけれど、毎回インプレッションを書くために人柱になってラインを交換するのはかなりの出費。このブログでラインを褒めちぎれば、少しは通販で売れる様になるのかな(笑)。でもそれだとハーミットらしくないので、やっぱりこれからも駄目なところ(というより個人的に気に食わないところ)は指摘していかないとね。
芦ノ湖ブラウンンハント
ちなみにこのラインを使って芦ノ湖ブラウン銀座を少し攻めましたが、同船者が攻められる距離にするとボートポジションが近すぎる状態。なので、魚は出るには出たもののいつもより少ない、ひと流しで3回のコンタクト。そのうち1バイトありましたが、フッキングせずで終了・・・。

Scott Centric(スコット セントリック) インプレッション2

昨日は朝練(朝霞ガーデンでフライフィッシング)の後にキャスティングスクールを行ったのですが、渓流のオフシーズンに入った事もあり、多くの方に参加頂き大盛況でした。フライ業界の行先を悲観しているこの業界ですが、皆さんの熱量がある限り僕らは絶滅せずに生き延びられそうです。

さて、その朝練でマーヴェリックさんからセントリックをお借りしました。モデルは904/4・905/4・906/4・907/4の4モデル。このうち905/4は以前のブログで紹介したので、それ以外のインプレッションと実際に魚を釣った感想を書いていきます。

今回、違う番手を含めて振った総合的な感想はやっぱりラディアンの後継機種というイメージではなく、別の新たなジャンルを作ったと思われるシャープさがあります。今回のキャスティングスクールで触れた多くの方々の印象は「Gルーミス風」と言われてましたので、その言葉からそのシャープさが伝わるでしょう。

ただこのロッドを実釣で使ってみてわかった事は、通常は硬いロッドといえば、ロッドの先しか曲がらずショートレンジの投げにくさが際立つのですが、6〜7番でも近距離でロッドの曲がりは得られるので、80年代のハーディグラファイトっぽいアクションにも感じられます。そしてもう一つ際立つのは尋常じゃない軽さ。どのモデルも感覚的には9フィートを振っている感覚はなく、8フィートかと錯覚するのです。今回お借りしたデモロッドの重さは全て測ってみましたので、ロッドの平均重量として参考にしてみてください。

総合的にこのシリーズは本州の渓流には用無し。北海道・本州の本流・湖・ライトソルトウォーター (フレッシュウォーター用ですが使えます)だと思ってください。また、このロッドはキャスティングのし易さを極めたロッドとも言えますので、釣り味や個性を求める玄人好みの竿ではないかもしれない事を付け加えておきます。


C904/4・9feet 4weight・4pcs(自重:89.51g)
Fine:9フィート5番のインプレッション時にも感じた事ですが、この軽さはびっくりするほど。最近のロッドコマーシャルには良くeffortless(努力知らず)と書かれていますが、このロッドは疲れ知らず(tireless)かな。感覚はまるで8フィート。私が振ってみたところ、ピック&レイダウンだけでフルラインが出ました。面白がってダブルホール無しでトライしましたが、流石にそれではフルキャストは無理。それでもあと2mほどでフルラインというキャスタビリティ。感覚的には物凄く軽くライン番手が軽いにも関わらず、その仕事は6番で遠投という感覚が得られます(風には弱いでしょう)。

近距離〜中距離:前述のように近距離での違和感が少なく、そしてラインの乱れが生じないミドルレンジ。ダブルホールができない人でも、そのラインスピードはビックリするぐらい上がります。とは言ってもこのロッドのお仕事的にはミドルレンジ〜ロングレンジを得意とするロッドだと思います。

中距離〜フルライン:キャスティングアーク(ティップの移動距離)を多くする事で、4番という番手なのに呆気なくフルキャスト。投げている方も努力している感が少なく、ビックリ。今回のお披露目でこの4番とC905/4の人気が二分してました。その理由は今まで5番でやっていた事が全て4番でこなせるという感じ。そしてお魚を釣ってみて思ったのは30cm以下の魚は用無しの大物狙い。だって菅釣りの標準サイズは簡単に寄ってきてしまうんだもの。

Weak:9フィート4番という長さから考えても、関東の渓流ではほぼ使わないだろうと思う。また、20センチ程度の軽い魚だと、魚がジャンプするとロッドの反発が強いので、すぐにバレてしまう感じだった。私はこのロッドを買おうと思ってますが、使用用途は今までやっていた湖のドライフライフィッシング(9フィート5番)をこの4番にシフトダウンしようと考えてます。なぜかって?私もジジイですから、やっぱり一日中振り回して楽なロッドが欲しいのです。

追記:私はこのC904/4を購入しました。湖のドライ用に使っています。


C906/4・9feet 6weight・4pcs(自重:92.67g)
Fine:遠投への憧れがある人にはぴったりなロッド。重りとなる9mのラインさえホールできれば、最小の努力で遠投ができる軽量ロッド。または遠くへ飛ばせる楽しさを教えてくれるモデル。キャスティング練習用と書くともったいない金額なので、湖のトラウト全般からブラックバスやライトソルトウォーターターに至るまで、マルチに楽しんでもらいたいです。私がこのロッドと使うとしたら、遠投が簡単に効くのでシンキングラインの釣りを中心に使うでしょう。またはブラックバスやカマス釣りも楽しんじゃうかな?

近距離〜中距離:6番ロッドの場合近距離というのがあまり必要ではないけれど、このロッドはやはり近距離〜中距離時のキャストに投げにくさを感じません。トラウトではないですが、近距離の釣りを中心とするブラックバスにはかなり向いたロッドだと思います。この番手のグラファイトロッドとしては珍しいですね。

中距離〜フルライン:その軽さも手伝って、最小の努力でラインスピードが得られるロッドだと思います。同じ番手の他のロッドで投げにくさを感じている人には、こんなロッドもあるんだなと思って頂くために、一度は振ってほしいと感じます。

Weak:あまりにも努力が入らない感があるので、長年フライキャスティングをやっている方々から「面白くない。」と言われました。キャスティング練習を一生懸命してそのロッドに慣れながらフルキャストを目指す人にとっては真逆のロッドなので、言っている事はわからんでもないです。しかし、一般の方はその努力が嫌なんですものね。またロッドの粘りは少ないので、実際ブラックバスを釣ってないですが、もしかしたらバレやすいかもしれません。


C907/4・9feet 7weight・4pcs(自重:97.09g)
Fine:7番なのに仕事は8番以上を感じさせるのは、キャスターの負担を感じさせない点からでしょうか。その絶妙なロッドバランスと軽さから、手首への負担が最小現に抑えられている感じを受けました。通常はただ硬いというロッドだと、ロッドから伝わるラインの重さに手首が耐えられず反り返ってしまう方が多いですが、不思議とその重さを抑え込めるのです。これって最新の技術が盛り込まれているせいなのでしょうか?

近距離〜中距離:近距離は必要ないでしょうから、そんなに真面目に振りませんでした。力を入れずにピック&レイダウンだけで、フライラインの半分以上は行ってしまうので、最小限の努力で誰でもフライラインの2/3は投げる事ができるのでしょう。

中距離〜フルライン:流石に7番ですから、ある一定のレベルを超えた人には簡単すぎるフルライン。なのでエフォートレス&タイヤーレス、操作性に関しては全く文句なし。7番でありながら8番の距離を簡単にものにできます。ロッドのパワーは十二分、大物思考のアングラー向き。ロッドのパワーをとても感じるので、私だったら湖のシンキングライン専用ロッド(または川での大物狙いシングルハンド)として使う事でしょう。

Weak:7番だけれどそのパワーはすごい。なのでロッドがちょっとやそっとの魚じゃ曲がりません。ラディアンはティップ側が曲がった更なる荷重でバット側が曲がる感じだけれど、このロッドはティップ側が少し曲がった後はバット側が微動だにしない印象。バーブレスフックを使用して飛んだり跳ねたりする魚を相手にしたたら、すぐにバレちゃうかも?そんなイメージです。


今回のロッドは全て9フィートモデルなのでお店でも一番売れている長さですが、個人的にはこのシャープな硬さと軽さを持っているのであれば、9.6や10フィートモデルも触ってみたいです。

ラインをロックして思いっきり曲げてみました(C904/4)。ベンドカーブはラディアンよりもスムーズ。グイグイ曲げてもバットの腰砕け感は全く無し。
軽くチョインと振ったループでこんなにシャープ。ロッドは軽くお辞儀するだけですが、Gルーミスほどティップに寄り切った曲がりではありません。
セントリックはジョイントセクションに赤いティッピング。あまりにも目立たないので、個人的には嫌だったのだけれど、太陽の下に出て初めてこの赤の綺麗さに気づきましたよ、ティンセルの赤だったのね。キラキラと輝いてました。
シングルスクリューロックだけれど、シリコンのレッドラバーリングを入れる事で緩み留め防止。ロッドバランスを考えて、バットエンド側に重量を持っていきたくなかったのかな?シートフィラーカラーはお好みが分かれるところ。
この写真下には25cmほどのレインボーが掛かっているベンドカーブ。すごく曲がっているように見えますが、魚はほとんどぶら下がっている状態だから、約200gぐらいの負荷が掛かっている曲がり。C904/4とスピードスターのコンビネーションはめちゃくちゃ軽かったです。

Scott Centric 905 インプレッション(スコットのハイエンドモデルロッド)

昨日の釣行で初めてセントリックの9フィート5番を振ってきましたので、その印象を書いてみます。このセントリックは新製品見たさにお客様がUSAから早々に取り寄せたもので私のものではありません。本当は午前中は自分のラディアンを使い、午後はセントリックを使ってその使い心地を楽しむ予定でしたが、色々とありまして帰り間際に試投したという感じです。あ、写真も撮り忘れました。

ラディアンは発売から7〜8年経ったのでしょうか。そろそろフルモデルチェンジかと思った昨年はセクターが発売され、今年になってこのセントリックが2021年モデル後継機種として発売となりました(11月発売)。

ロッドのディテールはティッピングのカラーやシートフィラーの変更などなので、形状の大きな違いは見られません。しかし持たされた時の第一印象は予想通りに軽く、ファーストキャストの印象は「あれ、このアクション昔に似た様なのがあったな。」と思わせるアクション。そう、今から15年ほど前にあったスコットのSTSを思わせるアクションです。もちろん私的見解ですから皆さんにはどう感じるかは分かりません。

九州ラーメンで例えるならば、「すみません、バリカタで!」と注文するとこのロッドが出てきます。私のラディアンが使い込み過ぎて柔らかくなっているせいもあるのかもしれませんが、ラディアンが標準のファストアクションとするならば、それよりももう少し硬く感じます。決してハリガネやこな落としではないので、棒のような硬さではありません。


Fine:キャスティング時の持ち重り感はなく、なんて軽いこと!感覚的には8フィートのロッドを振っている時の手首負担と変わりません。そしてロッドを曲げた後の復元スピードが速いのでループがとてもしまって飛ぶのが特徴です。ちなみにロッドの振り抜きの良さも手伝って、一定のスキルを超えている人であれば一振りでフルラインキャストできます。

0〜5mキャスト:こんな硬く感じるロッドは近距離はさぞかし振りづらいだろうと思ったけれど、ラインを通さない素振りの時よりもティップの曲がる感じはわかりやすく、私的には苦痛ではなかったです。とは言ってもロッドにライン負担があまりない状態で振るわけですから、一般的にいえば振りにくい距離と言えます。

5〜10mキャスト:ラインはエアフロのスーパーフロ・エリートを使いましたが、ミドルレンジはスムーズさが際立つ投げやすさ。ロッドの復原力が速いのでラインスピードもあり大きなフライを難なくターンさせる性能があります。とにかく軽い、長さを偽っているのではと思うほど。

10〜25mキャスト:あっけなくフルライン。ロッドベンドカーブはラディアンと比べるとバット部分のコシがより一層強くなった雰囲気。そして5番でこれほど苦労せずにフルキャストが出来ると言うのはロッドの進化するスピードに感嘆します。6番の仕事を5番でこなす、これがセントリックの様な気がします。

Weak:ウィークポイントとは言い難いですが、ラディアンの振り心地そのままにと言う感じはあまりなく、私的な見解ではSTSシリーズにかなり近いので、とてもシャープな振り心地です。当時のロッドの重さとでは雲泥の差があるので、全く一緒とは言えませんが、振った時の曲がり具合や復原力がそう感じました。なので、30センチ以下の魚はこのロッドにとってはあまり曲がらないので雑魚同然。大物志向、あるいは北海道専用ロッド的なイメージです。


そして私はどう思うか?と言うと、ラディアンとはまた別次元にある軽さと強さを兼ね備えたロッドなので、当初は5番を買おうかと思っていましたが、今は9フィート4番に心が動いてます。私の使い道は湖のドライフライフィッシングと北海道のドライフライフィッシング兼用ロッドなので、セントリックが手に入った暁には、私のラディアンはバックアップロッドとしてしばらくは活躍してくれる事でしょう。まだ他のモデルは見ていませんが、6〜7番は湖のシンキングライン用に向いているかも?です。ちなみにかつて使っていたSTSはソルトウォーター とフレッシュウォーター兼用ロッドとして活躍してました。

グリップとリールシートは全くもって一緒。その違いはシートリングのカラーとシートフィラーの素材の違い。セントリックのサンプルロッドの自重は測ったところ、C905/4は90.98gでした。
まだシリーズ全部を見ていませんが、この雰囲気だと9フィート6インチ以上のモデルの操作性は相当向上している事でしょう。9フィート6インチの6番も気になるなぁ・・。さらに他のモデルのデモロッドを後日振りましたので、こちらもご覧ください。

FAGUS Forest Bum(フォレスト バム) のインプレッション

さて、こちらはフォレストバムのインプレッションです。ファインループとの大きな違いは見た目のカラーリングとシリーズのアクションの違い。ファインループが繊細なアクションのシリーズだとすると、こちらはそれよりもバットの腰があり初めてグラスロッドを振る方でもキャスティングの難しさは無いと思います。但し、それでもグラスの中ではかなり柔らかい方なので、グラファイト並みの硬さを求める場合は、エピックやオービスのスパーファイングラスという選択肢になるのかな?

私のフライ歴史の前半はグラスロッドで育ったので(と言うかグラスしかなかったので)グラスへのキャスティング慣れがあるので、書いてある文章にはかなり使いやすい風に書いてあるかと思います。ですが、グラファイトロッドしか振った事がない人にはファインループシリーズを含め想像以上に柔らかいと思いますので、そんな方は話半分で聞いておいてください。今回は一辺に6本振ることができ私にとってはフォレストバムの投げやすさはかなり刺激的でしたので、来年までにはまた私のロッドストックは増えてしまう事でしょう。


f-7003FB/7feet ・3weight・4pcs:見た目のグリーンが自然に溶け込むカラーで使っているとなんとなく和やかな気分になってくるシリーズ。これくらいの長さだとひと握りのグリップもしっくりきます。そして7フィートモデルはこの三種類の中では私的意見では1番の優等生。扱いやすいグラスロッドらしいグラスロッドでした。

Fine:ロッドのコントロールが良く、そして持ち重り感が無い振り抜けが良いロッド。軽快なステップで自分の思うポイントへ次々と打ち込んで行きたい気分。テンポの良い釣りが楽しめるはずです。ファインループに比べてバットより少し上の部分に硬さを感じるので、腰砕け感は少ないです。キャスティングレンジは0.5〜7mくらいが振りやすいでしょう。

Weak:そもそもグラスロッドはグラファイトとキャスティングアーク(振り幅)が異なるので、グラファイトロッドしか振った事がない人は自身のキャスティングスキルを上げる必要があります。なので、買ったは良いがその柔らかさに翻弄されて「振りにくい」の一言でキャスティングを諦めてしまう人は、買わない方が良いです。でも、ファーガスの中ではこのロッドが一番マルチに使える優等生でオススメ。


f-7063FB/7feet 6inch・3weight・4pcs:ファインループシリーズの7フィート4インチと比べてティップがしっかりしているのと、ややティップヘビーになるので、ロッドを軽く振り抜くだけでラインを気持ちよくデリバリーしてくれるロッドです。長さで言うとこの長さが最も使いやすいと思いますが、7フィートモデルよりはやや軽快感が損なわれます。

Fine:長くなった分だけラインの処理がやりやすくなるので、リーチキャストやメンディングがしやすい。そして長過ぎないので、ロールキャストも気持ちよく決まります。手首だけでキャスティングしている方でも、ループはかなりしまって投げられます。0.5〜7mくらいが快適。

Weak:ややティップ側にバランスが寄ってくるので劇的な軽さみたいなものは感じませんが、この長さにしてはとてもバランスが良いと思います。ただ長さの分だけ7フィートモデルほどのアキュラシー性能は出てこない感じを受けました。


f-8003FB/8feet・3weight・4pcs:ファーガスのグラスロッドの中で最長の長さ。長いからダヨ〜ンとしてキャスティングにバイブレーションが入るのかと思いきや、思いの外振り抜けがよく、振り抜いた時にロッドの重さを感じ易いため、キャスティングのタイミングがとても取りやすく感じました。

Fine:投げやすさは自分の想像した以上によく、アークを十分に広くとってティップの直進性を保てばループが締まりかなりの遠投が可能だと言う事がわかりました。もちろんグラスロッド特有の復元力の弱さはあるけれど、それをあまり感じずにラインが伸びていくのがとても気持ち良かったです。快適なキャスティングレンジはやや伸びて1〜14m位までは楽しめる感じ。

Weak:長い分だけトップヘビーになるので、リールとのバランスが必要になる長さ。最新の超軽量リールよりは少し重めのリールを選択する事でロッドバランスが保たれます。ただティップの暴れはグラスの8フィートとしては致し方ないのかもしれませんが、風の中でピンポイントキャストするのは玄人の人だけかも。

総括するとこのシリーズはファインループに比べてバットからミドルまでに硬さを持たせているので、どのモデルも投げやすさがありました。そして8フィートモデルは予想以上に振りやすくそんなに重くありません。早々に私もこのシリーズのどれかを一本買おうと悩んだ結果。7.6ftモデルを購入しました。現在は夏の渓流ロッドとして大活躍しています。