フライフィッシングってどんな釣り?P13

フライフィッシングの魅力

フライフィッシングはイギリスで生まれアメリカでスポーツフィッシングとして発展した毛針釣りのこと。トラウト(マス/鱒)を中心とした様々な魚を釣ることができ、その歴史は500年にも及ぶ。生きた餌を使わないのでエサの入手に困ることはなく、ミミズなどの虫が苦手な人でも釣りを楽しむ事ができるのもその魅力の一つである。

日本には古来から「テンカラ」と呼ばれる伝統的な毛針釣りがあるが、糸の重さだけで毛針を飛ばすという点で限りなく似ているといって良いだろう。鳥の羽根や獣の毛を虫に似せて釣り針に巻き止め、魚を騙して食わせる点では全くもってフライフィッシングと同じ。相違点はフライフィッシングはリールに糸をき貯めてあるので、そのラインを繰り出してより遠くの魚が釣れる仕組みになっている。

私がフライフィッシングを始めた当初は「フライフィッシングは海外の釣りだから日本のフィールドには合わない、テンカラの方が理にかなっている。」と唱える先輩が多数いた。しかし現在の様に日本渓流で多くのフライフィッシャーマンが釣りを楽しんでいるのは、日本の釣りに合っており順応している証拠である。テンカラとフライの相違は極めて細かい点の違いだけであり、昨今はどちらの要素も重なり合って毛針は同じで握っている竿が違うという感じになってきていうように私は思える。

もしテンカラよりもフライフィッシングに優れている点があるのだとすれば、それはロッドの長さやラインの太さが多種多様な点ではないだろうか。テンカラはある一定の長さ(約3〜4m)のロッドに少し長めのラインを使うので、狙う距離は9m位までの範囲。それに対してフライフィッシングはおよそ25m以上の糸をリールに収めているので、キャスティング(投げる事)をマスターすればその距離の範囲にいる魚は全て釣る事ができるという事になる。さらにシングルハンドロッド(片手投げの竿)は5フィート(1.5m前後)〜10フィート(約3m)まであるので、小さな狭い空間でも毛針を投げることが可能だし、長いモデルはテンカラと同様の釣り方が楽しめる。

テンカラよりも遠くが釣れるフライフィッシング
フライを投げる技術を磨けば最大で約20m先の獲物を仕留めることができるのがテンカラとの違い。飛距離を出すのに長すぎるロッドを必要としないのも、その特徴の一つ。
短いロッドを使ってフライフィッシング
太陽を遮り木々が低く垂れ込む渓流では、時に7フィート(約2.1m)、あるいはそれ以上短い6フィート台(約1.8m)のロッドを使うことで、狭い場所へ毛針をねじ込むことができる。
ヤマメを仕留める
狭い渓流でキャスティングが決まりフライが自然に流れると、ヤマメは躊躇なく飛びついてくる。そんな出会いが渓流にはある楽しみ。

フライフィッシングをはじめよう(改訂版)P8/フライフィッシングの世界へようこそ

フライフィッシングの世界へようこそ

フライフィッシングのイメージを別の釣りをしている方々に聞くと「横文字が多くて難しそう。」という意見が返ってくる。確かにフライフィッシャーマン同士の会話を聞いているとカタカナだらけだが、その意味を掘り下げず難しく考えなければ、意外に誰にでも楽しめる優しい釣りだろいう事を知って欲しい。フライを始めたその先に待っているものは、釣りの醍醐味を凝縮した不思議な世界であり、人によっては重度のフライフィッシング熱に陥るかもしれない。

私はフライフィッシングには三つの楽しみがあると思っている(他の釣りでも同じかもしれないが)。それは魚を釣るという本来の楽しみで、これには自然観察をすると言う奥深さもある。さらに投げ方(キャスティング)を磨く楽しみ、そして自分で餌が作れる楽しみ(フライタイング)である。

まぁ何はともあれ一度、竿(フライロッド)を握りしめてフライラインを出して一振りしてみて欲しい。それがうまくいった瞬間はラインがスッと伸びていき、それだけでも楽しくなってくる。そしてあなたが初めて釣る、感動の一匹を釣るまでをこのブログでサポートいたします。その先に待ち受けているものは、もはや抜けられないフライフィッシング熱。青空の下で飛んでいる虫が気になりはじめたら、あなたはもう立派なフライフィッシャーマン。老いた時にようやくその真髄が見えるでしょう。フライフィッシングの世界へようこそ!

フライフィッシングをはじめよう(改訂版)P6

夢は大きく「世界を釣る」
無限に広がるフライフィッシングの世界

日本の自然はまだまだ捨てたものではなく、ロッドをしならせる大物たちが各地の湖や川のそこかしこに潜んで、あなたを待っているかもしれない。湖に立ち込んでフライを振り続け一本の杭になってみる。または北海道でアメマスやレインボートラウト、イトウなどにチャレンジするのも良いだろう。海へ出ればカツオやマグロ、シイラなどがロッドを満月にして絞り込む魚たち。フライフィッシングの対象魚に求めるものは引きの強さだったり、その美しさだったり、偏食する魚を釣る難しさだったり、釣り人の好奇心は止まることを知らない。

さらにフライフィッシングの視野を広げて海外へ向けてみてはいかがだろう。中南米の青く広がる海にはターポンやパーミット、ボーンフィッシュといった魚たちがフライフィッシャーマンを魅了する。南米では自分よりも大きなピラルクー(アラパイマ)、アラスカではキングサーモン、アメリカではワイルドなレインボーやブラウン。カナダにはスティールヘッド、ニュージーランドでは牧歌的な風景の中で釣るブラウントラウトがあなたを待っている。

今や先輩たちが引いたレールがあるおかげで、昔に比べるとはるかに簡単に海外釣行への扉は誰にでも開かれている。その昔、開高健さんが「毎日秋刀魚を食べてアラスカへ行きなさい」との明言を残し、それに感化された私の後輩たちはアルバイトでお金を貯めて学生時代にアラスカへ行ったものさえいる。人は本気になれば夢は叶えられるもの。難しく考えず、「いつかは行きたい。」ではなく、本気であるならば、今すぐその準備に入る事をおすすめしたい。

ハワイのボーンフィッシュ
ハワイではこんな景色の中でボーンフィッシュを探して釣る、いわゆるサイトフィッシングのスタイル。目の前に見える山並みは、映画ジェラシックパークの一部に使われた場所(カウアイとオアフ)。
ハワイのボーンフィッシュ
環礁のゴーストと言われるほど、その姿はおぼろげで見つけるのが難しいボーンフィッシュ。この魚をキャッチできれば自分のキャスティングがかなりレベルアップしたと確信できる。ヒットすると最初の猛ダッシュで100m近いラインが引き出される。
イスラホルボッシュのターポン
ターポンは口がとにかく硬い。掛けても掛けてもジャンプで外されるので、1時間のファイトの後にランディング寸前にポロリと取れて逃げていくこともしばしば。こうして手にした時の感激は幾度となく記憶として蘇る。<メキシコ>
タイのアラパイマ(ピラルクー)
南米に棲む憧れの魚であるアラパイマ(ピラルクー)。その渡航費用が高いので私は釣り仲間と一緒に、タイにある管釣りでこの魚をフライフィッシングで釣って楽しんだ。魚の重さは自分たちと変わらない。
バラマンディのフライフィッシング
タイには管釣りが沢山あり、ここに載せきれないほど色々な魚を釣る事ができる。一番メジャーな釣りはバラマンディ。この魚は食用として養魚されている。日本でも釣れたらなぁ・・。
プラー ブック
メコンオオナマズによく似たブラックイヤー キャットフィッシュで、前述のバラマンディと同じポンドで釣れた。入漁料は意外に安く、現在は500THB(タイバーツ)で、一日約¥2,000くらい。JTBでフラッと三泊四日で遊んでも総合計で6〜7万円位だったと思う(コロナ明けは変わるかな?)
トラック諸島の無人島で夕闇の中フライをキャスティング。古い写真を並べると長くなるので、今回載せた写真意外に、ニュージランドやミクロネシア連邦、モルディブやバハマなど、色々な国を旅歩いた私。釣りの思い出は釣り人には貴重な経験の宝物。
カナダのスティールヘッドをダウブルハンドで釣る
カナダではリールを唸らせるスティールヘッドの釣り。ラインを手繰らないこのダブルハンドの世界は、淡水でもリールファイトの楽しさを教えてくれる。
アラスカのキングサーモン
初めてアラスカへ訪れた時に見たイルカのようなサイズのキングサーモンの姿は今でも忘れない。流石にそんなサイズはヒットしても取ることはできなかったが、一週間も投げ続けると嬉し涙が止まらない1本がキャッチできる。それが例え朝に釣れたとしてもレギュレーションは一日に1本のみ。釣れたものは祝杯を上げに宿に帰るのである。
スルークリークの流れ
モンタナにあるイエローストーン国立公園の中では、こんな景色の中で釣りができる。この流れを独り占め。
モンタナのカットスロートトラウト
そのイエローストーン国立公園の中では日本にはいないマウンテンカットスロートが釣れる。喉の所が赤く染まっているのが名前の由来。性格はイワナっぽく見た目は点が少ないイエローとオレンジが入ったレインボー。
モンタナのフライフィッシング
簡単なライズ(魚が水面の虫を食べる動作)もあれば、渋くてなかなか気難しい奴がほとんど。そんな魚を仕留めた時にはしてやったり、ロッドは大きく曲がり込みリールは悲鳴をあげる。フライフィッシングって最高、と思う瞬間。
モンタナのブラウントラウト
アメリカでの淡水の釣りは主にブラウントラウト、レインボートラウトとカットスロート。このブラウンはスプリングクリーク(湧水の川)にいる気難しいヤツを食い気(時合い)がある時に仕留めた。ライズを見つけてどう攻めるか、その戦術の組み立てを楽しみながら釣るのがフライフィッシングである。
ビーバーヘッドリーバーのレインボートラウト
一番最後にアメリカといえばレインボートラウト。メイフライ(カゲロウ)を好んで食べるので、小さなライズを見つけて釣るまで帰らないハンティングのようなスタイル。見つけた魚を釣れなかった時の敗北感は次回への布石であり、すぐに次回釣行をスケージュールに入れたくなる。世界は広いようで狭い。人生に一度だけ自分に長期休暇がもらえるのであれば、是非ともこんな釣りを楽しんで欲しい。その思い出は瞼を閉じれば幾度となく蘇るのだから。

フライフィッシングをはじめよう(改訂版)P4

ブルーギル、ブラックバス、コイ、カマス、
軽装で楽しめる身近な魚を釣りに行こう

フライフィッシングはヤマメやイワナ、レインボーといったトラウトを釣るものと言うイメージがとても強い。実はこの釣りは何でも釣る事ができる釣りだと言うことをご存知だろうか? ちょっと身の回りにいる魚を想像してみてほしい。コイにフナ、ブラックバスにブルーギル、それにオイカワ。海ではスズキやメバル、カマスにアジなどの堤防周りで釣れる魚たち。これらの魚たちは全てフライフィッシングで楽しむ事ができる。身近な釣りでサビキ釣りを思い出してもらえば分かるのだが、あのハリ先に付いているバケ(サビキ)はまさしく毛針なのである。

会社のロッカーに道具を忍ばせ居酒屋ののれんをくぐるのをやめにして、帰宅前に2時間だけシーバスを楽しむというのはいかがだろう(かなり釣りバカ日誌のハマちゃんみたいですが)。時間がないと嘆くサラリーマンでも、これならばいつでも楽しめるのではないかと思う。また、お小遣いが乏しくで遠出ができないのであれば、近くの川でオイカワやコイのフライフィッシングを楽しんでしまおう。二日酔いの午後風は心地よく、釣った魚の話でその夜の酒がまたすすむというものだ。

近場で楽しむフライフィッシングにベストやネット、あるいはウェーダーという装備は必要ない。道具をショルダーバックにちょっとまとめて、お散歩感覚で楽しめるのが良いところ。できればロッド(竿)がパックロッド(小継ぎ)ならば、釣りおえた後はいっぱい引っ掛けて帰るのにもロッドを忘れて帰る事なく邪魔にならないだろう。

「いつかは自然渓流へ」というステップアップの道以外に、こういった身近なフィールドで新たな発見をするのも一つの楽しみ。フライフィッシングはフィールドやターゲットにとらわれなければ、意外にどこでも楽しめる釣りのひつだということを覚えていて欲しい。

以下はトラウト以外の身近にいるフライフィッシングのターゲット。その魚を狙う難易度を5段階で書いてみた。

フライフィッシングのターゲットである鯉
コイ(レベル3):コイはどこにでもいる身近なターゲット。狙い方は沈めて釣るか浮かせて釣るかでそのタックルが変わってくる。最近の僕らはパンをチャミング(コマセ/寄せ餌)にして、パンに似せたフライで釣るのが主流。浮かせて釣る場合の難易度が少し高く、ヤマメ並みに神経質。大きさとパワフルな重みがある引きがその魅力。
フライフィッシングで釣るウグイ(ハヤ)
ハヤ/ウグイ(レベル2):中流域で狙っていると厄介者扱いされるウグイ。しかし狙って釣れば数釣りが楽しめるかというとそうでもない。ウグイに合わせた小さめのフライと釣る時間を工夫して釣果を伸ばそう。キャスティングの技術はそれほど高く無くても釣れる魚。
オイカワのフライフィッシング
オイカワ/ヤマベ(レベル2):関東では馴染みの雑魚であるが、そのオスの美しさに魅了されてしまう。主に流れの早い背で小さなライズを繰り返す。魚が小さいだけにフックサイズの選択が難しく、ハリを大きくすると魚は出てくるが中々掛からず、小さくすると魚の反応が悪くなるが、釣れるようになる。老眼世代にはやや難儀な米粒ほどのフライを使用。
マルタウグイのフライフィッシング
マルタウグイ(レベル2):普段は河口付近の海で過ごし、産卵の季節だけ川へ遡上してきてこのカラーになる。春先限定のターゲットで、ある程度大きな河川の支流にさしてくる。サイズは50センチ台なので、そのパワフルな引きと綺麗な魚体が人気に火をつけている。この魚を釣ると僕らは春が来たことを知るのである。
スモールマウスバス
スモールマウスバス(レベル4):最近は下流域に増えてきたスモールマウスバス。指定外来種にされている所が多いので、あまり表向きの情報が少ない。私は釣具屋さんなのでその地域のルールに乗っ取り、釣れてしまった場合は駆除しています(なんか忍びないですが・・)。狙うとなるとブラックバスよりも難しい魚で、ある程度流れがあるところでないと大物は中々釣れない。主に川で釣ります。
ブラックバスのフライフィッシング
ブラックバス(レベル3):関東圏はブラックバスの釣り場はかなり減ったけれど、まだまだ皆さんの近所にもいる身近な魚。トップウォーターで釣るのもよし、ストリーマーを引っ張ってもよし、リーチパターンをワームのようにして釣るのもそれまた楽しい。ジャンプを繰り返す良きファイター。
ブルーギルのフライフィッシング
ブルーギル(レベル1):私のフライフィッシングの始まりはこの魚から。当時、千葉県にある雄蛇ヶ池で入れ食いになっている不思議な釣り方をする人を見て、後日その釣りがフライフィッシングと分かり、始めた次第。都会っ子なので私にとっては雄蛇ヶ池も遠征でした。沈めてもドライフライでも簡単に釣れる、そして小気味良い引きが楽しめる。
堤防で使うフライ
後半は堤防や砂浜で釣れる海のフライフィッシング。五目釣りを楽しむ時は上記のような小さいフライを使うけれど、管釣りに使うマラブーでも釣れますヨ。但し、マラブーはマテリアルが丈夫じゃないので、すぐにテールが切れる事も。なので、私は主にテール材にはゾンカーラビットかミンクゾンカーのストリップを使っている。
アジのフライフィッシング
アジ(レベル3):海のフライフィッシングは基本的にキャスティングがある程度できるようになってからの釣り。5mしかキャストできない人は堤防下にいる魚しか釣れないので、より深いところや遠くを釣るには最低でも収まっているフライラインの半分は投げられるようにしよう。もちろん飛んだほうがたくさん釣れる。アジは少し深いところにいるのでタイプ3以上のシンキングライン(沈むフライライン)を使用。
フライフィッシングで狙うマゴチ
マゴチ(レベル4):こちらは堤防の釣りでたまたま釣れたマゴチ(ちょっと小さいです)。本来ならばサーフでのフライフィッシングでたまに釣れる事がある魚。甘味が強い白身魚で私はこのコリコリしたお刺身が好き。底ベタの魚なので堤防で釣るの事は滅多にありません。サーフの場合は足で歩いて魚を探しながら釣る。
メッキアジのフライフィッシング
メッキアジ(レベル3):ギンガメアジなどの幼魚で、カマスが釣れる時期にそれに混じって釣れる魚。またはサーフにベイト(餌)となる小魚がよっている時にも同じように釣れます。フライを早い動きでリトリーブ(手繰る)と反応する。小さいので私は食べることはありませんが、皆さんは食べていますか?
シーバス
スズキ(レベル3):シーバスの名称でルアー、フライ共に人気があるターゲット。堤防では20〜60cmくらいのサイズが中心。トップでも沈めても釣れるし、ファイト時はジャンプするので引きも良く皆の人気者。
ヒラメのフライフィッシング
ヒラメ(レベル3):ヒラメのイメージは遠くに居そうなイメージだけれど、釣れるのは意外と波打ち際。釣るポイントは払い潮を探すことと波打ち際のベイト(餌)となる小魚の群れを探す事かな。砂浜を歩くのが好きであれば、そんなに難しい魚ではない。秋から冬に掛けて狙おう。
カマスのフライフィッシング
カマス(レベル4):カマスはツボにハマると管釣りのように入れ喰いで釣れる魚。しかし深いところにいるので、シンキングラインはタイプ4以上を使用。水深が5mのところにいればラインを10mしか投げられない人だと、沈めるとその半分ぐらいの距離しかリトリーブ(ラインを手繰る)しかできないので、釣れる確率が下がる。ある程度距離が飛ばせるようになったら狙うターゲット。
フライフィッシングをはじめよう
こうして釣れる魚を並べると、フライで釣れる魚は無限大。背伸びをせず身近な魚とフライフィッシンを楽しんで見てください。

フライフィッシングをはじめよう(改訂版)P2

華麗なトラウトたちが人気のターゲット、管理釣り場で一匹を釣ることからスタートしよう

初めて訪れる渓流は釣り人心をくすぐり、好奇心が掻き立てられるものだ。透き通った流れに悠々と泳ぐ魚たちの姿をつい連想してしまうのは釣り人にありがちがポジティブな気持ち。実際にヒョイと覗いた橋下に虫をついばむヤマメを見つけたなら、さあ大変。私の中の少年はすぐに呼び起こされ、道具を用意して転げるようにして川面へ降りていくのである。

釣り人は水辺に立てばすぐに嫌なことなど忘れ、せせらぎの音に癒され悠々と泳ぐ魚を見て胸を熱くする。フライのタックル(仕掛け)を用意をしてキャスティング(投げる事)を開始。うまい具合にラインがスルスルと魚の少し先まで伸び、先についたフライ(毛ばり)がふわりと落ちるとガッツポーズをしたくなる。その流れていくフライをヤマメは見つけて胸ヒレを少し傾け上を向き、疑いもせずにフライを咥え込む。その瞬間、釣り人の腕は瞬時に反応し魚の生命感は振動となってロッド(釣竿)通して感じるのだ。頭の天辺からフライに至るまで全てに緊張が張り詰め、魚を逃がさないようにロッドを十分にしならせ慎重にやりとりを楽しみ、やがてそれはゆっくりとたぐり寄せられ網に納められる。横たわるボディの銀鱗が美しく輝き、ヤマメの美しさにしばし見惚れてしまうのである。

誰にとってもフライフィッシングで初めて出逢いたい魚は、こんな大自然に生きるヤマメやイワナであるだろう。フライフィッシングはこの美しい魚たちを釣り、人と自然を結びつけてくれる要となってくれる。そんな憧れの渓流魚だけれど、いきなりヤマメを釣るにはかなりハードルが高いと言える。特に釣りをフライフィッシングからスタートする方は糸を結ぶこともまならないので、ここは一つ釣れるという事を優先して近くの管理釣り場からこの釣りを楽しんでほしい。

管理釣り場によって狙う魚は様々だが、ターゲットは主にニジマス(レインボートラウト)やヤマメ、イワナなどのトラウトたち。その魚たちを実際に釣ることでその感触を確かめ、自分の足りないものが見えてくる。それを繰り返し得た知識を蓄えたら、憧れの渓流でフライフィッシングを是非楽しんでもらいたい。

胸鰭が綺麗な山女魚
渓流の宝石とも呼ばれるヤマメ(山女魚)。伏せ目がちの愛らしい目と柔らかな丸みを帯びたフォルムからこのような漢字が当てられたのかもしれない。私はこの魚に憧れて始めたのが小学校高学年の頃で、ヤマメを手中に収めるのに実に三年も掛かった。子供だったので釣りへ行くお金や足が無かったのも事実だが、情報化社会の今は昔と違い私のような試行錯誤をする必要もないので、その試練は少ないだろう。
源流の主人、イワナ
ヤマメが渓流の宝石であればイワナ(岩魚)は源流の主人と言うべき存在。釣りの教えで「イワナは岩を釣れ」とか、「岩魚は脚で釣れ」などの例えがある。いっぱい歩いて岩のスレスレに餌を流して釣りなさいという事だが、冷たい水が好きな源流域に棲むこの魚は温暖化の影響で年々生息域が狭まっている気がする。
朱点が綺麗なアマゴ
アマゴ(雨子)は一見するとヤマメ似だけれど、ボディに朱点が散りばめられているのが特徴。生息域は山梨県よりも西の本州に生息。私的な感覚ではヤマメよりもやや大らかな性格に感じる。地方により呼び名が変わり、アメゴ、アメノウオ、タナビラ、コサメなど。
ロッドがしなる管理釣り場
都会では掘って作られたポンドタイプの管釣りが中心。安近短で楽しめる釣り人の癒しのスポット。魚は養殖魚なので、はじめてのフライフィッシングでも容易に釣る事ができるのが利点。釣れる人と釣れない人の差は、フライ(毛ばり)・タックル(仕掛け)・キャスティング(投げ方)・フッキング(合わせ/魚を掛けること)、その他に魚を寄せる技術など。人よりもいっぱい釣りたいと思うのならば、やはりそれなりの努力は必要だ。
管理釣り場のレインボートラウト
管理釣り場のほとんどで釣れるのはこのレインボートラウト(ニジマス/虹鱒)。明治10年に食糧政策の一環で日本に移植されたのが最初とされているが、実際にこの魚が日本で繁殖しているのはごく一部。成長が早く強い引きでジャンプを繰り返す。釣りの楽しさと食べる楽しみを兼ね備えた魚である。
流れのある渓流タイプの管理釣り場
都会から少し足を伸ばせば、渓流をそのまま利用した管理釣り場がある。ここでは魚を騙ますためにどうやったらフライが流れに対して自然に流れる様になるかを学ぶ事ができる。管理釣り場は魚の目の前に投げなくとも、間違えて落ちた先にも魚がいるので釣る事ができるのが嬉しい。また、ニジマスは日本の養殖技術が作り出した美味しいお魚なので、全てをキャッチ&リリース(魚を放す)するのではなく、一度は自分で釣った魚を自分で料理して食べてみてほしい。

フライフィッシングをはじめよう(改訂版)

プロローグ

最近は紙媒体の書籍が減る一方で、入門書を探しても手に取れる本がなくなってしまったと感じるこの頃。webで閲覧できる入門解説も他からの引用が多いのでどれも同じ様な感じ・・。これも時代の流れなのかなと思いつつ、ふと私が2000年に書いた山海堂出版の『フライフィッシングをはじめよう』をパラパラとめくって見た。なんと若いこと若いこと(笑)、そして若気のいたりで尖った文章だこと。当時35歳だったからまぁ、こんなもんかなと思いつつも、読んでいたらなんだかこの入門書に手直ししてこのブログに綴りたくなりました。今この本はすでに絶版だし版元も潰れちゃったから問題はなさそうですしね。ついでに製作時の裏話でもしようかな(笑)

と言うことで、私の手が空いた時に『フライフィッシングをはじめよう』のページと同じ内容で今の私が書いてみます。皆さんが見て面白いかどうかは分かりませんが、これからフライフィッシングを始めようと考えている方に少しでもお役に立てればと思います。もしこの本が気になる方はアマゾンの古本などを探してみて、実際の本とこの内容を比べてどう変わっているかを楽しんでみてね。

では始まり始まり〜(不定期更新)。

次回の内容はP2「華麗なトラウトたちが人気のターゲット、管理釣り場で一匹を釣ることからスタートしよう」

*校正をする人がいないので、誤字脱字が多々出てくると思いますが、ご了承ください。

ハワイでのボーンフライフィッシング
先走って内容を書き過ぎると、後で書くことがなくなるので今回はこの辺で。写真はハワイでかつてボーンフィッシュを狙う時にカヌーで渡渉したアイランドホッピングのフライフィッシング。実際は環礁帯なので陸地はありません。