管理人的にはこれ以上仕事は増やしたくなかったのだけれど、皆にやれと言われたので始めることになったブログ。書く時間がどんだけあるのやらと思いますが、時間を見つけて書いてみます。
で、ネタを新たに書き起こすのが面倒だったので、とりあえず、以前フェイスブックに書いた小話を一つ。
釣り人(フライフィッシャーマン)はトラウト(鱒)のエサとなる川に流れる虫を日々研究し毛鉤を巻いている。それはカゲロウだったり、バッタだったりアリだったり。次回訪れる時のために流れていた虫を参考にした毛鉤を持ち込んで釣るのだが、とある川では色々な物が流れてくることがある。
東京にほどなく近い有名なK川は湧水を多く含む里川で、近くには国道が走っている。街は年々賑やかになるが、川に隣接するある店裏でライズ(エサを食べる為に跳ねること)するヤマメは強敵だった。色々なフライ(虫に似せた毛鉤)を試してみてもなかなか釣れない。色々と手を尽くしても手応えは全くなかったのだが、最後に使った白の小さなマラブーフライに反応し、ようやく目的の魚を手にしたのだった。
「コヤツ、何を喰っているのだ?」と、ストマックポンプ(食べていた物を見る為にゲロさせる道具)を使い、胃の内容物を見ると、なんと米粒で腹一杯なのである。さらに赤いエビのしっぽ。そしてその上流部にはお寿司屋が・・。実はこの魚は偏食でありグルメなんです。 次回はエビのしっぽフライ必携だなと思ったその日。
これは里川に限った事ではない。山奥へイワナ狙いにお客さんと出かけた時の事。深い谷を降りてようやく渓へたどり着き準備を始めた。するとイワナがライズ、目の前でするのである。何を喰っているのかと目をやると、強い風が吹くたびに落ちているバッタであった。
本日はバッタなのだと確信しボックスからバッタフライを探していると、また川面でポチャンと波紋ができた。その周りをよく見ると、イワナがカエルを追いかけ回している。「今度はカエルか。」って言っても、そんなフライは持っている訳がない。
ようやくタックル(道具)を準備し終わると今度は上流からやや大きな物が流れてきた。ネズミの様なその生物の正体はモグラ。さすがにこんな大きな物は食べないだろうと、二人で大笑いした。
さてロッド(竿)を振るかと上流へ歩き出そうとした瞬間、今度はガラガラと音を立ててとてつもない物が落ちてくる。崖崩れかと思ったら、なんと子鹿が落ちてきたのだ。子鹿は僕らと目が合い、唖然としながらなすすべもなく渓流を流されていくが、僕らには何もする事ができず、子鹿の川流れを見送った。その姿が見えなくなる頃に仲間から声が掛かった。
「稲見っち、ディアヘアカディス持ってる?」
「なぜに?」と問い返すと、
「だって、ディア(鹿)流れて行ったじゃん。」(爆笑)。
その後ディアヘアカディスとバッタフライで入れ食いを堪能した、嘘のような本当の話です。
お後がよろしいようで。