初心者の救世主となるラビットスキンのフライを「プロペラ」と呼ぶ?

私のようなフライ歴が長い人は、禁じ手というか封じているフライが沢山あります。管釣りではエッグフライにトラウトガムなどのスキンタイプの他に、私の場合はエルクヘアカディスさえも一般河川で封じ手としています。釣り人ってややこしいもので釣れすぎると文句を言い、釣れないと釣りたさからこの封じ手に手を出したくなるものなのです。

昨今は色々な皮もの(動物の皮を使ったフライ)が多くなってきましたが、その中であまり紹介されてそうもないフライパターンのタイングを紹介してみます。正式名称は特にないのですが、仲間内では「プロペラ」とか「巨神兵」と呼んでいるフライで、従来のフライっぽくないところが面白いでしょうか。もちろん良く釣れるので私の中では封じ手なんですが、タコリたくない時と初心者にどうしても釣ってもらいたい時に差し出す為に、ボックスの隅っこに数個は入ってます。

タイイングは極めて簡単ですが、わかりやすいように写真をかなり分解して写しました。まだまだ管釣りで魚が釣り足りない方は、このフライを是非ともお試しを。

プロペラ/巨神兵

Hook:TMC 3769・#12
Thread:Uni-Thread 3/0(ラビットのカラーに揃える)
Bead Head:1/8” ゴールド
Body:Uni-Thread 3/0
Wing:ラビットゾンカースキン

プロペラをタイイングする
名前をプロペラなんて呼んでますが、キャスティング時にグルグル回ってティペットが縒れてしまう様に出来上がった場合は、それは失敗作ですからお間違えのないように。まず用意するのばラビットゾンカースキン。長さは約5センチ。もう少し長くても構いません。
巨神兵を巻く
まずはこのラビットスキンに生えている硬いガードヘアをむしり取ります。この工程は直接このフライのタイイングには関係ありませんが、副産物としてできるMSCタイプのフライを後に作りますので、その時の出来栄え(見栄え)に影響しますので、やっておきましょう。
管釣りフライを巻く
硬いガードヘアをむしり取ると、毛の先端は柔らかい毛だけになります。下準備ができたら長さが5センチ以上ある透明のクリップを用意しましょう(100均で手に入ります)。一応私はフライショップの人間なので、ここでは高価なマテリアルクランプを使用してます。
管釣りフライを巻いてみる
指先を少しだけ水に湿らせてラビットスキンを撫でて、クリップ(クランプ)に対して真っ直ぐ挟まる様にします。この時ラビットスキンの皮部分と毛の間を2〜3mmぐらい開けておきます。
ラビットヘアをカット
刃先が長いシザース(ハサミ)があると一発で切れるので便利ですが、皮に少しだけ毛を残す感じでラビットの毛をカットします。
管釣りフライをタイイング
切り離しとこんな感じ。クリップ(クランプ)に挟んだラビットヘア(毛)は次回のブログでそのフライタイングを説明しますので、そのままにしておいてください。今回使うのはラビットの皮の方です。今は長方形の短冊上ですが、カッコ悪いと感じる方は四隅をカットして丸くしましょう。
ラビットスキンフライ
ラビットスキンの四隅を丸くするとこんな感じ。そしてフックにはビーズを通しておきましょう。ラビットスキンは半分に折り、その中心をフックで刺します。刺す方向の裏表はその人の好みですからどちらでも良いでしょう。ここで失敗して欲しくないのは左右の長さを一緒にしてほしいことと、この皮幅の中心に必ずフックを刺して欲しい事です。
プロペラみたい
フックを指すとこんな感じ。左右のバランスがおかしかった場合は差し直すのが良いでしょう。また、刺した後に長い方をカットする手もありますが、長さが短くなると水中での泳ぎ(腕を開いたり閉じたりするようなイメージ)が悪くなります。
プロペラフライ
ここでようやくバイスに挟みます。今刺したラビットスキンの後ろにスレッドを巻き留め、ベンド方向(画面左)に向かって巻き進めます。スレッドの余りはカットしましょう。
プロペラのタイイング
フックベンドまでスレッドを巻いたら、また元の方向(画面右)に向かって巻き進めます。ラビットスキンの抜け止めとしてその一番近い場所にスレッドを多めに巻きましょう。ボディに当たるこの部分は他のマテリアルを付けたくなりますが、色々と試した結果ではシンプルな方が釣れるという結論です。
巨神兵のフライをタイイング
最後はハンドツイストでスレッドを止めます。難しく考えずにスレッドを結び止める為にボビン側の糸がフライ側の系の下に潜るようにすれば交差するので止まります(ハーフフィッシャーを使った時と同じ動きです)。その動作を一度ではなく数度行なってスレッドをカットします。
巨神兵のフライタイイング
スレッドをカットしたら、ヘッドセメントをボドキンに付けて、今巻いたスレッド部分に塗りつけましょう。これで完成です。
巨神兵
このフライの使い方ですが、一般的なのはインジケーターを使ったフライフィッシング。フライからインジケーターまでの距離は1〜1.5mの範囲が良いでしょう。フライを結んだらまずはフライを水に浸けて少し揉んで水に馴染ませます。完全に水を吸い込むと2本の腕は巨神兵の様にダランとします。フライをキャストして放置しても釣れますし、誘いをいれれば腕が動くので誘いに乗って魚が喰ってきます。寒い時期は明るめのカラー中心(クリーム・オレンジ・チャート・ピンク・レッド・タン)が良く、暑い時期は暗めのカラー(オリーブ・ブラック・ブラウン・パープル)などがよく釣れますので試してみてください。

 

投稿者:

Hermit55

ハーミット店主の釣行記やよもやま話です。 お店にいる時間の方が長いので、釣りよりも店の話の方が多いかもしれません。漢字変換ミスが多々ありますが、見つけならが直しますので、ご勘弁を。