プロペラ(巨神兵)から生まれる副産物は毛玉みたいなフライ

さて、昨日紹介したプロペラ(巨神兵)を作るとカットした毛が余るのですが、この毛を利用してもう一つ別のフライを作っていきます。こんなに節約されるとフライの消費が減るのでショップ泣かせの企画になってしまいますが、初心者の皆さんはまずは沢山お魚を釣って楽しんでいただくのが一番ですので、プロペラ(巨神兵)がスレた時はこのフライを使ってみてください。

皆さんはMSCというフライをご存知ですか? ひと昔前に岩井渓一郎さんが考案されたパターンで、M(メイフライ)S(ストーンフライ)C(カディス)頭文字を取ったフライ名で、ファジーニンフ(シルエットが曖昧なニンフ)を追求すると、そんな形になり、まるで毛玉の様になります。

さらに歴史を遡るとフランク・ソーヤが考案したキラーバグというフライはライトグレーのモヘアをボディにして、それをコパーワイヤーで止めただけのフライがあるのですが、これはテールもありません。見た目は芋虫っぽいというよりは、やっぱりただの毛玉ぽいのですが、よく釣れます。

今回は余ったラビットファーを使いますが、猫や犬がいらっしゃるご家庭では、ブラシシングした隙間に挟まったあの毛玉(フライ用語ではアンダーファー)で良いのです。この巻き方を覚えたら、その毛玉を使って同じように巻いてみてくださいな、きっといっぱい釣れる筈です。その作られた新たなフライパターンは「キラー●●(愛犬や愛猫の名前)」と呼びましょう。うちの猫の毛で巻いたフライは「キラー・アミー」となります(笑)

毛玉フライ(キラー・ラビット?)

Hook:TMC 3769・#12
Thread:Uni-Thread 3/0(ラビットのカラーに揃える)
Weight:No,3のレッドワイヤー
Body:ラビットファー(またはあなたの愛犬・愛猫の毛)
Tail:マラブー(ボディのカラーに近いものを選ぶ)

毛玉フライを巻いてみる
前回巻いたプロペラ(巨神兵)を作った時に、クリップ(またはマテリアルクランプ)に挟まったままの毛を今回は使います。その他に愛犬の毛玉でも構いませんが、クリップにこんな感じに均一にクリップに挟んだ状態にしてください。写真はプロペラ(巨神兵)を作った余りなので横に約5センチほどに広がっていますが、3センチもあれば大丈夫です。
毛玉フライは管釣りフライ
フックは太軸のフックであればなんでも良いです。シャンクにはレッドワイヤーのNo,3を8〜10回転ほど巻いて、瞬間接着剤をほんの少しだけ垂らして固定しておきます。
毛玉は釣れるのか?
スレッドはマテリアルの色に近いスレッドを選びましょう。下巻きはこのように適当で構いません。どうせ隠れて見えなくなってしまいますから。
毛玉のしっぽ
マラブーは同色に近いカラーを選び、シャンクの1.2〜1.5倍の長さで巻き止めます。思った以上に長くなってしまった場合マラブーは簡単に手でちぎれますので、必要な長さになるまでちぎってください。
マラブーはテール
テールを取り付けたらスレッドはそのすぐ前で巻き止め、ボビンからスレッドを引き伸ばしてその引き出したスレッドを左手指に引っ掛けます。その長さは約5〜7センチの輪にして再びスレッドをシャンクに巻きます。輪を作ったらスレッドはアイの直ぐ手前まで巻き進めそのままにしておきます。
ダビングワックスを使う
左手に引っ掛けている輪にダビングワックスを塗っておきましょう。こうする事でマテリアルが抜けにくくなります。塗り終わったら抑えている左手指の所にダビングツイスターを引っ掛けましょう。
ツイスターを使いこなす。
出来たループの隙間にラビットファーを差し込んで挟み込みます。挟み終えたら、ループを引っ張ってダビングツイスターを使ってループを回転させます。
ダビングループ
ダビングツイスターの形は様々ですが、ようは挟まったマテリアルをグルグル回ることで、芯となっているスレッドにより付けられるという事です。ワイヤーの隙間にゴミが挟まって抜けなくなっている様なもの、という感じ? 余計分かりづらいかな・・。
ダビングブラシ
マテリアルが挟まったループを回転させると、この様にブラシ状になります。今回はクランプに挟まったラビットファーをそのままつけたので、大量のマテリアルになってしまいましたが、このフライを一個作るのだと、毛の量はこの1/3で十分です。
毛玉フライ
このブラシをフックシャンクに巻き付けるのですが、案の定量が多過ぎて必要以上の毛玉になりました(笑)。アイの後ろまで巻いたら、スレッドと交差して巻き止めます。写真はマテリアルが多すぎるので、余ったものが多過ぎてよく分かりませんが、皆さんは材料は少なめにセットしてください。
毛玉フライ
フライのアイが見えなくならないように、マテリアルを全て左手の方へ引っ張ってアイの直ぐ後ろにスレッドを数回巻きましょう。
管釣り用フライ
余ったマテリアルのついたブラシ状のマテリアルはカットしましょう。
毛玉フライ
スレッドはハーフヒッチ、またはウィップフィニッシュしてスレッドをカットします。
毛玉フライ
スレッドにヘッドセメントを垂らして完成ですが、ダビングブラシ(硬めの歯ブラシでも良いです)で、ブラッシングして形を整えましょう。見た目ただの毛玉ですが、よく釣れます。光り物を加えたくなると思いますが、この手のフライはあまり光らない方が釣れると私は思います。このフライもインジケーターフィッシングに向いていますので、プロペラ(巨神兵)同様に管釣りのパターンとして巻いてみましょう。

投稿者:

Hermit55

ハーミット店主の釣行記やよもやま話です。 お店にいる時間の方が長いので、釣りよりも店の話の方が多いかもしれません。漢字変換ミスが多々ありますが、見つけならが直しますので、ご勘弁を。