バックキャストを改善してフルパワーを引き出そう(フライキャスティングのお話)

なんで1月ってこんなに雑用で忙しいんでしょう、ここ数日はずっと雑務に追われてお店のお仕事が進みません。ブログの更新は忘れた訳じゃないんですが、そんな調子で1月前から写真が溜まる一方でタイムリーな情報がお届けできなくてゴメンね。

釣りネタはタイムリーでないとなんか意味がない気もするので、せっかく『フライフィッシングをはじめよう(改訂版)』をやっているので、それに通ずるハウツゥを少し書いてみようかな。

ハーミットのキャスティングスクールは毎月第三日曜日に行っており、毎回多くの方に参加頂きありがとうございます。特に複数回参加する方は皆勤賞の方もいるほどで、そんな方はすぐに上達するんですね。スポーツはやらなくなるとすぐに忘れちゃうので、毎週とは言わないにしてもキャスティングを体に染み込ませる事で目に見える上達が得られます。

では複数回キャスティング練習に来ている人は何を模索しているのでしょうか?

どんなスポーツでも物を飛ばす動作は体の前側で行う事が普通だと思いますが、フライフィッシングは後ろに飛ばすバックキャストのエネルギーが必要になります。体の前半分で勢いをつければそんなもの要らないじゃん、と考える方もいるかもしれませんが、それだと自分の持っている能力の60%くらいしか引き出せていません。大概の方はその60%位で飛距離をなんとか腕力で頑張ろうとしているので、ある一定の距離以上は飛ばないのです。

ルアーとの違い:ルアーの場合は重さが一点に集中しているので、ロッドをテイクバックして前へ振る時に、その重さがロッドを曲げる支点となりロッドを大きくしならせてその反発力で飛びます。

フライでは?:ルアーロッドと同じようにただテイクバックして前へ振るだけではロッドに重みを感じる事が全くできません。したがってロッドが曲がりませんから前へ飛ばすエネルギーが生まれません。

フライラインは一見軽そうに見えますが、AFFTAの規格である9mをフォルスキャストしていればラインの重さは6番で実に10.42gもあるのです。しかしこれをオモリの役目として投げるためにはどうやったらロッドがしなるかを考える必要があります。

ここでフォワードキャストだけを考えてみましょう。うまく飛んだ時ってどんな感じですか? 例えばロッドに重さがグッと感じて飛んで行ったとか、ロッドが滑らかに動かしたらループが綺麗になりラインが真っ直ぐだったとか。そんな時はラインには飛ぶエネルギーがまだ残っているので、リールが鳴ったりロッドがグッと持っていかれる感じがしますよね。その正解のキャストがバックキャストにも必要なのです。

バックキャストがフォワードキャストと同じように決まっていれば、同じようにロッドにグッと重みが感じられ、後ろへ引っ張られる感覚があります。もしくはラインが伸び切った時に余ったラインが引っ張られてロッドとラインが当たる音がしたりします。それが出来るとロッドは後ろに引っ張られ、フォワードキャストに入るタイミングもわかる上にロッドがしなり始めているのでロッドは十分に曲がり、その力が弾き出され力が放出されます。その後ろへ引っ張られるエネルギーをもらえれば、あなたが持っている残りの30〜40%のエネルギーを引き出した事になり、腕力ではなくスムーズな力の入れ方で遠投する事ができます。フライキャスティングは決して腕力だけでは飛ばず、スムーズな力の入力とロッドの曲げ方と放出される方向なのです。

フライキャスティングが上手くなるためのキーワードは実はとても簡単で、『ラインの直進性』というキーワードさえ覚えておけば良いのです。ラインが飛ばしたい方向に真っ直ぐにラインが飛んでいっているか。同様にバックキャストは飛ばしたい方向の180°反対方向に真っ直ぐにラインが伸びているか、などです。しかしその直進性をどう作るかは個々の間違った投げ方を修正する必要がある訳です。

それをブログで解説しても明快な説明が難しいのです。事例がたくさんありすぎるので修正に関してはその人のキャスティングを見ない事には言葉だけ羅列しても上手く伝わりません。少しでも向上心がある方は色々なところで行われているキャスティングスクールに出かけてみてくださいな。自分一人で試行錯誤するよりも、客観的に人からみて貰えば修正するヒントは案外簡単に見つかるものです。(ハーミットのキャスティングスクールはこちら

朝霞ガーデン
ハーミットのキャスティングスクールは朝霞ガーデンのフライフィッシングとセット。通称『朝練』は朝霞ガーデンで釣りの練習をしてからのキャスティングスクールという流れ。皆には逆の方が良いんでないの? とよく言われます・・。
フライキャスティング練習会
先日のキャス練では、私はファーガスのファストフリット8フィート2インチ5番のグラスロッドで楽しみました。よく「30mのフルラインが飛ばせます。」と言う方がいますが、一般的なフライラインは30ヤードで約27m。さらにラインはピンと張っては落ちませんから、私がどう頑張っても(バッキングラインをモノフィラのランニングラインに変えればもう少し飛びますが)26mほどしか飛ばないんです。ちなみにソルトラインは100フィート以上あるモデルは30mを投げる事ができます。
フライキャスティングの練習
自分が今どれぐらいの位置にいるのかを知るために、たまには距離を測ってみるのも良いと思います。次回測る時にはそれを上回る距離が出たら嬉しくなりませんか?
キャスティング練習
3番ではフルラインは無理だと思っている方もいますが、投げ方とロッドの硬さなどを工夫すれば同じように飛ばす事ができます。低い番手の場合はラインの重さが足りないので、WFよりDTの方が飛ばせるって知ってましたか?ダブルテーパーはラインを長くホールするほど出ているラインの重さが得られるので、12m位ホールできれば6番のWFくらいの重さが得られるんです。
フライの練習会
冬はタイイング以外やる事がないとお嘆きのあなた、たまには草原でロッドを振って自分のキャスティングを確認してはいかがかな?

継続は力なり?

昨日はキャスティングスクールをお休みし、ダブルハンド練習会ということで今回8名のフライフィッシャーマンが集まって意見交換し、またダブハン初心者には諸先輩方がアドバイスするという勉強会です。


私はもちろん一年の半分はダブハンを振り回してますが、シングルと違い初心者レベルの人を教えるのは問題ないとしても、中級以上の人には教えるレベルではありません。特に私はダブハンに関しては釣り中心で物事を進めきたので、雑誌やYoutubeで見かける様な難しいキャストをリクエストされても私にはでできませんから。

シングルでもダブルでも同じことですが100名教えるとだいたい1〜2割の割合でレフティの方がいらっしゃいます。シングルの場合はそれぞれの利き腕だけで釣りは問題なくできるのですが、ダブルハンドの場合はちょっと違います。もちろん利き腕だけのままで釣ることは可能ですが、ダブルハンドの場合は両利きになってしまう方が釣りは断然有利なんです。

ダブルハンドのキャスティングは川の流れに対して、どちらの岸に立つかによってそれぞれ最低二種類の投げ方が必要になるので、合計4種類の投げ方を覚えます。例えば右利きの人が左岸に立った場合(上流から下流を見て左岸)は、通常シングルスペイかスナップTなどでキャスティングすると思いますが、この状態で上流から強い風が吹いた場合(右頬に風を受ける状態)、どうしてもループが風で自分の方へ流されてしまい危険になるので、Dループを自分の左肩側に作る必要があります。

今の私は右(右手軸)でしか振っていないので、ダブルスペイのキャックハンド(Cack Handed)という通常のダブルスペイの裏返しで投げているのですが、これがまた投げにくいんです。もし私がダブハンは両利きになってしまえば、その逆になるので通常のダブルスペイで投げれるので、とても快適にキャスティングができる訳です。

言葉にするとややこしい話ですが、簡潔に言えば昨日はレフティのお客さんを見ていたら「両利きになりなさい。」とお告げがあった様な気がして、ずっと左(左手軸)で振ってました。

シングルハンドの左手振りはダブルホールがぎこちないレベルだけれど、ダブルハンドはどこまで上達できるかな? 継続は力なり、いずれはどちらでも大差がないキャスティングを求めて精進いたします。

写真左から右の流れで右岸立ち。この場合は左手が上でロッドを握り、Tスナップ、あるいはサークルキャストでスペイフィッシング。要は自分の体にフライが当たらず、目的の場所へフライが飛べば良いのですが、これがなかなかどうして。
最近はスイッチロッドを購入する方が増えました。短い分だけ、シュートのタイミングがタイトになります。