Hardy Ultralite(ウルトラライト) NSX SR シリーズを借りられたのでロッドを振ってみた

毎年秋になると新製品が入荷しサンプルロッドが借りられるので、各メーカーのインプレッションがアップできます。今回はハーディのウルトラライトNSX SRシリーズのうち5本をお借りし、時間を見つけて近所の土手で振り倒してきました。ロッドのインプレッションなので私感になりますが、どんな感じかが伝われば幸いです。

最近フライフィッシングを始めた方々には、「あれ?ハーディってリールメーカーじゃないんですか?」と聞かれたりしますが、実はハーディは過去にはトローリングリールやスピニングリールをやっていたり、それに合わせてロッドもやっていた時代もあるので釣具の総合メーカーさんだった時代もある、と言っても良いのでしょう。結果的に不得意な分野は淘汰されフライだけになったと言ったら良いのかな? 私はフライフィッシング歴はとても長いですが、釣具の歴史には無頓着でありボロが出るので、過去の話はこの辺でやめておきます。

今回紹介するウルトラライトNSX SRシリーズのNSXは、かつてからあったシントリックスの進化系NSX構造の事、ではSRはどんな意味なんでしょう?(スーパーライトだとLになっちゃうし)。知っている方いたら教えてください。モデルは4ピースモデルが6種類と6ピースモデルが3種類あります。

今回はそのうちのいくつかをお借りしたので全部を振ってはいません。全体的なイメージを言えば、めちゃくちゃ軽くて日本人好みのグリップ周り。ロッドエンドからコルクグリップのトップまでは約24センチしかなく、グリップ部分は15.5センチなので、国産の小さなグリップを持つロッドと同等くらい。直径の小さいクラシックタイプのリールをセットした時のバランスがよく、シートやグリップにとても特徴があります。

グリップは変形のフルウェルグリップとでも言うのでしょうか、Vグリップで握ると今まで使ってきたロッドの中では抜群に良い握り心地。ということはインデックスフィンガーグリップ(人足し指前)でグリップを握る人には違和感があると言えます。

ロッド全体はメタリックのオリーブカラーをしていますが、ロッドインデックスが入っている部分のブランク地が出ていて、かつてのダイヤモンドバックロッド柄を思い出します。細かくいうとキリがないくらいこのロッドは特徴があるのですが、ブログがとっても長たらしくなるのでこの辺にして今回試したロッドたちの感じた振り心地を書いていきましょう。

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HROR 705(7feet・5weight・4piece)「ん?なんじゃこりゃ?」と思ったのがこのロッドの第一印象。軽さと短さが手伝ってロッドの復元力が早く、ラインスピードが必然的にあがりフライがピシピシとコントロールできる、そんな竿。極端なショートレンジは別として幅広いレンジが投げられる。もしかしてこの短さでもフルラインが出るのかなとやってみたら出ました。ロッドの短さ故に遠投はロッドスピードを上げるので、その空気を切る音が凄くなる不思議なロッド。

Fine point:7フィート5番って何に使うんだろう?と本国での用途がとても知りたい。日本で考えるとこのラインスピードを生かしてとても空気抵抗が大きいバルキーなフライをピンポイントに落としたい人には良いんだろうな。ボサ川で40アップのトラウトを狙う、そんなシチュエーションを想像します。それに思っている以上に硬く感じないのがまた不思議。

Weak point:渓流用のシリーズだけれど、このロッドは何に使うかがイメージしずらく、かといってブラックバスなどをやるにはバットが少し非力。キャスティングレンジは5〜15mくらいを私は推奨しますが、使い方を見出せないとなかなか手を出しにくい長さと硬さ。

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HROR 764(7feet6inch・4weight・6piece)見た目の細さと異なり割とバットがしっかりしており、ロッドは緩やかなカーブでしなる。ショートレンジからミドルまでブレること無くキャスティングが楽しく感じる。特にミドルレンジより遠投に入った場合、Vグイップで握ったフィーリングが心地よい。

Fine point:キャスティングレンジはショートからミドルまでブレる事なくシャープにキャストが決まる。ロングレンジでもバットまで曲がり込む事なく、幅広いレンジで使える6ピース。今回キャスティングした中で私が一番欲しくなったモデル。コレ絶対イワナ釣りが楽しい筈。

Weak point:幅広いレンジに使える一本なので、ロッドを振っていて尖った部分(際立った部分)がないマルチロッドテイスト。何か特徴が欲しい玄人好みのロッドでは無いと思う。

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HROR 884(8feet8inch・4weight・6piece)全体に細身だが、6ピースのためか見た目以上にロッドの真ん中らへんは硬め。かと言ってバットが硬い訳ではなく、ショートレンジではティップだけが曲がる。徐々にロッドに負荷をかけると真ん中の硬さが残って、バット側が少し曲がり始めるといった、古めかしさを感じるアクション。

Fine point:「昔のロッドってこんな感じで曲がっていたよね。」と思える、初期のハーディらしさを持ったイメージ。でも現代のロッドなので無茶苦茶軽く、1日中ロッドを振っていても疲れなんて感じないでしょう。6ピースということもあるので、北海道出張に持っていきたくなるような一本。大物狙うのならばこの上の905だと思うけれど、今回はサンプルが無かったので振っていません。
Weak point:ロッドのアクションは超遠投向きという感じではないので、あくまでもミドルレンジ(15m位まで)を得意とするような雰囲気のロッド。実際に大物をかけた感じを想像すると、やや腰砕けになるのかもしれない。

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HROR 703(7feet・3weight・4piece)7フィート以下のモデルは総じて軽すぎて気持ちが悪い(笑)。ロッドをキャストしているという感覚がなく、かと言ってちゃんとタイミングが取れてキャストでいているという感じ。ラインスピードがつけやすく軽快な釣りを約束してくれるでしょう。

Fine point:どんなポイントでもスパスパ入るコントロール性能は素晴らしい。短いからロッドが全くブレがないんです。軽快なラインスピードだけれど、ラインプレゼンテーションは極めて静かな印象。源流部のイワナにはもってこいのモデル。ミドルレンジでも乱れない。

Weak point:あんまり関係がない点ですが、一応遠投できるか確認したところ微風向かい風でラインの75%程度キャストできた。20センチ以下の魚ではどれぐらい曲がってくれるのでしょう? ロッドが短くメンディングなどはしづらいでしょう。

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HROR 763(7feet6inch・3weight・4piece)7フィートモデルよりもやや軽快感が失われるけれど、ヤマメを狙うロッドとしてはこの位のしなやかさは欲しいところ。ショートレンジからミドルまでを程よい長さがキャスティングの楽しさを教えてくれる。

Fine point:キビキビさを減らしてより優雅に、そしてナローループを容易に生み出すミディアムファーストアクション。ロッドが幾分長くなったことで、プレゼンテーション後のラインコントロールがし易い。7フィートモデルが源流のイワナ用とすれば、こちらはしなやかさを持ち合わせた、ハーディのヤマメ専用ロッドといったイメージ。

Weak point:この長さは一番汎用性があるヤマメロッド。使うことはないロングレンジはやや不得意で、フルキャストを試みたが、バットが曲がり込んでくるので出来なかった。使い易いさは抜群だと思うが、尖った個性は軽さだけかも。

ハーディロッドのインプレッション
今回試し振りをしたのはハーディ5本とGルーミス1本(こちらのお話は後日)。雨の朝だったけれど、雨がおさまったタイミングで振ってきました。芝生はウェットコンディション。5番と4番はエアフロのリッジ2タクティカルトラウトライン。3番にはスーパーフロ・ユニバーサルテーパーを使いました。
ハーディの竿袋
ハーディは竿袋一つとってもとてもお洒落。ロッド挿入口は白で縁取り入れやすくなっています。また、4ピースモデルにはロッドキャップがあり、それを仕舞う場所が竿袋の上部に用意されています。
ハーディロッドのバットガイド
バットガイドは形状記憶合金+SICリングを使用したもの。こんなに曲げても復元します。フレキシブルなので、ロッドアクションにも影響しにくいでしょう。
変形フルウェルグリップ
このロッドの特徴として、グリップ上部の凹みが大きく、その位置から膨れた部分が卵のを包むように握れ無駄な力を入れずにとても投げ易い。ただしそれはVグリップで握った場合。インデックスグリップだと、上部の反り返りを避けて握りたくなるので、その卵状の部分よりも下を握ることになるので、握りにくくなる。
ハーディのリールシート
シートのリールフットを納めるカップ形状は複雑でハーディのお洒落さん全開。バットエンドとシートカップ上(写真では見えませんが)にハーディマークがあります。シートフィラーはバールウッド採用。
HROR705
グリップの周りは全てのモデルが一緒。この7フィートは5番とは思えない軽さ。短いとロッドはとても軽く感じるものです。
ハーディのパックロッド
パックロッドとなる884と764は旅行のお供に是非とも釣れて行って欲しい超軽量グラファイト。905が振ってみたかったです。
HROR703
私が持っている短いロッドでこのアクションに一番似ている物は、ペゾン&ミッシェルのフェザーウェイトかな。でもペゾンはバンブーなので重量では全くの別物で、同じ投げ心地とは言えない。私は12番ロッドを一日中振り回すこともあるので、このロッドはその対局にあると共に、ロッドを振ると言う感覚が私には無い(笑)

 

マーキス改造計画?

昨日載せたブログに私のマーキスの写真を載せたのですが、そのマーキスにはバランサーウェイトが付いています。これは1980年代にハーディが別売りで販売していた、ニッケルシルバーで作られたオプションです。「現行のマーキスには付くの?」と言う問い合わせがありましたので試してみました。

現在店頭に在庫があるマーキスはLWT4と6、そしてサーモンワンがありましたので、早速試すことに。シングルハンドのモデルであるNo,4と6はE1というパーツで合うはずですが、はめてみるとバランサーウェイトの径が若干太く、残念ながらつきません。その代わりに、サーモンワンは通常はまらないであろうE2サイズで合います。どうやら今のマーキスは以前のモデルよりも穴の径が一回りずつ小さいということになります。

ということはNo,7はE2で合うことになってますが現行モデルは穴が小さいのでE1で合うことになりますが、残念ながら店頭にLWT7の在庫がないので確認できませんでした。

ということで結果、こんな感じです。

LWT2/3→ × 元々バランサーウェイトが出ていません。
LWT4 → × オスの直径が若干太くて入りません。
LWT5 → × 在庫がないので確認してませんが多分同じ。
LWT6 → × オスの直径が若干太くて入りません。
LWT7 → △ E1で合うのかも?(未確認)
LWT Salmon1 → ○ E2でセット可能
LWT Salmon2 → × サイズ表でE4になっているのでE3かも?(未確認)
LWT Salmon3 → × サイズ表でE4になっているのでE3かも?(未確認)

1990年代後半まで作られていたモデルはサイズは同じなので、表記通りで付くはずですので、旧品をお持ちの方は、ドレスアップにいかが?大物が走り出した時のリールバランスが滑らかになるのと、他人の区別に良いドレスアッップだと思います。

現行モデルのHardy Marquis Salmon LWT1にはめてみたの図。カウンターバランスはニッケルシルバーで出来ていて、高級感があります。ニッケルの黄色味が嫌な方は、ピカールで磨けばシルバーになります。
裏はこんな感じで、フライラインが引っかからないようにツルッとした球面です。取付はネジ式ですのではめるだけ。コインで回さなくても取付られますが、落下が気になる方は、ネジ部に瞬着(またはネジロック)を一滴垂らしちゃいましょう。
もっと種類が揃えば良いんですが、さすがに1980年の商品ですので、ハーミットでも在庫限り。合うものを持っている人は必見です。