世捨て丸とシーホース

私のフライ・シーバス史はとても長く、オカッパリだと遡る事中学生の頃から。ボート・シーバスだと、今から30年くらい前なるでしょうか。昔はフライ船なんてないので、乗り合いのルアージギング船で、隅っこの方でやらしてもらっていた程度です。そのうち小型ボート購入する仲間が増え始め、そのプレジャーボートでシーバスを楽しんでいたのですが、営業船でないので思うように釣りができない事から、2000年初頭に世捨て丸を購入する事になりました。

その世捨て丸は5.7mの小さな和船でしたが、それでも維持費は高く所持し続けるのはやっぱり釣具屋でもキツイのです。なので購入時に数名の共同購入者を募ったのですが、その中の一人に今シーホースで活躍している内田船長(ウッチー)がいました。ウッチーとは10代後半からの長い付き合いで、彼は年下なので私にとっては弟分みたいなものです。

その世捨て丸はハーミットでシーバススクール船として活躍してましたが、10年間活躍した後にうっちーがシーホースを立ち上げる事になったのと、丁度その年に東北大震災があったので被災された方へ世捨て丸を寄付する事で、その役目は終わりました。

そんなうっちー船長ですから、世捨て丸からのシーバスボート経験を加算すると、すでにシーバスボート歴は18年以上を経過しているわけで、湾奥を知り尽くしたオトコと言って良いでしょう。なのでうっちー船長から「ヤバイですゼ。」なんて連絡が入ったら、釣りに行かない筈はないでしょう。というより身内みたいな仲間に営業されてもねぇ(笑)

先週に引き続きランカーを求めて海へ繰り出した本日の湾奥ですが、その私はというと・・・。

湾奥から見る富士山
秋から冬にかけての湾奥は空気が澄んでいるので、晴れている日は海の上から富士が望めます。
イナダ
出ましたブリ!と言いたい所ですが、イナダサイズです。湾奥の何にもないところへ行き、前回と同様にひたすらデッカイフライを投げまくるのですが、時折海が割れてボイルしてます。で、シーバスだと思ってキャストしたら、こいつが釣れました。13cmのエンリコミノーをガップリ飲み込み血だらけになってしまったので、今夜のおかずとなりました。
東京ゲートブリッジ
ゲートブリッジ前で無駄打ち練習。前回20cmの大型フライを8番ロッドで投げづらかったので、今回は12番を持ち込んでのキャスティング。それも5時間休む事なくぶっ通しで。ターポンでさえサイトフィッシングなのに休み休みのキャスティングなので、このキャスト地獄は修行を通り越して拷問です。そして今私の腕はパンパンに腫れてます。
シーバス
その後に沖へ移動してドッカーン、とうとうやりました! と言いたいのですが、私がいくら投げても釣れないので、「おかしいな、いる筈なんだけれど。」と言う、うっちー。突然私の横でルアーを投げたかと思ったら、いとも簡単に釣りやがった。チクセウ(笑)
そうこうしている同船者にヒット。シーバスは船際ギリギリで反転して喰うパターンで私はそれで2本掛け損なった。う〜む、困ったもんだ。
シーバス
銀ピカシーバスくんを見事にキャッチした同船者。私はどうだったかって? 5時間無休の12番ロッドフルキャストして、イナダ一本のみです。おぉ神よ、一体、私の何が悪いのでしょうか? またしてもランカー次回持ち越しです・・。

 

平和な時間

中央道を駆け抜け、富士樹海を通り過ぎた時の外気温は2℃。わずかに明け始めた西空を気にも止めず、ここ数日良い魚が上がり続けているポイントを一路目指した。だが、ポイントへ着く前にすでにその湖畔にライトが見えたので、仕方なく別のポイントを探して落ち着く事に。富士から登るご来光を見ながら冷たい空気を切り裂くキャスティングは、もう素手では辛い季節になってきた。そして明るさと共に冷え込んだ気温は一気に上がり、何一つ聞こえてこない無音の世界が続く。

穏やかな時間は瞬く間に過ぎていき、日差しの角度と共に魚を求めて移動する私。珍しく午前中から風が吹き始めたのでいつもとポイントを変えてはみたものの、湖面に浮かぶカメムシフライはただ気持ちよく浮き続けているばかり。ライズはない。さらに増水によりポイント選択を狭め釣り場探しも一苦労だが、ウェーダーを履いている事で、少し沖目にある岩場で釣りをする事ができた。

丁度風裏になるこの場所は私の目の前に左岸からの吹き込みでできたスカムラインが沖に向かっての帯が伸びている。ここはひとつフライを変えて気分一新しようとフライを結び変えていると、私のロッドのバットガイドから2番目の辺りの視界に動くものが飛び込んできた。

正に今、水面に浮いている虫を喰おうとしているそのヒレピンは、口を半分開けた所で私と目があった。距離にして1mあるかないかである。お互いに「あっ。」と思った刹那の後、およそゴーマルのブルーバックレインボーはエサにはあり付けず一目散に逃げていった。それをみ見て慌ててフライを結び、カメムシフライを投げまくる私。しかし相変わらず水面は穏やかである。

その後はポイントを変えて色々なフライを投げてみたり、引っ張りでウーリーバガーを引いてみたり。夕方になるまで本栖湖一周を色々な場所で攻めてはみたものの、私のフライはただひたすら穏やかな時間が過ぎただけで夕闇を迎えた。

先月は毎週のように雨で各地の悲報を聞き続けたただけに、ただ平和な時間を過ごせる事に至福を感じた昨日。釣り人らしいオデコだった時の言い訳です。

ガイドに糸を通し忘れた。
釣りへの前のめり度数60%。誰でも一度はあるでしょう。そして気づいた時は周りに目をやり、一人苦笑いするものである。
ハリガネムシ
目の下を泳ぐハリガネムシ。それをじっと見ていたらランカーサイズのバスが寄って来たので喰うのかと思ったら、躊躇してやめました。間髪入れずに私のフライを投げては見たものの、フライを見た後に私に目をやり、軽蔑の眼差して泳ぎ去りました。
富士山
富士へ向かってフルキャスト!この場所でゴーマルさんとご対面。でもその後は何もナッシング。
マツヘリカメムシ
カメムシにも色々な種類がいるようで、本栖湖は主に茶色いカメムシ中心です。このカメムシは名前を調べたら、マツヘリカメムシと言うようです。今まで緑ばっかり巻いてきたけれど、他のカラーも巻かないとね。コヤツは車に張り付いてました。
本栖湖で待ち合わせた釣り仲間は、しっかりと一本取ってました。良い時合いに虫の吹き溜まる場所に入れるかがキーポイントだと思います。
風がおさまる日没後まで粘っては見たものの、何事もありませんでした。でも次回へのタイイング意欲が湧いてきたので、良しとします。