桜舞う河原で3.11の年を思い出すフライフィッシング

本流での釣りを終えてマッキーに家まで送ってもらった翌日の事。次の日はゆっくりと体を休めれば良いのに、空の青さと春の暖かさに誘われて私の車はまた北関東へと向うのでした。釣り人ってホント馬鹿ですね(ってか私だけか・・)。

福島県に程なく近いからなのか、この川は4月1日解禁の温泉街を流れる里川。その解禁日は恐ろしいくらい餌釣りの方が訪れて、お土産放流された虹鱒をひとりで50本くらい釣り上げ、満足げにクーラーへ放り込むのです。でもその時期は水温は極めて低くヤマメ釣りへ出掛けたとしてもライズが始まるのが12時過ぎになるので、ドライフライの釣りは成立するけれど釣る時間がとても短いのが難点。

一週間もするとお土産放流の塩焼き用ニジマスは綺麗に釣り切られ、餌師は一気にいなくなります。そして釣られずに残るのはいつもヤマメさんで、この川に桜が咲く頃には一日を通してドライフライフィッシングに専念できるのです。

この川へ降り立ち、ふと思い出した2011年4月のこと。世の中はすっかり消沈し、世間は釣りどころでは無い雰囲気だったけれど、私は釣具屋として平静さを装いながら日々と変わらない釣り情報を発信する為にココへ訪れたのです。

しかし震災直後の温泉街は人などおらず、通る車も全くなく無音の町。唯一空いているコンビニで入漁証を購入するのですが雰囲気はまるでゴーストタウン。釣り師はもちろん人っこ一人おらず、気持ち悪いくらい川のせせらぎ以外何も聞こえない状態。そんな中、川を釣り上がると人がほとんど入っていないであろう状態は、堰堤でヤマメが一列になってライズしているのです。

ライズを見て片っ端にやっつけていると突然地面が大きく揺さぶられ、立っていられない状態になる程の地震が発生。私は大きな岩にしがみついってやり過ごしていると、堰堤の流れはタライに水を張ってチャプチャプと波を立てている様な状態。そんな中でもヤマメはライズを止めず黙々とカゲロウを捕食している姿を見て、地震の時は魚は釣れないなんて嘘なんだなと思ったのです。

あれから12年が経ち温泉街の1/3は廃墟となり新たな宿泊施設が少し増えましたが、街はすっかり様変わり。でもあの頃と同じ桜が今年も見事に咲き誇っているのでした。

北関東のヤマメ釣り
浅くなるポイントもあれば、逆に深くなったポイントもある。どんな川でもそうですが訪れるたびにその流れが変わっているので、以前の記憶をリセットして始めます。
ヤマメ
今年は暖かい日が多いので桜のほとんどは花が散ってました。葉を蓄え始めた桜を横目に釣りを始めると早い流れからすぐにヤマメがこんにちは。放流ものですがこの川はこのサイズが沢山釣れます。
堰堤でライズを探す
この川に到着したのが12時過ぎだったので川面に流下するカゲロウは無く、ライズを探さずにとりあえず早い流れを打ちまくって釣り上がります。
ヤマメ
堰堤下でライズを繰り返す個体はユスリカミッジ#24の釣り。それ以外の早瀬は#14のパラシュートやソラックスダンで次々とハントします。
ヤマメ
今回はウィンストンピュアの7フィート6インチ3番が相棒。久しぶりに使いましたがメチャクチャ軽いんです、このロッド。
春のドライフライフィッシング
解禁日にニジマスを死ぬほど放流し一週間で見事に釣り切られるのですが、早い流れを交わして緩い端のポイントや草木が川原に被っているポイントを攻めるとたまにニジ丸君が釣れます。
ヤマメ釣り
気がつけばわずか1時間ほどでツ抜けするほどの釣果。相変わらずよく釣れる川ですが、昔に比べると入漁料が高くなり日釣り券は¥2,000になりました。私は渓流魚を持ち帰らないので全てリリース。
フライでヤマメ
午後4時ぐらいから小型のメイフライがいっぱい飛び始めたのですが、その頃にはもうゲップが出るほど釣れてましたので、イブニングはやらずに帰りましたとさ。この川をやる場合、いつもならば後半は天然物を求めて沢に入るのですが、そっちの釣りは次回の楽しみにとっておきます。さて、また次週の為にフライを巻かないとね。

投稿者:

Hermit55

ハーミット店主の釣行記やよもやま話です。 お店にいる時間の方が長いので、釣りよりも店の話の方が多いかもしれません。漢字変換ミスが多々ありますが、見つけならが直しますので、ご勘弁を。