気を抜いて出かけたら、色々なものを忘れてきた日光・湯川の旅

渓流シーズンは早いところでは9月の中旬で禁漁に入ってしまう漁協が数多くあるので、あと2週間ほどで終わってしまうのです。「まだまだ暑いからもう少し涼しくなったら行こうかな。」なんてのんびり構えていたら、25年シーズンの締めくくりもせずに管釣りの季節に入ってしまいますゾ。皆さんの今シーズン総仕上げはどこへ行きますか?

さて私はというと、皆さんの釣欲を煽る為にも場所を変えながら色々なところへ行っています。で今回は、そういえば今年はまだ湯川へ行っていなかった事を思い出し、あそこは標高が1,400mくらいあるから涼しいだろうと、出かけてることにしたのです。

行き慣れた釣り場というものは身が引き締まらず、あるもので何とかなるだろうと出かけたのがまずかった・・。まず緊張感の無さからカメラを忘れ、手元にあったiPhoneでの撮影となったので水中撮影は無し。とりあえずザックに食べ物と水をしこたま詰め込み、いざ赤沼茶屋を出発。

私は主にサイトフィッシングでブルックトラウトを楽しむので、魚を見つけるまではゆっくり木道を歩きながら魚を探り歩く。ようやくブルックを見つけたのでタックルを組みフライベストに手を伸ばした時に気づいたのは、前回のイワナ釣りまんまのタックルを持ってきてしまったので、フライのサイズは6〜14番ばかり。湯川でメインとなる16〜20番サイズが全くない。さらにティペットは一番細くても5.5Xときたもんだ。おまけにフロータントもペーストタイプ中心。車へ戻ったところでミッジボックスは積み忘れたのでアリマス・・。

ま何とかなるか・・。

そんな塩梅で始めた今回の湯川散歩。お暇な方はそのお話にお付き合いください。

赤沼茶屋
私はいつも赤沼茶屋スタート。ここで入漁証を購入し、正面の遊歩道から入って木道を歩き、魚を探しながら上流を目指す。「今年は渋い。」と皆さんに釣れない情報を聞いていたのですが、確かにこの時期でまだ記念バッチ(解禁から先着3,000名だったかな)が配られていたので、例年よりも入渓している方が少ないのかも知れません。
奥日光の山々
平日だとこの赤沼茶屋に、ことわって駐車させて頂く事ができます。その際は一番端っこ(この看板の前あたりに止めるのがルール)。お店のことを考えて食べ物やお土産などをここで購入することをお勧めします。
フライフィッシングの聖地
夏休み中だから学童はいないのかとかと思ったら甘かった・・。「こんにちは!釣れますか!」攻撃をされましたが、全然釣れてなかったので無視。以前相手にして正直に釣れないと言ったら、「下手くそ!」と罵声を浴びましたしね😆
戦場ヶ原
ふむふむ、戦場ヶ原は群馬県(ムカデ)と栃木県(ヘビ)の戦いの地なんだね。釣りに夢中で観光案内板なんて普段は見たりしません。今回は青木橋までの間に魚をひとつも見つける事ができず(アブラハヤは沢山いましたが)、魚を探している時間がとても長かった。
アブラハヤ
忘れ物だらけのおかげでフライボックスにちっちゃいものが全然無かった訳ですが、唯一レネハロップのパラスピナー16番が1本だけあったので、それで戦いました。フライを引っ掛けてしまわぬ様に注意をしながらキャストすると、タイトに攻められないから、アブラハヤが釣れちゃうんですね。
湯川の木道
ちなみにスタート時の外気温は21℃で日中でも26℃ほどと、とても快適な湯川。ウェーダーで湯滝までを往復しましたが、それほど汗はかかなかったので、持って行った2リットルの飲み物は半分の消費。
小田代橋
ブルックを見つけたのが青木橋から上だったので、ウワサ通り下流部はハヤばかり。青木橋上でようやくライズを見つけて狙うものの、ライズはたった20分程度で終わっちゃいました。お魚はスレッスレで青木橋では敗北。仕方なくさらに上を目指し、ここ小田代橋に到着。もうほとんど最上流エリア近くになります。
ブルックトラウト
1本目のブルックをキャッチしたのはなんと13時半。釣行開始か6時間も掛かってしまった・・・。それにしてもサイトフィッシングで魚を探して歩いたが、ホント魚がいない。もしくは暑すぎてウィードの下に入りっぱなしか、深い所に入りっぱなしなのかも。
ミズナラ林
サイトフィッシングを諦め1本しか無いパラスピナーを温存するために12番のフライングアントを投げてみるが、フライが大きすぎて魚が出てもフッキングせず。そこで小さなパラスピナーにフライをチェンジした所で追い食いをしないというスレ具合。確かに今年の湯川は厳しい。何よりも水温のヌルさを感じた。
ブルック
さらに前進して小滝まで行き、何か小さいフライはないかとボックスをゴソゴソしていると、突然エサ師が現れ「はいすみません、前を釣らせてもらいますよ。」と、これから釣ろうと思った場所へ仕掛けをいきなり投入。呆気に取られて何も言えず、喧嘩した所で嫌な気持ちになるだけなのでその場を離れた。湯滝まで行って見たものの他に釣り人が見えたので、また来た道を降りながら探してようやくもう一匹。
赤沼橋
赤沼橋から下は見ていなかったので一旦最下流部まで降り、赤沼橋から石楠花橋まで魚を探して歩いたが、今度はアブラハヤさえいない。仕方ないので、もう一度青木橋まで魚を探しながら釣り歩いたが、掛かるのは アブラハヤばかりでした。とほほ・・。
湯川調査票
考えてみればシイラの釣りから、なか一日でここへ訪れたので足はかなり疲れてました。このまま続けても釣れる気がしないので、16時半にて釣りは終了。湯川は入漁証購入時にこのアンケート調査を渡されるので、調査に協力するために記入しましょう。
赤沼茶屋のポスト
この時間になると赤沼茶屋は閉まっていますが、店先にこのポストがあるので湯川の調査票はココに投函しましょう。
湯川のC&R区間
今回釣果は貧果に終わりましたが、乾いた風を感じながら木道を歩るくハイキングは楽しいので、釣れなくても私的には問題なし。湯川は9月末までの釣りですが、かつて9月30日に釣りへ来た時、朝は霜が降りて真っ白だった事があったので、9月後半は寒いものとしてお出かけください(温暖化でそうでもないのかな)。

渓流釣りデビューは3年掛かりの壮大なミッションになった(日光・湯川)

デビューと言うよりは自然渓流で魚をゲットするまでに3年を有したと言う方が正しいかな。以前にどこかでお話ししたかもしれませんが、ビギナーのお方で渓流で魚が釣りたいとの事で、3年前に山梨県のとある山岳渓流へ連れて行ったのがこの物語の始まり。渓流タイプの管釣りではそれ相応に釣れるのですが、3年前のデビュー戦ではイワナのバイトが10発以上あっても、フッキングする事がなかったのです。

その翌年はまた同じ川へ連れて行ったのですが、年間釣行回数が少ないゆえに渓流へ立ってもフライフィッシングの感覚がゼロに戻っていて、ようやくその感覚が戻ってきた頃には納竿となってしまうのです。ついでにお話しすると芦ノ湖へデビューして3年経ちますが、そちらの方も未だにトラウトをキャッチ出来ずにかなり凹んでます。なので、私は釣れるまでは年一行事で渓流と湖の釣りに付き添う事に。

とまぁそんな具合なので、今年も渓流へ同行して 何とか釣ってもらいたい私。そして今年は山梨の川を諦めて改めて選んだ場所は以下の写真の通り。果たしてその結果は・・。

今回の戒め:教えに熱が入ると物事が自分のスケールになりがちなのを気をつけよ

日光 湯川 湯滝側
この季節の日光湯川ならば、ドライフライでバンバン釣れるでしょ、と思った私。赤沼茶屋で入漁証を購入すると6時半の時点で既に10人目。聞けば下流部は工事の影響で濁りがあり魚が少ないから上流で釣った方が良いとのこと。なので湯滝まで移動して入渓し、一旦小田切橋まで降って、そこから上流を目指すことに。今年はクマさんの目撃情報が多いとの事なので、熊鈴などは忘れずに。
熊に知らせる鐘
以前は野反湖にもありましたが、熊さんに人間がいることを知らせる鐘が随所にあります。熊鈴よりもはるかに強力な音色で山に響き渡ります。
小田切橋周辺
到着して最初のポイント。「あの倒木付近でライズしたから、投げてみて。」と指示すると、一発で出ました。しかし空振り。その後は何度流しても出ないから、少しづつ移動して上流を目指すことに。
湯川
私はAさんが釣れたら竿を出そうと前進しますが、その後は全くアタリがなし。昨年は主に青木橋よりも下流を攻めていたので、久しぶりの上流部。ライズと魚影を求めて川面を遠くから静かに覗き込みますが、一向に魚が見つかりません。そんな時間が午前中いっぱい続きました。
湯川のブルックトラウト
魚が見え始めたのが小瀧に近づいた頃で、それまではな〜んもなし。あまりにも何にもないので教える熱がこもり過ぎて、Aさんが萎縮しはじめてしまったので、少し離れて魚を探すことに。結局そっちのけで、まずは自分の釣果にこだわってしまいました。
湯川
色々と試してみた結果。深いところの魚はドライフライには反応せず、ちょっとした障害物の影にいる魚が一番反応が良いことが分かった。しかしそうなるとAさんはポイントにはフライがなかなか入らず、そして後ろの木にフライを沢山飾るのです。
湯川の小滝
午後になると虫が飛び始めて少ないながらもそれなりにライズが始まった。そして小滝の端っこでライズする魚とAさんは格闘中。しかしドライでに出てもなかなかフッキングせず。原因はリーダー〜ティペットがシワシワに落ちるので、フッキングまでのタイムラグがあるために掛かりません。なのでダウンクロスの釣りを試してもらうと、今度は常にフライが引っ張られてしまい、ドラッグフリーでフライを流す事が難しくなります。
湯川
私はというと、そのうち掛かるだろうと思い、自分の釣りに没頭。時間と共にシビアだった反応が大胆になっていきます。
パーレット鱒
いつ見てもブルックトラウトの色彩は素敵です。自然界で生まれてこのカラーが保護色とは思えないのですが、水辺から川を覗き込んだ時には見えにくいんですね、不思議です。
アブラハヤ
歓声をあげているAさんに駆け寄ると釣れていたのはアブラハヤ。「私が自然の川で釣る初めての魚なんですよ。」との事。こんなにカメラを向けられるアブラハヤはなかなかいないのでは?
ブルックトラウトの釣り
ヒゲナガがチラホラ飛び始めてもなかなかヒットしないことに痺れを切らした私はインジケーターを渡し、とりあえず釣果を出してもらおうとニンフを流すことに。僕らから見えているブルックトラウトは全く反応しないものの、少し深いところの魚は簡単に掛かりました。
あまり遅くまでやっているとクマさんがやってくるので、残り時間30分と告げました。するとAさんはドライに結び変え、最後のキャストで見事ブルックトラウトをキャッチ。屈折三年、私は一つ肩の荷が降りた感じ。記念の魚は水辺から跳ねて岸へ上がってしまったこの映像しか無かったのでご了承を。これでAさんは一人で釣りへ行ける様になるのかな?
ブルックトラウト
今回の釣行で思ったのは、やっぱりC&Rの名前が付くところは、最近のアウトドアブームで人が多く訪れるので、魚がいてもむしろフィッシングプレッシャーが高く難しくなっている気がします。使ったフックサイズは16〜24番。昔っからこんなにシビアだったかなぁ?

湯川とギボン(勝手に姉妹提携河川という事にしておく)

先日のモンタナ釣行でギボンという川へ行ったのですが、その上流部の雰囲気は日光湯川を思い出す雰囲気なのです。ギボンリバーは昔の記憶でブルックトラウトが沢山釣れた覚えがあったのですが、先日の釣行では何故かブラウントラウトばかり。なので、秋の風を感じ始めた今、ブルックトラウトに会いたくなったので久しぶりに私の足は湯川へと向きました。

湯川といえば1980年代後半は水の透明度が高くそして岸際が深く、バンク際を近くを歩きながらライズの釣りを楽しんでた釣り場。しかし1990年代初頭に(だったと思います)、台風の影響で川が土砂で埋まってしまい、ウィードがほとんど無くなってしまってから気持ちも萎えて足が遠のいた川の一つ。

ハーミット開業当初にはお客さんにブルックトラウトの釣りを楽しんでもらおうと再訪する気になり、この20年間に3回ほどしか湯川には訪れていません。その時も久しぶりに訪れた感があった湯川ですが、川の色は鉄色に変わりウィードが増えておらず、ぬかるんで釣りづらかったのが印象です。そもそも私は各地の湯川と名が付く川に苦手意識があるのが問題かもしれません・・。

久しぶりに訪れてわかった事。まずは水質の改善。30年前の透明度に近いくらいに戻り嬉しい限り。ウィードもビッシリです。そして周りの樹木が育った事にはビックリ。それこそひと昔前は赤沼茶屋と青木橋のなん中あたりはギボンリーバーみたいに見通しが良く、バンク際を歩きながら釣りをしていた記憶がありますが、現在は樹木が育ち私の背丈よりもやや低い高さに立ち並んでいるので、川が離れてしまうと一望することができないんですね。私にとってはとても新鮮であり浦島太郎的な感じ。

今回は久しぶりの釣行だったので、赤沼茶屋で入漁証を購入して下流側から川を見ながら青木橋を経て小田切橋の上までいく予定。上流は人気なので人が見えたらそこから釣り始め下流をずっと攻めていくという算段。結構な距離を往復するのですが、先日の釣行に比べたら大した距離ではありませんな。

肝心な釣りの方は終盤戦と言う事もありますが、平日の割には人が多いかな?流下する虫が無くライズはチビのみなので、いそうな場所への弾丸キャスト。沈めればサイズを見込めるのは分かっているけれど、今回は大物を求めているわけじゃないから、ひたすらそこら中にフライを流しまくりました。結果、大きいサイズは出ませんでしたが、久しぶりに見るブルックのカラーを堪能したのでありました。

それにしてもギボンリバーを見た途端に湯川を思い出すんだから、それだけ共通点が多いって事なんです。なので私はこの二つを勝手にHMT指定・姉妹河川とします(笑) なので湯川へ行って通っている皆様は、ギボンリバー上流ってこんなイメージなんだな、と思って釣りを楽しんでくださいな。

赤沼茶屋から入って最初に曲がる所にある標識。湯滝まで4キロ、サクッと歩いて1時間半という感じだけれど、ポイントを見ながら上がるので、それ以上時間を掛けて上がります。そもそもこの時点では全く虫っけも無く、魚っけもなかったしね。
昔に比べると森が迫ってきて戦場ヶ原も狭くなった気がします。それともそう感じるのは私だけ?見通せる場所もすごく少なくなった気がします。鹿を排除したせいかな?
下流から上流を目指すと最初に渡る橋は青木橋。大体の方はこの橋よりも上流でやっている人が多いと思います。下流部は噂通りチビばかりで魚っ気はあまりありませんでした。
皆さんにはどれが藻でどれが魚だかわかりますか?一応この中に20cm弱のが2匹見えてます。青木橋から下を見た流れ。
ライズが無いので仕方なく居そうなラッフルウォーターを中心にフライを通していくとご覧のサイズで、均したように同じサイズばかり。もっとも川にはあまり大きいのは居ないんですね。菅釣りで釣れるような50cmサイズはほとんど湖で釣れるサイズなんです。下流の中禅寺湖から産卵に登るブルックは竜頭の滝に阻まれるので、川の中で50cmサイズなんてのは稀でしょう(湯の湖から落ちるケースはあるかも?)。
ちなみに湯川には青木橋上流から小田切橋の間に一部禁漁区がありますので、ご注意を。昔に比べると入渓に苦労しますが、入渓時は獣道を利用して新たな踏み跡を作らないように心がけましょう。ラムサール条約湿地なので釣り人はそれなりの配慮が必要です(シューズの洗浄もその一つ)。
上流側にある小田切橋。この橋の上から上流は流れが早いので、ラッフルウォーターが多く、釣り人にわかりやすいポイントが続きます。その反面、釣り人が多いのはここから湯滝までになります。
モンタナで購入してきたフライを使い湯川で試し釣り。あちらではやらたとピカピカしたフライが多くなっていて、真ん中のはコパーアント。そして手前はパープルヘイズパラシュート。いずれもピカピカしたアイスダブが使われています。反応はすこぶる良く、今後私も色々ピカピカしたフライをタイイングし、試してみます。
戦場ヶ原あたりの流れ。川へたどり着くための獣道のトンネル藪漕ぎが凄過ぎて人には薦められません。昔はこの両岸に生えているこの背丈の木がもっと低かったイメージで、バンク際を歩いて釣りができたはずですが、今は一旦川に近づくと上流にも下流にも動けません。苦労しても魚はおチビちゃんのみ。
生徒「先生、国立公園内で釣りしてますよ、自然破壊です。駄目なんじゃないですか?」先生「ここはお金を払えば誰でも釣りができるんですよ。お魚はヒメマスとかが釣れます。でも持って帰れません。」先生、惜しい。ヒメマスでは無くカワマスなんです。そして百人に一人くらいの生徒が私に「自然破壊をしている!」と聞こえる音量で訴えてましたが、そう見えますよね。自然の定義は難しいですが、木道を歩く人々も人工物の上を歩き、動植物の育成を捻じ曲げているので、自然では無いと私は思います。
可愛らしいマーブルカラーのブルックトラウト。また君に会いたくなったら湯川へ行くヨ。