Lamar River / ラマーリバー

前回のスルークリークの話の中で言い忘れたことがあるのでいくつか補足します。イエローストーン国立公園内で釣りをする場合、現在ウェーディングシューズ はラバーソールが義務付けられています。この近隣のモンタナ州やアイダホ州では特にその規定がある川は無いですが、どの川でも必ずシューズを洗って帰り、別の場所では種子を持ち込まないようにするように推奨されています。なので、基本モンタナをやアイダホを訪れる時はラバーソールになり、シューズの洗浄をできる限りして欲しいという事です。

もう一つは、国立公園内は基本キャッチ&リリースなので、バーブレスフック使用です。細かなルールで食べるのが許可されている魚もいますが、訪れた人が殺して食べることはないでしょうから、イエローストーンレイクで釣れるレイクトラウト以外は全てキャッチ&リリースという風に覚えておけば、現地で咎められることはないかと思います。私はルールブックの全てを読んだわけではないので、間違えている点があるかもしれませんので、鵜呑みにしないようにヨロシクです。

さて、ラマーリバーの話。さらっと書きます。理由は簡単、訪れた時はレイバーで(勤労感謝の連休)真っ只中、林道を歩いて上流へ行けば人がいないだろうと思ったけれど、上流へ行っても人だらけなのですぐに諦めました。で、日中は鉄板のスルークリークへ。全員が魚をキャッチした後、再度ラマーへ入り直しましたが、無反応でした・・。

この川も初めて入ったのは22〜23年前かな?ザック背負って延々と歩いたんですが、流れの巻きやひらき、ラッフルウォーターと魚はどこからでもほどよいサイズが出る比較的イージーなイメージ。フライはロイヤルトルードやウルフ、チェルノブイリアントなどの比較的大きなフライを使います。

ラマーリバーはタワージャンクション(場所名)付近でイエローストンリバーとラマーリバーの二つに分かれます。さらに東に進むと途中でスルークリークの支流が合流し、さらに東に行くと、ソーダビュートリバーとラマーリバーに分かれます。その付近にはラマーバレーが広がり、阿蘇山周辺のような景色が広がる釣り場になります。釣りはスルークリーク合流の上あたりから釣りをする人が多いですが、イージーに魚をキャッチしたい場合は、ソーダビュートとの合流上の林道入り口に車を置いて、林道を歩き、上流へ数キロも歩けば魚が比較的スレていません。

ボーズマンからリビングストンを南に下り、タワージャンクションを通過した場合、どうしても釣り場は北東部に集中するので、ラマーリバー、スルークリーク、ソーダビュートリバーはセットで釣りをする場所だと思ってください。ちなみに9月の平均最高気温は20℃、最低平均気温は-2.7℃ですから、朝から出かける釣り場ではなく9時ぐらいに到着して、午後4時ぐらいまで楽しんでください。その昔、いい気になってイブニング近くまでやっていたら、車までの道のりが真っ暗になり、取り囲むようにコヨーテの遠吠えを聞こえてきて、さすがに背筋が寒くなりますよ。最近ではオオカミの再繁殖もうまくいっているようですから、釣りはほどほどに。

車の中からラマーバレーを望む。もっとまともな写真があるかと探しましたがありませんでした。所詮釣り人なので、景色より魚なんです(笑)ラマーは手前に見える草原の奥に流れています。小さいウンコのように見えるツブツブは全てバイソン(タタンカ)。映画『ダンス・ウィズ・ウルブス』を思い出しますね。
合流点付近のソーダビュートの流れ。この川を渡ったその先にラマーリバーがあります。こう行った道路脇は日本と同じで皆さんがやるのでスレていて釣れません。上流部へ行くと日本の川っぽく変化するのですが、今回はそこまで行きませんでした。
ラマーリバーの林道入り口。ソーダビュート流れを渡って、その向こうへ行くのですが、写真の通り観光のハイカーと釣り人だらけ。駐車場は満杯でした・・。我慢して1時間歩ければ上は人がいなかったかもしれませんが、人がいた場合のショックがデカいし今回は大所帯だったので途中で却下。
林道から500mくらい入った場所。ソーダビュートをまたいで向こう岸へ渡るにしても、その周辺には釣り人が・・。仕方なくソーダビュートの上をやろうかと思っても、人、人、人、レイバーデーは日本のお盆みたいなものです。
仕方なく、前日行ったスルークリーク近くのラマーリバー下流へ行くことに。バイソンの群れと群れの間は人がいなので、そこにお邪魔しての釣り。
帰り側にもう一度下流部へ戻り再挑戦。数名の人が抜けたあとでほとんど反応ナッシング。
まあ、みんな釣れた事だしよしとしようという事で、5時半に納竿。宿へ戻って夕飯はこんな感じでいかにもアメリカ。ちなみに奥に見えるコーヒーみたいなのは缶ビールです(笑)ちなみに二日目以降に泊まっていた宿はクックシティにあります。

Slough Creek/スルークリーク

今回のモンタナ釣行の話をどう話すかを考えましたが、その魅力を知って頂くために、行った河川紹介を少し書いてみましょうか。日本なら釣り場を書くと批判を受ける事になりますが、海外だったらそんなにクレームが来ないだろうと信じて書きます(もっとも今回は一緒に行った皆さんに釣ってもらうためにマイナー河川には行ってません)。

スルークリークはイエローストーン国立公園の北部にある河川で、ワイオミング州とモンタナ州をまたいで流れていますが、釣り場はワイオミング州です。グーグルアースで調べると釣りをしている場所の標高で約2,000mほどなので、酸素が多少薄くて息苦しさを少し感じます。日本で言えば北岳へ登るために訪れる両俣小屋辺りで釣りをしている高さと同じです。

この川にはイエローストーン・カットスロートという固有種のみがいる川で、その魚の性格を例えるならば日本で言えばイワナに近いかな?おっとりとしていて音に敏感。食べるものが少ない高地の割には選択眼がしっかりしていて、食べているものはメイフライからバッタなど。。

この川は25マイルほどあり、上流部へ向かう林道を歩いてその奥にあるファースト・メドウ(最初にある低い湿地帯)に行けばそれほどスレておらず、さらにその上のセカンド・メドウまで歩けばチェルノブイリアントに反応するほどフライを選びません。もっと歩くとサードメドウ(林道終わり部分)があるのですが、私はそこまでは行ったことがありません。

その下流部はクネクネとま曲がったゆったりとした流れなので、フライはダウンクロスでしっかりと流さないと喰わないポイント。釣りの難易度で言えば下流部は5段階でレベル4ぐらいの難しさ。

私はこの川に23年以上前に初めて入り、その後この国立公園へ訪れる度に楽しんでいる場所。フライへの選択眼は忍野並みの難しさでいて、魚のサイズは最大20インチオーバー(最大で24インチくらいでしょうか)のワイルドトラウト。カットスロートは一般的に引かないと言われてますが、さすがに50センチもあるので、引きは重々しく、簡単には上がってこないツワモノです。ティペットも6〜7Xを使うので、うかつにひっぱれませんしね。

フライは小型のメイフライを中心に使う釣りでPMDやBWOの#18が一番使うサイズ。風が吹いてバッタが落ち始めると途端に#8のフライで反応するので、そうなれば3Xのティペットでとてもイージーに釣ることができます。

ちなみに公園の中は公園の中だけの釣り券になり、釣りは3日・7日($25)・年券($40)のいずれかの入漁料を払います(ビジターセンターで購入)。また、別途公園内の入園料が必要です。ちなみに私達は3日間釣りをしたので、$18です。カットスロートはキャッチ&リリースがマストですが、唯一レイクトラウトだけはカットスロートの保護(カットを食べてしまうのだとか)のためキャッチしたら殺して欲しい(クマ対策の為その魚は放置しない事)と言ってました。レギュレーションはその都度変わるので、来年以降行く方はこちらのページをチェックしてください。

https://www.trailguidesyellowstone.com/information/yellowstone_fishing_regulations.php

なぜこの川へ何度も訪れるのか?と尋ねられれば、バイソンの群れのいる雄大な景色の中で釣りを楽しめる場所は日本にはないのと、容易に沢山のトラウトをキャッチできない難しさが1匹の価値を高めている場所だからだと思います。FFを40年以上もやっていると経験が多過ぎてイージーな釣りよりもそのプロセスを楽しむ傾向にあるのは誰もが一緒だど思いますが、あなたがもしトラウトバムならば、生涯に一度は訪れておくべき場所だと私は思います。

ボーズマン空港から東へ走り、リビングストンの町へ。州道89号線を南下するとガーディナーの町があり、このルーズベルトアーチがある。イエローストン国立公園へ入るための北の玄関口。
釣り人の横にはバイソンの姿が。彼らの普段はおとなしいですが、自動車一台分の重さがありますので決して近づいてはいけません。彼らのテリトリーですから決して刺激せず、お邪魔させて頂いている謙虚さが釣り人には必要です。
カットスロートの名前の由縁は英語の通り喉を掻っ切ったように喉の部分が赤い事。日本語風で言えば「打ち首獄門マス」とでも言えば良いのだろうか(笑) ここのカットスロートの特徴は顔から真ん中ぐらいまでの斑点が少なく、尾っぽに集中しているところです。
一瞬だけドレイクが飛びました。大きさはモンカゲロウくらいあり#8くらいあるサイズ。日中は小さなビートルやPMD、BWOと言った小型のメイフライの流下が中心。
ライズが渋い時は、丘に登って魚の位置とその行動を確認。フライを結び変えて再度入渓してライズを待つ。
ドンピシャとハマればご覧の通り。5番のロッドが綺麗な弧を描きます。トルクフルなのでランディングまでには5分以上の時間が必要。
カットスロートは個体差があり、これはシルバーがかった個体。細いティペットで魚を取る時は必ずリールファイトになるので、ドラグの幅があるリールを使って対処しましょう。
車を置いてから川までは延々と歩きます。もしくは車を置いてファーストメドウへ行くには林道を延々と歩いてから、少し川まで歩きます。いつも車の目の前で釣りをしている人にはちょっと辛いかもしれませんね。今回は毎日一万歩以上歩いておりましたヨ。
BWOコンパラダン#18でやっつけた個体。クルーズするサイクルを見極めて仕留めました。カットは全ての顔つきが異なります。
昼間の外気温は28℃くらいあるので、サンドウィッチを作りビールで乾杯。ひと休憩したら、また川へ降りていきます。USAはサマータイムがあるので、イブニングまで釣りをしちゃうと20時過ぎになっちゃうので、キリの良いところで納竿(大体16〜17時ぐらい)。
そしてその夜は20インチの魚がどれだけ大きかったかを実感するために20インチピザを頼みます。デカすぎてこれ一枚で4人のお腹はいっぱい。