イエローストーン国立公園北ゲートから入った時に攻める川と宿の場所などの話

先だってのモンタナ釣行は円安の為に日程を短くしたビンボー旅行です。例えば空港で水を一本買うと$3.75(¥560)もしますので、その水さえも貴重です。なので水はスーパーでペットボトル24本(500ml)をセールで$4.00(¥600)しかしない商品を買い込んで、レンタカーのピックアップトラックの中に積みっぱなしにします(水の価格差は尋常じゃないので、スーパーで一気に大量買い)。昼飯の食料はビビさんにクーラーを借りて(いつもは人数が多いのでクーラーを買って頭割りします)、その中に氷と共に仕舞い込みます。昼食は一番安いパンとソーセージやベーコンにレタス。さらにマヨネーズやその他調味料を購入するやり方です。と言っても今回に限らず毎回昼食はそんな方法で安く済ませて夕飯にお金をかけるのです。でも今回はその夕食さえお金が掛けらないのでスーパーで冷凍食品を買い込み、宿にある備え付けの電子レンジでチンしてて食べた日々でした。

そんな塩梅なので滞在中に掛かった費用はガイドフィーがそのほとんどで、それ以外は結果的にいつも以上にコストはかかりませんでした。ガイドを釣行を一日のみとしたことで、あとは行き慣れた河川に行くというパターン。しかしその入漁証も安く済ませる為にあっちこっちに行かず、後半はイエローストーン国立公園で集中的に釣りをする事となりました。

前にもお話ししましたが、公園内に入場するにはその入場料(7日券で$20)と釣り券(3日券で$40で7日券は$55)掛かるので、3日間釣りをすると1日あたり$20(¥3,000)掛かる計算です。フィッシングフィーは年々高くなっていますので、7日券を買って釣行のほとんどを公園内に費やすのも一つの手かもしれません。

国立公園内で釣るメリットがあるとすれば、細かいルールがあるにせよ所定の場所に車を置けば大抵の場所は釣りができるしお魚はいるので、初めての人でもガイドなしでも十分に釣れると私は思います。ちなみに釣り券に関してはビビさんのいるダンベイリーで彼女に頼めば誰でも安心して日本語で購入できるでしょう(パーク内に入る時の入場料は入場ゲートで購入します)。

ちなみにリビングストンに滞在すると宿は安いのですが、国立公園内マモースとリビングストンとの距離は往復約120マイル。さらに釣り場まで往復50マイルほどあり、片道約136kmなので安全運転では約2時間の道のり。運転好きの私には景色を楽しみながらの道のりなのですが、それが毎日なので疲労やその時間がもったいないと感じる方は宿泊代が倍近くになりますが、ガーディナークックシティに泊まるのが良いでしょう。

さて、残りのモンタナ滞在記はそんなイエローストーン国立公園内の釣りをざっと紹介します。お暇な方はどうぞご覧くださいまし。

インディアン・ペールエール
いつもは色々なクラフトビールを買い込んでビールを楽しむのですが、同行のMr.Kはゲコなので呑むのは私だけ。なので酒代も極めて切り詰めて安ビールを宿に持ち込み、12本しか飲みませんでした。あれ、多いかな・・。
ルーズベルトアーチ
北ゲートにあるルーズベルトアーチをくぐり、いざイエローストーン国立公園内へ。少し走ると入場ゲートがあるので、車に乗ったまま入園料を払います。受け取った地図とホチキスで止められたレシートが、以後7日間の入場パス。
今回の相棒はホンダのリッジライン・ダブルキャブ。「釣りで汚すよ!」とレンタカーの人に伝えたらこれを与えられたのです。荷台にはカバーがあり、クーラーやらウェーダーやらをそこに投げ込み放題。まさに釣り向きの車なんですが高いんですよこの車、$4〜$5万します。
スルークリーク
北ゲートから入った場合、主にメインに川はラマー・スルー・ソーダビュート。マモースの街の下にガードナリバーがありますが、谷が深く行かれる方は少ないです(日本ぽい波だった場所が多く、そのポケットを釣っていく釣りで、レインボーやブラウントラウトになります)。私はその中でこのスルークリークが大好き。しかし、このペローんとした流れでライズする魚を相手にするので、ふだん桂川の忍野地区でヤマメだけ狙っている人向きとでも言いましょうか、難しいんです。
スルークリーク
今回のスルークリークはライズする個体が全体の半分もいません。やる気のあるヤツを見つけて、クルージングのサイクルを見測り絶妙なタイミングにフライが落ちた時にバイトします。BWOが飛んでいるものかとそれらのフライをたくさん巻いていったのに、実際にはグリーンドレイクがポツポツハッチしている程度。
ソーダビュート
ソーダビュートの流れは25年前と比べると浅く水量が無く深みが少ないです。なのでポイントからポイントまでがとても遠く、ただひたすら歩くイメージ。
ソーダビュートの流れ
一つのポイントを狙ったあとは、次のポイントはあんなに上かと思うほど遠いのです。それでも結果が出れば良いのですが、時間とタイミングなのでドライフライオンリーだと釣れない時間が続きます。
カットスロートトラウト
いっぱいあるいでナンボ。そう考えると普段不摂生している人は標高も高いし、すぐに息が上がっちゃうでしょう。ちなみにいつも9月頭のレイバーデー(勤労感謝の日)明けを狙って行くのですが、アメリカ国民は連休を取りこぞって訪れるので場所によっては管釣りなみに混んでます。だから、人のいない場所=道路から遠い場所、となります。どうかオオカミに会いませんように、と思いつつ歩きまわります(昔よりも増えたのです)。
ソーダビュート
いくら歩いてもポイントからポイントが遠すぎて、初めて入った場所は2時間ほど釣り上がって見切りをつけ、退却することに決めました。でも空気がカラッとしているので汗はほとんどかきません。
ラマーリバー
写真の場所はラマーリバーとソーダビュートの合流点。奥に見える流れが本流でラマーリバー。あの合流点はつれそうだなぁと思いつつ、一旦下りながら良さげなポイントを探ります。
セージの草原
こんなセージの草っ原をずっと歩いて川へ向かいます。これは釣り終えた時に車へ戻る写真なので、前に見える丘との間に道があります。時にバイソン(バッファロー)がその行手を阻み、迂回することもしばしば。ちなみにバイソンはクローバーが大好き。
カットスロートトラウト
慣れない川で苦労した彼もなんとかカットスロートトラウトをキャッチ。そのパターンがわかるまでとても苦労していた様です。
ホッパーパターン
パターンがわかってしまえばこっちのもの。時合いがくれば入れ喰いです。最初はエルクヘアカディスなどを投げていた彼ですが、バッタに変えた途端にお魚は狂ったように反応します。
グラスホッパー
風もなく無音の世界に一つだけこだまする音、それがこのバッタが羽ばたく音なんです。飛んでいる最中に「チキチキッ」という音を連続して奏でます。時に飛びすぎて川面に落ちるヤツがおり、さらに泳いで岸へ行こうとするので、その波紋が立つのです。魚にアピールしてしまうので、落ちると喰われちゃうんですね。
カットスロートトラウト
パターンが分かってしまえばこっちのもの。魚の食性に訴えてイワナっぽい性格を持つカットスロートのポイントに向かってキャストすれば、ハイご覧の通り。これが彼の最大魚です。
カットスロートトラウト
こんな感じで毎日イエローストーンパーク内を方々歩いてはリビングストンへ帰るという毎日を最後の日まで過ごしました。今シーズンはそろそろ雪が降るのでお終いですが、来年以降にこんな釣りを計画してみてはいかがでしょう? ハーミットはできる限りアドバイスいたします。またその逆に世界の素晴らしい釣り場を知っている皆様には、是非ともそのお話を聞きせて頂けると嬉しいです。

Slough Creek/スルークリーク

今回のモンタナ釣行の話をどう話すかを考えましたが、その魅力を知って頂くために、行った河川紹介を少し書いてみましょうか。日本なら釣り場を書くと批判を受ける事になりますが、海外だったらそんなにクレームが来ないだろうと信じて書きます(もっとも今回は一緒に行った皆さんに釣ってもらうためにマイナー河川には行ってません)。

スルークリークはイエローストーン国立公園の北部にある河川で、ワイオミング州とモンタナ州をまたいで流れていますが、釣り場はワイオミング州です。グーグルアースで調べると釣りをしている場所の標高で約2,000mほどなので、酸素が多少薄くて息苦しさを少し感じます。日本で言えば北岳へ登るために訪れる両俣小屋辺りで釣りをしている高さと同じです。

この川にはイエローストーン・カットスロートという固有種のみがいる川で、その魚の性格を例えるならば日本で言えばイワナに近いかな?おっとりとしていて音に敏感。食べるものが少ない高地の割には選択眼がしっかりしていて、食べているものはメイフライからバッタなど。。

この川は25マイルほどあり、上流部へ向かう林道を歩いてその奥にあるファースト・メドウ(最初にある低い湿地帯)に行けばそれほどスレておらず、さらにその上のセカンド・メドウまで歩けばチェルノブイリアントに反応するほどフライを選びません。もっと歩くとサードメドウ(林道終わり部分)があるのですが、私はそこまでは行ったことがありません。

その下流部はクネクネとま曲がったゆったりとした流れなので、フライはダウンクロスでしっかりと流さないと喰わないポイント。釣りの難易度で言えば下流部は5段階でレベル4ぐらいの難しさ。

私はこの川に23年以上前に初めて入り、その後この国立公園へ訪れる度に楽しんでいる場所。フライへの選択眼は忍野並みの難しさでいて、魚のサイズは最大20インチオーバー(最大で24インチくらいでしょうか)のワイルドトラウト。カットスロートは一般的に引かないと言われてますが、さすがに50センチもあるので、引きは重々しく、簡単には上がってこないツワモノです。ティペットも6〜7Xを使うので、うかつにひっぱれませんしね。

フライは小型のメイフライを中心に使う釣りでPMDやBWOの#18が一番使うサイズ。風が吹いてバッタが落ち始めると途端に#8のフライで反応するので、そうなれば3Xのティペットでとてもイージーに釣ることができます。

ちなみに公園の中は公園の中だけの釣り券になり、釣りは3日・7日($25)・年券($40)のいずれかの入漁料を払います(ビジターセンターで購入)。また、別途公園内の入園料が必要です。ちなみに私達は3日間釣りをしたので、$18です。カットスロートはキャッチ&リリースがマストですが、唯一レイクトラウトだけはカットスロートの保護(カットを食べてしまうのだとか)のためキャッチしたら殺して欲しい(クマ対策の為その魚は放置しない事)と言ってました。レギュレーションはその都度変わるので、来年以降行く方はこちらのページをチェックしてください。

https://www.trailguidesyellowstone.com/information/yellowstone_fishing_regulations.php

なぜこの川へ何度も訪れるのか?と尋ねられれば、バイソンの群れのいる雄大な景色の中で釣りを楽しめる場所は日本にはないのと、容易に沢山のトラウトをキャッチできない難しさが1匹の価値を高めている場所だからだと思います。FFを40年以上もやっていると経験が多過ぎてイージーな釣りよりもそのプロセスを楽しむ傾向にあるのは誰もが一緒だど思いますが、あなたがもしトラウトバムならば、生涯に一度は訪れておくべき場所だと私は思います。

ボーズマン空港から東へ走り、リビングストンの町へ。州道89号線を南下するとガーディナーの町があり、このルーズベルトアーチがある。イエローストン国立公園へ入るための北の玄関口。
釣り人の横にはバイソンの姿が。彼らの普段はおとなしいですが、自動車一台分の重さがありますので決して近づいてはいけません。彼らのテリトリーですから決して刺激せず、お邪魔させて頂いている謙虚さが釣り人には必要です。
カットスロートの名前の由縁は英語の通り喉を掻っ切ったように喉の部分が赤い事。日本語風で言えば「打ち首獄門マス」とでも言えば良いのだろうか(笑) ここのカットスロートの特徴は顔から真ん中ぐらいまでの斑点が少なく、尾っぽに集中しているところです。
一瞬だけドレイクが飛びました。大きさはモンカゲロウくらいあり#8くらいあるサイズ。日中は小さなビートルやPMD、BWOと言った小型のメイフライの流下が中心。
ライズが渋い時は、丘に登って魚の位置とその行動を確認。フライを結び変えて再度入渓してライズを待つ。
ドンピシャとハマればご覧の通り。5番のロッドが綺麗な弧を描きます。トルクフルなのでランディングまでには5分以上の時間が必要。
カットスロートは個体差があり、これはシルバーがかった個体。細いティペットで魚を取る時は必ずリールファイトになるので、ドラグの幅があるリールを使って対処しましょう。
車を置いてから川までは延々と歩きます。もしくは車を置いてファーストメドウへ行くには林道を延々と歩いてから、少し川まで歩きます。いつも車の目の前で釣りをしている人にはちょっと辛いかもしれませんね。今回は毎日一万歩以上歩いておりましたヨ。
BWOコンパラダン#18でやっつけた個体。クルーズするサイクルを見極めて仕留めました。カットは全ての顔つきが異なります。
昼間の外気温は28℃くらいあるので、サンドウィッチを作りビールで乾杯。ひと休憩したら、また川へ降りていきます。USAはサマータイムがあるので、イブニングまで釣りをしちゃうと20時過ぎになっちゃうので、キリの良いところで納竿(大体16〜17時ぐらい)。
そしてその夜は20インチの魚がどれだけ大きかったかを実感するために20インチピザを頼みます。デカすぎてこれ一枚で4人のお腹はいっぱい。