あなたの初恋にはどんな思い出がありますか?
フライフィッシングが楽しめる年齢ともなれば、良き思い出として酒の席で初恋を語り合うこともあるでしょうが、今回はそんな甘酸っぱい話ではありません。実は釣り人は人生にもう一度『はつこい』を味わうことができるんです、字が違うけれど・・・。「初鯉」です。
浅瀬を悠々と泳ぐ鯉
一般的な鯉釣りといえば、延べ竿でウキを付けて狙うスタイルが一般的。もしくは練り餌の中に鈎を隠した練りエサをリールで投げて狙うブッッコミ釣りですが、僕らはフライフィッシャーマンなので、なんとかしてフライで恋を、いや鯉を仕留めたい次第。
フライで鯉を狙うのは何年か前からアメリカでも人気で、そちらは主にドライフライフィッシング。ミッジのクラスターフライとして一般的なドライフライを投げて狙っていますが、日本でも人気はやっぱり浮かせてるドライフライが人気の釣りでしょうか。ひと昔前まで荒川でインジケーターを使ったスタイルをお店では紹介してましたが、ここ数10年はパンで寄せて餌に夢中になった鯉へ向かって偽物のフライを投げ込んで釣るスタイルが一般的。「そんなことするんだったら鈎にパンを付けて釣れば良いじゃない。」とフライフィッシングをしない人からは突っ込まれてしまうことですが、そのめんどくさい事をする難しさと偽物を食わせた技術力がフライフィッシングの達成感なんです。
鯉のスティールヘッド持ち。サイズが4キロオーバーにもなると、この貫禄。
さて、そんな遠回りで難しく狙う鯉釣りを始めて体験したい人を何人か集めて、埼玉のとある川へ出かけたのは先日のこと。ドラッグ(フライが自然に流れない状態)がかかると全く見向きもせず、そして緩い流れではフライを見切る嗅覚はヤマメ以上の宿敵。しかし、どんな魚でもやる気スイッチが入っている魚を見つければ、釣れる確率はグンと上がるもので、この見極めやアプローチが重要になるのです。
釣れる確率を上げるには、パンを撒く量やその感覚も腕の見せ所。レーンに落ち着いた鯉には、一定間隔で同じレーンに留まるようにパンを撒きます。
どんな風に流して釣るかを教えた後に、それぞれ試行錯誤の上釣り上げたそれぞれの初鯉。魚を釣るために努力した時間と比例して、なんでもない近所のお魚という存在から、フライへのターゲットへとワンランク上へ押し上げてくれるのです。これって恋ですか?(笑)
♪好きだよと言えずに初恋は〜、ふりこ細工の心〜♪
あぁ、またしても続く昭和歌謡シリーズ・・・。
鯉のスティールヘッド持ちの図、パート2。ボラに比べると意外に匂いはしない。
今回は大人数で攻めすぎて数名は釣ることができなかったけれど、次回の初コイチャレンジに向けて、パンフライを模索していることでしょう。そして私はというと、パンのチャミング(撒き餌)係としてずっとパンを投げ入れていたので、普段使わない部分の筋肉痛へと陥りました。
ちなみにこの会は通称「鯉しゃぶの会」と言われてますが、鯉を釣ってしゃぶしゃぶにして食べるのではなく、釣りを終えた後に普通のしゃぶしゃぶ食べ放題へ出かけるという冬の行事が、今月へずれ込んだものでした。次回は来年かな?
ここのコイはグルメで超熟と芳醇がお好み。それ以外のパンを撒くと途端に活性が悪くなります。
タイミングが合えばダブルヒットも。本当はマルタも釣りたかったのだけれど、今年は遡上が少ないみたい。そして現在の大きな群れは上流にいます。
みなさんに駅集合にしてもらった理由は、しゃぶしゃぶよりもむしろこっちの方かもしれません。昼呑み楽しいですねぇ。
初コイするの図。鯉に向ける視線に愛を感じます。