春を探しに

この三連休、水道橋の静けさは半端ないのです。皆さんの地域もそうかもしれませんが、普段人が集まるところはどこも閑散としていて、いつもなら黄色い声が聞こえてくる東京ドームシティのジェットコースターは静まり返りゴーストタウンの様。この状態はもう少し続くのかもしれませんが、気分だけはポジティブに川釣りのシーズンを迎えたいものです。

コロナウィルスの影響ですっかりネガティブになってしまったのは人だけではない様で、心なしか水道橋の枝垂れ桜もなぜか寂しそう。そして私はと言えば2月から春を探しに近所の川へ出掛けているのですが、淡水の春告魚(ハーミット的)に未だ会うことが出来ずお散歩の日々。そして今週で4回目の川もうで(詣)。例年よりも遡上が少し少ないですが、ようやく春を見つけた本日の午前中でした。

桜は一気に5分咲きへ。桜咲く渓流はヤマメ釣りの開幕を告げる指標です。皆さんの地域は咲き始めましたか? そろそろ思い腰を上げて、あなたもライズと春を探しに行きませんか? 都会の川に春を告げるマルタウグイの遡上は、そろそろピーク過ぎ。桜が散るのと共に降ります。

毎年、川に春を告げにやって来るのはご存知マルタウグイ。今年は2月末頃から事ある毎に魚を探しにきてましたが、先日まで大きな群れは見当たらず。今回も降り始めているひと群れを見つけたのみで、足で魚を探す状態。各場所で乗っ込み(産卵行動)をしているのはすでに鯉ばかりで、肝心のマルタ君は見つからず右往左往。
水面が割れているのを見て慌ててそちらへ行くも瀬付きのせっぱりは全て鯉。鯉釣りに切り替えても良いけれど、やっぱりマルタに会いたいのです、オレンジ色の憎いやつ、夕刊フジ。
上へ下へ探し回る事2時間。「もう諦めて朝霞ガーデンでも行きますか。」という気分になってましたが、最後の最後あそこだけ確認して返りましょう、というその最後の場所だけにマルタくんのご一行様がいました。今年はこの一本を釣るのに時間がかかったので、気分は遡上魚サクラマス 扱い。丁寧に記念撮影してそっとリリース。
魚を探すのに夢中になっていたので魚が釣れた後に我に返り、河川敷に咲く桜の美しさに気づく。もう春なんですね。
サメ肌のマルタくんは太陽が1ラディアン(弧度)を超えてくると、途端に食いが悪くなる。なので朝と夕方勝負の釣り。ロッドを無理に煽ってひっかけ釣りはしないでチョンマゲとマルタくんが言っとります。
釣れないモヤモヤから解放された瞬間。これで晴れて各地の川へライズを探しに出掛けられます。明日はどこへ行こうかな?皆さんも桜咲く川の近くでフライフィッシングを楽しんでくださいまし。

もう一つの春告魚

『春告魚』と書くと、皆さんの中では何が思い浮かぶでしょうか?メバルかニシン、あるいはサワラ(鰆)などが良く耳にする代表格。どれも海の魚だけれど、フライフィッシャーマン的な春告魚と言えばそう、マルタウグイ(マルタハヤ)なのです。

このマルタくんは春に生まれて一年を川で過ごし、海へ下りて大きく育ち、.やがて成魚になって生まれ故郷の川へ戻ってくるのです。コイ科の魚だけあって寿命は10年と長く再び産卵のために川へ戻るけれど、最初の一年を川です過ごすのはサクラマスと同じ。そしてサケやスティールヘッドと同じく立派な遡上魚。彼らは身近で手軽に楽しめる遡上魚であり、気分はアーバンライフ、スティールヘッド!(ちょっと無理があるかな?)

梅が咲き始め桜の蕾が少し膨らんでくる頃の大潮周りで彼らは大挙して現れ、4月を前にしての産卵行動が終わるとまた海へと帰っていく。海での生態はよくは知らないけれど、河川の近い堤防で釣りをしていると時に時折釣り竿に掛かりお目見えする。強い引きで猛ダッシュする銀色のボディを見て、一瞬海サクラかと見間違えそうになるけれど、自分が短パンにTシャツ姿なことで、それが丸太ウグイだということに気づくのです。

さて、そんな丸太くんを本日の朝早く、夜明けとともに楽しんできました。なんの知恵もいらず、多少のドラッグフリーで流すことを覚えれば、誰でも釣れる50cmオーバー。遡上魚らしくフルパワーで釣り人を魅了してくれます。そして桜が咲く頃には誰にも気づいてもらえず、そっと海へ帰っていくのです。釣れる期間はあと3週間ほど。あなたも春の訪れを楽しんで見ませんか?

川面を覗くと大挙して押し寄せてきた彼ら。関東地方の春の訪れを感じられる光景。
やる気のある群れを見つけちゃえば、無限ループで釣れる丸太くん。年に一度の行事です。釣り人のひな祭りみたいなものかな?
皆さんにもラムソンのセンターアクシスを使ってもらい、その感覚を楽しんでいただきました。それにしてもこのロッドカラーは個人的にとても好き。
フライはなんでも良いのですが、蛍光色がお好みのよう。私的にはチャートリュース、イエロー、FLオレンジなどに分があるような気がする。
一年に一度、この鮫肌の感触を味わいます。楽しませていただいた後は、そっとリリース。
おニューのロッドを丸太くんで入魂。5番ロッドが悲鳴をあげてました。

初恋(はつこい)

あなたの初恋にはどんな思い出がありますか?

フライフィッシングが楽しめる年齢ともなれば、良き思い出として酒の席で初恋を語り合うこともあるでしょうが、今回はそんな甘酸っぱい話ではありません。実は釣り人は人生にもう一度『はつこい』を味わうことができるんです、字が違うけれど・・・。「初鯉」です。

コイ
浅瀬を悠々と泳ぐ鯉

一般的な鯉釣りといえば、延べ竿でウキを付けて狙うスタイルが一般的。もしくは練り餌の中に鈎を隠した練りエサをリールで投げて狙うブッッコミ釣りですが、僕らはフライフィッシャーマンなので、なんとかしてフライで恋を、いや鯉を仕留めたい次第。

フライで鯉を狙うのは何年か前からアメリカでも人気で、そちらは主にドライフライフィッシング。ミッジのクラスターフライとして一般的なドライフライを投げて狙っていますが、日本でも人気はやっぱり浮かせてるドライフライが人気の釣りでしょうか。ひと昔前まで荒川でインジケーターを使ったスタイルをお店では紹介してましたが、ここ数10年はパンで寄せて餌に夢中になった鯉へ向かって偽物のフライを投げ込んで釣るスタイルが一般的。「そんなことするんだったら鈎にパンを付けて釣れば良いじゃない。」とフライフィッシングをしない人からは突っ込まれてしまうことですが、そのめんどくさい事をする難しさと偽物を食わせた技術力がフライフィッシングの達成感なんです。

フライでコイ
鯉のスティールヘッド持ち。サイズが4キロオーバーにもなると、この貫禄。

さて、そんな遠回りで難しく狙う鯉釣りを始めて体験したい人を何人か集めて、埼玉のとある川へ出かけたのは先日のこと。ドラッグ(フライが自然に流れない状態)がかかると全く見向きもせず、そして緩い流れではフライを見切る嗅覚はヤマメ以上の宿敵。しかし、どんな魚でもやる気スイッチが入っている魚を見つければ、釣れる確率はグンと上がるもので、この見極めやアプローチが重要になるのです。

フライでコイを釣る
釣れる確率を上げるには、パンを撒く量やその感覚も腕の見せ所。レーンに落ち着いた鯉には、一定間隔で同じレーンに留まるようにパンを撒きます。

どんな風に流して釣るかを教えた後に、それぞれ試行錯誤の上釣り上げたそれぞれの初鯉。魚を釣るために努力した時間と比例して、なんでもない近所のお魚という存在から、フライへのターゲットへとワンランク上へ押し上げてくれるのです。これって恋ですか?(笑)

♪好きだよと言えずに初恋は〜、ふりこ細工の心〜♪
あぁ、またしても続く昭和歌謡シリーズ・・・。

鯉をフライで釣る
鯉のスティールヘッド持ちの図、パート2。ボラに比べると意外に匂いはしない。

今回は大人数で攻めすぎて数名は釣ることができなかったけれど、次回の初コイチャレンジに向けて、パンフライを模索していることでしょう。そして私はというと、パンのチャミング(撒き餌)係としてずっとパンを投げ入れていたので、普段使わない部分の筋肉痛へと陥りました。

ちなみにこの会は通称「鯉しゃぶの会」と言われてますが、鯉を釣ってしゃぶしゃぶにして食べるのではなく、釣りを終えた後に普通のしゃぶしゃぶ食べ放題へ出かけるという冬の行事が、今月へずれ込んだものでした。次回は来年かな?

パンを撒く
ここのコイはグルメで超熟と芳醇がお好み。それ以外のパンを撒くと途端に活性が悪くなります。
鯉のファイト
タイミングが合えばダブルヒットも。本当はマルタも釣りたかったのだけれど、今年は遡上が少ないみたい。そして現在の大きな群れは上流にいます。
昼呑み
みなさんに駅集合にしてもらった理由は、しゃぶしゃぶよりもむしろこっちの方かもしれません。昼呑み楽しいですねぇ。
フライでコイ
初コイするの図。鯉に向ける視線に愛を感じます。

 

釣竿に魂を!

キャスティング
ほとんどの方々の修正点はバックキャスト

春も近づくと自分のキャスティングを再チェックするために多くの人がキャスティングスクールを訪れます。その参加の回数と上達は比例していて、そのうち私を追い越して有名人になった時、「キャスティングは管理人さんに習いました。」と言われたい私です。

さてさて、フライフィッシングはゴルフと共通点が多いことをご存知?というか、すでにやられている人は周知のことかもしれない。簡単に言えばクラブがたくさんあるように、フライフィッシングにも適した距離や魚の大きさに応じてラインの番号を変えていく必要があります。ゴルフよりもその番号がたくさんあり、さらに番号を変えるとロッド(竿)リールまでも変えないといけないというもの。収拾癖のある人は財産を食いつぶしてしまうであろうほど、その数は無限大なのです(そんな旦那を持つ奥様方、「あなたが売りつけているのね。」と私を責めないでください)。

キャスティング
飛距離が伸びる感覚は、ゴルフで言う250ヤード越え?あ、私はゴルフをやらないので、その感覚わかりません。

で、よくある質問ですが、「どのロッドがよく飛びますか?」という質問。逆に言えばフライフィッシャーマンへの殺し文句は、「このロッドは飛びますゼ、お客さん。」が殺し文句と言えるでしょう。しかし、クラブもロッドも使うのは人間。練習という努力を全くしないで、ロッドだけ変えても飛ぶようになることはまずないでしょう。もし飛んだとすれば、たまたまスタイルにマッチしただけと言えないでしょうか?

ロールキャスト
ロールキャストはピックアップ時に行う大切なキャスト。水辺が近くにある時は、その練習もしています

釣具屋的には、「合わないから新しい竿を買う。」は商売ですから有り難いことですが、その反面、ほとんど使わずに使われないロッド達が不憫で仕方く思う次第・・。フライロッドは試し振りが頻繁にできるわけではないので、そんな現状で中古へ回されるロッドがありますが、新しいロッドを買ったら少しだけキャスティングを学ぶ努力をしていただければロッドをすぐに手放せずに済みます。買ってはみたものの、今までのテイストと違って振りにくいと感じる方は、キャスティングスクールにいらしていただければ、そのロッドの振り方を教えますので、スクールをそんな利用の仕方でもありかもしれません。

ま、この話は書こうと思えば広がりが凄いので、この続きはいずれ今度・・。

魚
偏光フィルターがないので分かりづらいですが、この写真の中に魚がいます。さてその魚はなんでしょう?わかったらスゴイ

買ったロッドを知り、そのロッドの振り方をマスターしたい方々は、納得がいくと釣りへ行きたくなります。で、昨日は朝早くから朝練(朝霞ガーデンで練習会)に参加して、その後にキャス練。あ、なるほどな、という新たな発見をした午後はまた釣りへ出かけるというする人たち。向かった先は、そう先日お話しした「赤いニクイ奴」散策へ。

マルタ
第一陣の群れはまだ小さく、本格的な集団が現れるまでもう少し先かも?何れにしても季節到来です
魚
弾丸ダッシュを体感するの図

前日の雨でちょっと濁りが辛いかと思って出かけた川には、すでに第一陣が水しぶきを上げていますゾ。その後ろには産んだ卵を根こそぎ食ってやろうと鯉が大行列。そして更に下流のプールにはなぜかボラの群れ。現在、釣る気になればマルタ・コイ・ボラ・ニゴイという4種を手中にできる解禁前の前哨戦。私は用があったので、釣りをせずに帰りましたが、今週のどこかで一人遊んできます。

Spring has come!・マルタウグイのフライフィッシング時々鯉

ガボッと、ドバッと。
皆さんは何を見て春を感じますか?

今年はハクモクレンの開花が早いようで、通勤のすがらに見られるその並木には、7〜8個の可愛らしい花が咲き始めました。釣り人の五感は研ぎ澄まされているからいろいろなもので季節を判断もできるけれど、花を見て川へ行かなくちゃという気持ち。やっぱり遡上魚が川に戻ってくると嬉しいからね。 続きを読む Spring has come!・マルタウグイのフライフィッシング時々鯉