Slough Creek/スルークリーク

今回のモンタナ釣行の話をどう話すかを考えましたが、その魅力を知って頂くために、行った河川紹介を少し書いてみましょうか。日本なら釣り場を書くと批判を受ける事になりますが、海外だったらそんなにクレームが来ないだろうと信じて書きます(もっとも今回は一緒に行った皆さんに釣ってもらうためにマイナー河川には行ってません)。

スルークリークはイエローストーン国立公園の北部にある河川で、ワイオミング州とモンタナ州をまたいで流れていますが、釣り場はワイオミング州です。グーグルアースで調べると釣りをしている場所の標高で約2,000mほどなので、酸素が多少薄くて息苦しさを少し感じます。日本で言えば北岳へ登るために訪れる両俣小屋辺りで釣りをしている高さと同じです。

この川にはイエローストーン・カットスロートという固有種のみがいる川で、その魚の性格を例えるならば日本で言えばイワナに近いかな?おっとりとしていて音に敏感。食べるものが少ない高地の割には選択眼がしっかりしていて、食べているものはメイフライからバッタなど。。

この川は25マイルほどあり、上流部へ向かう林道を歩いてその奥にあるファースト・メドウ(最初にある低い湿地帯)に行けばそれほどスレておらず、さらにその上のセカンド・メドウまで歩けばチェルノブイリアントに反応するほどフライを選びません。もっと歩くとサードメドウ(林道終わり部分)があるのですが、私はそこまでは行ったことがありません。

その下流部はクネクネとま曲がったゆったりとした流れなので、フライはダウンクロスでしっかりと流さないと喰わないポイント。釣りの難易度で言えば下流部は5段階でレベル4ぐらいの難しさ。

私はこの川に23年以上前に初めて入り、その後この国立公園へ訪れる度に楽しんでいる場所。フライへの選択眼は忍野並みの難しさでいて、魚のサイズは最大20インチオーバー(最大で24インチくらいでしょうか)のワイルドトラウト。カットスロートは一般的に引かないと言われてますが、さすがに50センチもあるので、引きは重々しく、簡単には上がってこないツワモノです。ティペットも6〜7Xを使うので、うかつにひっぱれませんしね。

フライは小型のメイフライを中心に使う釣りでPMDやBWOの#18が一番使うサイズ。風が吹いてバッタが落ち始めると途端に#8のフライで反応するので、そうなれば3Xのティペットでとてもイージーに釣ることができます。

ちなみに公園の中は公園の中だけの釣り券になり、釣りは3日・7日($25)・年券($40)のいずれかの入漁料を払います(ビジターセンターで購入)。また、別途公園内の入園料が必要です。ちなみに私達は3日間釣りをしたので、$18です。カットスロートはキャッチ&リリースがマストですが、唯一レイクトラウトだけはカットスロートの保護(カットを食べてしまうのだとか)のためキャッチしたら殺して欲しい(クマ対策の為その魚は放置しない事)と言ってました。レギュレーションはその都度変わるので、来年以降行く方はこちらのページをチェックしてください。

https://www.trailguidesyellowstone.com/information/yellowstone_fishing_regulations.php

なぜこの川へ何度も訪れるのか?と尋ねられれば、バイソンの群れのいる雄大な景色の中で釣りを楽しめる場所は日本にはないのと、容易に沢山のトラウトをキャッチできない難しさが1匹の価値を高めている場所だからだと思います。FFを40年以上もやっていると経験が多過ぎてイージーな釣りよりもそのプロセスを楽しむ傾向にあるのは誰もが一緒だど思いますが、あなたがもしトラウトバムならば、生涯に一度は訪れておくべき場所だと私は思います。

ボーズマン空港から東へ走り、リビングストンの町へ。州道89号線を南下するとガーディナーの町があり、このルーズベルトアーチがある。イエローストン国立公園へ入るための北の玄関口。
釣り人の横にはバイソンの姿が。彼らの普段はおとなしいですが、自動車一台分の重さがありますので決して近づいてはいけません。彼らのテリトリーですから決して刺激せず、お邪魔させて頂いている謙虚さが釣り人には必要です。
カットスロートの名前の由縁は英語の通り喉を掻っ切ったように喉の部分が赤い事。日本語風で言えば「打ち首獄門マス」とでも言えば良いのだろうか(笑) ここのカットスロートの特徴は顔から真ん中ぐらいまでの斑点が少なく、尾っぽに集中しているところです。
一瞬だけドレイクが飛びました。大きさはモンカゲロウくらいあり#8くらいあるサイズ。日中は小さなビートルやPMD、BWOと言った小型のメイフライの流下が中心。
ライズが渋い時は、丘に登って魚の位置とその行動を確認。フライを結び変えて再度入渓してライズを待つ。
ドンピシャとハマればご覧の通り。5番のロッドが綺麗な弧を描きます。トルクフルなのでランディングまでには5分以上の時間が必要。
カットスロートは個体差があり、これはシルバーがかった個体。細いティペットで魚を取る時は必ずリールファイトになるので、ドラグの幅があるリールを使って対処しましょう。
車を置いてから川までは延々と歩きます。もしくは車を置いてファーストメドウへ行くには林道を延々と歩いてから、少し川まで歩きます。いつも車の目の前で釣りをしている人にはちょっと辛いかもしれませんね。今回は毎日一万歩以上歩いておりましたヨ。
BWOコンパラダン#18でやっつけた個体。クルーズするサイクルを見極めて仕留めました。カットは全ての顔つきが異なります。
昼間の外気温は28℃くらいあるので、サンドウィッチを作りビールで乾杯。ひと休憩したら、また川へ降りていきます。USAはサマータイムがあるので、イブニングまで釣りをしちゃうと20時過ぎになっちゃうので、キリの良いところで納竿(大体16〜17時ぐらい)。
そしてその夜は20インチの魚がどれだけ大きかったかを実感するために20インチピザを頼みます。デカすぎてこれ一枚で4人のお腹はいっぱい。

いつかは行ってみたい

私が若い頃は海外へ行くのは夢のまた夢の話。親戚近所を見回しても海外へ行ったことがある人なんていない庶民だから、雑誌やTVで眺めるそれは別世界の事だと思っていたのが高校生の頃のこと。当時有名な日本のアウトドアブランドが新しいウェアの新作発表会と共にファッションコンテストを開くという企画があり、「皆さんお洒落して出かけてきてください。」というイベントがあった。

どれぐらいの規模だったかは今になっては定かではないが、数千人がその会場にいて私はいつの間にかファイナルの10名に選ばれていた。2位の賞品が前から欲しかったダウンジャケットで淡い期待を寄せていたが見事に外れため息をついていると、なんと私は優勝してしまったのである。その時の副賞がアラスカ旅行であり、私には早すぎる初めての海外経験だった。

アメリカ大使館へ行ってビザを取得。行くのは当初の予定と異なり高校二年生の独り旅。不安だらけで出かけた先はアリエスカのスキー旅行で、私はスキーなんてやったことがないので、これがスキーデビューとなったのである。

もちろん釣り好きの私はなんとか釣りができないかと思い、指定されたシーズンをギリギリまでずらしてもらったのだが、現地で身振り手振りで聞いてはみたものの、釣り物はハリバット(オヒョウ)しかないらしくてその場から遠く残念ながら出来なかった。スキーはとても面白かったけれど、思い出に残ったのは一人タクシーに乗り、『ゲーリーキング』という釣具店を探して、そこで買い物時に英語が通じなかった記憶を今でも覚えている。そうそう、学校のクラスメート分のお土産としてバスケチームのタンクトップも大量に買ったっけ。

当時はビザを取りに行くのが面倒だったけれど、これをきっかけに海外釣行はそんなに難しいことではない事がわかり、就職をしてからは金を貯めては海外へ行くと言う釣りバカ人生が始まったのである。ちなみに私の英語は未だ片言でまともに話せませんヨ。

私の場合は高校生に得られた経験が良いキッカケで始まった海外釣行だけれど、「いつかは行ってみたい」を言っているだけではこの先、何事も始まらないでしょう。気がつけば私も半世紀以上生きてしまったので、後先短く残された時間を考えるだけでも釣り人生は足りない。

「いつかは行ってみたい。」をやるならば即行動。

あなたの釣り人生はあと何年ですか?

How many springs will you have?
Chase your dreams!

人生は思いのほか短い『悠々として急げ』と言ったのは故人 開高 健氏の言葉。『川は眠らない』のエッセイビデオに出てくる一節である。私は今それを噛み締めながら生きているのかもしれない。今回もまた同じ景色を見にきたけれど、あと何回見られるだろうか。
日本から近い場所でボーンフィッシュを手軽に楽しめる事を知ったのが今から約20年前かな?当時はフライロッドを持って歩いていると不思議な顔をされたが、今は「釣れたか?」と別のフライフィッシャーマンに声を掛けられるほど認知されているハワイのオアフ島
アラスカへは20代半ばから30代前半にかけて楽しんだ釣り場。全てポジフィルムなので、引っ張り出すのが一苦労。当時の写真をデジタル化する作業は全く手をつけていない(笑)
バハマはメル・クリーガーとの思い出。ボート操船が下手なガイドがエンジンギアを入れ間違えてしまい、メルさんがボート端まで吹っ飛んだ。動かない彼を見て、私が看取るのかと思ったヨ(笑)
楽しい時間は一瞬。でもその思い出は一生。あなたも楽しい旅を続けてくださいな。

 

ひょんな事から思い出がコンニチワ

時代の変化の問題ですが、銀塩カメラからデジタルカメラに変わる時期は銀塩を忘れた時はデジカメで撮ってました。ですが、そのデータはおろそかな扱いだったので、2004年あたりから2007年あたりのデータがコンピューターの入れ替えも手伝ってゴッソリとありません。

で、少し前のこと。Macに標準装備してあるiMovieをいじっているとその当時のサムネールが出てきました。それをいじっていると、一部は写真が拡大できるんです。それをスクリーンショットしたのがこの2枚。

実はイスラホルボッシュのターポンDVDを作った後、データを間違えて全部捨ててしまっていたのですが、なぜかこのような方式だと呼びされるんですね(当時のDVDはFINAL CUT PROで作ってたのですが、高かったなぁあのソフト)。

引っ張り出したターポンの映像を見て思うのは、50代のうちに、あと1〜2回はターポンを釣りに行きたいなぁ。私がメキシコへ行くためには皆さんがどれだけハーミットに貢献して頂けるかに掛かっています。どうぞヨロシク(笑)

ハーミットのiMacは27インチあるので、スクリーンショットでも結構な解像度で見る事ができました。でも残念ながらサムネールのうちの1/10ほどしか大きくなりません。それでも全く駄目よりもマシですね。そしてついでに思い出したことは、ポジフィルムのデータ化が進んでおりません。スリーブじゃないからスキャニングが大変・・。

養魚という選択肢(タイでピラルクーをフライで釣る)

ピラルクー
あなたの彼女(もしくは奥さん)を寝かせたのと同じような大きさ。こんな魚との格闘は、意外と近い場所で叶えられます

残りの釣り人生を考えると、ざっと25年。私の中ではまだまだ釣ってみたい魚がたくさん地球上で泳いでいるのだが、時間とお金の両方とも無い。最近では100万円という大枚を払っても行けないところも多くなり、さてどうしたもんかと考えてしまう。いつかは釣ってやろいうというピラルクーはお金と時間を考えると、このまま夢のままで終わるかもしれないな、と思い始めた時にうちの相棒であるムッチーがピラルクーを釣ってきた。そうか、そんな方法もあるんだな、と教わったのが春のこと。お金を貯めてガイアナ釣行へ、を諦めて今回はどれだけ多くの種類の魚を作ることができるか?の検証へ野生では無い魚をタイに求めた。

Bangkok
眠らない街バンコクはひと昔前の日本みたい。この地を中心に多くのフィッシングエリアが点在する。そのうち、野生のトーマンも狙いたいなぁ
Chang
ビールは日本の半分ぐらいの価格。ジュースは子供の頃に飲んだ粉ジュースみたい。飲みながらのゆるゆるな釣りも、たまには良いもんです

今回のコストをざっと計算するとこんな感じ。まずはHISかJTBでタイ旅行を予約。これがホテルと飛行機込みで4〜6万円くらい。現地ではタクシーを使っての移動で釣行をすることにした。タイバーツは現在1バーツ¥3ほどで、50km走っても¥1,050ほどしかしません。ただし、現地の人の英語は片言なのでいかにコミュニケーションをとって、うまいこと騙されないように長距離を走ってもらうかが鍵ですが・・。

Pilot 111
日本のフライメーカーであるキャップスが協力している『Pillot111』。価格が比較的安価なので、多くの人が訪れています

タイにある管理釣り場は食用から外れて釣り用に育てられた魚が多くなり、今回の獲物は写真の通り。その釣り場での支払いは場所によって様々だが、500〜2,500バーツぐらいまでのところが多い。人間様の一回の食事はおおよそ500円で食べられるので、ぐっと抑えて釣りをした場合、総予算は8〜10万円といったところで、北海道旅行よりも安い金額。南アメリカで釣りをした場合のおよそ1/10の低予算で20キロ以上の魚とファイトが楽しめるというのが、今回のポイント。そして短い期間で多くの種類にトライすることができる。

Gar
最近は邪魔者扱いされている、アリゲーターガーも見事なファイター
雷魚
あれ、憧れの魚がここにいるじゃないの。美しさはワイルドには叶わなくとも、立派な体格のトーマン
ナマズ
ナマズだから、底をズル引きかと思ったら、その逆で一番早いリトリーブに反応する。ラインがベトベトになるのが難のチャオプラヤーキヤットフィッシュ
バラマンディ
ドンッ!と当たったかと思うと、キビキビとした引きとジャンプを繰り返すバラマンディ。今回は大きいのが釣れなかったけれど、釣り場によっては20ポンドクラスも釣れるようです
パクー
着水後フライをしばらくステイさせてみたら食ってきたパクー。ドデカイけれど他の魚の方が大きすぎて、その引きは少し地味め
Red Tail
重量級の引きを楽しめるレッドテールキャットフィッシュ。寸づまりだけれど、とても重いです

なんか安い金額でものすごく良い思いができそうな感じだが実は全ての魚がそうでもなく、リーリースを繰り返されたメインの魚たちは賢く、そしてより難しくなっているのが現状。なのでタイでの釣りは、行ったことがある人にパターンや釣り方の詳細を聞くのが釣果を上げる近道といえます。

ピラルクー
頭はプラカラーのメタリックゴールドで塗ったかのような、ピラルクー(アラパイマ)。個体によってとても尾が美しいです

もし、その気になったらハーミットへ来ていただければ、場所やその釣り方やフライを教えることができますので、皆さんもバラマンディやピラルクーの釣りを楽しんでみてはどうでしょう?ついでにパクチーが好きだったら、あなたにとって安住の地かもしれませんよ。

ピラルクー
愛おしく蘇生してリリースする現地のガイドの子。ピラルクーだけその扱いは特別です
Gulf Stream
久しぶりに唸りを上げたガルフストリーム。魚がデカすぎるので、ドラッグテンションはギッチギチ。そしてリーダーも60ポンド以上
Arapaima (Pirarucu)
チャミング(餌やり)の時だけは魚が興奮してダブルヒット状態。それ以外の時間帯は釣り方に工夫が必要なくらい、難しいアラパイマ
ピラルクー
アラパイマは魚体の割に口は小さい。でも全てのものを吸い込んでしまうバケットマウス
プラー・ブック
最後の日に全員で力比べを楽しんだ、エサ釣りで釣ったプラー・ブック(メコンオオナマズ)。バンコク近郊のブンサムランで楽しめます。その最大魚の重さはジャイアントトレバリー以上で、トルクフル。3本も釣ると筋肉痛になれます