Winston Air2 905/4のインプレッション

「なんで一つのブログにまとめて書かないんだ?」と突っ込まれそうですが、最近ネタが無いので分けて書いてみました。といってもシリーズ的な話をすれば一括りなので話すことも少ないのですが、まぁお付き合いくださいな。

ウィンストンという会社は現在モンタナ州のツインブリッジにあるのですが、中には行ったことがある人もいらっしゃるかと思います。私がいたモンタナ州リビングストンの町から約2時間半くらい離れていて、点滅信号が一つにガソリンスタンドが一つしかないリビングストンよりもさらに小さな町。ウィンストン社の裏にはビーバーヘッドリバーが流れ、いつでもトラウトロッドをテストできるという環境にある素晴らしい場所なんですよ。

モンタナの川へ一本しかロッドを持っていけないとするならば、誰しも9フィート5番が良いと言うでしょう。それぐらいアメリカでは汎用性があり、力を入れて作り上げるモデルです。私のウィンストン9フィート5番はWT(IM6)の3ピースで時代が止まっています。その2本を比較して写真を撮ろうと思ったら、お店には置いてなかったので、写真はまた今度。昔と今を比べると大きく異なる点はまずはその重量感(持ち重り感)でしょうか。今のロッドはとても優秀で、フライフィッシャーマンの平均年齢がどんどんジジイになっていく中でも(私のことです)、その非力な人々にも持ち重り感を感じさせないロッドバランスがあります。

良く各メーカーさんは会社名をそのままアクション名として表現しますが、私的に思うウィンストンアクションの定義は、他のメーカーに比べて極端なファーストアクションではなく、ロッドの曲がる点が分散していない事(そんなこと言うと過去のBL5シリーズはウィンストンらしくないロッドになりますが・・)。そしてロッド負荷に応じて曲がる点がバット側に下がり、最終的にはバットが太めなので(モデルによります)、グリップがぐにゃっと曲がったりすることが無いロッドだと思います。現在は全てのシリーズがボロンロッドですので、さらにバットの腰がとても強く、最終的には魚に負けないトルクが売りです。

さて、そんなエア2の9フィート5番ですが、以前のモデルと何が違うでしょうか? ロッドを一振りした客観的な私の初見はエアとエア2の違いがわからないほど微々たる違い。それを言葉にしろと言われてもちょっと難しいかもしれません。もともとエアが飛躍的に軽くて曲げやすいロッドだったので、その変化が大きくないと分かりにくいものです。なので、現在エアシリーズを持っている方がエア2の同じモデルへ乗り換えると言うのは考えにくく、モデルが変わったけれどエアの感覚を継承するモデルを追加したい方、あるいはエアシリーズの軽さとキャスてビリティ(投げやすさ)を感じたい人へ向けたアイテムと私は考えます。


0〜5mキャスト:9フィート5番にショートキャストは必要ないけれど、ラインの重さが少しか得られないこのレンジでも、ロッドティップが十分に曲がってくれるので、タイトなループを生み出せます。

5〜10mキャスト:この距離に関しては魔法の杖を私は称しましょう。快適この上ないキャスタビリティ。ティップを軽く曲げてあげる感覚でキャストするだけで締まったループが放出されます。そのコントロール性能は私が持っているWTの時代とは大違い。このロッドはセントリックと比べるとキャスティング時にロッドが曲がっている感覚が多く得られるにもかかわらず、ロッドはブレないのでそのコントロール性能がとても秀悦に感じました。

10〜25mキャスト:ロッドが3番セクションまでグッと曲がり込んで、1回のフォルスキャストでフルラインが楽勝。今回使用したラインはエアフロのフォージですが、相性は良いようです。本国のウィンストン社のレビューを見てもどのメーカーのラインを使っても投げにくさはなく、ラインを選ばない的な評価もあるようです。

Weak:9フィート5番に求めるロッドの感覚の問題ですが、Gルーミスやセージの感覚が好きな方にはちょっと違う遠投ロッド。バットに強い跳ねっ返りやティップだけに寄ったファストアクションがお好みの方はこのロッドの選択肢はないでしょう。また、グラファイトロッドの中では一番高額な部類のため買うのに勇気もいるので、そもそも購入する選択肢に入らない方も多いかもしれません。ただ、キャスティング練習なんかそこそこでも上手に振れるロッドが欲しい方は、その費用対効果は必ずあると私は思います。そんな風に書いゃうと、私はエアシリーズで楽をしていると思われちゃうかもしれませんね(笑)

さて、このインプレッションを書いたところで、現状のウィンストンロッドは昨年以上に入荷がありません。日本がアウトドアブームであるように海外も同じなので、予約注文分が入らない状況が続いてます。なので、エア2シリーズが欲しいと思ってもすぐには手に入りませんので(店在庫は例年の1/3もありません)、来春使用予定の方は早めの予約注文をしたほうが良いでしょう。そして私はロッドがお店に並び始めたら、864/4あたりを買い替えようと企んではいるのですが、そのモデルは残念ながらまだ一度も入荷してません・・。私がエア2を使える日がいつになることやら・・・。

Winston Air2 905/4
朝の朝霞ガーデンは誰もいなかったので縦いっぱいにフルキャスト。一発でフルラインは気持ちいい! 力を込めて投げないほうが、スッと伸びて行きます。もっとも初心者が使っていきなりフルキャストができるなんてことはありませんので、皆さんの努力次第。といってもその苦労は他のロッドに比べればグッと少ない事でしょう。
ウィンストン エア2のバットエンド
バットエンドに光るエンブレム。現在のウィンストンロッドはハーフウェルグリップならば、バットエンドは全て共通です。
ストリッピングガイド
軽量ライトワイヤーのストリップングガイドの大きさはスコットのセントリックと一緒ですが、高さがこっちのほうが低め。ウィンストンの特徴はラッピングのボテ塗り。一見盛り過ぎに見えますが、実際に何十年も使っていると、安心のバーニッシュ。日本人のビルダーに多い薄くて格好良さげなフィニッシュなどは時と共に痩せてしまい、スレッドが出てきて解けてしまいますしね。
ウィンストンロッドのシリアルナンバー
ウィンストンロッドは全セクションにシリアルナンバーが書かれています。なので、修理する時はそのロッドに合わせて一から作り直してくれるので、ここのシリアルナンバーの書き方で修理したかどうかが分かります。この文字の書き手のクセを見るのも面白いものです。