スコットのセッションロッドが借りられたのでインプレッションしてみる

最近のハイエンドロッドは$1,000を超えるのがザラで、今年の新製品であるウィンストンのエアマックスは$1,245と、ローンでも組んで買えと言わんばかりの金額になってしまいました。アメリカの有名老舗メーカーといえば、ウィンストンGルーミススコットオービスセージになりますが、他のメーカーは大体$1,000でキープしていることを考えると、ウィンストンは群を抜いて高価なメーカーさんになってしまいましたね。

さて、そのハイエンドメーカーさんの中でもスコットは、わりかし良心的なプライスで(と言いつつもハイエンドは$1,000弱です)、ハンドメイドロッドが提供されています。そして2024年にこのセッションがスコットのハイエンドモデルの下のバージョンとして投入されました。このモデルは以前あったフレックスシリーズの後継機種と言って良いと思いますが、今回二つのモデル(905/4と906/4)をお借りできたので本日の朝に朝霞ガーデンにて試投してきたインプレッションを書いてみたいと思います。

セッションの全体的な雰囲気はフレックスシリーズというよりは、そのグリップから一世代前のラディアンを彷彿させるディテール。全てのモデルがフルウェルグリップで、高番手のモデルにはエクステンションバットが装備されます。グリップは割と細めで日本人は嬉しいところ。スレッドのティッピングカラーとシートフィラーがグリーンで統一され、とても落ち着いた雰囲気があります。ロッドブランクに使われている技術はハイエンドモデルとさほど差がなく、強いていうならばガイドの差でしょうか。

スコットロッドのグリップ
こうやって3本並べるとその改良点がよくわかります。ラディアンはリールシートを短くしてしまったことでロッドバランスがリールよりバット側で取りづらかったので、リールセットのしやすさを含めてセントリックは若干長くなりました。しかしこの2本はシングルスクリューで、シートが緩みやすいのですが、セントリックはシリコンリングを入れることで防いでいます。その点セッションはダブルスクリューなので緩むことがありません。ダブルスクリューになったことでロッドエンドがリールよりも後方に伸びたことで、ロッドバランスがさら良くなった様に思えます。ちなみにこの3本は9フィートですが、セッションはシートが長くなったことで他の2本よりも若干ロッド長が長く、バットだけが写真の見た目分だけ少し長めになります。

Scott Session 905/4:9フィート・5番・4ピース
セッションの雰囲気と見た目はラディアンに近いので、製造中止になったラディアンをリメイクして出した感があったのですが、私の持っているラディアンとアクションを比べると少し柔らかく感じる以外はラディアンのアクションに似ているかもしれない。この二つのロッドの違いはリールシートで、セッションはアップロックで安心のダブルロッキングナットになっている。グリップの細さが日本人には良いでしょう。

Fine:キャスティングは極端なショートレンジ以外はスムーズで、使いやすいレンジは15〜25ヤード。ロールキャストによるロングディスタンスは、今回使ったエアフロ・ユニバーサルラインでは若干重さが足りなく感じたので、シングルスペイやロールキャストを多用する方は、ベリー部分が長いフライラインの使用をお勧めします。

Weak:ラディアンに似た先端が曲がり始め、強く曲げるとバット側が少し曲がってくるアクション。なので必要以上の入力をするとラインがカックンとなりやすくなってしまう。リストが強くて力で投げようとする人には、その点に注意してキャストしましょう。

セッション905/4のグリップ周り
グリップ長は約163mmで、バットエンドからワインディングチャックまでの長さは約252mm。尺を測った場合、フックキーパーの上にあるグリーンのティピングから2センチ上になります。フルウェルなのでグリップ力がありますが、インデクスフィンガーグリップで握る方には使いづらいグリップになります。
シート周り
シートフィラーを支えるアルミの支柱は4本で、ウェーブと共用のリールシート。セントリックとGSシリーズは2本の支柱で支えていますから、なんとなく安心感がありますよね。

Scott Session 906/4:9フィート・6番・4ピース
私はセッションの5番を注文してまだ手元に届きませんが、こっちのロッドの方が好みかも。私が現在使用するウィンストン・エアと遜色ない軽さとロッドバランスがとても良い感じ。またスコットのセントリックほどの跳ねっ返りの強さはありませんが、曲げて戻る復元力は早いと感じますからブレが少ないです。

Fine:なかなか伝えづらい感覚ですが、硬さはウィンストンエアよりも若干柔らかめで、バットの腰も少し柔らかい感じ。そのスムーズに曲がるやらかさがラインの重みを感じやすく、キャスティングレンジを変化させても、ロッドが急に変貌することなく、どのレンジもスムーズなキャスティングをする事ができました。少々お高いロッドですが、6番ロッドの中ではクセが少なくかなりお勧めできる一本だと思います。

Weak:6番に求めるものをバリっとした硬さが欲しい方には少し物足りない硬さかもしれません。それとお魚を寄せるパワーが必要だと考える人にはやっぱりウィンストンになっちゃうかも。とは言いつつもトータルバランスでは久しぶりに硬すぎず柔らかすぎずの万人に勧められる一本だと感じました。

セッション906/4のグリップ
リールがラージアーバーになると少し雰囲気が変わるでしょうか。リールはスピードスター-5+のミッドナイト。リールは軽いですがロッドバランスが崩れることなくグリップ位置に重心が取れています。
スコットセッション906/4
落ち着いたグリーンカラーのシートフィラーは高級感があります。なんか欲しくなってきたなぁ、この6番。店主といえどハイエンドロッドをズラッと揃えるのはツライので、かなりそそる一本でした。なんでもそうですが実際に手にして見ないとわからないことが沢山ありますね。

Scott Wave(ウェーブ)シリーズのインプレッション

今秋の新製品としてスコットから高番手モデルとしてウェーブシリーズが発表されました。発売を機にメーカーさんからサンプルロッドを早々にお借りしたので、荒川の土手にて試し振りを楽しんできましたヨ。

このロッドはコロナ禍のマテリアル不足の影響で製造中止に追い込まれてしまったタイダルシリーズの後継機種にあたります。高番手モデルということでソルトウォーター専用のイメージがありますが、実際にはブラックバスやコイなどのターゲットを含めて考えられているロッドで、狙うターゲットの重さが1キロ以上の魚であれば、トラウト類を含めてこのシリーズの出番だと思ってください。

同じ高番手のシリーズである上位機種のセクターとの違いは、使われているテクノロジーは同じですが見た目が似通っていてもカーボンマテリアルやパーツが異なります。ロッドは全て9フィートモデルで統一。安直にセクターのテーパーデザインをそのまま使ったものなのかと勘ぐりましたが、同じ番手を比べても各セクションの太さが異なるので、テイストは全く別物だと思って良いでしょう。リールシートのフィラーにはブルーのクロス柄が採用され、リールとセッティングをした時に良いアクセントとしてロッドを引き立ててくれます。

さて、前置きはこの辺にしてこれから1本ずつインプレッションしていきますので、お暇な方は長い文章にお付き合いください。
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W 906/4 9feet・6weight・4pcs:「あれ、結構硬い。」と感じたのが私の最初の一振りの印象。セクターと同じラインウェイト推奨レンジになっていますが、こちらの方がやや硬めに感じたのは今回使用したラインがフレッシュウォーター用の標準ラインだったせいかも? バットは太めでフォルスキャスト時の感覚は先端から3割が曲がり込みます。

Fine point:お店でロッドを振っていると特に高番手はリールが付いていないので振り抜いた時にその反動が重さとして感じてしまいがちですが、そんな反動が感じにくくて更にはミドルレンジまではループに乱れを感じませんでした。ロングレンジでもティップは暴れにくくハイエンドモデルと遜色のないキャスタビリティだと思います。

Weak point:ラインの推奨値は30フィートで160〜180となっていますが、今回は一般的は160グレインの重さを使ったら軽く感じました。なのでハーフヘビーウェイトなどの若干重めのラインにセッティングされているのだと思います。

6番モデルの活躍するシチュエーションは、フラットでのクロダイ狙いに堤防のカマスやアジなど、近隣で楽しめるコイやブラックバスなど。フローティングミノーで狙う中小型のシーバスゲームでも活躍しれくれることでしょう。このシリーズはワンポイントになっているシートのブルーがカッコイイです。
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W 907/4 9feet・6weight・4pcs:誰でも直感で「これ欲しい。」と思ったこはあるのでは? なんかビビビときましたので、私はこのロッドを注文してしまいました。それとも7番を使う機会が少ないから、使ってみたくなったのかな?

Fine point:ロッドが素直に曲がる7番で6番モデルよりも硬さを感じませんでした。通常のフォルスキャストでロッドの曲がっているポイントは先端から2.5割くらいで、6番よりもややティップアクションと感じます。遠投時に大きな負荷を掛けた時にバットは硬すぎず曲がり込んでくれます。

Weak point:雰囲気は6番モデルのアクション違い的な感じで、遠投時にティップがやや暴れている感じをうけます。多分パーツがセクターと違い一般的なガイドが使われているので、その重量がブレを生んでいるのだと思います。最もジャジャ馬と感じると、キャスティング魂に火がつくので、スキルを磨き上げたくなる私みたいな人が欲しくなるのかも。

このロッドのライン推奨値は185〜205となっていますが、一般的な185に近いラインが良いと思いますので、ハーミット的にはエアフロのコールドウォーターWF7Fがドンピシャかな?この7番だけがシリーズ的に特に変わっているわけではないので、6番モデルの延長線上にあるものと思ってください。
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W 908/4 9feet・8weight・4pcs:私はセクターの8番を使っているので、そのモデルと比べると微妙に柔らかく感じました。ロッドへの負荷をかけると徐々に曲がるプログレッシブな感じはセクターと同じ。

Fine point:ショートレンジでもロッドがよく曲がりミドルレンジまでの素直さが際立つアクション。この8番手にはソルト用のリールをセットする事でロッドバランスが劇的に上がり、キャスティングに疲れを感じさせません。

Weak point:ロングレンジではティップの暴れを少し感じましたが、ロングレンジの力を込めた時だけなので釣りにはさほど影響はないでしょう。7番モデルと同様にティップが細く仕上げられているのに、パーツが一般的なガイドなので、そのあたりがティップの暴れを少し生んでいるような気がします。

私は8番のシリーズは色々なモデルを使用しているので、その違いがロッドによりかなり変わるのを感じますが、一般的に言えばこのロッドはとても優等生。だって30ヤードのフルキャストなんて、実際の釣りではほとんどないのだから。グリップの硬さ、アキュラシー性能、ロッドの汎用性などを考えたら、ソルトウォーターはこの一本でかなりの種類が楽しめるでしょう。
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W 909/4 9feet・9weight・4pcs:ロッドバランスよろしく、持ち重り感がとても少ない9番手。アクションはややティップ気味で8番に比べるとバットが少し太くなります。

Fine point:ラインウェイトも9番になると安心したデリバリーができるウェイトがあるので、風に負けないフルキャストが可能なパワフルさを感じます。フォルスキャスト時のロッドの曲がりは、トップから2割程度が曲がるファストアクション。バットの強さを感じます。

Weak point:パワフルさに伴ってショートレンジでのキャストがしづらくなる番手なのは致し方無いかな。

9番ロッドを振り回していた時に丁度強い風が吹いていましたが、風を切り裂くウインドカッターの様な狭いループを生み出します。8番ロッドを使って曲げ切らない人は9番のラインウェイトを使ってシーバスを狙うのもアリだと思います。時に東京湾は大きなブリやサワラも釣れますしね。

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W 9010/4 9feet・10weight・4pcs:10番から急にパワフルらしさの次元が違う感じがするのとロッド単体の時と違い、リールをセットした時のロッドバランスがとても良く、10番でありながらキャスト時にかかる負荷が少ないイメージ。

Fine point:バットのトルクが更に強くなる番手でありながら、持ち重り感がとても少ないロッド。手首や握力が弱い無い方で大物をチャレンジするのであれば、この10番は人への負荷が少なくフライをより遠くへデリバリーすることが可能と感じます。

Weak point:大物狙いをしない人には用無しの竿。10番から上のモデルは汎用性が乏しいので、よく考えて慎重に選びましょう。

このシリーズを全て振ってみて思うことは、より高番手なほどリールをセットした時のロッドバランスがとても良く感じます。もしシイラ、カツヲ、その他青物などを狙うのになるべく使い勝手の良いロッドを、という方には、かなりお勧めできる一本です。

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W 9011/4 9feet・11weight・4pcs:11番のラインを持っていなかったので、12番のターポンラインでキャスティングしました。体への負担をかけずに一発でフルキャストができる頼もしいバランス。キャストを繰り返す度に大海原へ出かけたくなる気分になります。パワーを持たせるためにティップが太くなるので、フォルスキャスト時のロッドの曲がりは、トップから3割あたりまでが曲がり込みます。

Fine point:11番と12番のラインウェイト差は50グレイン(約3gちょっと)なので、この辺の番手になるとラインが1〜2番手変わったところで重さが足りないと感じることはありません。11番って本当に必要なの?と思っちゃう私。しかし、12番よりも軽くキャスティングを繰り返しても体への負荷が少ないと感じる11番はとても優秀です。

Weak point:11番というロッドを選択した場合、11番のフライラインをストックしているフライショップはまずないでしょうから、ラインが取り寄せになります。最もメーカーさんもほとんど在庫していない番手なので、欲しくなったら実際に釣りへ行く相当前にロッドもラインも予約した方が良いと思います。衝動買いでタックルが一式揃いません。

私にとっては振り抜きがとても軽くとても欲しくなった一本。インタミのターポンラインを振り回すたびに、ターポンの釣りを思い出し、その先頭へ着水させるイメージでキャストを繰り返していたら、また中南米に行きたくなってしまいました。歳も歳だし、今のうちにもう一度行っとかないとねぇ。

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W 9012/4 9feet・12weight・4pcs:ウェーブ最大番手である12番のパワフルさは文句なし。バットがとても強く、ラインを木に縛って思いっきりしならせちゃいましたが余裕のトルク。多分その光景を見ている人がいたとしたら、「あいつ大丈夫なんだろうか?」と思われてたと思います(笑)だってニヤけながら木と引っ張りっこしてたんだもの。

Fine point:ティップの直径がかなり太く反発力をロッド全体で伝えるパワフルさがロッドから感じられます。その分ロッド全体が曲がる感覚で、キャスティング時はトップから3割ぐらいでフォルスキャストをしている感じ。ロッドもある一定のところからバットの支えを強く感じます。

Weak point:11番に比べるとそのパワフルさを持たせるために、ロッドを振り抜いた時の反動がやや重いので、腕力のある人向きといった雰囲気がある。

最大番手であるこのモデルは、遠投を繰り返すのは体に堪えるので、ワンキャスト必殺のターポンや、近場の散水周りを狙う大型シイラなどに向いたモデルといえます。
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今回このシリーズ全体を振ってみてしみじみと感じた事は、スネークガイドやトップガイド、更にはバットガイドの重さやリコイルガイドの反発力は、軽く低い番手にはとても影響するんだなという事を感じました。8番〜12番はそれを感じませんが、低い番手はその重さを感じてロッドがややブレていると感じるのは、普段高級なロッドを振り過ぎているからでしょう(あくまでも私の感想です)。まぁ微妙な差なのですがその差の6万円に対して問題がない方は、低い番手に関してはセクターをオススメします。

スコットのwave
ウェーブシリーズのシートはアップロックダブルロックスクリュータイプ。GSシリーズのシートに似ていますが、アルミの支柱が4本でシートフィラーにカーボン柄のブルーフィラーが使われています。
セクターとウェーブの比較
グリップとシート部分を私が使っているセクターと比較すると、ウェーブの方がカッコイイ。グリップ長は同じでエクステンションバットの形が異なります。
セクターとウェーブのロッド比較
スコットロッドは全てネームインデックスとロゴはペンによる書き文字。なので、どれもその時の個性があります。セクターはメタリックブルーのティッピングに対し、ウェーブは普通のブルーカラー
ティボーとライトスピードM
今回キャスティングインプレッションを書くために持って行ったリール達。私はティボー好きなので高番手の8割近くがティボーかな。それ以外はラムソンのライトスピードMとビリーペイト、TFOなどなど。
ウェーブとリールのコンビネーション。
ロッドをセットした時の雰囲気をみてもらうために、写真を撮ってきました。ソルトの場合、リールは軽ければ良いということもなく手元に重心があった方が良いので、高番手はある程度重さのあったバランスの良いリール選びが大切です。

Scott Centric(スコット セントリック) インプレッション2

昨日は朝練(朝霞ガーデンでフライフィッシング)の後にキャスティングスクールを行ったのですが、渓流のオフシーズンに入った事もあり、多くの方に参加頂き大盛況でした。フライ業界の行先を悲観しているこの業界ですが、皆さんの熱量がある限り僕らは絶滅せずに生き延びられそうです。

さて、その朝練でマーヴェリックさんからセントリックをお借りしました。モデルは904/4・905/4・906/4・907/4の4モデル。このうち905/4は以前のブログで紹介したので、それ以外のインプレッションと実際に魚を釣った感想を書いていきます。

今回、違う番手を含めて振った総合的な感想はやっぱりラディアンの後継機種というイメージではなく、別の新たなジャンルを作ったと思われるシャープさがあります。今回のキャスティングスクールで触れた多くの方々の印象は「Gルーミス風」と言われてましたので、その言葉からそのシャープさが伝わるでしょう。

ただこのロッドを実釣で使ってみてわかった事は、通常は硬いロッドといえば、ロッドの先しか曲がらずショートレンジの投げにくさが際立つのですが、6〜7番でも近距離でロッドの曲がりは得られるので、80年代のハーディグラファイトっぽいアクションにも感じられます。そしてもう一つ際立つのは尋常じゃない軽さ。どのモデルも感覚的には9フィートを振っている感覚はなく、8フィートかと錯覚するのです。今回お借りしたデモロッドの重さは全て測ってみましたので、ロッドの平均重量として参考にしてみてください。

総合的にこのシリーズは本州の渓流には用無し。北海道・本州の本流・湖・ライトソルトウォーター (フレッシュウォーター用ですが使えます)だと思ってください。また、このロッドはキャスティングのし易さを極めたロッドとも言えますので、釣り味や個性を求める玄人好みの竿ではないかもしれない事を付け加えておきます。


C904/4・9feet 4weight・4pcs(自重:89.51g)
Fine:9フィート5番のインプレッション時にも感じた事ですが、この軽さはびっくりするほど。最近のロッドコマーシャルには良くeffortless(努力知らず)と書かれていますが、このロッドは疲れ知らず(tireless)かな。感覚はまるで8フィート。私が振ってみたところ、ピック&レイダウンだけでフルラインが出ました。面白がってダブルホール無しでトライしましたが、流石にそれではフルキャストは無理。それでもあと2mほどでフルラインというキャスタビリティ。感覚的には物凄く軽くライン番手が軽いにも関わらず、その仕事は6番で遠投という感覚が得られます(風には弱いでしょう)。

近距離〜中距離:前述のように近距離での違和感が少なく、そしてラインの乱れが生じないミドルレンジ。ダブルホールができない人でも、そのラインスピードはビックリするぐらい上がります。とは言ってもこのロッドのお仕事的にはミドルレンジ〜ロングレンジを得意とするロッドだと思います。

中距離〜フルライン:キャスティングアーク(ティップの移動距離)を多くする事で、4番という番手なのに呆気なくフルキャスト。投げている方も努力している感が少なく、ビックリ。今回のお披露目でこの4番とC905/4の人気が二分してました。その理由は今まで5番でやっていた事が全て4番でこなせるという感じ。そしてお魚を釣ってみて思ったのは30cm以下の魚は用無しの大物狙い。だって菅釣りの標準サイズは簡単に寄ってきてしまうんだもの。

Weak:9フィート4番という長さから考えても、関東の渓流ではほぼ使わないだろうと思う。また、20センチ程度の軽い魚だと、魚がジャンプするとロッドの反発が強いので、すぐにバレてしまう感じだった。私はこのロッドを買おうと思ってますが、使用用途は今までやっていた湖のドライフライフィッシング(9フィート5番)をこの4番にシフトダウンしようと考えてます。なぜかって?私もジジイですから、やっぱり一日中振り回して楽なロッドが欲しいのです。

追記:私はこのC904/4を購入しました。湖のドライ用に使っています。


C906/4・9feet 6weight・4pcs(自重:92.67g)
Fine:遠投への憧れがある人にはぴったりなロッド。重りとなる9mのラインさえホールできれば、最小の努力で遠投ができる軽量ロッド。または遠くへ飛ばせる楽しさを教えてくれるモデル。キャスティング練習用と書くともったいない金額なので、湖のトラウト全般からブラックバスやライトソルトウォーターターに至るまで、マルチに楽しんでもらいたいです。私がこのロッドと使うとしたら、遠投が簡単に効くのでシンキングラインの釣りを中心に使うでしょう。またはブラックバスやカマス釣りも楽しんじゃうかな?

近距離〜中距離:6番ロッドの場合近距離というのがあまり必要ではないけれど、このロッドはやはり近距離〜中距離時のキャストに投げにくさを感じません。トラウトではないですが、近距離の釣りを中心とするブラックバスにはかなり向いたロッドだと思います。この番手のグラファイトロッドとしては珍しいですね。

中距離〜フルライン:その軽さも手伝って、最小の努力でラインスピードが得られるロッドだと思います。同じ番手の他のロッドで投げにくさを感じている人には、こんなロッドもあるんだなと思って頂くために、一度は振ってほしいと感じます。

Weak:あまりにも努力が入らない感があるので、長年フライキャスティングをやっている方々から「面白くない。」と言われました。キャスティング練習を一生懸命してそのロッドに慣れながらフルキャストを目指す人にとっては真逆のロッドなので、言っている事はわからんでもないです。しかし、一般の方はその努力が嫌なんですものね。またロッドの粘りは少ないので、実際ブラックバスを釣ってないですが、もしかしたらバレやすいかもしれません。


C907/4・9feet 7weight・4pcs(自重:97.09g)
Fine:7番なのに仕事は8番以上を感じさせるのは、キャスターの負担を感じさせない点からでしょうか。その絶妙なロッドバランスと軽さから、手首への負担が最小現に抑えられている感じを受けました。通常はただ硬いというロッドだと、ロッドから伝わるラインの重さに手首が耐えられず反り返ってしまう方が多いですが、不思議とその重さを抑え込めるのです。これって最新の技術が盛り込まれているせいなのでしょうか?

近距離〜中距離:近距離は必要ないでしょうから、そんなに真面目に振りませんでした。力を入れずにピック&レイダウンだけで、フライラインの半分以上は行ってしまうので、最小限の努力で誰でもフライラインの2/3は投げる事ができるのでしょう。

中距離〜フルライン:流石に7番ですから、ある一定のレベルを超えた人には簡単すぎるフルライン。なのでエフォートレス&タイヤーレス、操作性に関しては全く文句なし。7番でありながら8番の距離を簡単にものにできます。ロッドのパワーは十二分、大物思考のアングラー向き。ロッドのパワーをとても感じるので、私だったら湖のシンキングライン専用ロッド(または川での大物狙いシングルハンド)として使う事でしょう。

Weak:7番だけれどそのパワーはすごい。なのでロッドがちょっとやそっとの魚じゃ曲がりません。ラディアンはティップ側が曲がった更なる荷重でバット側が曲がる感じだけれど、このロッドはティップ側が少し曲がった後はバット側が微動だにしない印象。バーブレスフックを使用して飛んだり跳ねたりする魚を相手にしたたら、すぐにバレちゃうかも?そんなイメージです。


今回のロッドは全て9フィートモデルなのでお店でも一番売れている長さですが、個人的にはこのシャープな硬さと軽さを持っているのであれば、9.6や10フィートモデルも触ってみたいです。

ラインをロックして思いっきり曲げてみました(C904/4)。ベンドカーブはラディアンよりもスムーズ。グイグイ曲げてもバットの腰砕け感は全く無し。
軽くチョインと振ったループでこんなにシャープ。ロッドは軽くお辞儀するだけですが、Gルーミスほどティップに寄り切った曲がりではありません。
セントリックはジョイントセクションに赤いティッピング。あまりにも目立たないので、個人的には嫌だったのだけれど、太陽の下に出て初めてこの赤の綺麗さに気づきましたよ、ティンセルの赤だったのね。キラキラと輝いてました。
シングルスクリューロックだけれど、シリコンのレッドラバーリングを入れる事で緩み留め防止。ロッドバランスを考えて、バットエンド側に重量を持っていきたくなかったのかな?シートフィラーカラーはお好みが分かれるところ。
この写真下には25cmほどのレインボーが掛かっているベンドカーブ。すごく曲がっているように見えますが、魚はほとんどぶら下がっている状態だから、約200gぐらいの負荷が掛かっている曲がり。C904/4とスピードスターのコンビネーションはめちゃくちゃ軽かったです。

Scott new G(GS)シリーズ
インプレッション2

先日のフライキャスティングスクールにて、マーヴェリックさんからスコットのNEW Gシリーズをお借りしたので、前回インプレッションをしたGS844/4を除き、その他モデルをご紹介。モデルが多く話が長くなるので無駄話はなし。全体のイメージはGS844/4のインプレッションをご覧ください。また、全てのモデルを褒め倒してもハーミット的ではないので、それぞれの総合的なイメージと得意とするシチュエーション、不得意とする釣り方を書いてみました。


GS772/4一昔前のロッドである “アイズ・スリー”が愛されていた時代ならば、このロッドを3番ロッドとして使う人もいるでしょう。しかし、今の時代に求められるのはロッドティップのトラッキング性能(ロッドティップがラインを辿る性能)なので、あえてそのバランスを崩してライン番手をあげるということは、現在はしないでしょう。なので、実際に振ってみた感覚では2番がドンピシャで、3番はループを締めてキャストすることが難しくなります。

Fine : シャープなライン運びでいて水面へのインパクトが少ないモデル。ショートレンジでのシチュエーションを中心とした、ヤマメ、イワナ、あるいはオイカワフィッシングに向いたモデル。藪沢などで小さなフライをプレゼンテーションしたい人には良いロッド。ティペットを細くしてもタカ切れは少ないでしょう。

Weak : 7ft7inchと短めでしなやかなミディアムアクションなので、~30feet(〜9m)までのキャスティングまでが使いやすいレンジで、それを超えたキャストは投げ手側のスキルの問題になります。


GS773/4:多くの皆さんに振っていただいた感想で、低番手では1番の高評価。トータルバランスに優れ、キャスティングが快適。「こりゃ、誰が振っても振れちゃうから、人を駄目にするな。」的な発言もありました。グリップは小さめで日本人向き。一般的な渓流でヤマメとイワナしかやらないという人には、お勧めできる一本。私はその後購入し使っております。

Fine : Gシリーズらしいミディアムアクションの中に、以前よりもはるかに良くなったラインデリバリーがあり、ラインが乱れません。そして以前のモデルよりもバット側までグッと曲がってくる感じなので、極端に短いショートレンジにも攻めやすくなりました。同じテイストのロッドはWinston Pure 763/4です。

Weak : 2番のモデルと同様に7ft7inchと短めなので、得意なレンジは30ft(9m)まで。釣り場のシチュエーションが多彩な川で、それ以上のレンジを求められた時に、少し投げづらくなるかもしれません。


GS775/4:このロッドで何を釣るのか?的な異端児のロッドをイメージするこのモデルは、藪沢で大きめのフライがデリバリーできる5番には珍しいショートスティック。短いロッドですが、アップロックスクリューシートモデルです。

Fine : 皆でたどり着いた回答は「北海道の○○川って湧水の小川だけれど、突然50cmのブラウンが出ちゃうじゃない、あの雰囲気の河川で大物狙いだったら、俺はこれを使うなぁ。」という意見。確かに、短いだけに小渓流で上の障害物が気にならないし、掛けてから安心の5番ロッドでしょう。

Weak : 「ブルーギルと小バスにもいいんじゃない?」と私が皆に投げかけましたが、ギルに10万円かける人がいるのか?というのが大方の意見。このロッドの使い道は使う人に委ねます。


GS843/4:3番ロッドの優等生。773が柔らかいと感じる人、キャスティングレンジを幅広く持ちたい人のためのロッドでしょう。キャスティングループは誰が投げてもある程度締まって飛ぶので、練習嫌いな3番使いのキャスターにはぴったりです。

Fine : 773/4よりもややキャスティングレンジを広げたモデル。一般的には同じシリーズで長さが長くなると柔らかく感じるものだけれど、8フィート3インチモデルはやや張りを持たせたイメージ。日頃は硬いロッドを使う方がもう少し柔らかいモデルが欲しくなったら、しっくりくることでしょう。同じテイストのロッドはWinston Boron Air 863/4(現在はエア2)です。

Weak : エフォートレス(努力知らず)なロッドだけに、玄人受けしない誰にでも投げやすいロッド。773/4よりも少し張りがあるアクションなので、リーダーキャストは少しやりづらいかもしれない。


GS844/4:こちらは以前書いたインプレッションがあるので、こちらをご覧ください。


GS884/4:少しだけ長めの4番ロッドで、ティップの曲がりをよく感じられる。ロッドバランスが良く、この長さになっても持ち重り感がないのも特徴の一つ。

Fine : ティップの曲がりがラインをコントロールしてくれるイメージで、長さも手伝い大きなメンディングを入れるのに楽なモデル。イブニングの大物狙いなどにも期待大です。

Weak : 距離だけのキャスティング性能で言えば834/4の方が投げやすいイメージ。ある程度以上のロッド負荷(ラインを長く出す)とティップの暴れを若干感じる。


GS885/4:5番モデルの中でティップアクション気味なのがこのモデル。遠投よりも近中距離のニンフィングに向いた、アクション。長さに反してとても軽い。

Fine : 重めのシンカーをつけたダウンショットのニンフや、シンキングリーダーを付けたスイングの釣りなどで活躍しそうなアクション。すでにラディアンを持っている人が違うアクションをお探しであればこのモデル。

Weak : ラインを伸ばしていき、ベリー部分の重さを全部乗せて遠投しようとすると、ロッドティップのお辞儀が大きくなるので、その修正がうまくできないと遠投がしにくい。距離は中距離までが快適。


GS886/4:6番モデルの中でティップアクション気味なのはこちらも同じ。よりパワフルなので、ドデカいドライフライを中流域でキャストしたり、シングルハンドでドラワカフィッシングを楽しみたい人がピンポイントにフライを落としていく感じのモデル。

Fine : 6番モデルのパワーが大物への対処が期待できるのと、ラディアンよりもバット側へグッと曲がってくるので、ロッドで魚のいなしが期待できる。

Weak : 9フィートモデルに比べると、やはり遠投の時にテーリングが起きやすく若干投げにくくなるので、ピンポイント攻略に向いても遠投の投げっぱなしは難しいロッドかもしれない。


GS905/4:今回のお披露目で意外にも9ft5番と6番は皆さんにとても高評価。ラディアンよりもう少し手首に負担がないロッドを求めていた人には、最高のパフォーマンスだったようです。

Fine : 距離を無理なく出せて、9ftの長さを感じさせないモデル。しなやかでウェットフライフィッシングでの食い込みを期待できるアクション。しなやかなモデルだけに細いティペットでも魚をいなしてくれるイメージ。同じテイストのロッドはWinston Boron Air 905/4(現在はエア2)です。

Weak : ラディアンに比べるとやや腰砕け感があるので、フルキャストでの遠投能力はやや落ちる。


GS906/4:ドワラカやセミで使いたいという人がとても多かったモデル。シンキングラインもタイプ2ぐらいまでは快適にキャスト。使用範囲が広い、中流域と湖のボートフィッシングまで楽しめそうです。

Fine : 6番ロッドの中ではとても曲げやすく、今まで発売されているロッド群の中ではかなりしなやかと感じるでしょう。手首への負担が少なく、一日中快適なキャスティングが期待できます。ラディアンが硬くて合わないと思う方にはお勧めです。同じテイストのロッドはWinston Boron Air 906/4(現在はエア2)です。

Weak : ラディアンに比べるとやや腰砕け感があるものの、ある程度の力量を持った方であればフルキャストは可能です。タイプ3以上の釣りにはロッドが曲がりすぎてキャスティングがしづらいでしょう。


個人的にはGSシリーズは773/4と906/4がお勧め。私はWinston Boron Air 906/4を見ずに買ったのですが、ウインストンよりもこっちの方が私の好みのアクションです(私は比較的柔らかめのロッドが好きな傾向です)。

Scott GS Series
2018年の春現在、私は773/4をとりあえず買いました。私にとっても高価なロッドなので、後は自分の懐次第で844/4か906/4あたりを増やすかもしれません。773/4と772/4と2020年から加わった803/4JSの3種類が下のカップ&リングのシートとグリップ。その他のモデルは上のアップロックスクリューシートとグリップ。ロッドの長さによりグリップを変えてくれているのが嬉しい。

天気がよく風も無かったので、振りやすい環境でのテストでした。