「そうこのタイミング、そろそろ食いそうだ。」
はてこの感覚、どこかで感じたような・・、もしかしてデジャブ?
いえいえそうではりません、先週と同じタイミングで同じ場所に入っただけ。龍ケ岳に陽が重なる頃に突風が数回吹き、それがおさまった後にゴツンというアタリ。まさしく最後の〆は先週と全く同じでした、最後だけね。
既視感(デジャブ)は通い慣れた場所では得られないけれど、忘れられない体験を再び感じたくて通う本栖湖。午後になるとロクマルサイズ以上が日に2本出た過去を思い起こして、同じコースを辿っていることが多いこの頃。あれは1998年だったかな?釣ったのは私ではありません。
ハーミットが始まった当初は年末に「世捨て人俱楽部・忘年会」というのを一泊二日で行なっていて、それは忘年会と竿納会を兼ねたような行事。当時の私は前乗りして本栖湖で試釣してました。その試釣している時に出会った大きなメスは岸から3〜4mのところを悠々と横切り、何事もなく回遊する貫禄のボディ。こりゃ明日は釣れちゃうな、とポジティブな戦略を立てることにした。本栖湖の大物は私的感覚だと左回りで泳ぐ。要するに釣りをしていると左から右へ向けて泳いでいくケースがほとんど。だいたい岸際を10mほど泳いだら沖へ行き、15分ぐらいするとまた同じ場所に戻ってくる。そしてクルージングは小一時間で終わる。そのタイミングさえ掴めれば釣れると私は思っているのデス。
その翌日、河口湖で宴会を終えた二日酔いの集団は本栖湖へ移動し、朝の釣りはゆっくりとした時間から。当時は日中でも放流ものはよく釣れたので、横並びで12名ほど入って釣りをしても、ほぼおデコがない感じ。皆が釣れたことで釣具屋の仕事は終り、黙っていた大物の回遊時間が間も無くだったので、ゆっくりとウェーダーを履き準備を始めた。
すでに私以外の人は釣りをしている訳だが、その中で当時流行り始めたダブハンを初おろしし、ぎこちないオーバーヘッドキャストをしている釣り仲間は良い位置でキャスティングをしていた。見よう見まねだけでやっているキャスティングは全然飛ばず、ラインが足元に固まって落ちるミスキャストを繰り返す。それを見た他の連中はその姿を揶揄していると、そのラインが突然走りだし大騒ぎ。強運の彼が捕えた獲物は見事な65cm。してやられた私は、羨ましさでいっぱいだったのでゴザイマス。しかし話はここで終わらず。
大物を目の前にしてより一層力投する仲間たち。すると横並びで釣りをする一人が更に一回り大きいトラウトを発見。「デカイ!、そっち行ったよ! と、点呼を取っているかのように次々に右へ右へと言葉がこだまする。右から3番目ぐらいの場所でウェーダーを履かずニーブーツでユルユルな釣り姿の彼は、その言葉が聞こえない様子。自分の釣りに夢中で何事もなくフライをピックアップしようとしたら、そのフライにまたしても大物が掛かってしまった(この話は最後にオチがあるのですが、話が長くなるで続きはお店で聞いてください)。本栖湖は初挑戦の人に優しく、そして魔物に取り憑かれたよう通い詰める私のような釣り人には、滅多に微笑んではくれないのである。
その思い出をたどり、もしかしてデジャブ的な感覚は訪れるのかも? と期待して、冬になると同じ時間同じコースにフライを投げ続けるこの20年。変わらないのは当時ニーブーツ姿の彼が乗っていた岩がまだそこにあること。そして変わらずに投げ続けている私。この二つだけかもしれない。