Zonker / ゾンカーをタイイングしてみる

私が中学生の頃、当時はラパラルアーで芝浦ふ頭のシーバスを楽しんでましたが、フライでも釣りたくなって道具を持ち出したのがシーバスフライの始まり。最初のヒットフライは確かモンタナだったかな?色々試してみてチャートリュースのウーリーバガーなどが釣れることがわかって、最終的には白に落ち着いたけれど、当時の獲物の大きさはシーバスと呼べるサイズには程遠いセイゴ。そしてその当時はゾンカーというフライパターンがが日本ではまだ紹介されてなかったんですな、多分ですが(似ているものでマツーカはよく使ってました)。

一昔前までゾンカーといえば私の中では芦ノ湖と本栖湖のキラーパターンとして活躍したフライ。そのゾンカーはソルトウォーターフィッシングの進歩とともに定番フライとなっているのは皆さんもご周知の通り。私がEPミノーやフローティングミノーを投げる前は、ほぼゾンカーのみの釣りでして、カラーはホワイトを中心にチャートリュースやオリーブなど。特にこれからの時期はバチ抜けのシーズンに突入するので、そのカラーバリエーションは色々と巻きたいところ。

今回は「シーバスはゾンカー頼み」というハーミットの格言があるので、そのフライを巻いた時の写真で紹介。ここで登場するゾンカーはオリジナルではありませんが、アレンジは皆さんの想像力で色々とお試しあれ。サイズとカラーを巻いて持っていけば、シーバスに限らず、湖の引っ張りの釣りでも大活躍してくれます。

ゾンカーのタイイング1
今回のフックはTMC9394の4番。まずはフックシャンクにレッドワイヤーNO,3を5〜6回転をこの位置に巻く。ウェイトを入れるかどうかはその時次第なので、入れないで巻くことも普通です。
ゾンカーのタイイング2
スレッドはユニスレッドの3/0ホワイトを使いました。まずは下巻き。レッドワイヤーの瞬間接着剤をたらし、その上からスレッドを巻いて固定します。
ゾンカーのタイイング3
フライはオリジナルではないので、今回はソラックス(胸)の部分にシールズファーのレッドを巻きました。よく見ると変でしょ?巻いている方向が逆でフックアイからベンド方向へ巻き進めています。巻き終えたこの位置に、今度はスパークルブレイドのシルバーを巻きとめます。
ゾンカーのタイイング
スレッドを先にベンド方向へ移動させておいて、その後を追いかけるようにスパークルブレイドを密にベンド方向へ巻き進めます。写真の位置まで巻き進めたら、スレッドで巻きとめて余りをカットします。見た感じ、ピーターロス(ウェットフライ)みたいです。
ゾンカーのタイイング
モノチューブMをシャンクの1.5倍ぐらいの長さにカットし、写真のようにスレッドの位置とものチューブの端を合わせます。ものチューブの余分をたくさん出すと、後でカットするのが面倒なので、ギリギリを巻きとめます。
ゾンカーのタイイング
ものチューブは滑りやすいマテリアルなので、巻きとめたらすぐに瞬間接着剤を一滴垂らして固定してください。
ゾンカーのタイイング
ゾンカーテープの毛を根本から分け目を付け、その分け目を同じ位置に巻きとめます。巻き止める回転数は4-5回で大丈夫。そしてこの場所でハンドタイ(右手でウィップフィニッシャーと同じ動き)をして巻きとめ、もう一度瞬間接着剤を垂らします。ハンドタイがわからないというお声があれば、今度動画を撮ってみますが、いかがでしょう?
ゾンカーのタイイング
スレッドをカットし、後ろ部分の止めは完了。その後写真のようにものチューブを上に抜いて、その前にスレッドを再び巻きとめます。
ゾンカーのタイイング
ウェットのウイングを止めるようなつもりで、ものチューブを巻きとめます。余りをカットした状態が写真の状態。
ゾンカーのタイイング
最後にフィニッシュして完成・・。多分みなさんはここで御終いですが、ここからさらに一手間。この写真に写っているガードヘア(太い毛)がとても長いのと全体の動きが鈍るので、ガードヘアは手でむしり取ります。毛を逆撫でして、長いものだけを摘んで引けば簡単に取れます。
ゾンカーのタイイング
綺麗に取るとこんな感じ。すっきりしてるでしょ?シンプルですがこのゾンカーがミノーであり、バチでありテールのニョロニョロとした動きでお魚を誘います。バチ抜けシーズンはホワイトの他に、オレンジ、オリーブなども良いです。特にオリーブは湖でもよく使いますので、巻いておけばどちらでも使えますヨ。
ゾンカーのタイイング
私がゾンカーに凝り出すと超めんどくさいフライを巻きますが(こちら)、よく使うのは上のパターンとこのギニアフォウルのスロートハックルを巻いたパターンです。皆さんも色々とアレンジして巻いてみてくださいな。このフライは裏切りません。

Crease Fly / クリースフライをタイイングしてみる

なんでこの時期にポッパーを?とお思いのあなた、いろいろな事情がありますので、突っ込まないでください。タイイングのついでにふと思ったので、ついでにタイイングの手順を紹介しようと思いまして、写真を撮りました。

クリースフライはジョー・ブラドス氏が作ったストライパーやブルーフィッシュ用のフライ。日本では作る手軽さからシイラに使う人が多いフライですが、大きさを変えればどんな魚にも対応できるので、ブラックバスなどにも人気のフライ。

このフライは丁寧にコーティングして綺麗に仕上げる人も多いですが、丈夫さはそれほどないので、私的には簡素に仕上げて量産した方が良いのではと思います。でも遊び心は大切なので、真っ白なんて野暮なフライはやめて、マッキーで好きな色に塗りたっくってください。

まずはともあれ、その手順を細かく写真に撮りましたので、ご覧くださいまし。あ、タイイングと言うよりは工作かな?

ハーミットにはその型があるので、打ち抜きます。ハーミットで材料を購入し自分で抜くのであれば、型抜きはお貸ししますのでお店で撃ち抜いてください(いろいろな型があります)。ちなみに今回のフックサイズは2/0番。その際の大きさは5cm×4cmくらいで写真のような形にしてください。通販の方はご要望があれば打ち抜きます。

今回使用しているのはエバゾートフォーム。このフォームは靴中のクッションなんかに使われる素材で、瞬間接着剤との相性が良く、浮力が高い上に加工が楽です。

私は先にこうして色を塗っちゃいます。カラーは釣りしている時に色落ちてくるので、2-3度塗り重ねてます。使っているのはみなさんが良くご存知のマッキー。

マジックで塗った後に一回半分に折ってみて、目の位置にボドキンで重ねた状態で貫通させます。その穴にドールアイ(リアルアイ)を指していきます。なんかこの状態ですごくカワイイ。お絵かきはこの時にした方が楽ですヨ。

反対側に出た突起はニッパーでカットして、その面の棒付近に瞬間接着剤を塗ると染み込んで固定されます。これでボディの下準備はOK。

まずはバックーテールを長めにフックに巻き止めます。ボディがシャンクよりも大きくなるので、フックシャンクの1.5〜2枚程度が良いでしょう。ま、その辺はお好みで。

その上にクリスタルフラッシュを3-4本折り返して巻き留めます。光り物の量は好みですのでこのへんは好きにしてくださいまし。

カラーが単調だとつまらないのでグラデーションのように別のカラーを乗せて巻き止めます。この辺もお好きにどうぞ。あまり太くならないように全体のテールの量はこの位が良いと思います。

巻き止めたテールは根元を縛り、少し上に引っ張って上向き加減に巻き止めます。タイイングはこれで終わり(笑) スレッドを巻き止めてカットしましょう。

ここではZap-a-Gapを使っていますが、少し粘土の高い瞬間接着剤であれば他メーカーので大丈夫。フックシャンク全体に、特にアイ付近にも満遍なく薄めに塗ります。

塗ったらフックのアイ側からそっと押し付けます。ちなみに取り付け位置だけがとても重要で、このフォームボディの先端がフックアイと先端が揃う感じで、ボディとなる下腹は写真ぐらいの量が出るのが適当です。

ボディを綺麗に二つに折フックアイ側を押し付けて、仮止めした状態。ちなみに接着剤をつけすぎると、ポッパーの水を受ける穴が潰れちゃいます。接着はフックアイから下腹のみだけにします。

フックのベンド付近からテールまでの間は再度瞬間接着剤をボディに塗り挟んで止めます。だいたい10秒も押し付けてれば止まります。

ポッパーの口周りをマッキーで塗って完成。簡単でしょ?小さいサイズを作ればメッキアジなども釣れますし、ブルーギルも釣れます。いちばん小さくて#8くらい。大きくて#3/0くらいまで作れるかな。フックシャンクは若干長めのものを選ぶと良いと思います。

Bunny

お店のHPの変更作業を進めなきゃならんのに、年末に遠征を入れちゃったものだからタイイングも大忙し。昨日も仕事をひと段落した後に巻いたのだけれど、日に8本しか巻けない感じです。今までの在庫を考えるとそんなに大きなフライをたくさん巻く必要はないのだけれど、創作意欲があるときはバンバン巻かないとね。

ピカチュウみたいなこの派手派手、こんなのオオニベ 狙いで使うの?と言う感じのフライですが、多分使いません。が、私とは別の遠征組に使ってもらうために色々とタイイング中で、昨夜はバニーちゃん。黒と赤を使えばターポンバニー。ではこのフライで何を釣るのかは、後日遠征組の釣果を待ってご報告いたしましょうか。

フライのレシピは以下の通り。

Hook:Gamakatsu S10S-4H・#2/0
Thread:Uni-Thread 3/0
Tail:Rabbit Zonker Strip
Color:Backtail + Marabou+ Rabbit Zonker
Eyes:HMT Real Eye

ピカチュウカラーとの色違い。テールが絡まないようにするコツはラビットの下に何かしら硬い素材を使うようにするのがコツ。今回はバックテールを使いました。
もっといっぱい巻きたかったけれども、エポキシを塗るのに時間がかかるので、8本しか巻けませんでした。時間がないのでピッチを上げないと・・。


創造力の世界

フライフィッシングをやってみて思う事、それは物作りが好きな集団だという事。かなりイっちゃった人だと竿やリール、ネットも作り、フライラインまで作ってしまい、あと作ってないのはフライフックだけ、みたいな人もいるんですよ。

流石にそこまでする人はごく一部ですが、この釣りで誰でも簡単に作れるものは、ご存知の毛ばりを巻くフライタイイング。海外はコマーシャルフライ(完成品フライ)のスペースがお店の半分近くを占有するのとは反比例して、日本のショップはマテリアルの売り場が全体の半分近くを占めています。それだけフライフィッシャーマンは物を作るのが好きな人種だという証拠です。

最近はその様相が少しずつ変わり始めていて、一昔前ならばこの釣りを始めて一年もすると大抵の方はタイイングを始めるのですが、最近はそうでもありません(この話前にもしましたね)。もしくは始めても書いてあるレシピ通りの材料が揃わないので巻けないじゃないか、とイライラを募らせるお客様もいらっしゃいます。

最もメーカーさんは自分のところのマテリアルを買ってもらわないと商売にならないから、やたらと長い名前を付けてそれを売るわけですが、それじゃないと釣れないってことはありませんのでご心配なく。というか、そこは似たような素材を探して自分で試すという方法を取ってみるのが良いと私は思います。魚はそのマテリアルのブランドを見て食いつくわけじゃないので、ソックリに作る必要なんて全くないんです。貴方の創造力は時として爆釣になるかもしれませんよ。

フライタイイングを始めると大体最初は真似から始めます。今の時代はYoutubeタイイング・ブログを参考にできるので、簡単に模倣することができますね。その時期が過ぎると自分のアレンジが始まり、尻尾の色を変えてみたり素材を変えてみたり。やがてリアルさに走り凝ったフライを作りたくなるんです。大体その時期がタイイング2〜3年生。

その凝ったフライは勿論釣れるんですが、タイイングの効率さ(生産性)を考え始めて「よりシンプルで釣れるもの」を模索し始めます。最終的に行き着くのが、「やっぱり昔からあるフライパターンってシンプルでいて作りやすく、それでいて釣れるんだなぁ。」と思うのに約10年掛かります(笑)。でもその10年期間に色々なフライを創り出し、失敗と成功のとても充実して楽しい10年なんですよ。これがフライタイイングの楽しさです。

話が長くなっちゃうので、タイイングのよもやま話しの続きはまた今度。さて、フライを巻こっと。

本日のタイイングは自分用じゃありません。巻きたいけれど見本になるフライが売ってない、あるいはすぐに行くのに持ち玉が無い、等の要請を受けてタイイング中。ちなみに私が巻くのですから、しっかり高額報酬いただきます(笑)だって、凝ったフライはどんなに頑張っても1時間に何本も巻けませんから。

Popsicle

ポプシクルと読みます。意味はアイスキャンディでサーモンスティールヘッドパターン。私はこのパターンの色を変えてよく使うのですが、水流にウイングのボリュームが潰されないように一工夫してます。でも肝心な部分を写し忘れました。なので、フェイスブックに記載している古い画像を見てくださいまし(こちら)。

Hook :TMC 7999 #2〜#2/0
Body : Mylar Tinsel #10
Thrax:Egg Yarn
Wing : Crystal Flash
Wing:Marabou Fl Orange+Fl Red+Peacock Blue Neck

黒系はスティールヘッド、レインボー、ブラウン狙い。オレンジ系はサーモンです。ってことはこれはサーモンパターンですね。フライにはウェイトは入れません。フワフワと水底より若干上を流れてくれるのが理想。ラインのシステムはシンキングリーダー以降のナイロン部分は太く短く(50cm〜1m)にして使うこと。釣れるか釣れないかはあなたのスイングの腕次第・・・。

ピンクはカワイイ?

ピンクを見ると大抵の若い娘は「カワイイ!」を連発するけれど、こんなフライを見ても言うのかな?大きさにして約10cm。このフライをドーンと沈めて、僕らはこの時期の遡上魚を狙うのでゴザイマス。

先日のよつあみ のカーボンコーテッド・スレンレスワイヤーをどんな所に使うかと言うのを、知らない方の説明に巻いて見ました。黒い矢印のところがソレです。ここにワイヤーを使う理由は、まずフライフックの先端が甘くなった場合に鈎の交換ができると言う事。底近くを引くことが多いこの時期の遡上魚の釣りは根掛かり回収後に鈎先が甘くなってたりするので、そんな時にフック交換します。

また、上のダーティホータイプは動きを付けるために同じ場所にダクロンのバッキングラインを使っていますが、イントルーダーは根掛かりを防ぐために鈎が暴れにくくある程度張りのあるワイヤーを使います(私の場合)。流れに乗せているときは鈎は上向きで引っ掛かりにくいと言う寸法です。

こんなド派手を好む鮭たちは以外とギャルっぽいのかも?「きゃ〜、ピンクが流れてきた。ピンク色の玉も付いているし、なんかカワイイ!」と言いながら喰うのかもよ(笑)

漢の浪漫

気がつけば今年も残すところあと3ヶ月。今年もやりたかった事に食いが残らぬよう全力疾走で釣りへ行っている私。どこかに書いたことがあると思いますが、私は頭で考えるよりも行動が先にくるタイプで、何も考えずに先に動いてしまいます。釣りの場合は行きたい場所の宿や飛行機を先に決めてしまい、当日までの期間を利用して釣り方を考えたり情報を探します。なので、その日が釣りの条件にとって全くダメなんてこともしばしば。しかし、その冒険心から生まれるハプニングを楽しみながら釣りをしている感じです。

で、今は7月に決めた10月の釣りの準備期間であって、なんかこんなフライを巻いてますヨ。大きさが分からないかもしれませんが、このフライは大体20cm以上。本当はユルユルな釣行予定なのですが、気を引き締めるために浪漫溢れるフライを巻いた次第。

想像してみてください。この大きなフライをキャストしリトリーブをすると、その引き波に誘われて襲いかかる大魚。水面が二つに割れた途端にフライロッドは大きくしなり、腰を入れてファイトするのです。

そんなシチュエーションを想像しながら巻いてますが、そのチャンスは果たしてくるかな?妄想の時間は漢のロマンに満ち溢れてます。フライタイングって楽しい!

フライタイイングのすすめ

「フライフィッシングの魅力って何?」と問われる事がままあります。お魚を釣るという目的は他の釣りと同じですが、フライは釣りのプロセスをいろいろな方向から楽しんでいる節があります。もっとも簡単に釣りたければ手軽なエサ釣りで魚を釣れば良いわけですから、ややこしくて面倒くさいことを楽しんでいる人種だと思います。

フライフィッシングが他の釣りと違う魅力は主にキャスティングの技術が必要になると言う事でしょうか。キャスティングの技術を磨く事で飛距離やコントロール精度が格段に良くなり、いろいろな魚に挑戦できるようになる事が私は一番魅力を感じます。キャスティングに興味がわかない人は管理釣り場での釣果はあっても、自然河川での釣果を得るのは、なかなか難しいことでしょう。ちなみにハーミットではよくゴルフに似ていると皆さんにお伝えしてますが、私はゴルフをしません(笑)。

それともう一つフライの大きな魅力は、魚を釣るための餌であるフライ(毛ばり)が自分で簡単に作れると言う事です。一般的なエサ釣りは釣具屋さんで餌を買ってくるか、あるいは現地で虫を捕ったりミミズを掘ったり。ルアーであれば「このルアーが今爆釣してます。」のキャッチコピーに喰いついて、皆さんは買ってきて釣るのが一般的です。

フライフィッシングの場合この餌となるフライをハーミットで購入して頂いても問題ないのですが、それだと決められたエサしか使えないのと同じなんですね。菅釣りだったらそれで充分かも知れませんが、さらに広がる自分で作った餌で釣る楽しみを知らないままでいることになります。

私がフライフィッシングを始めてからタイイングし始めるのにそうは時間が掛かりませんでした。理由は簡単で当時も今もフライ1個の値段は同じくらい。なので中学生の私がフライを買い続けるなんて無理なことなので、すぐにタイイングを始めた次第。ついでにその時期に出会ったシェリダン・アンダーソン著の『フライフィッシング教書』に ”肩肘張らずにやろうや” 的な内容に感銘し、その辺にあるものでタイイングを始めたんですよ。

最初のバイスは自宅にあったラジオペンチ。フックを挟んだら握りの部分に輪ゴムを何重にも巻いて、左手をペンチに添えて巻く感じ。スレッドはミシン糸を持ち出し、ダビング材(ボディになる材料)はコタツの掛け布団にできた毛玉。それをむしり取って針の軸に巻きつけるんです。

当時の管釣りは都内では豊島園、遠征加賀フィッシングエリアで、そんな毛玉の様なフライでも魚は面白い事に釣れてくれるんです。

何でこんな話になったかと言うと、最近のお店での傾向は週末に5千円程度完成品のフライを購入し、それを持って毎週管釣りへ出かける人が多くなりました。たまに「このフライがすごい釣れたので、客注でこれを20個お願いします。」と言う事も。初心者のうちはそれでも良いですが、購入して釣ると言うだけだと数年もすれば管釣りの釣りも飽きちゃうことでしょう。

フライタイイングの道具は人に見せるもんじゃありませんので、決して高価なものは入りません。最初はインド製の数千円のバイスで十二分。ハーミットで売っているマテリアルが高いと思うのでしたら、近所の手芸屋さんで毛糸や化繊糸を買ってくださいな。管釣り用のフライだったらいくらでも作れます、そして思っている以上にどんなフライでも釣れます。そして沢山作ったフライの中で、特に釣れるフライが出てくるでしょう。でもそのフライはいつでも食いつくわけではないので、また新たな創造が生まれるのです。気がつけば自分のフライボックスはあなたの芸術でいっぱいです。

楽しそうでしょ?フライタイング。タイイングを敬遠している皆さん、肩肘張らずに、フライフィッシングを楽しみましょうや。

水面に浮いている虫が気になりだしたら、あなたも立派なフライフィッシャーマンです。それを見てこんなフライとか、きっと巻きたくなるはず。

最初はこんなキットで始めるのが良いでしょう。このキットにはタイイングツール(道具)にマテリアル(材料)とDVDの全てが入っているので、すぐに始められます。きっと眠れなくて楽しい夜になることでしょう。

売り物のコマーシャルフライはタイイング見本にするのもひとつの手。漠然と「フライを何か巻きたいので、マテリアルを揃えてください。」とお店に尋ねられても困っちゃうので、コレを巻いて見たいという見本があると材料は揃え得やすいです。たとえひとつの材料が同じものが手に入らなくても良いんです。代用品を使うことで新たなあなたのオリジナルのフライができるのですから。

沈まないフライ

絶対に沈まないとは言わないけれど、ボディに穴が開かない限り一度沈んでもまたポッカリと浮いてくれるのがシンガマボディフライ。昨日の続きみたいだけれど、このフライはルアーで言うところの虫系。というか、そもそも虫系と呼ばれるものはフライ見たいなもの。元々フライフィッシングの方が小さくて軽いものをデリバリーする能力には長けているので、こういうものはフライ向きなんですね。

シンガマフライはそんなに説明がいらないフライタイイングですが、要所のポイントをおさえてもらえれば、より壊れずにずっと使えるフライが作れます。フライフックが甘くなったら、フライはカッターで解体し、新しいフックに交換すれば半永久的に使えますので、使った事のない人はこの秋の湖で是非お試しを。そして管釣りでもこのフライが落ちた音で魚は異常に反応するのでオモシロイですぞ!勿論バスやブルーギルは鉄板です。

Sサイズの場合TMC5212の10番がジャストフィット。Mは8番フック。スレッドは8/0のユニスレッド。スレッドワークに自信がない方は3/0をお使いください。まずはシャンクいっぱいに下巻きをしましょう。これをしないと、接着剤がうまく着きません。

このフックを使うと丁度シャンクいっぱいの長さがボディサイズ。スレッドを最初のくびれの位置にしてスレッドで切れる寸前の力で10回転締め込みます。ボビンが下に来た時にボビンの糸がまっすぐになる様にして引けば、相当な力で締め込むことができます。

超締め込むと、こんな風にボディが上反りになります。これぐらい強く締めるのがポイント。そして同じ位置にグリズリー バーデッドラバー レッグを2本を4回転ほどで巻き止める。

フックは斜め上から見た図。こんな風にレッグの両端をひっぱり、真横にの位置へ移動します。反対側も同様にして左右対称にします。

レッグの位置が決まったら、スレッドはボディの下をくぐりシャンクに巻きつけ、次のくびれの位置へ巻き進めます。そして同様に強く10回転で締め上げます。スレッドは切れない様に注意してください。

斜め上から見た図。2回目のクビレも同様にグリズリー バーデッドラバー レッグを2本を4回ほどで巻き止め、左右に対処に広げ、この形にします。足が8本で多いって?6本にしたい人は自分でどれかを切っちゃってくださいな(でも反対の足が取れやすくなりますよ)。

最後に3×5mmほどのフォームをインジケーター(目印)として巻き止めます。スレッドワークは4-5回転くらい。

最後に一番前のボディの下にスレッドをくぐらせて、スレッドを一番前へ持って来ます。そしてウィップフィニッシュ。できない人はハーフヒッチャーでも構いません。

ザップアギャップで腹側を接着します。この時、最初と最後のお団子部分位はしっかりと塗り、クビレ部分のスレッドは染み込む程度に塗布しましょう。ラバー部分にはつかない様に注意します(ラバーに沢山のつけると、ラバーが折れてしまいます)。

最後に足の長さを整えて完成。シンガマボディを購入すると一袋で6個作れます。今まで使っていてボディに穴が空いた事がないので、かなり長い事使えると思います。

なんか変化が欲しいという人にはこんな作り方はいかが?ウイングはジャングルコックのサドルを使いましたが、いろいろなヘンフェザーなどで試して見てください。黒でわかりにくいですが、コイツは足を6本にして見ました。

くびれにハックルを巻けばでっかいワームフライ。こんなフライをヒントにあなたのイマジネーションでさらにカッコイイフライに仕上げてください。

 

カメムシ フライをタイイングしてみよう

私の場合、お盆が過ぎると電池が切れたかのように渓流への欲求が収まってしまう。シーバスと湖に移行するまでの間がどうしても気が抜けてしまうのデス。ブログの更新をサボってたのは事実だけれど、決して釣りへ行ってなかった訳ではなく、パッとした釣果が出ないんですヨ。そしてみんなの触手をそそらない釣りばかりだったので放置してました。

でもって来週には野反湖へ行くのでタイイングにスイッチが入ったモード。本日はカメムシを巻きます。皆さんもご存知のようにカメムシは夏の終わりから出現して、湖に大量に落ち始めるのが秋と感じる頃。そう野反湖もこのくらいの時期から10月いっぱいまでオレンジ色のお腹をしたカメムシ君が大量に落ちるのです。でもって前回の大物連続4バラシがあったので、今回は釣れるまでバーブフック、釣れたらバーブレスにします。

今回はフォームフライタイプですが、私が作るこのフライは昔に比べると簡素でいて大量に簡単に巻けるタイプ。さらに壊れないフライなので、最近はこの形でおさまってます。タイイングは十人十色。決してこの通りにする必要はないですが、自分なりに工夫してタイイングを楽しんでくださいまし。

Hook:がまかつ B10S #8〜#10
Body:ヘアラインシートフォーム
Leg:ラウンドラバーレッグ・ファイン
Thread:ユニスレッド8/0

フライのクオリティを均一にするために、チェルノブイリアントを作る時の型を使ってフォームを切り出してます。よく欲しいと言われますが、コレ高いんです(1個¥3,000位〜)。なので在庫してません。皆さんはもっとカッコ良くカメムシっぽい形に整形してください。

この型の場合、真ん中でカットすると丁度2個作れます。同じくオレンジ色のフォームも同じ大きさで作ってください。*お客様に型の抜いた状態が欲しいと言われる事が多くなったきたので、もし要望が多ければ型の抜いた状態の物の販売を考えます。

背中の部分と頭の止める部分をこんな形に切り抜きます。

フックはがまかつのB10S。サイズは10番。まずそのフックにオレンジ色の半分のものを、この位置に刺します。チョン掛けみたいな感じ。

スレッドはボディの部分全体に糸を巻き、シャンクの一番後ろ(鈎が曲がり始める位置)へ巻きながら移動します。

丁度針穴の位置を絞るかの様に、スレッドで強く巻き止めます。大体10回転くらいで、糸の持つ強度ギリギリのテンションで絞ってください。私はユニスレッドの8/0タンを使っていますが、スレッドワークに自信がない方は3/0を使ってください。

1つのコブを作ったらスレッドをシャンクだけに巻きながら移動し、約3-4ミリの所で同じ様に絞ります。回転数も同じく10回転程度。

後ろ足になるラバーレッグファインのブラウンを2本取り付けます。後々この足の前の部分は切っちゃいます。

写真ではわかりづらいですが、3個目のコブを同じ様にまず作ります。その後前側にある足を3個目のコブに一緒に止めます。

最初に作った背中側のフォームを同じ位置にしっかりと7-8回転で巻き止めます。

オレンジ色の上側のみに瞬間接着剤(なるべくドロドロのタイプ)をつけます。写真のザップアギャップがとても使いやすいのでオススメ。接着剤を塗ったら、緑の背中を強く押し付けるとすぐに接着されます。この時後ろ足のラバーに接着剤が付かないように気をつけてください。

上下が接着される事でフライはグラグラしない丈夫なフライになります。その後、腹側のオレンジ色部分の余りをカット。アイが見える様にします。

現在足は4本ついていますが、写真の様に前足をカットして、後ろ足2本に戻します。

その後もう一度ラバーレッグ2本を同じ位置に巻き止め左右に一本ずつに振り分ければ、片側3本になり合計6本の足になります。

こんな感じですね。足の位置を調整しておきましょう。

さらにオレンジ色のフォームで5mm×7mmほどの長方形を作り、同じ部分に7-8転して止めます。

最後に同じ位置でハンドツイストフィニッシュして糸を結び、スレッドの各所に少量ずつの瞬間接着剤を垂らします。フォーム通しの張り付きやラバーのすっぽ抜けを防ぐには、一般的なヘッドセメントよりも、瞬着の方が有効です。

出来上がったら、足の長さをカットして調整しましょう。

裏はこんな感じ。オレンジ色の発色が強いと思ったら、コピックなどを使って虫っぽく汚してください。ただ、カメムシって思っている以上にお腹がオレンジです(その地方により異なります)。

この大きさだとラバーはファインラバーを使うと動きが良いです。このフライの中で1つだけモノアイのM サイズを入れたものを作ってみましたが、カメムシの場合目は大きくないので、別の虫に見えてくるので止めました。

野反湖に限らず秋の湖パターンとして欠かさないフライですので、皆さんもそろそろ巻き貯めした方が良いですヨ。釣れるかなぁ、大きいの。