FAGUS Fine Loop (ファイン ループ)のインプレッション

今年の渓流シーズンも間も無く終わりを迎えますが、皆さんの渓流釣り納めは終わりましたか?私はというと、すっかり湖と海モードに突入してしまいましたので、渓流はまた来年の2月からのスタートとなります。

さて、岩手のロッドメーカーであるファーガスさんにグラスロッドの全ラインナップをお借りしました。今回このロッドを振る為に朝霞ガーデンにて試投しましたが、まずはファインループシリーズから少し書いてみようかと思います。

ファーガスは元カンパネラのビルダーさんが立ち上げた、新たなる岩手のロッドメーカー。そのブランクは自社で製作しラッピングに至るまで行っている、メイドイン岩手。なので、このロッドは岩手の小渓流で楽しむためのロッドと考えて良いでしょう。

ファインループシリーズはショコラブラウンカラーのブランクのスピコッドジョイント。フォレストバムよりもティップが繊細でゼロレンジから10m以内を射程としたロッドです。ではそのラインナップをインプレッション。


f-6043FL/6feet4inch・3weight・4pcs:私はこのロッド買いました。選んだ理由は私は異端児なので、短いこのモデルは買う人が少ないと思ったから(笑)。グラスはしなやかで短めのロッドがアクションとして使いやすいのですが、一般的には6フィート6インチから7フィート6インチが使い頃。ここまで短くなるとそれ相応の河川を想像しながらでないとなかなか出番がないでしょう。例えば左右が藪で覆われ上部は木が日差しを遮る小さなトンネルの様な沢。こんな川だとアップストリームでしか投げないので、短ければ短い程よい感じです。私のこのロッドは湯川スペシャルとして活躍中(2番ラインを乗せて使ってます)。

Fine:このロッドの強みは短さ。前述の通り上に十分な空間が無い場所でもキャストできます。そしてこのしなやかさがあれば、細いティペットを使用しても合わせ切れする心配がないので、竿抜けポイントで思わぬ尺ものをゲットすることが出来る筈。キャスティングレンジは0〜7m位が快適でしょう。

Weak:このロッドを使ってみて思うことは、短さ故に急に開けた場所などがある川では、中距離以上になった場合にロッドが短いがゆえにロッドで水面についたラインが長くなる事で流れにつかまり、ドラッグが掛かり易い事。なのでこのロッドは川の流れや幅が著しく変わる場所では使いにくくなります。やっぱり購入の際に想定した川の専用ロッドという感じになるでしょう。


f-6103FL/6feet10inch・3weight・4pcs:f-6043FLよりも6インチ長いおかげでメンディングがしやすく、そしてリーチキャストやラインスラックを入れやすくなったりするのです。6フィート台なので短く思えますが、7フィートよりも2インチ短いだけなので、使い勝手としてはこのシリーズでは一番使いやすいモデルと言えます。

Fine:繊細なティップのお陰でフッキング時の魚の吸い込みを感じ、フックセット後のやりとりがとても楽しいロッド。そして7フィート近くあるので、キャスティング後のライン操作がわりと楽になります。キャスティングレンジは同じく0〜7mくらいが快適かな。

Weak:柔らかいグラスでティップが細いこともあり、ロッドが長くなったのだからより遠投しようと思うとロッドが暴れだし名前のファインループが作りづらくなる、玄人好みのロッド。リーダーキャストが多い人には向いているが、そうでない人はキャスティングのスキルを磨く努力が必要。


f-7043FL/7feet7inch・3weight・4pcs:ファインループシリーズの中では一番長いですが、グラスでは一番使いやすい長さです。このロッドの繊細なティップでアントなどをフワッとプレゼンテーションするシチュエーションを思い浮かべてください、ゾクゾクしますね。

Fine:キャスティング後のライン処理がしやすく、長い分だけティペットは何をやっても切れないのではないか?という錯覚に陥るロッド。長過ぎず振り抜きのもたつき感はほとんど感じません。振り抜けも良く0〜10mレンジで活躍します。

Weak:さらに長くなった分だけラインコントロールが難しくなり、風が強くなるとピンポイントにフライをねじ込むのは少し難しくなるでしょう。また中距離を超えてくるとロッドティップが暴れだすので、遠投にはいたって不向きです。私的にはこのロッドで遠投競争を楽しめる玄人向きのロッドですが・・。

総括するとこのシリーズは圧倒的に近距離でヤマメ・イワナを楽しむ専用ロッドだと思います(オイカワやブルーギルも楽しそうだけれど)。菅釣りに持って行っても楽しいのですが、少し大きなレインボーが掛かっただけで魚に主導権がわたり、混雑している菅釣りでは少し周りの人迷惑かもしれません。このロッドにはやっぱり田んぼの脇に流れる小さな里川で釣れる、ヤマメがお似合いです。

Airflo Super Flo Elite WF6F インプレッション

遠くへ釣りに行きたい気持ちをグッと堪え、皆さんはどんな日々を過ごされていますか?私はというと、とにかくネット情報を動かさないと物が売れないので、日々HPの更新です。そしてお休みの日はタイイングか近所の河原に運動のためにお散歩(時々釣り)ですが、その時ふとブログネタを思いついたのが、このライン比べ。

エアフロ社から昨年9月ごろに新製品として発売されたラインですが、日本ではこの4月からようやく販売開始になりました。このラインのコピーを見てすぐに欲しかったので本国UKから直接手に入れようと試みましたが、初期販売はなぜかイギリスのみだけ。なので大人しくマーヴェリックさんの発売を首を長くして待っていたのです。

このラインのために新しく作られたフローテクノロジーとは、同じライン番手でありながらライン直径を極限まで下げるというテクノロジー。そもそもエアフロはSAよりも直径が太いと言われてきましたが、リッジ発売頃から徐々に細くなり、このスパーフローではどのメーカーさんよりも細い直径となりました。またライン番手により浮力コントロールができているそうです。

「直径が細い」の代表でいえばシルクラインですが、このシルクラインが未だに使われる理由の一つは直径が細いので空気抵抗を受けにくくなり、シンキングラインのような感覚で投げられると言う事。知らない方もいると思うので補足しますが、例えばWF6Sタイプ2のシンキングラインとWF6Fのラインの重さは一緒です。でもシンキングラインの方がものすごく重く感じ、より距離が飛ぶ感覚を得ますよね、あの感覚に近くなります。

シルクラインは手入れが面倒、浮力が弱いために一日ずっと使えない(沈み始める)、強度の問題などのデメリットがありますが、このラインは通常のフライラインと一緒なので、そんな事はおきないのです。

さて、そんなラインを強風下の河川敷で新旧を比べてきましたが、一人だったのでその振り回す風景は収められなかったので、巻いた状態の違いで説明していきましょう。

振り比べたのは同じテーパーで同じデザインのエアフロリッッジエリート。スーパーフローは先端にこんなインデックスがあります。SAのマスタリーシリーズではもうお馴染みですね。ラインを振り比べた当日は強風でしたが、その為もあってか風に煽られる違いが歴然。やっぱり僅かな違いでもその差ってとても大きいのです。特に空気抵抗をわざと受けさせるためにロッドを立ててより空気抵抗を感じるとその差はすごくありました。
同じWF6Fの同じテーパーのラインを巻き比べた時、これぐらいの差が出ます。リッジエリートはリールに対して95%ぐらいに対し、スーパーフロ ーエリートは85%ぐらいです。大物とのファイトの時、ラインをいい加減に入れてもリールにラインが当たることがありません。
サイドの写真にするとわかりやすいかな、こんな感じ。ラインの質感はリッジの方が少し硬めでスーパーフロの方が柔らかいです。私は硬いライン好きなので、触った質感と縦筋の入ったリッジの方が手に馴染んで(慣れているから)良い感じを受けました。
先端の処理もスーパーフロー(下)の方が小さくそして細い。目で見てその太さの違いがわかります。カラーは同じはずなんですが、スーパフローの方が浮力を増す気泡を多く入れるせいなのか、かなり先端のカラーが明るくなってます。また、浮力をライン番手により変えてあると書いてありますが、6番だからと言って浮力が少ないことはなく至って普通。それよりもラインの癖がなく(新品だしね)そのなめらかさがラインの抵抗を感じません。
パッケージにはプレゼンテーションと書いてありますが、中身はエリートです。なぜかDTがエリートと書いてあり、WFはプレゼンテーションとなってます。この価格差は¥1,000なので、ハーミットではエリートリッジの在庫をやめました。それにもしてライン直径が少し細くなるだけで、こんなにもラインスピードが上がるなんて嬉しいですな。

最後にもしこのラインのデメリットをあえて述べるとするならば、他のラインに慣れているとなかなか新しい感覚に馴染めない人がいるかも?と言う点でしょうか。エアフロラインはパワーコアが使われているので、圧倒的に繊細なアタリが取りやすいです。ですが伸びない反面、10Xなどの極細ティペットを使った場合、合わせの衝撃吸収はラインはほとんどしてくれないので、他のメーカーに慣れていると合わせ切れを頻発する人もいます。最も極細の10Xの話ですけれどね。

エアフロ社がコアが伸びないのに拘っているのか、1990年代後半は芯にケブラーを使ってた時代があります。シンキングラインは最強ラインでしたが、フローティングはアコーデオンみたいな感じで癖が全く取れず使いづらかった時代もあるのですよ(笑)その成長を見続けているので、私は感慨深いものがあるのです。10年ひと昔、あの頃と今では半端無い進化を遂げているのは事実。

TFO Axiom II-X インプレッション(TFOソルトウォーターモデル)

車無し生活が続き一週間があっという間に過ぎました。車がないなりの楽しみとして昨日は赤坂見附にある弁慶池へ。釣りが終わった後はベーキャンで酒呑みという車なしならではの遊び方。という事で、その釣りに アクシオムII x 9フィート8番を持って行きました。弁慶池ではオーバータックルですが、その使い心地などを書いてみます。

確か昨年の今頃にアクシオムIIのサンプルロッドを借りてシーバスへ行った覚えがありますが、そのインプレッションってどこかに書いてなかったっけ? 見当たりません・・・。アクシオムIIの発売から約一年という速さで新シリーズが出た訳ですが、名前の違いは最後のXの文字。ロッドのコンセプトであるグラファイト+ケブラー(復原力を高めるためのもの)という点では一緒。大きな違いはその塗装で、TFOを古くから愛している方には馴染みのあったTicr X加工(ロッドをチタンコート加工)という塗装の技術です。ロッドに重いフライが当たった場合にダメージを軽減させる役目がこの塗装にあります。

もう一つの違いはバットセクションに使われているリコイルガイドで、グニャッと曲げても形状記憶合金なので、元の形を常に維持する様になってます。ロッドが曲がるフレキシブルな動きにも対応し、このガイドを付ける事でロッドのベンドカーブへの負担も軽減しているのも特徴です。

してその振りごこちはと言うと、アクシオムIIよりもやや硬めという程度でしょうか。すでにアクシオムIIを持っている人は買い換えるまでの必要はないでしょう。スペック上(というよりお店で重量を比べました)では軽くなっていますので、持ち重り感はやや軽減されています。

ファストアクションのプログレッシブなモデルなので、ショートレンジでのキャストにはむかず、常に9m以上のラインを保持したところからのシュートが快適です。今回は弁慶池でニジマスくんと遊びましたが、20cm程度の魚が掛かった場合はロッドの硬さからジャンプする魚は簡単にバレてしまいます。しかしこのバットパワーは大物を仕留めた時の安心のトルクなので、今回は使っている場所が全く違う訳でゴザイマス。なのでこのシリーズでトラウトを釣るのならば6番であり、ついでにメバルやアジ、カマスなどの魚とも遊んでみましょう。

ロッドの塗装はマットコートのメタリックブルーですが、USAのS社のロッド違い光沢がないので、その雰囲気はかなり違います。最もS社は早々とモデルチェンジしたので、現行品はかなりディープブルーになったので、見た目が現行モデルとかぶる事はないです。

アクシオムIIかIIxのどちらを選ぶかはあなた次第。私だったらソルトと淡水の両方に使うのだったらアクシオムII。ソルト専用で使うのならばアクシオムIIxかな?

私はこの近所の出身なので弁慶池は子供の頃からの遊び場。小学校の頃と変わらない行動を取るアラカン男子だと気づいた時、弁慶橋を足早に走る同世代のサラリーマンと見比べて少し恥ずかしくなりました。いいのかなぁこんな人生で(笑)
ソルトロッドなのでリールはティボー を装着。バランス感はピッタリ。USAのHPでは何にでも使って欲しい的に書いてあるけれど、いかにもソルトウォーターロッドという見た目。
ボート上でぶっ飛ばしの釣り。ループがビシッと閉まり、タイトに締まったバックキャストの向かう方向は地下鉄の入り口(笑)。昨年はずっとこの池は浚渫工事が入り、水深が2.5mまで回復。その代わりにウィードを根こそぎ持っていかれたので、今シーズンのバスフィッシングはどうなるかわからない。レインボーはインタミを使い、カウント20-30で新しく掘られた溝周辺でヒット。
ブルーのメタリックなのですが表面はマット(艶消し)。私的な見解ではアリのカラーだと思います。最も私の場合は昔あったTicrXに見慣れているからかもしれません。
弁慶池は鵜の被害を避けるために放している魚の半分以上はでっかい魚ばかりで、45〜60cmほどの大物が釣れます。実際一番最初にかけたヤツはデカかったですが、手元でバラシちゃいました。
私には思い出いっぱいのこの場所。右に見える外堀の石垣から友達が落っこちて泥だらけになったっけ。20年後に私がまだここで釣りをしていても、皆さん笑わないでくださいな。

 

G Loomis NRX+ シリーズ・インプレッション

本日はキャスティングスクールは合計17名という盛況です。というのも皆さんさんのお目当ては新製品であるGルーミスNRX+シリーズの性能を知りたくて、振り倒しに来たのです。なので、キャスティングスクールは程々に、試投会メインで楽しんでまいりました。

ハーミットでは『魔法の杖』と言う愛称で長く愛されたNRXは12年の務めを終えモデルチェンジし、NRX+ に変わりました。この長い間愛され続けたNRXとどんな違いがあるのかをご紹介デス。

今回の大きな変更点はやっぱり軽さ。発売から12年も経つと他メーカーの現行モデルと比べちゃうとどうしても重かったのですが、今回のモデルチェンジで飛躍的に軽くなりました。ちなみに本国のGルーミスのHPにその重量が書いて無いので測ると、9フィート8番で107.49g。同番手ウィンストン エアソルトが117.85g。スコットセクターが120.37gありましたので、ハイエンドのソルトロッドではとても軽いです。もっとも、「ロッドの軽さ=バランスの良さ」ではありませんので、持ち重り感は別物ですが、軽いのは確かです。

今回の変更点で皆さんが思う残念な点は、カラーリングとストリッピングガイド。見慣れたレック社のリコイルガイドはsicチタンガイドへ変更。そして当初は独毒しいと言われたたブルースレッドは、ブルーラインだけになってしまいました。この二つは見た目でNRXと一瞬で判るポイントだったので、NRXオーナーはこの2点は継続して欲しかった様です。

ではでは今回お借りした6本のロッドのインプレッションを紹介。そうそう、TFOのアクシオムII 890-4A2-Xもサンプルをお借りしたのですが、このインプレッションはまた別の日にブログを書きます。長々と書きますので、お暇な時にお読みください。


NRX+LP 383 (8ft 3inch・3weight・4pcs):前作と同様にNRXにはLP(ライトプレゼンテーション)モデルがあります。最大6番までで、これは最小番手の3番。名前に反して他のメーカーに比べたらキビキビしたファストアクション。決して柔らかいロッドではありません。プレゼンテーションがフワッと落ちるロッドでありますが、ラインスピードの早いシャープなループが特徴。

Fine:軽快に大きめなフライでもピンスポットに打ち込めるキビキビ感。ロッドに伝わる細かな振動も伝えるので、伝達が良いコントロール重視のロッドと言えます。軽さが手伝ってその軽快感は感動です。

Weak:ロッドの曲がりを感じ取りたい人には棒のように感じるかも。ロッドの反発力が強いので、平均的なヤマメやイワナサイズだと掛けた後のバレが頻発しそうな印象を受けた。でも、普段釣る魚が25cm以上中心の方であれば、その心配は少ないと思います。


NRX+LP 486 (8ft 6inch・4weight・4pcs):オールマイティに使える長さを持ったモデル。いい加減に振っても綺麗な直線を描くトラッキングの精度がよく、キャスティングがとても上手くなった気になれるロッド。

Fine:ロッドのトップセクションが綺麗にお辞儀し、その分だけのループ幅が放出されるので、タイトループが作りやすい。ラインコントロール性能がよく、軽快に振り続けることが可能。

Weak:以前のモデルよりもシャープになり、ややノーマルのNRX寄りにアクションを持ったロッド。デメリットじゃないけれど、LPにしなやかさを求める感じではなくなった。


NRX+LP 590 (9ft ・5weight・4pcs):今回は前作のNRXと振り比べることができたので、その違いがよくわかった。やっぱり飛躍的に軽い。そしてティップだけお辞儀していたロッドのブレが減り、タイトループがとても作りやすくなったのがよくわかる。

Fine:比較的ショートレンジでもティップが曲がりラインウェイトが乗らない状態からでも振りにくさが無い。ミドルレンジまではシャープに感じるが、ロングレンジではググッとロッドの曲がる点が下がり、ロッド全体で振り出すアクションに。そして軽さが際立ちます。

Weak:ノーマルのNRX+があるのでその差別化がよく出ていたので、ロングショット中心の場合はNRX+590を選択してください。


NRX+LP 690 (9ft ・6weight・4pcs):LPシリーズは全てハーフウェルグリップでその中の最高番手。LPシリーズらしいティップセクションがお辞儀する曲がりで、シャープなループを放出する。

Fine:ロールキャストからのフォルスキャストと言う一連の動作がとてもスムーズ。そしてLPアクションも手伝ってタイトなループが放出しやすい。1日振っても疲れない軽さを持ったモデル。

Weak:フライラインを10m以上ホールすると、やや腰砕け感があった。でも590同様にノーマルモデルとの差別化なので、ロングディスタンスを中心にしている人はNRX+ 690を選択してください。


NRX+ 590 (9ft ・5weight・4pcs):NRX+ モデルのグリップは全てフルウェルグリップなので、グリップ力があります。ロングレンジと空気抵抗の大きいフライを投げたい時に向いたモデル。

Fine:フライラインのベリー部が全て出るとロッドが生き生きする感じで、ループの乱れを感じ無い。誰が投げてもループがまとまりやすい、やっぱり魔法の杖かな。

Weak:LPモデルに比べるとティップ部も硬いため、ショートレンジでは少々扱いにくいロッド。なので、河川では7〜8m以上から先を狙う時用に。向いているのは湖のドライフィッシングと言う感じ。


NRX+s 890 (9ft ・8weight・4pcs):皆に「魔法の杖」と言わせたルーミスアクションは健在。タイトループを乱れなく作り出すのはやっぱりNRXですな、と感じた。

Fine:規定の9mを超えた時のフォルスキャストの安定感は抜群で、誰が投げてもある程度以上のタイトループを作り出すことができるでしょう。

Weak:9mよりもラインが短い状態で繰り返しフロティングミノーを投げるような環境だと、重さがロッドに伝わりづらく投げにくく感じるでしょう。なので、ロングディスタンス向きのロッドです。

コスメが一気に変わった感じ。でもNRX発売当初はこのブルーが不人気でイチャモンが多かったのです。ですが、長い年月でこのラッピングがNRXのシンボルカラーになったので、コスメの変更は少しがっかりだった人も多いです。
ああでも無い、こうでもないと投げ回している時間は楽しいものです。自分のロッドと比べて何が違うのかを、皆さんに感じていただきました。これで2〜3本は売れるかな?(笑)
NRX+LPは全てハーフウェルグリップ。全体の印象は少し硬くなった雰囲気。でもその分だけロッドティップがペコペコお辞儀しないので、ライントラッキングの性能が上がってます。
体が温まったところで、最後は皆で記録会。人と比べる大会とは違い、次回来た時までの成長を数字に変えるものです。初めての人は次回来た時に1mでも延びる様に頑張りましょう。リピーターの方は前回から何が成長できたかを考えながら、記録を伸ばせる様頑張ります。その成長はとても嬉しいものです、そして他人と比べる必要は決してありません。
今回は私を含めて3名のインストラクターがいましたが、今回はイケピー先生にそのデモンストレーションをお願いしました。さすが先生、フルラインを一発で決めてくれます。これも練習の成果であり、努力の賜物です。

ラムソン・グル 新旧比べ

先月スピードスターの新旧比べをしましたが、「ところでグルはどう変わったんですか?」と聞かれてましたので、グルの方もその違いをインプレッションします。

ラムソンの中で丁度ど真ん中の価格帯に位置するGuru(意味は達人)は、上のモデルとの差別化なのか長いことスプールの底部分に穴が空いてませんでしたが、今回の進化でグッと肉の抜けたリールになりました。なのでマイナーチェンジと言うよりはフルモデルチェンジです。

そしてサイズは5種類から4種類に変更されたので、3と3.5がサイズ的に似た様なモデルだったので一つに集約され、現在の-7+になった感じです。その他の大きな違いはやはりデザインなので、それを写真と共に見ていきましょうか。

Guru 2020
表はライトスピードにグッと寄った感じのデザインで6本の支柱。2019年モデルはハンドルの反対側の部分を穴抜きしないことで、カウンターバランサーにしていましたが、今回のグルはスピードスター同様に、スプールの底部分の穴の空け方を変えて、重量の配分をしています。なので、表の顔はスッキリ。
写真は一番小さいモデルで比べていますが、スプールの直径は4mm小さくなり81mm。ぱっと見はそんなに大きさが変わりませんが、スプール底部分に穴が空いた事で、重量は15g以上軽くなり104.4gに。ハンドルノブは共通の様です。
ドラッグノブの高さは同じですが、角が7つになったことでファイト中にも回しやすいドラッグになりました。左のリールはブレイズというカラーです。
スピードスターと同様に、Vドラッグが格納されているセンターハブも肉抜きをギリギリにするために段差がついてます。
ラムソン リールのクリック音はスプール側についていて、このプラスチックの黒いツメが当たる事で、逆転防止と軽いクリック音を奏でます。そのツメが丁度隠れるギリギリの幅まで削られています。
新しいグルはカラーが3色ありますが、サイズによってカラーが異なります。3と5はこのブレイズとオリーブグリーンの二色展開。ハーミット的には人気は二分しているので、どっちも皆さんに受けいられているのかな。
裏側のドラッグノブとセンターハブのカラーが統一されているので、ブレイズはオレンジ、オリーブグリーンはグレーになります。
大きいサイズの7と9はアークティックとオリーブグリンの二色。なのでオリーブグリーンだけ全機種あります。アークティックはライトソルトウォーターに使う人が多いのでブルーはありですね。オリーブグリーンの方は、スペイリールとして使う人が多いです。
新旧の違いはデザインを除けばやっぱり重さでしょうか。一番大きいモデルだと、約35gの差があるので両方持った時にその軽さを実感できます。スピードスターにはなかなか手が出せない人も多いと思いますが、グルだったら少し奮発すれば買える価格の様な気がします。リールは低い番手の場合はドラッグ性能をほとんど必要としないので、そのデザインを気にいるかどうかです。個人的には今回のデザイン変更は皆さんに受け入れられた様に思います。

Scott Sector(セクター)シリーズ・インプレッション

本日の試投会にてスコットの新シリーズであるセクター4ピースの全モデルを振り倒してきましたので、そのインプレッションです。今回は多くの人に参加頂き貴重な意見もたくさん頂きましたので、私のインプレッション以外にも皆さんの意見も混ぜてお話しします。今回はロッドが多いので、文章が長くなると思うので、皆さんの気になるところだけ読んでいただければ幸いです。

セクターとは:2020年モデルとして発表されたスコットの新しいソルトウォーターロッドです。前作のメリディアンとの違いで気づく点は、まずはガイドの違い。セクターはニッケルチタンの形状記憶合金のリコイルガイドのフレームに、ジルコニアリングをインサートした新しいガイドを採用。通常のリコイルガイドと違いバットガイドの擦れ抵抗が軽減され、ガイドに過度の負担が掛かっても元の形に戻るガイドです。

ブランクはカーボンウェッブという新たな技術が使われ、ブランクの上から細かなカーボン繊維で包み込むというもの。ねじれや安定性、耐久性を向上させています。昔のロッドで言えばダイワのアモルファスウィスカー(カーボン線)のウィスカー的な役目、他のマテリアルで言えば現在のナノシリカと同様の効果をもたらす新しい技術です。

先に総合的な意見を述べますと、今回のこのシリーズは今までのロッドにありがちな番手が上がればそれに応じて単に硬くなるという様な、同じ様なアクションをカテゴリーでまとめたロッドという概念を打ち破り、一つのシリーズでありながら、番手や長さによってかなり個性が強い(というか主張した)ロッドと感じました。特に奇数番手には注目かもしれません。話が長くなるので、そろそろ個別のロッドの話をします。今回は重い番手から順に話していきます。


Sector S90124(9ft 12weight・4pcs):12番の対象魚といえば真っ先にあげられるのがターポン。国内ではシイラやマグロになるでしょうか。求められる投射性や軽さは現在に求められる最高技術が使われたロッドとして頷けるでしょう。

Fine:ラインのデリバリーがこの高番手にしてとても楽でいて、ロッドをめいいっぱいしならせた時のベンドカーブがバットから曲がり綺麗な弧を描きます。大きなフライをデリバリーする復元も持ち備えています。

Weak:綺麗な弧を描く反面グリップからしなるアクションなので、他のメーカーに比べるとバットのトルクに関しては好みが分かれるところ。このロッドは粘り腰のロッド。リフティングパワーを求めるのであれば、Gルーミスか、ウィンストンのエアソルトでしょうか。


Sector S90114(9ft 11weight・4pcs):海外のサイトや前評判で非常に評価が高いモデル。12番が最高番手の風格があるとするならば、ただ一番手下げたアクションではなく、ロッドから伝わるラインの乗りと軽さが12とはひと味違う高番手を感じさせてくれるロッド。

Fine:一番手低くても12番を凌ぐキャスティングパフォーマンス。ループが締め易くキャスター側の体力が温存できる感じがする。投げやすさとバランス感は高評価される理由が納得できた一本。

Weak:12番と同様にベンドカーブがとても綺麗だけれどグリップからしなるアクション。底から魚を剥がすようなタイプのトルクが必要なターゲットには、一抹の不安を感じたのは私以外のお客様も一緒でした。ロッドはとっても粘ります。


Sector S90104(9ft 10weight・4pcs):ターゲットはターポンからシイラ・カツヲなど、重さを感じず大物を狙いたい人に向けた10番モデル。リストが強く無い人でも振りやすい大物志向。

Fine:10番ロッドを振り抜いているのに、手に掛かる負担の少なさがロッドの進化を感じるモデル。パンチのあるループが作り出せるので、大きなフライのデリバリーが楽なモデル。

Weak:そもそもこの番手を私のように一日中振り続ける人はいないと思いますが、やっぱり10番なので集中して投げ続けるとロッドの重量感を感じてしまう番手。まぁ、当たり前ですな。


Sector S84104(8ft 4inch 10weight・4pcs):一昔前はロッドの標準的な長さは8.6フィートだったが、短いモデルはボートフィッシングでの取り回しの楽さを感じることができることを改めて実感。ボート上でバウデッキ(ミヨシ)で釣る場合にこの長さがターゲットへの投射性と手首への負担を減らしてくれることでしょう。

Fine:最初のキャストでその軽さに衝撃を受けた。とにかく快適で軽い。本当に10番を振っているの?という感じを受けてしまう。投射性に優れたモデル。

Weak:このロッドで遠投を試みたが、短い分だけタイミングがとりにくく、アーク(ティップの移動距離)が稼げ無いので、遠投性はやや不向きと言えます。


Sector S9094(9ft 9weight・4pcs):8番で物足りなさを感じる人にその穴を見事に埋めてくれるパフォーマンスがあるモデル。少し大きめのフライを遠投、または飛距離を少し伸ばしたいなどを求めている人向け。

Fine:軽さとキャスティングバラスがよく、今回の試投会で人気があったモデル。8番で物足りなかったトルクを持った絶妙なバランスで、パリッとした投げ心地がある。

Weak:8番モデルを揃えている人が多いので、このロッドに買い替えた場合ラインも用意しなくてはならないといのが懸念? もしくは9番と8番とで同じ魚をキャッチした場合、なんとなく8番で取った方が人には評価される気がするので8番の方が良いのかなぁ、というご意見。


Sector S9084(9ft 8weight・4pcs):早々に私が購入したモデル。ラインを通さない状態ではとても柔らかく感じるロッドで、実は6番よりもバットが細いんです。かといってロッドのパフォーマスはちゃんと8番です。なので8番だけテーパーはファストアクションではなくミディアムファストアクションです。

Fine:ラインを通す前の柔らかさに少し不安を覚えながら振り始めると、投げにくいとされるショートレンジからロッドがよく曲がり快適。ミドルレンジからのキャストからはバットにシャキッとした芯を感じる。ラインの重さを感じながらキャスティングができるディスタンスロッド。

Weak:全体的の意見として柔らかいと感じている人が多い。実際にはフルラインキャストで腰砕けにはならないのですが、初動時のロッドの曲がりがバット近くから少ししなるので、そう感じるのでしょう。硬さを求めている人はGルーミスNRX+の方が良いと思います。


Sector S8484(8ft 4inch 8weight・4pcs):ロッドが短いとこんなにキャスティングが軽くなるの?というのを実感できるボートロッド。手首が弱い方、女性などにお勧めできるシーバスハンター。

Fine:キャスティングが楽過ぎて5番ロッドぐらいを振っている感覚。射的性に優れ体力を温存できるのも良し。手首の弱い人、握力が無い人にお勧めできるモデル。フローティングミノーの釣り、バース下を狙えるピンポイントに威力を発揮。

Weak:中距離を超えてくるとラインコントロールが難しくなり遠投には向かないので、マルチロッドという感じでは無い。すでに9フィート8番を持っている人の2本目以降の竿。


Sector S9074(9ft 7weight・4pcs):8番がしなやかと感じる人には一番手下のこの7番がシャープさを感じるのでオススメできるモデル。番手が軽いはずなのにパフォーマンスは8番以上を感じる、今回の試投会で評価が高かったモデル。

Fine:8番よりも硬く感じるシャープさがあり、遠投へのパフォーマンスの良さを感じたモデル。番手が低い分だけ振り抜きが良く釣り人への負担を感じさせない。

Weak:バットの硬さを感じるので、ラインを回収し短くした後から振りやすい長さ(9m)へ持っていくのに、やや投げにくさを感じる。


Sector S9064(9ft 6weight・4pcs):8番よりも太いバットを持つので、かなりファストアクションですが思っている以上にショート〜ミドルレンジでも快適に振りやすい。最近流行りつつあるクロダイのサイトフィッシングには人気が出そうなモデルです。

Fine:バットにトルクを感じる6番でありながら、ショットレンジからミドルレンジでのラインコントロール性能が良いイメージを受けた。6番で幅広いレンジ(シンキングライン)のラインも使える一本。

Weak:快適だったので、これといってウィークポイントはなし。しいて言うのならば6番のソルト用・4シーズンラインってほとんど売られていないので、これに合わせるラインが欲しい。メーカーさん作って頂戴な。


Sector S8464(8ft 4inch 6weight・4pcs):私が今追加で買おうか迷っているモデル。私の場合このロッドはシーバスのフローティングミノーと芦ノ湖のボートフィッシング(シンキング用)あるいは、フローティングワカサギに良いのではと思ってお悩み中。

Fine:短さが手伝って一日中振れる快適さ。私的感覚は硬い4番に思えます。それぐらい軽い。アキュラシー性能は抜群で、ショート〜ミドルレンジ(15m以内)でそのパフォーマスが発揮されます。手首の弱い女性向き。

Weak:短さゆえにディスタンスは投げ手側のスキルが要求されます。なので、フルラインキャストを求めなければ、このロッドは生き生きする筈です。


長々と書きましたが、今回の試投会での皆さんの評価が高かったのは7・8・9番です。全部を振ってわかるパフォーマンスの違いがあったので今回の試投会は有意義でした。わかった事は奇数番手と偶数番手でなんとなくそのコンセプトが違う気がします(奇数はバットにパワーがありトルクフル。偶数は振りやすさとパフォーマンス重視。でも9ft6番はバットに力強さがあります)。

インプレッションは私的な意見ですので実際にお持ちの方と意見の相違はあると思いますが、高価なロッドですのでキャスティングする機会がない皆さんは、このインプレッションが少しでも参考になれば嬉しいです。

今回使用したラインはメーカーさんから借りたものが多いので、エアフロラインが多かったです。でも試投会に参加した多くの人は自分たちのリールを持ってきてましたので、各メーカーさんのラインを使い投げ倒しました。
知らない人のために余談です。スコットのロッドロゴは全モデル手書き文字です。なので、同じ番手で同じモデルであっても、よく見ると文字は全然違うのです。文字は特徴のある文字を書くので6の数字が読みにくことが、ままあります。
Scott カーボンウェブ
ブランクにクモの巣がかかったように見えるが分かりますか?これが新しいブランクの証拠であるカーボンウェブです。『土塀に藁』と同じで無駄なレジンを減らすので軽くなり、ブランク全体の強度が上がります。
スコットへリプライとセクター振り比べ
スコットのへリプライとセクターの振り比べ。へリプライはハーミットオープン当初に一番人気があったソルトウォーターロッド3ピース(当初の名前はGシリーズのHP)。この間に20年の開きがありますので、その進化にはただ驚くばかり。
新しくなったリコイルガイドのジルコニアリング入り。このようにグニャっと曲げても大丈夫。ただし、垂直についているので、フジのkガイドを知っている人からすれば、この角度はいかがなものでしょうと賛否があると思います。実際使ってみるとフライラインはもともと張りがあるように作られているので、絡みはありません。ただし、フルシンキングラインは柔らかいので10回に1〜2回絡みます。
皆が集まって、あーでもないこーでもないと言っているこの時間は楽しいものです。意見の相違もあってその考え方の違いで欲しいロッドは異なるものだな、と感じました。総勢10名だったかな?お疲れ様でした。

スピードスター新旧比べ

2020年モデルとしてウォーターワークス・ラムソン は今までの表示方法を全て改めたため、全品がマイナーあるいはフルモデルチェンジとなってしまい、総入れ替えで泣きが入っているハーミットでございます。メーカーさんの入れ替え保証なんてありませんから、ホント死にそうな支払いでゴザイマス。

さて、そんなウォーターワークス・ラムソンの中で私のお気に入りであるスピードスター(英語の意味は「スピード狂」) がフルモデルチェンジしました。なので手元にある旧タイプと新タイプの何が違うのかを比べてみました。

今までサイズは細かく6種類あったのですが、それを簡素化し4種類に。よってスピードスターという名前なのに小くて巻取りが決して早く無かったモデル1は廃止。7〜9番サイズが2サイズもいらないのでワンサイズにまとめられた、という感じです。

さて、それ以外ではどんなところが違うか、写真と共に紹介していきましょう。今回比べているのは旧タイプ1.5と新タイプのー3+です。

この二つを比べて分かるのですが、やっぱり明らかに肉抜きが進んでますよね。旧タイプの重量が111gに対し新タイプはなんと91.2gと、100グラムを切ってきました。なので上のグレードであるライトスピードよりも軽いのです。
スプールを外すと分かるのは、パッと見はリールの幅。前のモデルに比べるとやや横幅がある様に見えますが、実際のカタログ値は同じ幅22mm。ドラッグが入る芯のオレンジ部分が少しでも軽くするために段が入っている努力が伺えます。フットを支えるボディ部分も約30%ぐらい肉が削ぎ落とされていますね。
同じサイズでも高さが少し変わり、旧タイプ89mmに対して新タイプは83mmです。でもラインキャパシティは変わらないので、スプールが若干深溝になったのでしょう。リールサイズは小さくなったので、見た目は日本人好みのサイズです。もう一つの特徴は矢印の部分。パッと見た感じ肉抜きを忘れたみたいですが、実はこの部分はバランサーウェイトです。昔のリールには必ずハンドルの対極にブレ防止のオモリがありましたよね、あの役目をココがなしています。
リールフット部分も軽くするために単純な丸穴から強度計算された丸みを帯びた四角形になりました。ほんの数グラムの違いなのでしょうが、こうやって不要な部分から肉を抜くのですね。昨今のロッドの軽さに合わせた努力です。
スピードスターはアルマイトタイプ2加工で傷がつきにくくなっています。一番硬いアルマイトはラムソン ではハードアロックス加工ですが、現在は一番上のフォースシリーズのみ施されています。また今まで良くティペットやランニングラインが引っ掛かっていたドラッグノブですが、丸になったので、今までの様な挟み込みがなくなりました。
旧モデルのデザインも個性的で好きでしたが、2020モデルのフロントマスクは車のホイールを思わせるデザインで個人的には好きです。ポスシェのスピードスターが約3,200万円ですから、ラムソンのスピードスター は超安く感じます(そんな筈ないか・・)。
カラーはミッドナイト(ブルー)とエンバー(オレンジ)の二色展開。私は3と5をミッドナイト、7をエンバーを購入しました。これからの釣りで活躍する事を願ってます。

ASQUITH 振り比べ

2018年の9月にTFOディアークリークシリーズが突然製造中止になりました。8月の時点では継続モデルとして聞いていたのですが、本当に突然の事であり何か裏事情があると推測されるけれど、私にとっちゃ死活問題。

ハーミットの商売はご周知の通りフライ用品の販売で中古屋ではありません。日々ブログやHPを直し、私の釣りを通して皆さんの物欲を高めて頂くのが私のお仕事です(笑)。

話は戻りそのディアクリーク。私はその12ft6inch#5/6で遡上するサクラマスのほぼ全てを仕留めている愛竿なのですが、製造中止になってしまうとサブロッドへと成り下がります。理由は簡単、このロッドを褒めちぎって使い続けると、中古市場だけが賑やかになりハーミットは何にもその恩恵を受けないのです。なので、製造中止になると私は新たなロッドを吟味し、そのロッドで勝負しなくてはならないという釣具屋の事情があります。『弘法筆を選ばず』と申しますが、それがどうして、私は未だその域には達していません。竿が変われば新しいロッドに魂を入れる為に相応の時間が掛かってしまうので、シーズン前にして急がなければいけない事案となりました。

さて、昨年中に色々なロッドを吟味し候補として残ったのがウィンストンとGルーミスのアスキス。「あんたはウインストンしか似合わないよ。」という後押しもあったのですが、ウィンストンのダブルハンドはすでに3本使っているし、WinstonのTH1266/4はサクラマスをやるのにどうしてもバットの硬さが気になってしまい、今回は外しました。なので残る候補はアスキス2本。そう、ご存知の通りシマノが出しているシマノ/Gルーミス・アスキスと、Gルーミスが出しているGルーミス/シマノ・アスキスがあります。ややこしいですね。何れにしてもブランクがシマノなので安心して使える一本です。

この2本の細部の違いは以下の写真とともに説明しますが、シマノはアクションがスローでバットが細く、Gルーミスは2番セクションの真ん中あたりまで柔らかく、それ以降は徐々に曲がる感じのしなり。どちらも軽くバランスの良いロッドで感心しちゃいますな、日本の技術は。昨日はこのロッドを某管釣りで振り回し、魚の掛け心地と投げ心地を比べてきた次第。私がこのロッドのどちらを買ったかは後の釣りでわかると思いますが、同じルーミスでも個性が出ており、どちらを選ぶかはアクション重視か、あるいは掛けた後重視かであるかです。

これで今年のサクラマスの釣りは気分一新。新たな相棒と共に技術を磨き、今年もサクラマスに出会えるよう精進いたします。

どちらのアスキスも太陽の下に出るとこんな感じのまだら模様に。表面に巻いたスパイラルがこんな感じで見えるんでしょうね。どちらのロッドもGLoomis とSHIMANOのロゴが表記されてます。
今回はレージコンパクトの360Gで振ってみました。6129-4はティップがよく曲がりラインの乗る感覚がわかりやすい。J1266は少し柔らかめと言っても短い分がけあまり柔らかさを感じず、スローなアクション。シュート時のピリリとした感覚はJ1266。デリケートな感じがするのは6129-4。
トップガイド写真
J1266はトップガイドがSICで、6129-4は一般的なフライのトップガイド。寒い時期に出動することを考えると、小口径のこのガイドはすぐに凍ってしまうので、いただけない。今回はサクラマス用として私的な意見を述べているけれど、引っ張りの釣りの場合はこの口径の小ささにラインの継ぎ目が入るたびに気になって仕方がなかった。ちなみにJ1266はバットから4個目までバットガイドもチタンフレームSiC。
J1266は写真のスピコッドで、バットセクションから上のブランクはアンサンド。6129-4はスリップオーバーで、ポリッシュブランクです。ジョイントはどちらが良いかは好みの問題かな。Gルーミスは免責額内の生涯保障。それに対してシマノは購入後1年以内の免責保証。ロッドの価格に幾分開きがあるけれど、ロッドを事故で折ることが多いんです、私。
アスキス2本の比較としてTFO5/6 126-4Dも一緒に振りました。TFOはこの3本の中では一番柔らかく、キャスト時にグリップからしなるロッド。魚を掛けた時もグリップからしなるので、特に口が弱いサクラマスには有効だと感じてます。持ち重り感がなかったのはアスキス6129-4かな。TFOはかなり軽いのですが、それ以上にアスキスは2本とも軽かったです。
写真右がバットになります。なので、6129-4がリールが下固定になり、J1266が上固定。TFOは上固定でウィンストンが下固定でどちらも使っているので、私的にはこの辺りは気にならない。
J1266にはルーミスのお魚ロゴ入り。バットエンド部分はどちらもラバーコルクを採用し滑りにくく使いやすい。コルクのグレードはJ1266の方が劣る。
最近は『スペシャル釣れないポンド』と言われるこの場所で手っ取り早く魚を釣るにはサイトでエッグフライです(ダブハンのサイトフィッシングは辛かった)。バットパワーはどちらも十二分で50cm弱の魚だとロッドのパワーは半分も使ってないので、すんなり寄っちゃいます。私的にはもう少しバットは弱いほうが好み。
 50cm位の魚を掛けた6129-4のしなり。淀みなく綺麗な弧を描いてます。さて、どっちにするかなぁ。早く決めないと新しいロッドで練習ができません。

Winston Air Salt 908
インプレッション

インプレッションになっているかどうかはかなり怪しいので、私がウィンストン好きだという事を加味して話半分で聞いてください(好きな話は長文になります)。

ウィンストンがソルトウォーターボロンロッドを世に送り出してから、全てのモデルを使ってきた私。どんなにヒイキ目に見ても決して褒められない竿が過去にありましたが、批判の話はつまらないので却下。私が過去のシリーズでお気に入りだったのはBoron II Mxシリーズかな。このモデルはGルーミスのNRXシリーズによく似ているアクションで、極めてファーストアクションでありながらティップがお辞儀するのでラインの乗りが非常にわかりやすいロッドでした。それに加えてルーミスよりもずっと軽いですからバランスもとても良かったのですが、そのモデルは4年ほど続きモデルチェンジに。

そのモデル以外にソルトウォーターロッドは色々と売られてましたが、どれもティップが硬く全体的に曲がる点が何処にあるのかわからない万人向けじゃないシリーズが多かった気がします。なのでハーミット的にもソルトモデルはあまり前面に押さず、「クセがあるロッドは私だけ使ってればいいか。」的な扱いになっていたのが今までのハーミット。

しかし今回のエア・ソルトはかなり『ヤバイ』です。いや、今までのウィンストン・ソルト・ロッド史上一番使いやすいと断言しちゃいます。

このシリーズはヨーロッパのフィッシングショーであるEFTTEX2018にてビジター賞(来場者が決める賞)をとりました。ちなみにフライロッド賞はTFOのアクシオム・スイッチです(後日この話も書きます)。来場者が決めた賞をエアソルトが取ったということは、何のしがらみもなく純粋に一般の皆さんが欲しいと思ったものですから、それだけ皆さんが絶賛したモデルです。

ロッドのアクションを簡単に言うと、ウィンストンプラスをマイルドにした感じ。全体のテーパーはプラスに似ていてティップは野暮ったい太さを持つのはウィンストンらしさ。ライン荷重が少ない段階ではセカンドセクションの真ん中ぐらいから少し曲がり始めます。ラインが乗って荷重が大きく掛かるとその曲がる点は少しバット側へ下がりますが、それ以降はロッド全体がしなる感じでバットがガチガチなイメージは受けません。それとコルクグリップの質は大手フライメーカーではダントツ、ウィンストン社の質は良くコルクが沈み込むことはありません。

ロッドはよく曲がるけれど、復元力がとても早く反発力が早く得られる感じで、ロッドが曲がるのにラインスピードは上がる印象です。今までのGルーミスNRXの様なロッドはセカンドおよびバットセクションはビクともしない代わりにロッドのブレを最小限に抑え、手首の強い人が曲げ切って遠投するロッドですが、このエアソルトはそんな釣り人側の負担など感じずスッと軽く飛んでいく印象です。

実は私の開口一番のインプレションは「何だ、プラスより若干柔らかくしただけじゃん。」と思ったのですが、実際にリールをセットした時のバランスはプラスとは比べ物にならず、振り抜いた時の曲がり具合は溺愛したボロンIIIx908よりティップが少しだけ硬い程度で、実際の釣りでのギャップに衝撃を受けた次第です。

ちなみにシーバスで同船したお客様にも振っていただきましたが、持たせた瞬間に発した言葉は「え?これ5番ロッドじゃないんですか?」と言われたほどバランスが良いので、今までの8番ロッド史上最もバランスが取れていると思います。

さて、珍しくウィンストンのソルトボロンを褒めちぎった後には気になる点も書いておきます。価格に関してはハイエンドモデルなので今回はスルー。ブランクのコーティングに関してですが、届いた私のロッドは今までのウィンストンよりもマット感があるのですが、これはこのロッドの特徴なのかな? 他と比べるものがないのでわかりません。それとブランクの野暮ったさは慣れた私には何の違和感もありませんが、初めて手にする人は持つ前にそのティップの太さから重そうなイメージを持つでしょう(実際には軽いです)。あとはウィンストンなので、グリップの直径はそれ程太くありません。なので、手がデカイ人には小振りに感じるかもしれません。また、ロッドに癖がありませんから、玄人向きとは言えないでしょう。

いやぁ、久しぶりに熱く語らせていただきました。このインプレッションを見て買おうなんて思わなくて良いですよ。今までウィンストンのソルトウォーターロッドなんてほとんど売れてなかったので、これからも私一人で密かに楽しみますから(笑)

Winston Air Salt
プラスとの違いはリールシートのカラー。プラスはグリーンでエアソルトはガンメタル。それぞれ左巻きのリールをセットした時にやや斜めでこの社名が見える様になってます。

Winston Air Salt
上がプラスのジャングルロッド。下がエアソルト。相変わらずネーム以外は大きな違いはシートだけ。唯一、ブランクの社名前後のティッピングカラーが異なります(撮り忘れました)。バットガイドはエアソルトの方が一回り小さくて線径が細いチタンガイド。

ベンドカーブがとても綺麗で、ジャンプを繰り返すシーバスでもいなしてくれます。このタックルはリールとラインを含めるとワンセット税込25万円オーバー。あぁ恐ろしや・・。ちなみに私的ソルトロッド番付評価は、現在は次の通り。1位:Winston Air Slat・2位:Scott Meridian・3位:Winston Boron III Plus・4位:TFO Axiom II ・5位:Scott Tidal ・6位:G Loomis NRX。NRXは発売からもう12年経ったので、今の竿と比べちゃうと少し重いのでこの順位(折れにくい肉厚の重さと言えます)。

ウィンストンが好きですがティボーも好きなので、どちらもティボーが付いてます。この2本はプラスがシンキングライン用、エアソルトがフローティング用として使い分けてます。今後エアソルトは芦ノ湖や本栖湖にも連れて行きます。淡水8番ロッドと違い海水8番はどっちも使えて良いですよね。

Scott FS シリーズ
インプレッション

書こう書こうと思ってなかなか時間が取れずにいましたが、あまり先送りすると記憶が飛んでしまうので、そろそろ書いておこうと思います、スコットFSのインプレッション。そう、デモロッドをお借りして実釣したのは、先月28日の事。

このロッドたちの中には4番がありませんでしたので、今回のインプレションは全部で4本。スコットは1973年にハリー・ウィルソンがサンフランシスコでスタートしたロッドメーカーさん。当時はまだグラファイトロッドは作っておらず、グラスロッドからスタートしたメーカーなのです。翌年に誕生した5ピースのグラスロッドがスコットの代表的なモデルとされていたので、今回はそのモデルの復刻ともいえるでしょう。

前作のF2シリーズからの変更点はカラーはもちろんのこと、ホローインターナルフェルールの改良、素材の見直しです。昨今はロッドに使われる樹脂接着剤が飛躍的に変わっていますので、軽く、そして素材を損なわないでアクションが出せる様になったのは、どのメーカーさんも言える事です。

ロッド全体の印象として、モデルチェンジ = 新しい素材 = 軽く硬いというのが私持っているイメージですが、FSシリーズは前作のF2と比べて全体的に硬くなった印象はなく、むしろ少しフレキシブルになった印象を受けます。軽くなったのはもちろんですが、ロッドが描く曲線がとても美しく、どのモデルもグリップからしなります。で、そのロッド達を振った印象は以下の通り。


■ Scott FS 622/4
シリーズ中、私が最も欲しいロッド。いや、来春までに絶対買うでしょう、きっと。フレキシブルな2番で8寸ほどの魚を掛けて遊びましたが、グリップからしなります。2番だからそのくらいのトラウトをねじ伏せるのに丁度よく、これ以上の魚を掛けた時を想像するとワクワクします。ラインはエアフロのジャパンスペシャルのDT2Fでドンピシャで、グラスロッドでありながらループを締めやすいと感じました。

ただ2番ですから得意とするレンジは狭くそして大きなフライや風に弱いロッドと言えるでしょう。長さも短いしね。

このロッドが得意とするシチュエーションは、ボサ川のトンネルで狙うチビヤマメやイワナ、あるいは北海道でオショロコマ専用ロッドとして遊ぶ竿。オイカワと遊ぶのも良いでしょう。小さなトラウトに翻弄されたい方はこのロッドです。


■ Scott FS 583/4
短い分3番の割にはトルクを感じるロッド。5m以内のキャスティングコントロールに優れ大き目のドライフライをねじ込める。ティップの暴れも少なく快適にキャスティングがこなせます。見えるイワナに「エイや!」とプレゼンテーションできます。

その反面、短さゆえにメンディングなんてものはほとんできません。アップストリームオンリーロッド。

このロッドが得意とするとするのは、源流域のイワナ狙い。バルキーなフライをねじ込むショートレンジのピンポイントスタイル向き。


■ Scott FS 663/4
このシリーズの中でスタンダードモデルと呼べる6フィート6インチ。ロッドのバランスが良くグラスらしさがよく出ている3番で扱いやすいモデル。グリップまでフレキシブルに曲がるアクションは、掛けた後に魚をいなすのが容易で、バラシなんてほとんどないでしょう。キャスティングレンジは6メートル以内くらいが使いやすい。

デメリット的な要素はまずないが、定番な長さなのですでにこの長さのグラスをお持ちの方には差別化するほどのロッドの個性はないかもしれない。エピックをお持ちの方にはとても良い対比になると思います。

このロッドが得意とするとするのは、沢の釣りあるいはブッシュが多い川をタイトに攻めるのにGood. 扱いやすさと軽さは抜群いよいです。


■ Scott FS 723/5
スコットの原点となる5ピースモデル復刻のイメージ発売されたが、当時のものよりもむしろこのモデルの方が柔らかいのでは?(というか当時3番は出てなかったと思う)7フィート台5ピースなので、3番の中では最もスローに感じるので、ストロークの長いゆったりとしてキャスティングを楽しむロッド。ロッドのしなやかさから見ると、アワセ切れとは無縁な感じがする。

その反面長さと5ピースということもあり、他のモデルよりはややトップヘビー気味で若干の重さを感じる。ラインスピードをあげるのにはそれなりのキャスタビリティが必要になるので、少し玄人向けになるかもしれない。

このロッドが得意とするとするのは、のんびりと過ごす渓流の一日。マイペースな釣りで一つ一つの釣りを丁寧に楽しみたい方向け。5ピースなので仕舞寸法は短いです。得意とするレンジは6mくらいまで。それ以上は投げ手側の能力が試される。


これ以外にFS724/4というモデルがありますが、今回お借りしたデモロッドにはなかったので、その様子はありません。ですが、上記内容からどんな路線のロッドなのかはわかる様な気がします。お店にはすでに何本か在庫していますので、詳細な在庫はお問い合わせください。もしくはお店でその雰囲気をこの内容と比べて見てください。

私は最初スコットの原点である5ピースが欲しいと思ったけれど、フライフィッシングの遊び心を考えると私的には2番が良いかな。今から5月の渓流でこのロッドを振る姿を妄想してマス。

Scott FS663/4
ブランクカラーはイエローカラーオレンジに変更。太陽の下だとオレンジだけれど、室内光だとシムスオレンジみたい。私的には目立っていいじゃないのと思う。

Scott FS723/5
5ピースの仕舞寸法を測り忘れたけれど、計算すれば多分56cm前後。ベストの後ろに入る長さなので、源流釣行にとても向いています。グラスは丈夫だから折ってしまう可能性も低いので言うことなし。

ジョイント付近の巻き上げは当初のモデルを意識した雰囲気がうかがえる。釣り人が欲しくなる飾り巻きって重要ですよね。

逆光になるとロッドの透け感がわかります。ジョイント部分のペグがどこまで入っているかよくわかりますよね。また、昨今は透け感が流行りなので、とても良い感じに仕上がっていると思います。