この秋スコットGシリーズはGTに生まれ変わりました。私にとってG2からGSになったのはついこの間の様な感覚なのですが、なんだかんだでGSモデルは8年間に渡って皆さんに愛されたのですね、お疲れ様でした。
今回新しく投入されたGTは全9ラインナップ。GSモデルとの違いは8フィート8インチモデルと9フィートモデルが統合されて8フィート10インチになったこと。近年は9フィートモデルが多いフライロッドですが、私はこの9フィートより2インチ短いことを大きく評価します。また8フィート4インチモデルは持ち運びの利便性を考え5ピースモデルへ変身しましたが、それを可能にしたのが大きく変わったジョイント部(見た目にはわかりません)。ジョイントはより軽くフレキシブルになった事で、ロッドのベンドカーブは以前にもまして綺麗な弧を描きます。初代Gシリーズはジョイントに硬さを感じたベンドカーブがあり不自然さを感じましたが、そんな時代はどこへやら。釣具屋人生45年を超えるとそんな時代の移り変わりをずっとみ続けているのです。
さて、いつものようにメーカー様から全モデルのサンプルをお借りしましたので、どんなロッドだったのかハーミットなりにインプレッションしていきます。今回使用してラインは以下の通り。ちなみに今回のロケーションは本栖湖。早く釣りをしたいと思いながら全モデルを振りながら書き留めるのに2時間半 掛かりましたとさ。
3番:Airflo Superflo Tactical WF3F
4番:Airflo Superflo Universal WF4F
5番:Airflo Ridge2 Universal WF5F
6番:Airflo Ridge2 Universal WF6F

GT743/4:7feet 4inch ・3weight ・4piece
GTシリーズの3番モデルはこの7フィート4インチと8フィート4インチと8フィート10インチの3モデル。長さが7フィートよりチョイ長い4インチのバランスは、メーカー表記ではフレックスアクションとなっていますが、ショートレンジでの釣りではやや硬さを感じるモデル。GS773/4と比較するとロッドの真ん中ら辺の硬さを持っていたコシが少し減り、スムーズな曲りでラインをデリバリーするイメージ。グラス素材のFSモデルよりも速いテンポで軽快に釣り上がりたい源流志向の方には、この軽さとラインスピードは魅力でしょう。
ティップのブレが無くショートレンジでキビキビとした撃ち込みができ、ミドルレンジぐらいまでが投げ易い感覚。他メーカーだと比較対象はウィンストンのピュア2になるかと思いますが、スコットGT743/4の方がラインスピードが上がるやや硬めのアクションです。今回本栖湖でこのロッドたちを振り回してきたのですが、一応このロッドでもフルキャストを試みましたが、チョット無理でした。でも、短かさの割にはラインはすっ飛んで行きましたヨ。まぁ、このロッドでそんなことする必要はありません。
GT843/5:8feet 4inch ・3weight ・5piece
継ぎ数が増えるとロッドはとかくカクカクした曲りにながりがちなのですが、それはジョイントが増えるとその部分が硬くなってしまうから。特にスピコッドジョイントはその特性上そこがどうしても硬くなりがちなんですが、今回はフェルールを一新したとのことで、その成果がこの5ピースパックロッドに現れています。
5ピースなのにそのベンドカーブはとても綺麗で、昔の2ピースモデルを見ているかの様。ジョイントが多いのにロッドの重量感を感じさせず、ティップの曲がりに精細さを持ちながらバットのコシが以前のモデルより感じられます。ロッドにかける負荷によってロッドが徐々に曲がり込んでいく訳ですが、以前のGSであれば、ロッド中央辺りまで曲がり込むとその辺だけ硬さが残り、バット側で少し曲がり込む感じでした。しかし今回のモデルは真ん中ら辺の硬さは抜けてバット側の腰がグッと上がった感じを受けます。
8フィート4インチですがフルキャストは頑張れば可能でしたので、かなりバット側の腰が強くなったのでしょう。ロッドの仕舞寸法を1センチでも短くしたいが、ロッドのアクションを犠牲にしたくない方には、かなり魅力なロッドと言って過言では無いマルチプレイヤー的存在です。
一方、5ピースというモデルはセダン車を乗っている方には少し困惑で、小移動の際に二つに分解して車に放り込もうとするならば、どっちかが長くなってしまうので均等な長さが保てません。ティップ側を長くして保管すると、ロッドの破損する恐れを多少気にする必要があります。

GT8103/4:8feet 10inch ・3weight ・4piece
GSシリーズの頃は8フィート8インチという長さだったのですが、今回は2インチ長くそのアクションは一味違い、以前の9フィートモデルに近いアクションだと感じます。ショートレンジからミドルレンジで軽快なループが作り出せ、コントロール性能は抜群。ややティップに寄ったアクションで、アキュラシー(正確性)やラインコントロールを得意とするモデル。
8フィート10インチもあるから遠投は軽々できるのかと思いきや、負荷をかけすぎるとティップのお辞儀が大きくなり、遠投時にティップが少し暴れてしまう傾向がありました。バットの強さを感じるこのモデルは、メーカーさんが表記する通りの細いティペットを使いミドルレンジでのライン捌きを重点におくポイントがメインのロッドだと思います。私が想像する河川だと、山梨県の桂川(忍野を含む)・長良川のシラメ・栃木県の鬼怒川のライズハントでしょうか。

GT844/5:8feet 4inch ・4weight ・5piece
とにかく今回のモデルは5ピースモデルのスムーズなベンドカーブに圧巻。この4番5ピースもジョイント部の硬さが無く、とても綺麗なベンドカーブを描きます。仕舞い寸法が約55センチと言うのが魅力的に感じました。
アクションは思っていたよりもやや硬めで、スコットらしいアクションというよりはなんかウィンストンに近づいている感じを受けたモデル。ウィンストンのエア2とピュア2の丁度中間ぐらいの曲り方で、ピュア2よりも遠投性能があるイメージ。遠投時のコシ砕けもなく、簡単にフルラインを出すことができました。ショートレンジではティップの繊細さを感じながらもコントロールに優れており、ティップのブレを感じさせない優等生。
私の硬さの基準は一般的な人とは変わらないと思いますが、ロッドは思っていた以上に4番にしては硬い部類と感じました。とは言え、セントリックC854よりはしなやかです。

GT8104/4:8feet 10inch ・4weight ・4piece
GSシリーズの頃は8フィート8インチモデルと9フィートモデルがあった4番ですが、GTシリーズはそれを8フィート10インチモデルに統合。9フィートが欲しければセントリックを買ってね、という感じでしょうか。しかし、この2インチの短さから絶妙なバランスが生まれ、持ち重り感が無く長いモデルにしては手首への負担を感じさせません。ロッドは88モデルの時の様な負荷を沢山かけた時のコシ砕け感が無く、このロッドならば尺物を余裕でいなせるだろうと感じました。長さがある分だけラインコントロールは容易であり、ショートレンジからミドルレンジを得意とするモデルでしょう。
少し重さが増す4番ラインは比較的楽に遠投ができますが、私はセントリックのC904/4を使っているので、遠投が中心のシチュエーションではきっとセントリックを使います。このロッドは海外遠征(モンタナやアイダホのヘンリーズフォークなど)、あるいは北海道で繊細な釣りを求めた場合、関東で尺ヤマメを追い求める人を想像しちゃいます。
GT984/4:9feet 8inch ・4weight ・4piece
むむむ、曲者、そう感じてしまったのがこのシリーズで唯一このモデル。「さて、何に使うこのロッド?」と考えて出た答えはイブニングのヒゲナガドライフライフィッシングに特化したロッド。あるいはシングルハンドウェットを堪能したい人向けのモデルだと思います。まず5番モデルと違ってファイティングバットがないので、ロッドはややトップヘビーで持ちオモリ感があります。その為リールはやや重めのものを選択しロッドバランスを取る必要があります(スピードスターでは軽すぎでました、リール自重が120gは欲しいかなぁ)。シングルスペイを好まれる人にもミドルセクションがコシを支える感じで投げやすいかと思います。
長さが10フィート寄りなので、ティップが暴れるので遠投には決して向いているとは言えません。また、ユーロニンフを好む方だとミドルセクションが柔らか過ぎてコントロール性能にやや疑問を感じてしまうかもしれません。

GT8105/4:8feet 10inch ・5weight ・4piece
川で大物志向の貴方、コレです! セントリックだとショートレンジ時に出ているラインの重さが足りず投げにくさを感じると思うのですが、このモデルはティップはしなやかなので、短い距離でも投げやすいです。ロッドへの負荷を上げた場合でもフレキシブルにロッドの真ん中辺りまで曲がり込んでくれますから、ロッドに掛かる負荷を柔軟に対応している感じを受けます。かといってコシ砕けは無く突然の大物に対して対応するバットの安心感を備えた感じが、今までのスコットにはなかったテイスト。繊細さを持った川でのロクマルサイズを6番でははく5番で取ってみたいと感じたら、きっとこんな竿です。海外遠征のメインロッドになることは勿論のこと、北海道遠征時にマルチに使えるロッドにもなりえるでしょう。
個人的にはこんなに簡単にラインがすっ飛んでいく5番ロッドは好みですが、張りが強くロッドからの感度を感じるようなピンピンしたモデルが好みの方は、このロッドではなくセントリックになると思います。また遠投がメインであれば別のシリーズを探すべきです。

GT985/4:9feet 8inch ・5weight ・4piece
ロングロッドはファイティングバットが付くことによってグリップする位置がやや前になります。そうすることで竿先に感じる重さが軽減される訳なんですが、さらにリールをやや重くすることでロッドバランスは手首の位置に持ってくることができます。このモデルはリールに気を遣わなくてもそのファイティングバットのありがたみを感じます。ロッドは持ち重り感がなくフルキャストが可能で、湖のドライやシングルスぺイの釣りスタイルが思い浮かびます。私だったらバックが無い場所でのドライフライをこのロッドでやってみたいなぁ。
ロッドは長くなると簡単に飛ぶのではと考える人も多いですが、キャスティング時に手首の僅かな動きでロッドティップ位置が大きく変わるので、キャスティングレベルがまだ未熟な方が遠投用としてこのロッドを買ってはいけません。ある程度技量を有している方のオタクなロッドと考えるべきでしょう。

GT8106/4:9feet 8inch ・6weight ・4piece
スコットの9フィートよりもチョイ短いロッドというのは昔からあります。私はかつてスコット へリプライHP888/4というロッドにハマっていた時代がありますが、このチョイ短いというのがロッドバランスにはとてもありがたいのです。この6番モデルはわずか2インチ(約5センチ)短いだけなのですが、ロッドバランスが劇的に良くなります。更にこの5センチの差でキャスティング時のストップ位置のバラツキを誤差範囲に収めてくれるので、適当なキャストでも悪くないキャストにまとめ上げてくれる性能があります。ロッドをどんどん短くすればコントロール性能が上がりますが逆に遠投力が下がりますので、この8フィート10インチは絶妙なバランスだと個人的に感じました。私は早々にこのロッドを購入し投げ心地はすでに惚れましたので、あとは魚を釣るだけです。使ってみたいシチュエーションはワカサギドライやセミのドライ。シンキングラインの釣りはあまり考えていませんが、状況によってはシンクレートの低いシンキングラインの釣りにも使ってみようかと思います。
ロッドを大きく曲り込ませて遠投をするこのロッドなので、パリっとした6番がお好みの方は同じスコットであればセントリックかセッションをお勧めします。










































