死体のバラし方

こう言う風に書くと意味深なので興味を持つ人がいるかもしれませんが、今回はオス雉のコンプリートをどうバラすかと言う事と、その部位の使い方の説明です。この雉のお肉は美味しく頂いた余りですので、無駄のないのがフライフィッシング。

よくフライフィッシングは魚をキャッチアンドリリースをする高貴な釣りだと誤解している方がいますが、そうではありません。そもそもフライをやる人はロッド(竿)&ガン(銃)が本来の姿でして、冬は釣りができないので、山で鳥や鹿を打ちその肉を頂くという生活。そしてその余りとして生まれた副産物の毛を利用して毛針を巻くのです。巻いた毛ばりは春になったら魚釣りをし、毛ばりで釣れた魚を食べるという、人間の本来あるべき生活の中にフライフィッシングがあったのです。

現代は誰かが代わりに撃ってきた鳥の羽根でフライを巻き、釣った魚を食べないから逃がすのでスポーツフィッシングと言われ、決して褒められた行為をしている訳ではありませんので、釣りをしない人からは理解できないでしょう。でも僕らは釣りが好きだから、食べない時は少しでも魚に生き残ってもらいたいので、最低限のダメージで逃して、また新しい世代が生まれて欲しいと願ってます。

話は逸れましたがオス雉です。私はハンティングをしないので、お友達が撃ってきてくれて、肉は全部食べた余りをコンプリートの状態で買い取ります。でもコンプリートって皆さんはこの材料をどう巻くのかわからない人が多いようなので、それを少し説明しようかと言う今回のネタ。おっと、ここではマテリアルのバラし方と解説だけなので、実際にそのマテリアルを使ってのフライの紹介はまた今度。

と言っても、この時期釣りと仕事が両方忙しくなるので、いつになるかは未定でゴザイマス。

雄雉
ハーミットで売っている状態はこんな形。他のお店と違ってお友達が持ってくるので、面白がって完全なコンプリートで持ち込んできます。頭は経年変化が早いので、お店で落とすようにしました。 一般的に仕入れるものは尾っぽはすでに切ってあり、ボディとテールのコンプリートはすでにバラバラで入ってきます。
コンプリートテール
コンプリートテールの後ろに隠れるサイドテールとでも言うべき部分でしょうか。よくコックフェザントのテールをウイングにしているパターンがありますが、真似をしても上手く巻けないと言う方は、センターテールで巻いてます(センターテールはニンフのテール&ボディ材です)。でもこのサイドテールは単品で売ってませんから、コンプリートを買うかコンプリートテールを買わないと手に入りません。その縞模様はスペックルドフェザントと大差はないんです。価格が安い上にとっても綺麗。一羽あればかなりの量が取れます。
コックフェザントコンプリートウイング
羽はボディからもげますので素手で捥いじゃいましょう。これが右のウイング。羽は大きく分けて風を受ける先端側に近いプライマリーウイングとセカンダリーウイングがあります。ちょうど真ん中に境目があるのとカラーが違うのでわかりやすいです。プレイマリーウイングはドライフライのウイング用で、羽が反り返っている内側を使います。セカンダリーウイングはウェットウイング用で、羽の外側(風が当たる前側)を使います。ウェットのウイングは縞々が入っている方が人気がありますが、コックフェザントのクイルは個体差が結構あります。
剣羽根(ケンバネ)
そのプライマリーウイングの風が一番当たる外側の付け根に近いところに一枚だけ隠れている羽が剣羽根(ケンバネ)と言い、テンカラ で使う蓑毛(ミノゲ)。1本を2本に割いて使うので、一羽のキジで4本の毛針しか巻けない貴重な部位です。コンプリートを買うと付いてますが、ウイングだけを買うと大抵抜かれて販売してます(別売されちゃいます)。なので、剣羽根で巻きたいテンカラ師はコンプリートで買う必要がります(そもそもテンカラ職漁師は冬の間に自分で雉を獲ります)。最近ではお店でこうやってバラさない限り販売に回せないので、高価になります。
カバーウイング
よく「ボディの毛は蓑毛(ソフトハックル)としては長くて巻きづらい」と言う方がいますが、違います。お店でこうしてバラして売っても、ハックルのコンプリートと同じで使いたい長さを持った部位は沢山は生えてませんから、欲しい大きさは小袋購入ではいつでも買える訳ではありません。それがコンプリートだと色々な部位から小さな毛を選んで使えるので、フック(鈎)の大きにあった材料が使いたい放題なんです。特にウイングの付け根や首回りは小さく、とても使いやすいんですよ。全体の量を考えると小袋は高価です。
コックフェザントクイル
クイルを引っこ抜く時は軍手とジプロックを用意。軍手を使って一本ずつ引っこ抜き、根元についている脂肪は軍手で取りましょう。左右取り終わったら、左右別々にジプロックに保管すると便利。セカンダリーウイングはウェット用で、この縞々の部分を使います。ヘンフェザントクイル(メス雉)よりも細かな模様が入るのが特徴です。
バイオット
通常捨てている部分ですが、プライマリークイルの使わない風に当たる側は、バイオットと言います。なんか聞いた事ないですか?そうです、グースバイオット。あれはグース(ガチョウ)の同じ部位を使ったもの。このキジのバイオットを使うとタンカラーの虫っぽいボディが作れます。数本だけ違うカラーを巻きたい時は、コピックで塗っちゃいましょう。
リングネックフェザー
雄雉を買うとリングネックフェザーだけで三種類以上のカラーで蓑毛(フライで言うソフトハックル)が巻けて、さらにボディフェザーはストリーマーのチークやボディ材、そしてイントルーダーのハックルに使えます。私みたいにフライタイイングの知恵が付いてしまうと、見ているだけで色々な妄想フライが巻けてしまいます。こうしてバラしていると巻きたくなって仕方がないのですが、本日はこれらをバラしてお店で販売するのが目的。仕事しなきゃ・・。
雉の羽根
こうしてできるゴミの山。コンプリートを買った皆さんは完全に分解する必要はありませんから、ゴミは出ません。こうして見ると勿体無いなぁ。やっぱり雉はお肉から羽根まで捨てることがほとんど無い貴重な鳥です。

 

Scud Shrimp/スカッドシュリンプ

渓流が解禁したと言うのに、今年に入ってパラシュートフライやスタンダードドライを一本も巻いてない私。まあこの時期だからスペントやイメージャーのパターンが中心なので、いいのかな。

で、本日はなんとなく気分はスカッドです。なぜにスカッド?と聞かれても困りますが、マス類はエビちゃんが好きですから、引っ張りの釣りをする人はウーリーバガーだけではなく、こんなフライを巻いておいた方が良いですよ、と言うマスくん達の別腹フライを紹介。

今回はD-HOOKを使いたくて(消費したくて?)、#10と#8で巻いてます。少し長めのフックに巻くとバランスが良いので、皆さんはお好きなフックで巻いてくださいまし。ではお時間がある方はご覧あれ。

スカッド フライ
まずは目ん玉を作ります。8−10号(30ポンドくらい)の糸を10cmほど用意し、その両先端を黒のマジックで塗りつぶします。
Scud Shrimp
その先端をライターで焼いて丸くし、玉が大きくなってきたところで火を吹き消します。玉に触れると火傷しますので、注意してください。
スカッド シュリンプ
マジックの黒が中に入り、目ん玉はこんな感じに仕上がります。
Scud Shrimp
レッドワイヤーのNO5をシャンクいっぱいの長さを2本用意し、フックシャンクの両側に巻きとめます。上から見たときにシャンクの太さの2倍以上になる感じです。レッドワイヤーは動きやすいので、瞬間接着剤を垂らして固定してください。
スカッドシュリンプ
先程作った目ん玉をシャンクの両側に巻き止めます。長さが今回はなんとなくぴったりになりましたが、ナイロンの余った部分はカットしましょう。
スカッドシュリンプ
今回は手元にフォックスボディのグレーがあったのでそれを使います。なのでボディも同系色を選択。フォックスボディはあまり売ってないので、一般的にはラビットゾンカーの毛を使います。
Scud Shrimp
今巻いているスレッドの他にもう一本、ダンビルのナイロンスレッドを用意し、適当なところから巻きはじめて、テール近くへ持っていき、このいちで後ろ(テール側)によけておきます。
スカッド
テールの付け根にラビングループを作り、ダビングツイスターに引っ掛けます。そしてその間にスカッドダブ95%とアイスダブ5%を混ぜたものを挟み込み、ツイスターでグルグルと巻き挟みます。
スカッド
スカッドダブの毛をなるべく巻き込まないようにして、ボディに螺旋状に巻いていきます。
スカッドシュリンプ
アイ近くまで巻いたらスレッドで固定し、あまりはカット。ボディのスカッドダブが巻き込まれてしまったものは、専用のブラシ(なければ要らない歯ブラシ)で掻き出します。
スカッド
スカッドバックを8-10cmほど用意し、その真ん中をメインのスレッドで固定します。
スカッド(リビング)
真ん中で巻き止めたスカッドバックを全てテール側の方へ持っていき、ずっとテール側で待機していたナイロンスレッドで螺旋状に巻き止めていきます。
スカッド
ナイロンスレッドをアイの前まで巻きます。スレッドが重なっているので1本に見えますが、ナイロンスレッドとメインスレッドが両方とも同じ場所にある状態。
スカッド
アイの前まで巻いたらヘッド部分で数回巻きつけ、その上をメインのスレッドで巻きつけて巻き止めます。写真の角度が悪いですが、これは螺旋状(リビング)に巻いたナイロンスレッドをカットしている図。
スカッド
最後にウィップフィニッシャーで巻き止めて終了です。
スカッド
巻き終えたらフライをひっくり返し、ブラシを使って巻き込んでしまったダビング材を掻き出してボリュームを付けます。引っ掻き出した毛が長い部分はシザースでトリミングします。
スカッド
出来上がりはこんな感じ。モサっとしてして透明感があるボディ。以前スカッドを泳ぐ姿を見たら前に泳ぐので、私のフライはアイが前側にあります。どっちが正解とかはないので、テール側に付ける方もいらしゃいます。表層を引っ張ったり、ちょっと沈めて中層を引いたり、あたりはドーンと強いアタリが来ますよ。

 

 

Woolly Bugger / ウーリーバガーを巻いてみる

早い年は2月下旬ぐらいからマルタさんが遡上していた事があるから、そろそろチェックしておかないとね、という気持ちで昨日はA川散策。でもまだ早かったようなので、仕方なくパン鯉(パンを撒いてパンフライで釣るというややこしい釣りです)をすることに。ところがどっこい、パンを一斤撒いても浮かなんだ、ガックシ・・。仕方なくニンフをゴロゴロしてサイトニンフングでようやく食わせた感じです。そしてふと気がつけば私のボックスはどのボックスもヤバイくらいにスッカスカ。取り急ぎすぐに釣りへ行くものから巻かないとね。

ということで、ウーリーバガーです。このフライは湖では無敵。そして本流筋の釣りで使える万能で、ついでに管釣りでも大物キラーと言えます。持ってないという人はいないでしょ? このウーリーバガーですが、まき方はもちろん人それぞれ。ハックルをテール側からアイに向かって巻く人。そして今回はその反対のアイ側からテールに向かって巻く巻き方をご紹介です。ウェットフライを巻く人ならばわかりきったことですが、初心者のための解説ですので、知っている人はサラッと流してくださいな(写真の数が多いです)。

ウーリーバガーのタイイング
今回のフックはがまかつ S11-4Lウーリーバガーは長いシャンクでヘビーワイヤーのフックに巻きます。ウェイトはNO,3を4.5cm(カード巻きの端から端まで)を巻きました。瞬着を一滴垂らすとレッドワイヤーは固定されます。
ウーリーバガーのタイイング
私はマラブーの絡みどめにアイスウイングを入れてます。今回のカラーはベイトフィッシュミックス。10〜15本くらいなか?テールしたとして、ベンド側に巻きとめます。
ウーリーバガーのタイイング
テールとなるマラブーの量はお好み次第。長さはシャンクの1.5倍ぐらいが理想でしょうか。こうしてテールのとめ位置に添えて、イメージします。
ウーリーバガーのタイイング
長さが決まったらテールの巻とめ位置で左手から右手に持ち替えます。そしてスレッドで4-5回転で巻きとめましょう。
ウーリーバガーのタイイング
前に余ったマテリアルの余りはレッドワイヤーの終わり部分でカット。そしてその余りをレッドワイヤーの所までスレッドで綺麗に巻きならします。こうすることで、テール位置からアイ近くまでのボディがボコボコにならぬように、だいたい平らにしておきます。
ウーリーバガーのタイイング
スレッドはテールのとめ位置に戻り、まずはコパーワイヤーを巻きとめます。
ウーリーバガーのタイイング
同じ位置のシャンク上に、今度はシェニールを巻きとめます。説明が遅れてましたが、ウーリーバガーの基本色はブラック。背景も黒で分かりにくくて申し訳ないです。ですが、このカラーが一番釣れるんですヨ。
ウーリーバガーのタイイング
まずはシェニールを巻くのですが、最初の1巻目だけ、テールの下側をくぐらせます(マラブーが上へ少し持ち上がり動きが出ます)。そして2週目にコパーワイヤーを挟み込み前側(自分に近い方)へ出しておきます。それ以降はボディがボコボコにならないように、塩梅を見ながらアイ側へ巻き進めます。
ウーリーバガーのタイイング
アイのすぐ前まで巻いたらスレッドで巻きとめます。スローシャッターで撮っていたので、スレッドが写ってませんが、スレッドで巻きとめてぶら下がっている図。
ウーリーバガーのタイイング
この位置にボディハックルを巻きとめます。写真はメッツのヘンサドルハックルのナチュラルブラック。染めでないブラックは黒光りしているので私の好きなカラー。
ウーリーバガーのタイイング
ハックルが引っ張っても抜けないように5-6回転で強く巻きとめ、その先端をハックルプライヤー で摘みます。
ウーリーバガーのタイイング
ハックルの表が向いた状態で左手で先端を持ち、右手でハサミを閉じた状態で持ってください。そしてハックルの内側に巻き込まれる方(先端を上に見て右側)の根元をハサミの先で下へ向かって擦ってください。こうすることで、ハックルが内側に折れて、巻きやすくなります。かつてはダブリングというテクニックで先に下処理をしてましたが、最近はこの方が早いのでこの方法を使ってます。
ウーリーバガーのタイイング
写真では分かりにくいかもしれませんが、右半分だけ若干内向きになっています。やり方に少しコツがいりますが、覚えると簡単です。このハックルを右回転(手前から後ろへ向かって巻く)でテールに向かって巻いていきます。
ウーリーバガーのタイイング
螺旋状に最後まで巻いた状態。左手はこの状態で手を離さず、右手にコパーワイヤーを持ち、今度はその上をコパーワイヤーを右回転でテールからアイに向かって巻いていきます。すると、今巻いたハックルに螺旋状に巻かれていくので、コパーワイヤーによって巻きとめられていきます。
ウーリーバガーのタイイング
先端はだいたいこのいちでコパーワイヤーに巻きとめられるようにしましょう。コパーワイヤーはアイに向かって螺旋状に進みますが、この時にコパーワイヤーを揺すりながらアイへ巻き進めるのがコツです。
ウーリーバガーのタイイング
コパーワイヤーを揺すりながら巻くことで、ハックルを巻き込むことなく、その軸だけを巻き止めてアイへ巻き進む感じになります。
ウーリーバガーのタイイング
アイの所まで巻き進めたら、スレッドでコパーワイアーを巻き止めます。
ウーリーバガーのタイイング
最後にウィップフィニッシャーを使って巻き止め、スレッドをカットしてヘッドセメント を垂らして終了です。
ウーリーバガーのタイイング
ヘンサドルハックルで巻くとファイバーが太いですが、しなやかで動きが良いのが特徴です。こうして写真を撮るとナチュラルブラックは少しグレーっぽく見えますが、表面には黒光りの艶があります。
ウーリーバガーのタイイング
コックサドルのダイドで巻くとこんな感じ。一般的に売られているのはこっちのバージョンですね。どちらもよく釣れますが、私はヘンサドルハックルで巻くのが好きです。ただし、ヘンハックルサドルは長さがギリギリなので、安いハックルでは長さが足りず巻けませんので、メッツかホワイティングでないと巻けないと思います。
ウーリーバガーのタイイング
ちなみにコイさんはオリーブのマラブーで釣りましたが、ウーリバガー(オリーブ)でも釣れますヨ。カラーとサイズを変えればかなり万能なフライですので、皆さんも巻いてみてください。あ、ちなみに私の本栖湖レインボーの記録魚は黒のウーリバガーで仕留めました。

ピンクはカワイイ?

ピンクを見ると大抵の若い娘は「カワイイ!」を連発するけれど、こんなフライを見ても言うのかな?大きさにして約10cm。このフライをドーンと沈めて、僕らはこの時期の遡上魚を狙うのでゴザイマス。

先日のよつあみ のカーボンコーテッド・スレンレスワイヤーをどんな所に使うかと言うのを、知らない方の説明に巻いて見ました。黒い矢印のところがソレです。ここにワイヤーを使う理由は、まずフライフックの先端が甘くなった場合に鈎の交換ができると言う事。底近くを引くことが多いこの時期の遡上魚の釣りは根掛かり回収後に鈎先が甘くなってたりするので、そんな時にフック交換します。

また、上のダーティホータイプは動きを付けるために同じ場所にダクロンのバッキングラインを使っていますが、イントルーダーは根掛かりを防ぐために鈎が暴れにくくある程度張りのあるワイヤーを使います(私の場合)。流れに乗せているときは鈎は上向きで引っ掛かりにくいと言う寸法です。

こんなド派手を好む鮭たちは以外とギャルっぽいのかも?「きゃ〜、ピンクが流れてきた。ピンク色の玉も付いているし、なんかカワイイ!」と言いながら喰うのかもよ(笑)

漢の浪漫

気がつけば今年も残すところあと3ヶ月。今年もやりたかった事に食いが残らぬよう全力疾走で釣りへ行っている私。どこかに書いたことがあると思いますが、私は頭で考えるよりも行動が先にくるタイプで、何も考えずに先に動いてしまいます。釣りの場合は行きたい場所の宿や飛行機を先に決めてしまい、当日までの期間を利用して釣り方を考えたり情報を探します。なので、その日が釣りの条件にとって全くダメなんてこともしばしば。しかし、その冒険心から生まれるハプニングを楽しみながら釣りをしている感じです。

で、今は7月に決めた10月の釣りの準備期間であって、なんかこんなフライを巻いてますヨ。大きさが分からないかもしれませんが、このフライは大体20cm以上。本当はユルユルな釣行予定なのですが、気を引き締めるために浪漫溢れるフライを巻いた次第。

想像してみてください。この大きなフライをキャストしリトリーブをすると、その引き波に誘われて襲いかかる大魚。水面が二つに割れた途端にフライロッドは大きくしなり、腰を入れてファイトするのです。

そんなシチュエーションを想像しながら巻いてますが、そのチャンスは果たしてくるかな?妄想の時間は漢のロマンに満ち溢れてます。フライタイングって楽しい!

沈まないフライ

絶対に沈まないとは言わないけれど、ボディに穴が開かない限り一度沈んでもまたポッカリと浮いてくれるのがシンガマボディフライ。昨日の続きみたいだけれど、このフライはルアーで言うところの虫系。というか、そもそも虫系と呼ばれるものはフライ見たいなもの。元々フライフィッシングの方が小さくて軽いものをデリバリーする能力には長けているので、こういうものはフライ向きなんですね。

シンガマフライはそんなに説明がいらないフライタイイングですが、要所のポイントをおさえてもらえれば、より壊れずにずっと使えるフライが作れます。フライフックが甘くなったら、フライはカッターで解体し、新しいフックに交換すれば半永久的に使えますので、使った事のない人はこの秋の湖で是非お試しを。そして管釣りでもこのフライが落ちた音で魚は異常に反応するのでオモシロイですぞ!勿論バスやブルーギルは鉄板です。

Sサイズの場合TMC5212の10番がジャストフィット。Mは8番フック。スレッドは8/0のユニスレッド。スレッドワークに自信がない方は3/0をお使いください。まずはシャンクいっぱいに下巻きをしましょう。これをしないと、接着剤がうまく着きません。

このフックを使うと丁度シャンクいっぱいの長さがボディサイズ。スレッドを最初のくびれの位置にしてスレッドで切れる寸前の力で10回転締め込みます。ボビンが下に来た時にボビンの糸がまっすぐになる様にして引けば、相当な力で締め込むことができます。

超締め込むと、こんな風にボディが上反りになります。これぐらい強く締めるのがポイント。そして同じ位置にグリズリー バーデッドラバー レッグを2本を4回転ほどで巻き止める。

フックは斜め上から見た図。こんな風にレッグの両端をひっぱり、真横にの位置へ移動します。反対側も同様にして左右対称にします。

レッグの位置が決まったら、スレッドはボディの下をくぐりシャンクに巻きつけ、次のくびれの位置へ巻き進めます。そして同様に強く10回転で締め上げます。スレッドは切れない様に注意してください。

斜め上から見た図。2回目のクビレも同様にグリズリー バーデッドラバー レッグを2本を4回ほどで巻き止め、左右に対処に広げ、この形にします。足が8本で多いって?6本にしたい人は自分でどれかを切っちゃってくださいな(でも反対の足が取れやすくなりますよ)。

最後に3×5mmほどのフォームをインジケーター(目印)として巻き止めます。スレッドワークは4-5回転くらい。

最後に一番前のボディの下にスレッドをくぐらせて、スレッドを一番前へ持って来ます。そしてウィップフィニッシュ。できない人はハーフヒッチャーでも構いません。

ザップアギャップで腹側を接着します。この時、最初と最後のお団子部分位はしっかりと塗り、クビレ部分のスレッドは染み込む程度に塗布しましょう。ラバー部分にはつかない様に注意します(ラバーに沢山のつけると、ラバーが折れてしまいます)。

最後に足の長さを整えて完成。シンガマボディを購入すると一袋で6個作れます。今まで使っていてボディに穴が空いた事がないので、かなり長い事使えると思います。

なんか変化が欲しいという人にはこんな作り方はいかが?ウイングはジャングルコックのサドルを使いましたが、いろいろなヘンフェザーなどで試して見てください。黒でわかりにくいですが、コイツは足を6本にして見ました。

くびれにハックルを巻けばでっかいワームフライ。こんなフライをヒントにあなたのイマジネーションでさらにカッコイイフライに仕上げてください。

 

カメムシ フライをタイイングしてみよう

私の場合、お盆が過ぎると電池が切れたかのように渓流への欲求が収まってしまう。シーバスと湖に移行するまでの間がどうしても気が抜けてしまうのデス。ブログの更新をサボってたのは事実だけれど、決して釣りへ行ってなかった訳ではなく、パッとした釣果が出ないんですヨ。そしてみんなの触手をそそらない釣りばかりだったので放置してました。

でもって来週には野反湖へ行くのでタイイングにスイッチが入ったモード。本日はカメムシを巻きます。皆さんもご存知のようにカメムシは夏の終わりから出現して、湖に大量に落ち始めるのが秋と感じる頃。そう野反湖もこのくらいの時期から10月いっぱいまでオレンジ色のお腹をしたカメムシ君が大量に落ちるのです。でもって前回の大物連続4バラシがあったので、今回は釣れるまでバーブフック、釣れたらバーブレスにします。

今回はフォームフライタイプですが、私が作るこのフライは昔に比べると簡素でいて大量に簡単に巻けるタイプ。さらに壊れないフライなので、最近はこの形でおさまってます。タイイングは十人十色。決してこの通りにする必要はないですが、自分なりに工夫してタイイングを楽しんでくださいまし。

Hook:がまかつ B10S #8〜#10
Body:ヘアラインシートフォーム
Leg:ラウンドラバーレッグ・ファイン
Thread:ユニスレッド8/0

フライのクオリティを均一にするために、チェルノブイリアントを作る時の型を使ってフォームを切り出してます。よく欲しいと言われますが、コレ高いんです(1個¥3,000位〜)。なので在庫してません。皆さんはもっとカッコ良くカメムシっぽい形に整形してください。

この型の場合、真ん中でカットすると丁度2個作れます。同じくオレンジ色のフォームも同じ大きさで作ってください。*お客様に型の抜いた状態が欲しいと言われる事が多くなったきたので、もし要望が多ければ型の抜いた状態の物の販売を考えます。

背中の部分と頭の止める部分をこんな形に切り抜きます。

フックはがまかつのB10S。サイズは10番。まずそのフックにオレンジ色の半分のものを、この位置に刺します。チョン掛けみたいな感じ。

スレッドはボディの部分全体に糸を巻き、シャンクの一番後ろ(鈎が曲がり始める位置)へ巻きながら移動します。

丁度針穴の位置を絞るかの様に、スレッドで強く巻き止めます。大体10回転くらいで、糸の持つ強度ギリギリのテンションで絞ってください。私はユニスレッドの8/0タンを使っていますが、スレッドワークに自信がない方は3/0を使ってください。

1つのコブを作ったらスレッドをシャンクだけに巻きながら移動し、約3-4ミリの所で同じ様に絞ります。回転数も同じく10回転程度。

後ろ足になるラバーレッグファインのブラウンを2本取り付けます。後々この足の前の部分は切っちゃいます。

写真ではわかりづらいですが、3個目のコブを同じ様にまず作ります。その後前側にある足を3個目のコブに一緒に止めます。

最初に作った背中側のフォームを同じ位置にしっかりと7-8回転で巻き止めます。

オレンジ色の上側のみに瞬間接着剤(なるべくドロドロのタイプ)をつけます。写真のザップアギャップがとても使いやすいのでオススメ。接着剤を塗ったら、緑の背中を強く押し付けるとすぐに接着されます。この時後ろ足のラバーに接着剤が付かないように気をつけてください。

上下が接着される事でフライはグラグラしない丈夫なフライになります。その後、腹側のオレンジ色部分の余りをカット。アイが見える様にします。

現在足は4本ついていますが、写真の様に前足をカットして、後ろ足2本に戻します。

その後もう一度ラバーレッグ2本を同じ位置に巻き止め左右に一本ずつに振り分ければ、片側3本になり合計6本の足になります。

こんな感じですね。足の位置を調整しておきましょう。

さらにオレンジ色のフォームで5mm×7mmほどの長方形を作り、同じ部分に7-8転して止めます。

最後に同じ位置でハンドツイストフィニッシュして糸を結び、スレッドの各所に少量ずつの瞬間接着剤を垂らします。フォーム通しの張り付きやラバーのすっぽ抜けを防ぐには、一般的なヘッドセメントよりも、瞬着の方が有効です。

出来上がったら、足の長さをカットして調整しましょう。

裏はこんな感じ。オレンジ色の発色が強いと思ったら、コピックなどを使って虫っぽく汚してください。ただ、カメムシって思っている以上にお腹がオレンジです(その地方により異なります)。

この大きさだとラバーはファインラバーを使うと動きが良いです。このフライの中で1つだけモノアイのM サイズを入れたものを作ってみましたが、カメムシの場合目は大きくないので、別の虫に見えてくるので止めました。

野反湖に限らず秋の湖パターンとして欠かさないフライですので、皆さんもそろそろ巻き貯めした方が良いですヨ。釣れるかなぁ、大きいの。

エッグフライ(グローバグ)を簡単に大量に巻く方法

エッグフライの作り方

フライフィッシングを始めてすぐの頃、管釣りで入れ食いを味わうために皆さんも一度は使ったことがあるであろうエッグフライ。そのうち自分で巻いたこのフライで釣りたくてタイイングに挑むのだけれど、丸く作る方法を知らずに苦戦した方も多い筈。

そんなエッグフライの巻き方も時代と共に変わってきています。「知らない人が多いから、ハーミットのブログにアップした方が良いよ。」と後押しされたので、ちょっと書いてみます。知っている人は聞き流してください。知らない人は、目から鱗かもしれません。

エッグフライを作るのに必要なのはボールペン
用意するものは、いらないボールペンとナイロン糸。そしてマテリアル。マクフライフォームなどのエッグヤーン1本とドット柄になる差し色を、売られている太さの20%にします(写真は多めなのでもう少し少ない方がオススメです)。ボールペンは芯を抜いて使いますが、穴の直径が少し大きめのものを選んでください。
ボールペンの先っちょの部分を取り、そこへ二つ折にしたナイロンの糸を通します。その輪にエッグヤーンのど真ん中まで通します。

 

グッと引っ張って先端から1cmほど出して、この状態にします。正確にはボールペンのキャップの部分ではなく先端です。

 

持っているハサミ(シザース)の中で一番切れるものを用意し、ボールペンの先端から約4mmくらいの位置でスパッと一発で切ります。これで下準備は完了。

 

スレッドはGSP(ゲルスパン)スレッドを使ってください。カラーがきになる時は同系色のマジックで塗ってしまいましょう。ここではTMC2488#12を使っています。
写真中には十字に掛けると書きましたが、正確には八の字です。片側に2回ずつ、フックが曲がらない程度に締め込んでできる限り締め込んでください(かなり重要です)。GSPスレッドは絶対切れませんが、やり過ぎるとフックが曲がります。左右2回で合計4回のスレッドワーク。

 

八の字に2回巻き終えたら、フックのアイ側でスレッドを2回転巻きます。巻き終えたらボールペンの芯を引いて約8mmほど引き出します。引き出したらボールペンの芯が邪魔にならなくなるので、その前でフィニッシャーなどを使いスレッドを結び止めます。結び終えたら、スレッドの上とエッグヤーンの中心にヘッドセメントか瞬間接着剤をほんの少し垂らして止めます。スレッドはカットします。
写真上に約4mm分出ていますが、それに合わせて約4mm分の位置でエッグヤーンをカットします。切る時は一気にスパッと切ってください。ボールペーンの芯側には、次のエッグフライを作るための4mm分が残ります。
手で全体を馴染ませれば出来上がり。ビーズヘッドを最初に入れておけば、写真のようにビーズヘッドエッグフライになります。そして2個目以降は同じ手順。この巻き方だとエッグヤーンを切るたびにでるゴミがなく無駄がありません。皆さんも一度チャレンジしてみてくださいな。

オタマジャクシみたい

来週からの九州遠征に備えて、ギリギリになってタイイングをしてます。まだ見ぬ日本のJEWFISH(ジュウフィッシュ)を釣るために、今年で三年目のチャレンジ。日本ではフライフィッシングで狙っている人が他にいないので海外のサイトを頼ると、この魚はどうやらチャートリュースカラーがお好みらしい。ということで、今年はチャートフライを中心に仕込んで見ました。

フライのサイズを昨年より小さくしたのは、釣れている人の使用ルアーを見ていると意外に小さいものが多いので、今年はそのサイズに合わせてます。夜は波動が出る大きな13cm以上のフライ。日中は小さめ(と言っても10cmくらい)のこんなフライという感じ。釣れる前から人間はいつも釣れてますが(笑)、今年の成果はいかに?

その結果は来週の今頃にはこのブログでわかるでしょう。昨年の様子はこちらです。

Hook:Gamakatsu S10S-4H  #1/0〜#4/0
Tail:Rooster Cock Feather + EP Sparkle
Gill:SAAP Float VIZS  Red
Body: Wool
Eye:HMT Eye

ピンクのフライを巻くと必ず女性に「カワイイ〜!」と言われます。こいつは正面から見るとおたまじゃくしかカエルみたいだから、まさしくカワイイ系のフライ。ちなみにこのフライは、中にタングステンウェイトを入れてます。

No Name(ノーネーム)の管釣り&湖用マラブーフライ

お店が暇なので、自分のフライを巻いてました。

本栖湖はこのフライとブラックバージョンが引っ張り用で、今実際に使っているものです。あとはブラックの小さめゾンカーかな?時合いがくればそんなにフライはシビアではないと思うので、なんでも良いと思います。

Hook: TMC3761 #8
Tail : Eagle Marabou
Under Tail : Ice Wing Fiber Pearl UV
Abdomen : Mylar Tincel
Thorax : Seals Fur Ginger
Wing : Eagle Marabou
Hackle : Partridge Dyed Olive

どこの湖へ行っても定番のカラーは、オリーブ系、ブラック系。ジンジャー系、この三つが定番カラーだと思います。芦ノ湖もほぼ同じフライを使ってます。