巻きたくなる衝動

「好きな事を商売にできるって羨ましいですね。」とよく言われるのですが、ところがどうして、一番のお客さんが自分だったりするので儲かるどころか貧困になってしまうんですな。例えばキャナルさんが見事なジャングルコックケープを持ってきた場合、我先に買ってしまうのは自分なのであります。まぁそんな塩梅だから車を買い替える余裕などなく、16万キロも走っている車を騙しなながら乗っているのであります。

連休も終わりに近づいた頃、キャナルさんが車にマテリアルを満載にしてハーミットへ行商に来ました。ご周知の方が多いですがキャナルさんのマテリアルのクオリティは自身で染めて選別しているので、他のメーカーさんとは比べものにならない発色の良さとクオリティがあります。そんな少ロッド生産のマテリアルなので、ネットに記載されることも少ない希少品が多いのもその特徴の一つ。お店へ並んだ途端に私と同じような人達が、そのマテリアルを見て巻きたくなる衝動に駆られるのであります。

今回の私はこのピーコックバイオットに食いついてしまいました。このカラーを見てどうしてもこのマテリアルを使って巻きたくなったので、お店の開店前にタイイングして楽しみましたヨ。出来栄えは? 自分のイメージにはほど多いけれど、巻けたフライを見ながら今度はそれで掛かる魚達の想像が止まりません。

妄想バンザイ!

ピーコックバイオット
ピーコックバイオットなんて、キャナルさんの目線があるからこそできるマテリアル。でも一羽から何十枚も取れるわけじゃないから、すでにこのカラーの店在庫は2枚だけ。それとダンが2枚のみです。
ピーコックバイオット
グースバイオットよりも大きく、さらにターキーバイオットよりも長いのが特徴で、元色の淡いタンカラーに乗せたイエローで、私はビビビッときました。モンカゲカラーぽいかな。
バイオットパラシュート
グースバイオットよりも一回り大きい、8〜14番ぐらいが巻けますが、パラシュートパターンで巻いてみると、モンカゲカラーというよりは、イエローサリーカラーですね。
バイオットパラシュート
写真はフックサイズ12番。ソラックスはタニッシュイエロー。ウイングはヘアラインのパラポストウイングを丸めました。
ピーコックバイオット
老眼なので、写真のピンを確認せずに載せました、スミマセン。クイルウイングの部分はウェットのウイングにしようかとも思ったのですが、厚みがあったのでコンドルクイルと同様の使い方をしてみました。このクイルファイバーを数本カットしてボディに使います。
フェザーウイングフライ
その数本をボディに巻くと、細かな産毛(フリュー)が立ち、雰囲気のあるボディに仕上がります。リブは3/0のブラックスレッド。ウイングはマラードダックのダイドイエローなので、モンカゲっぽいでしょ?ただ難点は思った以上にボディの長さが取れず、10番が限界でした。

ソフトハックルフライ(テンカラ毛ばり)を巻いてみよう

同じフライをずっと巻いてたら飽きてきたので、遊びで巻いたブログネタのフライ。今回は雉のボディフェザーをハックルで巻いた時に使いどれだけ違いが出るかを検証。ではなく、あくまでも遊びで、雉が一羽あればこんなにテンカラのハリ(ソフトハックルフライ)もこんなに遊べるので、参考にしてみてくださいな。

ボディフェザー
オス雉のボディフェザーは取る場所によって異なるカラーを沢山持っているマテリアル。どの場所もテンカラの蓑毛(ウェットフライのソフトハックル)になりますので、雉が一羽あると死ぬほど毛針が巻けるというものです。
雄雉
コンプリートはこんな感じ。2番の所は、ブラウンカラーとグリーンカラーのものがあって、それに違うカラーが入っているので、フライで言うところのスペックルドカラーになります。フライの場合はそれ以外の部分も全部使うので、余すところがないですね。
オレンジパーマボディ
1番で巻くとこんな感じ。ボディはピーコック(孔雀)とフロスを巻いて、夏虫っぽいイメージ。ソフトハックルのカラーにグラデーションがかかっていて、少し光っている感じ。水に入るとよく馴染んで動きます。ちなみにテンカラ毛ばりはフライのジャンルではソフトハックルウェットと呼ばれます。
蓑毛
2番のブラウンを巻くとこんな感じ。綺麗でしょ?ボディはピーコックハールの産毛(フリュー)をむしったクイルと、その上はむしらないで巻いてみました。フックはTMC3769の10番で巻いてます。このフライの流し方を知っていれば、管釣りにだったら相当数が釣れちゃうでしょうね。
蓑毛
2番のグリーンで巻くとこんな感じ、先端が緑に輝きます。ボディ半分は雉の尾を巻いたものに補強でコパーワイヤーを巻きました。胸の部分はピーコックハールです。
テンカラフライ(蓑毛)
3番の部分で巻くと根元が黒く、先端に向かって緑が輝きます。毛質が柔らかく、水によく馴染んで動くのが特徴でしょうか。尻にオーバルティンセル、ボディ半分は赤のフロス。そしてシルバーワイヤー。もう半分はゼンマイの綿をダビングして巻いてみました。テンカラっぽいでしょ?

フライフィッシングでもテンカラでも使えるソフトハックルパターンは、どちらでも使えるフライ。その違いは釣る時のスタイルだけ。フライフィッシングは主にダウンクロスの釣りなので、釣り人が上流側でポイントが下流にあることがほとんど。テンカラの場合は上流でも下流でも流し込みますので、その違いでしょうか。

今はフライロッドを握る日々ですが、テンカラ竿はしばらく振ってないなぁ。今度引っ張り出して久しぶりに使ってみようかな。

ミセス・シンプソン

ミセスシンプソン

昨日タイイングしている最中にコックフェザントのボディスキンを見ていたら、急にミセス・シンプソンが巻きたくなったので巻きました。このフライが日本でメジャーになったのは私の記憶では西山徹さん辺りが日本に紹介していたからの気がします。随分と昔の話なので間違っているかも知れないので、まぁ、信じないでくださいな。

ニュージランドの必携パターンとして有名なこのフライ。グーグルに『ウォリス・シンプソン』と入れればこのフライの由来となるお方が出てくるので、興味がある方は歴史を学んでみてください(私は全く興味がありませが、それだけ魅了されるフライという意味)。

さて、そんなフライ。ちろん私も雑誌の影響を受けて巻いてたひとり。このパターンはニュージーランドのブラウンキラーと言われていたので、持っていった先は本栖湖と同県のK川そして芦ノ湖です。その成果は芦ノ湖とK川はそこそこのブラウンをこのフライで釣りましたが、未だ本栖湖で火を吹くことはありません。

オリジナルのレシピは忘れましたが(テールがスクイレルテールだったと思う)、ウイングに使う雉のグリーンバックフェザーは何枚が正しいのか?というのを当時は酒を飲みながら論議していたことをふと思い出しました。

せっかく巻いたので、どこで使おうかな。やっぱり本栖湖で釣りたいですねぇ、でっかいブラウン。でも今では夢の夢で、オオニベと同じぐらい難しいことです・・・。

Hook:D-Hook 2421・#6
Tail:カーフテール &雉のバックフェザー
Body:オレンジシェニール
Wing:コックフェザント グリーンバックフェザー(全部で6枚)
Thread:ダンビルマスタースレッド・ブラック
*オリジナルのレシピではありません。

オレンジ&パートリッジ

いつでも使える保険のフライです。先週、芦ノ湖はだいぶユスリカにライズするトラウトがいたので、このフライを使えば手堅く釣れるというものです。こんなちっちゃいフライですが、意外にデッカイのも喰ってくるので、侮れません。

このフライを使うときはラインはフローティングかあるいはインナーミディエイトでを使用してください。リトリーブは長いストロークで細めのティペット(3X〜4X)で引っ張るとビックリするくらいヒットする事があるんですヨ。ただティペットが細いのでアワセは緩くふんわりと、走られたら出来る限りリールファイトで楽しみましょう。

管釣りでもこの時期はバクハツしますので、オススメです。ポンドの管釣りは表層早引きで。渓流の管釣りはダウンクロス(下流斜め対岸)へ向かってキャストし、ラインは引っ張らずにロッドでアタリを取ります。その際はアワセずに向こう合わせで釣りましょう。もちろんテンカラの人も楽しめる一本です。

ちなみにこのフライは説明が要らぬほどタイイングは簡単。ボディをアイからフックベンドへ向かって往復巻きます。そしてパートリッジを巻いてお終い。先ほど巻き始めて40分ほどで12本のタイイング。量産できてボックスいっぱい。でもね、マテリアルをあまり使わなさ過ぎて、フライショップ的には儲からないんで、釣れるフライだけれど内緒にしてます(笑)

Hook:TMC3761・#12
Thread:ダンビル マスタースレッド 6/0・ブラック
Body:シルクフロスオレンジ
Hackle:パートリッジグレー or ブラウン

オレンジ&パートリッジ
ハックルの量はお好みですが、私的にはあまり巻かないのが好き。3回転くらいがベストだと思ってます。真ん中から左がブラウンカラーで、右がグレーカラー。このわずかな違いでも食いが変わってくる事があるので6本ずつ巻きました。
ボディはシルクではなくナイロンフロスでも問題ありません。ハックルの大きさはフックシャンクの長さぐらいが適当。引っ張ってしぼみ、止めると傘の陽に開くこのフライ。イメージは表層に向かって羽化するガガンボです。

死体のバラし方

こう言う風に書くと意味深なので興味を持つ人がいるかもしれませんが、今回はオス雉のコンプリートをどうバラすかと言う事と、その部位の使い方の説明です。この雉のお肉は美味しく頂いた余りですので、無駄のないのがフライフィッシング。

よくフライフィッシングは魚をキャッチアンドリリースをする高貴な釣りだと誤解している方がいますが、そうではありません。そもそもフライをやる人はロッド(竿)&ガン(銃)が本来の姿でして、冬は釣りができないので、山で鳥や鹿を打ちその肉を頂くという生活。そしてその余りとして生まれた副産物の毛を利用して毛針を巻くのです。巻いた毛ばりは春になったら魚釣りをし、毛ばりで釣れた魚を食べるという、人間の本来あるべき生活の中にフライフィッシングがあったのです。

現代は誰かが代わりに撃ってきた鳥の羽根でフライを巻き、釣った魚を食べないから逃がすのでスポーツフィッシングと言われ、決して褒められた行為をしている訳ではありませんので、釣りをしない人からは理解できないでしょう。でも僕らは釣りが好きだから、食べない時は少しでも魚に生き残ってもらいたいので、最低限のダメージで逃して、また新しい世代が生まれて欲しいと願ってます。

話は逸れましたがオス雉です。私はハンティングをしないので、お友達が撃ってきてくれて、肉は全部食べた余りをコンプリートの状態で買い取ります。でもコンプリートって皆さんはこの材料をどう巻くのかわからない人が多いようなので、それを少し説明しようかと言う今回のネタ。おっと、ここではマテリアルのバラし方と解説だけなので、実際にそのマテリアルを使ってのフライの紹介はまた今度。

と言っても、この時期釣りと仕事が両方忙しくなるので、いつになるかは未定でゴザイマス。

雄雉
ハーミットで売っている状態はこんな形。他のお店と違ってお友達が持ってくるので、面白がって完全なコンプリートで持ち込んできます。頭は経年変化が早いので、お店で落とすようにしました。 一般的に仕入れるものは尾っぽはすでに切ってあり、ボディとテールのコンプリートはすでにバラバラで入ってきます。
コンプリートテール
コンプリートテールの後ろに隠れるサイドテールとでも言うべき部分でしょうか。よくコックフェザントのテールをウイングにしているパターンがありますが、真似をしても上手く巻けないと言う方は、センターテールで巻いてます(センターテールはニンフのテール&ボディ材です)。でもこのサイドテールは単品で売ってませんから、コンプリートを買うかコンプリートテールを買わないと手に入りません。その縞模様はスペックルドフェザントと大差はないんです。価格が安い上にとっても綺麗。一羽あればかなりの量が取れます。
コックフェザントコンプリートウイング
羽はボディからもげますので素手で捥いじゃいましょう。これが右のウイング。羽は大きく分けて風を受ける先端側に近いプライマリーウイングとセカンダリーウイングがあります。ちょうど真ん中に境目があるのとカラーが違うのでわかりやすいです。プレイマリーウイングはドライフライのウイング用で、羽が反り返っている内側を使います。セカンダリーウイングはウェットウイング用で、羽の外側(風が当たる前側)を使います。ウェットのウイングは縞々が入っている方が人気がありますが、コックフェザントのクイルは個体差が結構あります。
剣羽根(ケンバネ)
そのプライマリーウイングの風が一番当たる外側の付け根に近いところに一枚だけ隠れている羽が剣羽根(ケンバネ)と言い、テンカラ で使う蓑毛(ミノゲ)。1本を2本に割いて使うので、一羽のキジで4本の毛針しか巻けない貴重な部位です。コンプリートを買うと付いてますが、ウイングだけを買うと大抵抜かれて販売してます(別売されちゃいます)。なので、剣羽根で巻きたいテンカラ師はコンプリートで買う必要がります(そもそもテンカラ職漁師は冬の間に自分で雉を獲ります)。最近ではお店でこうやってバラさない限り販売に回せないので、高価になります。
カバーウイング
よく「ボディの毛は蓑毛(ソフトハックル)としては長くて巻きづらい」と言う方がいますが、違います。お店でこうしてバラして売っても、ハックルのコンプリートと同じで使いたい長さを持った部位は沢山は生えてませんから、欲しい大きさは小袋購入ではいつでも買える訳ではありません。それがコンプリートだと色々な部位から小さな毛を選んで使えるので、フック(鈎)の大きにあった材料が使いたい放題なんです。特にウイングの付け根や首回りは小さく、とても使いやすいんですよ。全体の量を考えると小袋は高価です。
コックフェザントクイル
クイルを引っこ抜く時は軍手とジプロックを用意。軍手を使って一本ずつ引っこ抜き、根元についている脂肪は軍手で取りましょう。左右取り終わったら、左右別々にジプロックに保管すると便利。セカンダリーウイングはウェット用で、この縞々の部分を使います。ヘンフェザントクイル(メス雉)よりも細かな模様が入るのが特徴です。
バイオット
通常捨てている部分ですが、プライマリークイルの使わない風に当たる側は、バイオットと言います。なんか聞いた事ないですか?そうです、グースバイオット。あれはグース(ガチョウ)の同じ部位を使ったもの。このキジのバイオットを使うとタンカラーの虫っぽいボディが作れます。数本だけ違うカラーを巻きたい時は、コピックで塗っちゃいましょう。
リングネックフェザー
雄雉を買うとリングネックフェザーだけで三種類以上のカラーで蓑毛(フライで言うソフトハックル)が巻けて、さらにボディフェザーはストリーマーのチークやボディ材、そしてイントルーダーのハックルに使えます。私みたいにフライタイイングの知恵が付いてしまうと、見ているだけで色々な妄想フライが巻けてしまいます。こうしてバラしていると巻きたくなって仕方がないのですが、本日はこれらをバラしてお店で販売するのが目的。仕事しなきゃ・・。
雉の羽根
こうしてできるゴミの山。コンプリートを買った皆さんは完全に分解する必要はありませんから、ゴミは出ません。こうして見ると勿体無いなぁ。やっぱり雉はお肉から羽根まで捨てることがほとんど無い貴重な鳥です。

 

Scud Shrimp/スカッドシュリンプ

渓流が解禁したと言うのに、今年に入ってパラシュートフライやスタンダードドライを一本も巻いてない私。まあこの時期だからスペントやイメージャーのパターンが中心なので、いいのかな。

で、本日はなんとなく気分はスカッドです。なぜにスカッド?と聞かれても困りますが、マス類はエビちゃんが好きですから、引っ張りの釣りをする人はウーリーバガーだけではなく、こんなフライを巻いておいた方が良いですよ、と言うマスくん達の別腹フライを紹介。

今回はD-HOOKを使いたくて(消費したくて?)、#10と#8で巻いてます。少し長めのフックに巻くとバランスが良いので、皆さんはお好きなフックで巻いてくださいまし。ではお時間がある方はご覧あれ。

スカッド フライ
まずは目ん玉を作ります。8−10号(30ポンドくらい)の糸を10cmほど用意し、その両先端を黒のマジックで塗りつぶします。
Scud Shrimp
その先端をライターで焼いて丸くし、玉が大きくなってきたところで火を吹き消します。玉に触れると火傷しますので、注意してください。
スカッド シュリンプ
マジックの黒が中に入り、目ん玉はこんな感じに仕上がります。
Scud Shrimp
レッドワイヤーのNO5をシャンクいっぱいの長さを2本用意し、フックシャンクの両側に巻きとめます。上から見たときにシャンクの太さの2倍以上になる感じです。レッドワイヤーは動きやすいので、瞬間接着剤を垂らして固定してください。
スカッドシュリンプ
先程作った目ん玉をシャンクの両側に巻き止めます。長さが今回はなんとなくぴったりになりましたが、ナイロンの余った部分はカットしましょう。
スカッドシュリンプ
今回は手元にフォックスボディのグレーがあったのでそれを使います。なのでボディも同系色を選択。フォックスボディはあまり売ってないので、一般的にはラビットゾンカーの毛を使います。
Scud Shrimp
今巻いているスレッドの他にもう一本、ダンビルのナイロンスレッドを用意し、適当なところから巻きはじめて、テール近くへ持っていき、このいちで後ろ(テール側)によけておきます。
スカッド
テールの付け根にラビングループを作り、ダビングツイスターに引っ掛けます。そしてその間にスカッドダブ95%とアイスダブ5%を混ぜたものを挟み込み、ツイスターでグルグルと巻き挟みます。
スカッド
スカッドダブの毛をなるべく巻き込まないようにして、ボディに螺旋状に巻いていきます。
スカッドシュリンプ
アイ近くまで巻いたらスレッドで固定し、あまりはカット。ボディのスカッドダブが巻き込まれてしまったものは、専用のブラシ(なければ要らない歯ブラシ)で掻き出します。
スカッド
スカッドバックを8-10cmほど用意し、その真ん中をメインのスレッドで固定します。
スカッド(リビング)
真ん中で巻き止めたスカッドバックを全てテール側の方へ持っていき、ずっとテール側で待機していたナイロンスレッドで螺旋状に巻き止めていきます。
スカッド
ナイロンスレッドをアイの前まで巻きます。スレッドが重なっているので1本に見えますが、ナイロンスレッドとメインスレッドが両方とも同じ場所にある状態。
スカッド
アイの前まで巻いたらヘッド部分で数回巻きつけ、その上をメインのスレッドで巻きつけて巻き止めます。写真の角度が悪いですが、これは螺旋状(リビング)に巻いたナイロンスレッドをカットしている図。
スカッド
最後にウィップフィニッシャーで巻き止めて終了です。
スカッド
巻き終えたらフライをひっくり返し、ブラシを使って巻き込んでしまったダビング材を掻き出してボリュームを付けます。引っ掻き出した毛が長い部分はシザースでトリミングします。
スカッド
出来上がりはこんな感じ。モサっとしてして透明感があるボディ。以前スカッドを泳ぐ姿を見たら前に泳ぐので、私のフライはアイが前側にあります。どっちが正解とかはないので、テール側に付ける方もいらしゃいます。表層を引っ張ったり、ちょっと沈めて中層を引いたり、あたりはドーンと強いアタリが来ますよ。

 

 

Woolly Bugger / ウーリーバガーを巻いてみる

早い年は2月下旬ぐらいからマルタさんが遡上していた事があるから、そろそろチェックしておかないとね、という気持ちで昨日はA川散策。でもまだ早かったようなので、仕方なくパン鯉(パンを撒いてパンフライで釣るというややこしい釣りです)をすることに。ところがどっこい、パンを一斤撒いても浮かなんだ、ガックシ・・。仕方なくニンフをゴロゴロしてサイトニンフングでようやく食わせた感じです。そしてふと気がつけば私のボックスはどのボックスもヤバイくらいにスッカスカ。取り急ぎすぐに釣りへ行くものから巻かないとね。

ということで、ウーリーバガーです。このフライは湖では無敵。そして本流筋の釣りで使える万能で、ついでに管釣りでも大物キラーと言えます。持ってないという人はいないでしょ? このウーリーバガーですが、まき方はもちろん人それぞれ。ハックルをテール側からアイに向かって巻く人。そして今回はその反対のアイ側からテールに向かって巻く巻き方をご紹介です。ウェットフライを巻く人ならばわかりきったことですが、初心者のための解説ですので、知っている人はサラッと流してくださいな(写真の数が多いです)。

ウーリーバガーのタイイング
今回のフックはがまかつ S11-4Lウーリーバガーは長いシャンクでヘビーワイヤーのフックに巻きます。ウェイトはNO,3を4.5cm(カード巻きの端から端まで)を巻きました。瞬着を一滴垂らすとレッドワイヤーは固定されます。
ウーリーバガーのタイイング
私はマラブーの絡みどめにアイスウイングを入れてます。今回のカラーはベイトフィッシュミックス。10〜15本くらいなか?テールしたとして、ベンド側に巻きとめます。
ウーリーバガーのタイイング
テールとなるマラブーの量はお好み次第。長さはシャンクの1.5倍ぐらいが理想でしょうか。こうしてテールのとめ位置に添えて、イメージします。
ウーリーバガーのタイイング
長さが決まったらテールの巻とめ位置で左手から右手に持ち替えます。そしてスレッドで4-5回転で巻きとめましょう。
ウーリーバガーのタイイング
前に余ったマテリアルの余りはレッドワイヤーの終わり部分でカット。そしてその余りをレッドワイヤーの所までスレッドで綺麗に巻きならします。こうすることで、テール位置からアイ近くまでのボディがボコボコにならぬように、だいたい平らにしておきます。
ウーリーバガーのタイイング
スレッドはテールのとめ位置に戻り、まずはコパーワイヤーを巻きとめます。
ウーリーバガーのタイイング
同じ位置のシャンク上に、今度はシェニールを巻きとめます。説明が遅れてましたが、ウーリーバガーの基本色はブラック。背景も黒で分かりにくくて申し訳ないです。ですが、このカラーが一番釣れるんですヨ。
ウーリーバガーのタイイング
まずはシェニールを巻くのですが、最初の1巻目だけ、テールの下側をくぐらせます(マラブーが上へ少し持ち上がり動きが出ます)。そして2週目にコパーワイヤーを挟み込み前側(自分に近い方)へ出しておきます。それ以降はボディがボコボコにならないように、塩梅を見ながらアイ側へ巻き進めます。
ウーリーバガーのタイイング
アイのすぐ前まで巻いたらスレッドで巻きとめます。スローシャッターで撮っていたので、スレッドが写ってませんが、スレッドで巻きとめてぶら下がっている図。
ウーリーバガーのタイイング
この位置にボディハックルを巻きとめます。写真はメッツのヘンサドルハックルのナチュラルブラック。染めでないブラックは黒光りしているので私の好きなカラー。
ウーリーバガーのタイイング
ハックルが引っ張っても抜けないように5-6回転で強く巻きとめ、その先端をハックルプライヤー で摘みます。
ウーリーバガーのタイイング
ハックルの表が向いた状態で左手で先端を持ち、右手でハサミを閉じた状態で持ってください。そしてハックルの内側に巻き込まれる方(先端を上に見て右側)の根元をハサミの先で下へ向かって擦ってください。こうすることで、ハックルが内側に折れて、巻きやすくなります。かつてはダブリングというテクニックで先に下処理をしてましたが、最近はこの方が早いのでこの方法を使ってます。
ウーリーバガーのタイイング
写真では分かりにくいかもしれませんが、右半分だけ若干内向きになっています。やり方に少しコツがいりますが、覚えると簡単です。このハックルを右回転(手前から後ろへ向かって巻く)でテールに向かって巻いていきます。
ウーリーバガーのタイイング
螺旋状に最後まで巻いた状態。左手はこの状態で手を離さず、右手にコパーワイヤーを持ち、今度はその上をコパーワイヤーを右回転でテールからアイに向かって巻いていきます。すると、今巻いたハックルに螺旋状に巻かれていくので、コパーワイヤーによって巻きとめられていきます。
ウーリーバガーのタイイング
先端はだいたいこのいちでコパーワイヤーに巻きとめられるようにしましょう。コパーワイヤーはアイに向かって螺旋状に進みますが、この時にコパーワイヤーを揺すりながらアイへ巻き進めるのがコツです。
ウーリーバガーのタイイング
コパーワイヤーを揺すりながら巻くことで、ハックルを巻き込むことなく、その軸だけを巻き止めてアイへ巻き進む感じになります。
ウーリーバガーのタイイング
アイの所まで巻き進めたら、スレッドでコパーワイアーを巻き止めます。
ウーリーバガーのタイイング
最後にウィップフィニッシャーを使って巻き止め、スレッドをカットしてヘッドセメント を垂らして終了です。
ウーリーバガーのタイイング
ヘンサドルハックルで巻くとファイバーが太いですが、しなやかで動きが良いのが特徴です。こうして写真を撮るとナチュラルブラックは少しグレーっぽく見えますが、表面には黒光りの艶があります。
ウーリーバガーのタイイング
コックサドルのダイドで巻くとこんな感じ。一般的に売られているのはこっちのバージョンですね。どちらもよく釣れますが、私はヘンサドルハックルで巻くのが好きです。ただし、ヘンハックルサドルは長さがギリギリなので、安いハックルでは長さが足りず巻けませんので、メッツかホワイティングでないと巻けないと思います。
ウーリーバガーのタイイング
ちなみにコイさんはオリーブのマラブーで釣りましたが、ウーリバガー(オリーブ)でも釣れますヨ。カラーとサイズを変えればかなり万能なフライですので、皆さんも巻いてみてください。あ、ちなみに私の本栖湖レインボーの記録魚は黒のウーリバガーで仕留めました。

Zonker / ゾンカーをタイイングしてみる

私が中学生の頃、当時はラパラルアーで芝浦ふ頭のシーバスを楽しんでましたが、フライでも釣りたくなって道具を持ち出したのがシーバスフライの始まり。最初のヒットフライは確かモンタナだったかな?色々試してみてチャートリュースのウーリーバガーなどが釣れることがわかって、最終的には白に落ち着いたけれど、当時の獲物の大きさはシーバスと呼べるサイズには程遠いセイゴ。そしてその当時はゾンカーというフライパターンがが日本ではまだ紹介されてなかったんですな、多分ですが(似ているものでマツーカはよく使ってました)。

一昔前までゾンカーといえば私の中では芦ノ湖と本栖湖のキラーパターンとして活躍したフライ。そのゾンカーはソルトウォーターフィッシングの進歩とともに定番フライとなっているのは皆さんもご周知の通り。私がEPミノーやフローティングミノーを投げる前は、ほぼゾンカーのみの釣りでして、カラーはホワイトを中心にチャートリュースやオリーブなど。特にこれからの時期はバチ抜けのシーズンに突入するので、そのカラーバリエーションは色々と巻きたいところ。

今回は「シーバスはゾンカー頼み」というハーミットの格言があるので、そのフライを巻いた時の写真で紹介。ここで登場するゾンカーはオリジナルではありませんが、アレンジは皆さんの想像力で色々とお試しあれ。サイズとカラーを巻いて持っていけば、シーバスに限らず、湖の引っ張りの釣りでも大活躍してくれます。

ゾンカーのタイイング1
今回のフックはTMC9394の4番。まずはフックシャンクにレッドワイヤーNO,3を5〜6回転をこの位置に巻く。ウェイトを入れるかどうかはその時次第なので、入れないで巻くことも普通です。
ゾンカーのタイイング2
スレッドはユニスレッドの3/0ホワイトを使いました。まずは下巻き。レッドワイヤーの瞬間接着剤をたらし、その上からスレッドを巻いて固定します。
ゾンカーのタイイング3
フライはオリジナルではないので、今回はソラックス(胸)の部分にシールズファーのレッドを巻きました。よく見ると変でしょ?巻いている方向が逆でフックアイからベンド方向へ巻き進めています。巻き終えたこの位置に、今度はスパークルブレイドのシルバーを巻きとめます。
ゾンカーのタイイング
スレッドを先にベンド方向へ移動させておいて、その後を追いかけるようにスパークルブレイドを密にベンド方向へ巻き進めます。写真の位置まで巻き進めたら、スレッドで巻きとめて余りをカットします。見た感じ、ピーターロス(ウェットフライ)みたいです。
ゾンカーのタイイング
モノチューブMをシャンクの1.5倍ぐらいの長さにカットし、写真のようにスレッドの位置とものチューブの端を合わせます。ものチューブの余分をたくさん出すと、後でカットするのが面倒なので、ギリギリを巻きとめます。
ゾンカーのタイイング
ものチューブは滑りやすいマテリアルなので、巻きとめたらすぐに瞬間接着剤を一滴垂らして固定してください。
ゾンカーのタイイング
ゾンカーテープの毛を根本から分け目を付け、その分け目を同じ位置に巻きとめます。巻き止める回転数は4-5回で大丈夫。そしてこの場所でハンドタイ(右手でウィップフィニッシャーと同じ動き)をして巻きとめ、もう一度瞬間接着剤を垂らします。ハンドタイがわからないというお声があれば、今度動画を撮ってみますが、いかがでしょう?
ゾンカーのタイイング
スレッドをカットし、後ろ部分の止めは完了。その後写真のようにものチューブを上に抜いて、その前にスレッドを再び巻きとめます。
ゾンカーのタイイング
ウェットのウイングを止めるようなつもりで、ものチューブを巻きとめます。余りをカットした状態が写真の状態。
ゾンカーのタイイング
最後にフィニッシュして完成・・。多分みなさんはここで御終いですが、ここからさらに一手間。この写真に写っているガードヘア(太い毛)がとても長いのと全体の動きが鈍るので、ガードヘアは手でむしり取ります。毛を逆撫でして、長いものだけを摘んで引けば簡単に取れます。
ゾンカーのタイイング
綺麗に取るとこんな感じ。すっきりしてるでしょ?シンプルですがこのゾンカーがミノーであり、バチでありテールのニョロニョロとした動きでお魚を誘います。バチ抜けシーズンはホワイトの他に、オレンジ、オリーブなども良いです。特にオリーブは湖でもよく使いますので、巻いておけばどちらでも使えますヨ。
ゾンカーのタイイング
私がゾンカーに凝り出すと超めんどくさいフライを巻きますが(こちら)、よく使うのは上のパターンとこのギニアフォウルのスロートハックルを巻いたパターンです。皆さんも色々とアレンジして巻いてみてくださいな。このフライは裏切りません。

Crease Fly / クリースフライをタイイングしてみる

なんでこの時期にポッパーを?とお思いのあなた、いろいろな事情がありますので、突っ込まないでください。タイイングのついでにふと思ったので、ついでにタイイングの手順を紹介しようと思いまして、写真を撮りました。

クリースフライはジョー・ブラドス氏が作ったストライパーやブルーフィッシュ用のフライ。日本では作る手軽さからシイラに使う人が多いフライですが、大きさを変えればどんな魚にも対応できるので、ブラックバスなどにも人気のフライ。

このフライは丁寧にコーティングして綺麗に仕上げる人も多いですが、丈夫さはそれほどないので、私的には簡素に仕上げて量産した方が良いのではと思います。でも遊び心は大切なので、真っ白なんて野暮なフライはやめて、マッキーで好きな色に塗りたっくってください。

まずはともあれ、その手順を細かく写真に撮りましたので、ご覧くださいまし。あ、タイイングと言うよりは工作かな?

ハーミットにはその型があるので、打ち抜きます。ハーミットで材料を購入し自分で抜くのであれば、型抜きはお貸ししますのでお店で撃ち抜いてください(いろいろな型があります)。ちなみに今回のフックサイズは2/0番。その際の大きさは5cm×4cmくらいで写真のような形にしてください。通販の方はご要望があれば打ち抜きます。

今回使用しているのはエバゾートフォーム。このフォームは靴中のクッションなんかに使われる素材で、瞬間接着剤との相性が良く、浮力が高い上に加工が楽です。

私は先にこうして色を塗っちゃいます。カラーは釣りしている時に色落ちてくるので、2-3度塗り重ねてます。使っているのはみなさんが良くご存知のマッキー。

マジックで塗った後に一回半分に折ってみて、目の位置にボドキンで重ねた状態で貫通させます。その穴にドールアイ(リアルアイ)を指していきます。なんかこの状態ですごくカワイイ。お絵かきはこの時にした方が楽ですヨ。

反対側に出た突起はニッパーでカットして、その面の棒付近に瞬間接着剤を塗ると染み込んで固定されます。これでボディの下準備はOK。

まずはバックーテールを長めにフックに巻き止めます。ボディがシャンクよりも大きくなるので、フックシャンクの1.5〜2枚程度が良いでしょう。ま、その辺はお好みで。

その上にクリスタルフラッシュを3-4本折り返して巻き留めます。光り物の量は好みですのでこのへんは好きにしてくださいまし。

カラーが単調だとつまらないのでグラデーションのように別のカラーを乗せて巻き止めます。この辺もお好きにどうぞ。あまり太くならないように全体のテールの量はこの位が良いと思います。

巻き止めたテールは根元を縛り、少し上に引っ張って上向き加減に巻き止めます。タイイングはこれで終わり(笑) スレッドを巻き止めてカットしましょう。

ここではZap-a-Gapを使っていますが、少し粘土の高い瞬間接着剤であれば他メーカーので大丈夫。フックシャンク全体に、特にアイ付近にも満遍なく薄めに塗ります。

塗ったらフックのアイ側からそっと押し付けます。ちなみに取り付け位置だけがとても重要で、このフォームボディの先端がフックアイと先端が揃う感じで、ボディとなる下腹は写真ぐらいの量が出るのが適当です。

ボディを綺麗に二つに折フックアイ側を押し付けて、仮止めした状態。ちなみに接着剤をつけすぎると、ポッパーの水を受ける穴が潰れちゃいます。接着はフックアイから下腹のみだけにします。

フックのベンド付近からテールまでの間は再度瞬間接着剤をボディに塗り挟んで止めます。だいたい10秒も押し付けてれば止まります。

ポッパーの口周りをマッキーで塗って完成。簡単でしょ?小さいサイズを作ればメッキアジなども釣れますし、ブルーギルも釣れます。いちばん小さくて#8くらい。大きくて#3/0くらいまで作れるかな。フックシャンクは若干長めのものを選ぶと良いと思います。

Bunny

お店のHPの変更作業を進めなきゃならんのに、年末に遠征を入れちゃったものだからタイイングも大忙し。昨日も仕事をひと段落した後に巻いたのだけれど、日に8本しか巻けない感じです。今までの在庫を考えるとそんなに大きなフライをたくさん巻く必要はないのだけれど、創作意欲があるときはバンバン巻かないとね。

ピカチュウみたいなこの派手派手、こんなのオオニベ 狙いで使うの?と言う感じのフライですが、多分使いません。が、私とは別の遠征組に使ってもらうために色々とタイイング中で、昨夜はバニーちゃん。黒と赤を使えばターポンバニー。ではこのフライで何を釣るのかは、後日遠征組の釣果を待ってご報告いたしましょうか。

フライのレシピは以下の通り。

Hook:Gamakatsu S10S-4H・#2/0
Thread:Uni-Thread 3/0
Tail:Rabbit Zonker Strip
Color:Backtail + Marabou+ Rabbit Zonker
Eyes:HMT Real Eye

ピカチュウカラーとの色違い。テールが絡まないようにするコツはラビットの下に何かしら硬い素材を使うようにするのがコツ。今回はバックテールを使いました。
もっといっぱい巻きたかったけれども、エポキシを塗るのに時間がかかるので、8本しか巻けませんでした。時間がないのでピッチを上げないと・・。