イブニングの時にどうしても釣りたくなったらウェットでダウンクロスの釣りをする私。ドライの目暗打ちよりも確実にアタリは出るので、やっている人は多いかと思う。皆それぞれ思い入れのフライがあると思うけれど、私の場合はこのグリズリーキングが神頼みのフライ。このフライは水面羽化のカディスが泳ぎ上がる姿だと思って私は使用頻度が高い。なのでボックスの中にあるこのフライが少なくなると、大体6〜10本ほど巻いて補充するようにしている。
皆さんもご存知のようにこのフェザーウイングのタイイングはとても厄介で難しい。ウング幅を持たせて綺麗に巻こうとすると、マテリアルを吟味しても綺麗に巻けるのは10本巻いてせいぜい3〜4本程度。残りは不細工でとてもネットでお見せできる代物ではない。で、このフライ達に私は巻きながら優劣をつけていく。写真のフライは『飾りフライ』として実戦部隊から外されて、もしもの時の狙撃兵となる。
ウェットフライはその姿に魅力されて巻き始める人が多いわけだから、”傑作だ!”と思った一本はこの飾りフライになることが多い。実戦部隊は大体2番兵か3番兵あたりになるだろう。そしてまかり間違って尺上などをキャッチしたりすると仲間に必ず、
「フライは何を使ったんですか?」と、聞かれるわけである。
その時に見せるのが『飾りフライ』。そして期待の言葉が返ってくる訳で、「うぁ〜、こんな綺麗なフライで釣れるんだね、俺もそのフライで釣ってみたいな。」と言われ優越感にひ浸る。もちろん、”よかったらあげるよ”、と言ってフライを差し出すけれど、この時差し出すのは一番不細工な10番兵を渡すのだ(笑)。
もっとも、フェザーウイングのウェットの場合は、よほどウイングのつけ方が変でない限り、見栄えは釣果に関係ない。だから提供したフライでも十分釣れるのだが、やっぱり自分が使う時は綺麗なフライで釣りたいのが信条である。だから、この写真の裏には必ず不細工な10番手があり、私だっていつでも綺麗なウェットが巻き上げられるわけではないのです。
そして吟味して使ったマラードウイングの余り。もったいないので余ったものと睨めっこしながら毎回創作に励む。今回はティムコから出たストレッチボディの使い心地を試したかったので、こんな感じのヒラタカゲロウのスピナーをこしらえてみた。次回はセッジかトルードのウイングにでもしてみますか。皆さんも余ったマテリアルで創作してみてね。