冬期C&Rはブームなのか、行った事がない渡良瀬川のC&R釣り場へ行ってみた

ブームが来た!と言うよりは、漁協がようやくようやく気づいたって感じ? 内水面漁協で本当に漁業を生業にしている人なんてごく一部だから、実際のところ私に言わせればほとんどの漁協は「管理釣り場協同組合」みたいなものだって事。その漁協が冬は鮭鱒類が禁漁だから他のお魚を放流して楽しんじゃいましょう的な感じになってきた。もっとも禁漁期になって高い管理釣り場の料金を毎週支払うのは、魚を全てリリースしてしまう私達にとってはチョット高いと言うもの。その点漁協が管理するC&Rは管釣りよりもお得に遊べるし、年券所持者はそのまま楽しめると言う利点があるのです(別料金の場合もあります)。

今回訪れた『渡良瀬漁協管轄渡良瀬川C&Rエリア』は、告知がほとんどなく、かなり控えめな感じで実際現場に行っても看板なんてものはありません。なので地元民の年券所持者が楽しむ釣り場といったエリアです。

車で行く場合は北関東自動車道太田桐生ICを降りてすぐの場所で、丁度その北関東自動車道の橋脚下が一番の人気ポイント。電車であれば東武伊勢崎線の野州山辺駅から歩いて10分ほどでC&R区間の最下流部である、森高千里の曲で有名な『渡良瀬橋』に出られます。八雲神社もすぐそばですから、この曲の聖地巡礼って感じですな。ちなみにC&R区間は下流から渡良瀬橋→緑橋→高速下(橋)→鹿島橋の区間で約6kmの区間。

以下はユルユルな釣行で写真は少なめ、渡良瀬川C&Rとその翌日のお話デス。これから行かれる方の少しは参考になるかなぁ。

渡良瀬川漁協
渡良瀬川は上流部に両毛漁協とその下流にはこの渡良瀬漁協があります。渡良瀬漁協は主に鮎を主体としてる川なので、地元の鮎師が年券を買ってその年の冬の遊びとしてこの冬期C&Rがオマケで付いてくる感じ。僕らは日釣り券で¥1,500をフィッシュパスで支払い釣りを開始。今回駐車したのはちょうど北関東自動車道太田桐生IC付近に掛かる橋の真下。それ以外に右岸側上流には渡良瀬パークゴルフ場の駐車場、下流部には借宿緑地にある駐車場が利用できます。左岸側には駐車場はありません。
シングルハンドでスイング
ダブルハンドのスイングで狙うつもりでしたが、またやらかしましてリール忘れ。よって私だけ予備で持って行ったシングルハンドでのスイング。でも普通のラインだからラインの重さが足りずシングルハンドスペイが辛かった・・。レインボーをスイングで狙う場合、私の定番フライは黒であればなんでもOK。主にゾンカー、ウーリバガーで狙います。濡れた姿はただの毛むくじゃら。
高速下は放流ポイントで混んでいたので、私は歩いて鹿島橋まで行き、そこからステップダウン(流しては少しずつ下流へ行く)するやり方。しばらくするとガツーンと言うアタリと共に2Xがぶっち切られました。お魚大きいのかな?と思い0X(3号)まで太くしてもう一度上流に戻り、またステップダウン。すると同じ場所よりやや下流でコヤツがヒット。ここで放流されているレインボーの名前は「頂鱒(イタダキマス)」と言う駄洒落ネーム。
頂鱒(イタダキマス)
食べたら美味しい魚らしいですが、この場所は12月末まではC&R(キャッチ&リリース)。それ以降は持ち帰りOKになります。魚は最大で70センチ近くまで放流されているとの事。コイツはスコットの20インチマークを余裕で超える55cmアップって所かな。フライはブラックのゾンカー。
キャスティング
一本取ったところで私はマッキーのダブルハンド講習に。キャストする姿を見ながら修正点を告げるのですが、彼には相当うるさく聞こえたかと思います。後に教える立場になってもらう人なのだから、仕方ないか・・。
高速下
まだ放流が一回しかされていないので、一番放流量の多い高速道路下はこんな感じ。ダブルハンドの人は橋の下流側を延々とスイングすることができます。さらに左岸へ渡ってしまえば緑橋を経て渡良瀬橋までポイントが広がります。今回はまだ魚が少ないのでこの周辺のみですが、放流二回目以降になれば釣れるポイントも広がり良く釣れるようになるとの漁協さんの談。僕らはこの人混みでスイングを半ば諦めて消化不良でこの日は終了。
ソルトフライの残骸。
翌日も休みだったので、久しぶりのお車掃除。私の車はUSAの釣りガイドの車のようにフライを刺しまくっているんですが、ソルトフライだけでご覧の通り。これを見て思うことは、シーバスが私を呼んでいます。
使ったフライたち
渓流や湖のフライはご覧の通り。一年で随分とフライを消耗する、というか使っては交換しているのですね。色々と予定があったこの日ですが、ことごとくその用事を済ませることができず時間が空いてしまった。昨日は消化不良だったし、このフライたちを成仏させるために午後から少しだけ管釣りへいきましょうか。
MSCマラブー
で、すぐに行けて少し遊べる場所といえば朝霞ガーデン。3時間券を購入し、最初はドライを投げてました。しかし反応があまりにも渋く魚の魚信が欲しいので、パッチにくっ付いていたタン系のMSCマラブーに変更。すると入れ食い状態に。このフライがあれば今週末のワンフライトーナメントは優勝だな!(って行っても私は運営側なので、参加できませんが・・)
朝霞ガーデンのレインボートラウト
現在の朝霞でのヒットパターンはフローティングラインで若干沈めてやや早引き。ワンキャスト1ヒットですぐにツ抜け。最大は40センチオーバーサイズがきました。3時間券を買ったけれど、1時間ほどで飽きてしまったので、退散しました。
朝霞ガーデンの釣り
渓流シーズンよりも秋の方が忙しい私。今週はこの二日間の釣りでしたが、この週末の日曜日はリヴァースポット早戸川に行き、開けて火曜日はまた別のC&R視察。そしてその数日後には朝シーバスという具合で、三日に1度釣りへ行くペース。おかげで毎日爆睡できる秋の夜長。昨今はそこらじゅうに遊べるC&Rがあるので、皆さんも楽しんでくださいまし!

アカハタをフライフィッシングで狙ってみたら面白かった件(相模湾編)

赤いマフラ〜なびかせて〜♪」と主題歌が流れると白黒画面に現れるサイボーグ009。後のカラー放送ではそのマフラーが黄色になっていて、ツッコミを入れたことはありませんか(昭和世代でないとわからないネタ)? それとは逆に、「赤いスイートピー」の歌が流行った頃にそんなものは存在せず、後にその歌に合わせて赤のスイートピーが作られたという、逆バージョンのようなお話もあります。

今回のお話はその真っ赤っかのお魚の代表格であるアカハタのお話。日本共産党とは全く関係の無いお魚をフライフィッシングで狙ってみようかという新しい試みです。

そもそも何でアカハタを狙うことになったかといえば、近年シーバスのボートフィッシングが人気の為、その繁忙期である10〜12月初旬に船の予約が取りにくくなったので、他の遊びを探してみようと思ったのがそのキッカケ。夏の間は忙しい丸伊丸さんが10月以降は閑散期に入るので平日だと3名出船で¥36,000で遊べてしまう(土日でも6名で¥60,000)ということもあって、それを利用して何か遊べないかなと。普段は大勢で乗る、あの大きい船にも関わらず少人数で7時間も遊べるのです。船長に「何か釣らせて!」とだけ伝えて予約すると、アカハタが引きが強くて面白いとのこと。フム、ではそれをメインに組み立てて出船してみようではないか、となった訳です。

今回初めてフライフィッシングでアカハタを狙ったのですが、いやぁ思いの外ツボにハマり、面白くて美味しい釣り(ハタ科の魚は何を食べても美味しい!)。この釣りはキャスティングが苦手な方でもできる事が分かりましたので、少し紹介していきたいと思います。お暇な方はこんな釣り方もあるのだなと、サラッと見てくださいまし。


アカハタ狙いのフライフィッシングタックル

ロッド:9フィート6〜8番
ライン:シンキングライン・タイプ5〜8
*シンキングラインのタイプとは沈むスピードの事。タイプ5であれば1秒間に5インチ(約13センチ)沈むということ。
*ロッドとラインに関してはカマス用のフライタックルそのまんまで釣りができます
リーダー:9feet 0X〜02X
ティペット:3〜5号(12〜16LB)50cm
フライサイズ:#2〜#2/0(これより小さくすると外道が掛かります)

キャスティングについて:決してラインは全部投げる必要はありませんので、10mも投げれれば十分です。ただし、水深7〜15mを釣るので、シンキングラインを全部出して(約25m)潮に乗せて釣ります。キャスティングできる人はラインが絡まないようにできるだけ遠投しましょう

ラインについて:市販のラインでタイプ5以上であればなんでも大丈夫ですが、潮が早い時を考えて沈むスピードの違うシンキングラインを2本用意した方が良いでしょう(予備の意味も込めて)。ウェットセルなどの短いシンキングラインは長さが若干足りないので、フライラインの端にランニングラインを10mほど足しておきましょう。そうすることで、手繰る部分が増えます。おすすめはエアフロのシックスセンスで、ラインが長いので改造する必要がありません

リーダーについて:リーダーは9フィート以下でも大丈夫。ナイロンリーダーでも構いませんが、アタリが取りやすいのはフロロカーボンリーダーです。

ティペット:伸びの少ないフロロカーボンが良いでしょう

フライ:エビやカニ、小魚をイメージした、少しボリュームがあるフライをタイイングしましょう。カラーはルアーのアタリカラーを参考にすると良いです(エビっぽいカラーがお勧め)。市販の完成品フライはありません(要望があれば、マッキーがタイイングしてくれるかもしれません)

以下は今回の釣行記ですので、どんな感じなのかを見ていきましょう。

長井荒崎港の丸伊丸
まずは丸伊丸さんに「根魚をフライで釣らせて!」と伝えて、予約しましょう。普段この船に僕らは10〜15名ほど乗って釣りをしているので、6名だと広々使えます。釣りをする時はフライなので片舷だけになります。船長の指示に従って(基本は左舷側)片側だけで釣りをしましょう。
潮と風
マダイのビシマでの釣りを知っている方はソレを想像してください。船はどてら流し(船に風を受けて横向きに流れていく)です。フライは他の釣り方と違いオモリが一点集中では無く、フライライン全体がオモリになるので、潮に乗せてフライラインが斜めに入る状態を作り出します。舟底へフライラインが潜り込んでしまうような場合は潮が逆なので、その場合はラインが外へ払い出す側の舷が釣り座になります。潮と風が噛み合わない事もありますが、全くダメな場合を考えてルアーロッドを一本予備として持っていくのも良いでしょう。昨日は数時間だけ噛み合わない時間帯がありましたが、それも釣りなので、楽しまないとね。
エビっぽいフライ(エビフライ?)
フライをキャスト後カウントを大体30〜50秒もすれば底に着きます(潮の早さにもよります)。フライはガード付きのエビっぽいものを使うので、根掛かりは稀です。フライロッドの先に違和感を感じたらそれが底ですので、効きアワセするように軽くリトリーブするとそれが誘いになり「ググッ!」という明確なアタリが出ますのでアワセましょう。コツコツとアタるのは口の小さい外道です。その外道を釣りたい場合はフックサイズを6番ほどに落とすと色々な魚が釣れます。ラインは常に張った状態ですから、少しずつリトリーブすると、そのうち全くラインに違和感を感じなくなります。それ以降は底を切って上に上がってくるだけなので、もう一度キャストし直しましょう。タナを切っての最後のリトリーブ最中にはその他の魚が掛かってきます。
アカハタがヒット
魚が乗ったら根に潜られないように、最初のひとのしはラインを根から引き剥がすようにラインをたぐります。(丸伊丸船長撮影)
アカハタ
アカハタは20〜40センチくらい。25センチ以下はリリースを心がけましょう。このアカハタは開始一投目で釣れました。水深10mほどでカウントは40秒です。口からは10センチほどの伊勢エビが出て来たので、その大食漢が伺えます。
相模湾の浅い場所
水深が浅いところだと太陽が出るとこんな感じでそこが見えています。目を凝らすと何やら大きな魚が泳いでいたりして。海では何が掛かるかわからないので、上がってくるまではわからないドキドキ感があり、その最中の引き具合で何の魚か想像しながら手繰ります。
フライで釣るカサゴ
釣れる根魚はアカハタの他にカサゴなども。釣れる度にどんな料理にして食べようかと考えてしまいます。
エソ
今回釣れた外道はエソの他にフエフキダイや小さなお魚などなど。アタリだけは常にあるので、管釣りで楽しむシンキングラインの釣りよりも楽しいかも?
オオモンハタ
オオモンハタはタナを切って少し上を引くと喰いついて来ます。アカハタよりも少しさっぱりしたお刺身でした。
アカハタ
今回の最大サイズは40センチ弱までで平均30センチ前後。フライはボリュームがあった方が良い感じでフックサイズを大きくすると小物が避けられます。
オオモンハタ
私もオオモンハタがヒット。アカハタとの食べ比べをしましたが、どっちも酒蒸しは美味かったなぁ。
アカハタのフライフィッシング
おメメの周りにアイシャドウが入っており、胸鰭はウチワの様なアカハタは根魚界隈のアイドルといった風貌でとてもカワイイ(食べちゃいましたけれど・・)。結果終わってみれば面白いぐらいにアタリがあり沢山釣れたので、食べたくなったらまた行く事でしょう。やってみたい方が多いようであればお店で丸伊丸をチャーターするかもしれません。また初チャレンジだけに伸びしろしかないこの釣りですから、皆さんで大いに盛り上げていきましょう。

横浜の海でシーバスを釣りながら富士山の初冠雪を楽しむ

シークロのリュウちゃんがこう言うのである。
「まずはA面(タンカーの風の当たる側の面)を攻めてみましょう。」

その言葉に反応し、すぐに思い浮かんだ曲を口ずさみながら私はキャストする。
「A面で恋をして〜♪ウィンクのマシンガンで僕の胸を打ち抜いてよ〜♪」

世代的に近いリュウちゃんはすぐに反応するけれど、一緒に乗った若いお客さんは何の事だか分からない。本日のシーバスも似たようなもので、フローティングミノーに劇的に反応する個体もいればノロノロと付いてくるだけで鈍感な反応のヤツもおり、どの個体がスイッチが入るのかわかりゃしない。それが本日のシーバスくん。

早朝シーバスの好条件は、ベイト(餌となる小魚)・曇天・潮の動き・微風などなど。本日はこの好条件要素のうちのベイトと曇天で、それに時々微風でシーバスのスイッチが入るという具合。沖のタンカー周りで船ベリギリギリにフローティングミノーを通すとガバチョ!と出るのだが、よく見ると船艇の赤い塗料に並行してゴミのようなものが動いており、それがシーバスが捕食しているカタクチイワシ。その動きは底石に張り付くヨシノボリやヌマチチブみたいで、動いては止まっての繰り返しで決して船から離れない。その様子を見ているとフローティングミノーはベタ付けでキャストしなくてはいけないと察しが付く。

ベイトとなる魚の行動が分かれば、僕らはそれを真似てリトリーブすれば釣れると言うもの。気がつけば連発バイトがあり釣れる釣りは楽しいなぁ。気分が良くなるとまた私はまた昭和歌謡をつい口ずさむのである。

「唇 つんと尖らせて〜♪何かたくらむ表情は〜♪」
あれ?これはナイアガラ・トライアングルではなく、大瀧詠一でしたな。世代でないと分からないお話でゴメンナサイ。

そんな感じで余裕が出てきて船長と馬鹿話を続けていると、遠くの山々の隙間から一際高い顔を覗かせる富士山の姿。二日前は赤茶けた夏の顔をしていた富士山が、今日は山頂から少しだけ粉砂糖を掛けたケーキのよう。あぁ、もう秋なんだな。シーバスのシーズンを感じつつ、本栖湖シーズンも開幕したことを実感した本日出勤前の釣りでした。

横浜の海
出船は5時だったけれど、釣りばかり行っている私には日増しに陽が短くなっているのがわかる。本日はいかがかな?
シークロ
最近のシークロといえばリュウちゃん。これからは繁忙期なのでお休みがなくなるので、11月になる頃には人相が変わっているかもよ(笑)
リトリーブ
タンカーの際っきわにフローティングミノーを打ち込み、タンカーと並行して引くのですが、引いているスピードや、その動きも重要なんです。
シーバス
フローティングミノーで拾い釣りをすると、たまにこんな良いサイズが混じります。普段はニコパチを撮ることはないんですが、リュウちゃんがいると撮ってくれます。
東京湾のシーバス
サイズは45〜60センチ前後まで。パターンがはまればシーバスはもんどりうって出てきます。曇天が良かったのか、今日はいっぱいツレマシタ!
エンリコミノー
フローティングミノーでの釣りが飽きちゃったので、途中でエンリコミノーにインターミディエイトのタックルに変更。しかし少し沈めるスタイルに変えたのに、フライが水中へ没する前に下からシーバスが突き上げるので、エンリコミノーが空中に舞い上がってしまいます(笑) 水に馴染み始めてようやくヒットが続きます。
シーバス
最終的にはこんなサイズがドーンと出て大満足。今日はこれにて終了。
フライボックスの中身
一緒に行ったお客様のボックスを少し拝見。フライボックスには皆の夢が詰まっています。
シーバスボート
シーバスは完全にシーズンインしました。すでにボートの予約は一杯でしょうから、考える前に予約表の隙間へボート予約をねじ込んでしまいましょう。ボートの予約が入るほど、リュウちゃんのお休みは奪われますが・・(笑)

富士山のお膝元に流れる湧水の川、芝川のC&Rでレインボートラウトと戯れてみる

10月に入ってしまうと渓流のフライフィッシングしかやらない方々は静まり返ってしまうのですが、私の若かりし頃はそれでもしゃかりきになって釣り場を探して出かけたものでした。

関東近郊で10月を過ぎても釣りができる河川は静岡県と神奈川県の一部にあり、神奈川の酒匂川水系上流の玄倉川や世附川などが14日まで。静岡県だと河津川は31日までで、潤井川や芝川は14日まで楽しめます。この静岡にある潤井川は富士山の大沢崩れから来る流れで、要所から湧き出る湧水により下流部ほど豊かな流れになります。芝川は多くの管釣りのニジマス類を支える富士養鱒場が上流部にあり、その少し下流にある小学校の裏手でライズするトラウトをよく狙っていました。

がしかし、私が若い頃に通った経験からすると10月に入ると特にヤマメやアマゴは産卵期に入るので、大物は婚姻色が出ていて喰いがとても渋く、釣れるのは産卵に参加しない一年生の猛攻ばかり。産卵前に親魚をいじめるのも気が引けるので、一般河川で10月の渓魚釣りは次第に遠のいてしまったのです。

さて10月に入った事だし新たな話題を提供しなくては皆さんに釣りへ行ってもらえないので、今回は富士宮市を流れる富士の湧水を蓄えた芝川のC&Rを訪ねてみることにしました。この秋の選択肢の一つとして覚えておいてください。


芝川観光非出資漁業協同特別区

場所:〒419-0313 静岡県富士宮市西山872−1
(芝川西山簡易郵便局で入漁証購入)
TEL:0544-65-0640
期間:通年
時間:朝8時〜夕方5時まで(腕章を購入、返却できる時間)
釣り方:フライフィッシング・テンカラ・ルアー(オールキャッチ&リリース)
詳細は漁協のHPにて

富士山
東名高速道路の足柄パーキングエリアから富士山を望む。冠雪はまだなので夕方には赤富士になるのかな。新富士料金所を経て西富士道路を北に走るのですが、その道すがらに見える富士山が立派なこと。富士宮市の方々は毎日この眺望が見られると思うと羨ましい。
芝川西山簡易郵便局
入漁証を購入する郵便局の住所を設定するとここに辿り着きます。簡易郵便局なのでなんでもあるよろず屋さんといった感じ。車は真向かいにある芝川スポーツ広場駐車場に停めます。
入漁証
入漁料は¥2,000(年券を持っている方は¥1,500)で腕章の補償金¥1,000を支払います。釣りが終わった後に腕章を返せば、¥1,000は戻ります。私は本日の3人目らしい。
芝川C&R
入漁証を購入した郵便局のすぐ上流に橋があるのですが、その上流100mは禁漁でC&Rはその上から上流約1キロくらいの区間になります。釣りはこの看板がある場所から上流を釣りすることができます。入渓するには左岸側にある林道を歩いてしばらく行くと、階段になった降りられる場所が出てきます。
入渓点
入渓点はこんな感じ。一つ問題があるとすれば、この入渓点以外から途中入渓することが出来ず(最上流部に退渓点があるそうです)川通しに歩くのですが、川原の雑草がボウボウに生えているので、先行者がいると声を掛けて抜くにしても抜きづらい環境です。
芝川のC&R
すでにテンカラの方が上流部にいらっしゃったので、私は一番下流へ降りてゆっくりと攻めることにしました。この辺が大体最下流部の流れ。目印は小さな堰堤らしいのですが、埋まっているので右岸側に僅かにその堰堤の跡らしきものが少し見えるだけでした。
レインボートラウト
とりあえず何を投げたら良いかわからないので、秋の定番であるバッタ(ホッパー)を投げることに。すると早瀬の中からこんなおチビちゃんが随所から現れます。早瀬で泳いでいる締まった個体のせいか、やたらと引いて楽しませてくれます。
芝川C&Rの中流域の流れ
流れの緩いポイントでは大物が悠々と泳ぐ姿が見えているものの、ドライへの反応は全くなく逃げ回っている状態なので上を目指して登っていきます。早瀬ではどの場所でも20〜25センチくらいの個体が釣れるのですが、ホッパーは大き過ぎてフッキングが悪いので、14番のソラックスメイフライパターンに変えて、数釣りを楽しみました。
レインボートラウト
上流を目指してずっと進もうと思いましたが、先行者の足が止まり動かないので、一旦下流へ下がりライズしている個体を探して楽しむ事に。緩い流れでライズする個体は#20のコンパラダンでヒットしますが渋々。一本釣るとポイントを10分は休めないと再びライズが始まりません。とは言うものの、冷たい水に待っていると、また始まるライズのハントは楽しいですなぁ。
グラスホッパー
大物は釣れないし午前中の数釣りで飽きちゃったので、お昼過ぎには本栖湖へカメムシを浮かべに移動しようかと後輩に提案したところ、その途端のゴボッというライズ音が。「もしかして時合いがきたかも?」と言うことで、あと1時間だけ楽しむことに。するとさっきまで底にへばりついていた大物が中層に浮き、忙しく何かを食べている様子。こりゃバッタだね。
レインボートラウト
フライを再び大きめのホッパーに戻し、何度も流しアピールすると突然ドバッと水面を割って食いついてきたのがコヤツ。フィッシュポンドのミッドレングスリバーアーマーネットのネット長が475mmだから、60cm弱って感じでしょうか。4番ロッドなので重々しい引きを楽しめました。
レインボートラウト
この時合いを逃すまいと後輩も続けてヒット。サイズが良いので寄せてくるのも一苦労。それにしても前日に後輩が購入したこのネットは大物を救うのには柄が長いしラバーネットで本体は浮くので、とても使いやすかったデス。
レインボートラウト2
ランディングされたこの子もドーンと立派なサイズ。フライロッドのグリップがとても小さく感じます。
レインボートラウト3
それぞれ大物をキャッチ出来たことで満足し、僕らは早上がりして浅間神社(せんげんじんじゃ)近くで富士宮焼きそばを堪能して帰るのでありました。帰ってみてわかったことは本日が放流日だそうで、皆さんが行く時は僕らほど苦労せずに大物がキャッチできる事でしょう。ホッパーパターンを忘れずに巻いてくださいな。風が吹くとバッタが落ちます。

イエローストーン国立公園北ゲートから入った時に攻める川と宿の場所などの話

先だってのモンタナ釣行は円安の為に日程を短くしたビンボー旅行です。例えば空港で水を一本買うと$3.75(¥560)もしますので、その水さえも貴重です。なので水はスーパーでペットボトル24本(500ml)をセールで$4.00(¥600)しかしない商品を買い込んで、レンタカーのピックアップトラックの中に積みっぱなしにします(水の価格差は尋常じゃないので、スーパーで一気に大量買い)。昼飯の食料はビビさんにクーラーを借りて(いつもは人数が多いのでクーラーを買って頭割りします)、その中に氷と共に仕舞い込みます。昼食は一番安いパンとソーセージやベーコンにレタス。さらにマヨネーズやその他調味料を購入するやり方です。と言っても今回に限らず毎回昼食はそんな方法で安く済ませて夕飯にお金をかけるのです。でも今回はその夕食さえお金が掛けらないのでスーパーで冷凍食品を買い込み、宿にある備え付けの電子レンジでチンしてて食べた日々でした。

そんな塩梅なので滞在中に掛かった費用はガイドフィーがそのほとんどで、それ以外は結果的にいつも以上にコストはかかりませんでした。ガイドを釣行を一日のみとしたことで、あとは行き慣れた河川に行くというパターン。しかしその入漁証も安く済ませる為にあっちこっちに行かず、後半はイエローストーン国立公園で集中的に釣りをする事となりました。

前にもお話ししましたが、公園内に入場するにはその入場料(7日券で$20)と釣り券(3日券で$40で7日券は$55)掛かるので、3日間釣りをすると1日あたり$20(¥3,000)掛かる計算です。フィッシングフィーは年々高くなっていますので、7日券を買って釣行のほとんどを公園内に費やすのも一つの手かもしれません。

国立公園内で釣るメリットがあるとすれば、細かいルールがあるにせよ所定の場所に車を置けば大抵の場所は釣りができるしお魚はいるので、初めての人でもガイドなしでも十分に釣れると私は思います。ちなみに釣り券に関してはビビさんのいるダンベイリーで彼女に頼めば誰でも安心して日本語で購入できるでしょう(パーク内に入る時の入場料は入場ゲートで購入します)。

ちなみにリビングストンに滞在すると宿は安いのですが、国立公園内マモースとリビングストンとの距離は往復約120マイル。さらに釣り場まで往復50マイルほどあり、片道約136kmなので安全運転では約2時間の道のり。運転好きの私には景色を楽しみながらの道のりなのですが、それが毎日なので疲労やその時間がもったいないと感じる方は宿泊代が倍近くになりますが、ガーディナークックシティに泊まるのが良いでしょう。

さて、残りのモンタナ滞在記はそんなイエローストーン国立公園内の釣りをざっと紹介します。お暇な方はどうぞご覧くださいまし。

インディアン・ペールエール
いつもは色々なクラフトビールを買い込んでビールを楽しむのですが、同行のMr.Kはゲコなので呑むのは私だけ。なので酒代も極めて切り詰めて安ビールを宿に持ち込み、12本しか飲みませんでした。あれ、多いかな・・。
ルーズベルトアーチ
北ゲートにあるルーズベルトアーチをくぐり、いざイエローストーン国立公園内へ。少し走ると入場ゲートがあるので、車に乗ったまま入園料を払います。受け取った地図とホチキスで止められたレシートが、以後7日間の入場パス。
今回の相棒はホンダのリッジライン・ダブルキャブ。「釣りで汚すよ!」とレンタカーの人に伝えたらこれを与えられたのです。荷台にはカバーがあり、クーラーやらウェーダーやらをそこに投げ込み放題。まさに釣り向きの車なんですが高いんですよこの車、$4〜$5万します。
スルークリーク
北ゲートから入った場合、主にメインに川はラマー・スルー・ソーダビュート。マモースの街の下にガードナリバーがありますが、谷が深く行かれる方は少ないです(日本ぽい波だった場所が多く、そのポケットを釣っていく釣りで、レインボーやブラウントラウトになります)。私はその中でこのスルークリークが大好き。しかし、このペローんとした流れでライズする魚を相手にするので、ふだん桂川の忍野地区でヤマメだけ狙っている人向きとでも言いましょうか、難しいんです。
スルークリーク
今回のスルークリークはライズする個体が全体の半分もいません。やる気のあるヤツを見つけて、クルージングのサイクルを見測り絶妙なタイミングにフライが落ちた時にバイトします。BWOが飛んでいるものかとそれらのフライをたくさん巻いていったのに、実際にはグリーンドレイクがポツポツハッチしている程度。
ソーダビュート
ソーダビュートの流れは25年前と比べると浅く水量が無く深みが少ないです。なのでポイントからポイントまでがとても遠く、ただひたすら歩くイメージ。
ソーダビュートの流れ
一つのポイントを狙ったあとは、次のポイントはあんなに上かと思うほど遠いのです。それでも結果が出れば良いのですが、時間とタイミングなのでドライフライオンリーだと釣れない時間が続きます。
カットスロートトラウト
いっぱいあるいでナンボ。そう考えると普段不摂生している人は標高も高いし、すぐに息が上がっちゃうでしょう。ちなみにいつも9月頭のレイバーデー(勤労感謝の日)明けを狙って行くのですが、アメリカ国民は連休を取りこぞって訪れるので場所によっては管釣りなみに混んでます。だから、人のいない場所=道路から遠い場所、となります。どうかオオカミに会いませんように、と思いつつ歩きまわります(昔よりも増えたのです)。
ソーダビュート
いくら歩いてもポイントからポイントが遠すぎて、初めて入った場所は2時間ほど釣り上がって見切りをつけ、退却することに決めました。でも空気がカラッとしているので汗はほとんどかきません。
ラマーリバー
写真の場所はラマーリバーとソーダビュートの合流点。奥に見える流れが本流でラマーリバー。あの合流点はつれそうだなぁと思いつつ、一旦下りながら良さげなポイントを探ります。
セージの草原
こんなセージの草っ原をずっと歩いて川へ向かいます。これは釣り終えた時に車へ戻る写真なので、前に見える丘との間に道があります。時にバイソン(バッファロー)がその行手を阻み、迂回することもしばしば。ちなみにバイソンはクローバーが大好き。
カットスロートトラウト
慣れない川で苦労した彼もなんとかカットスロートトラウトをキャッチ。そのパターンがわかるまでとても苦労していた様です。
ホッパーパターン
パターンがわかってしまえばこっちのもの。時合いがくれば入れ喰いです。最初はエルクヘアカディスなどを投げていた彼ですが、バッタに変えた途端にお魚は狂ったように反応します。
グラスホッパー
風もなく無音の世界に一つだけこだまする音、それがこのバッタが羽ばたく音なんです。飛んでいる最中に「チキチキッ」という音を連続して奏でます。時に飛びすぎて川面に落ちるヤツがおり、さらに泳いで岸へ行こうとするので、その波紋が立つのです。魚にアピールしてしまうので、落ちると喰われちゃうんですね。
カットスロートトラウト
パターンが分かってしまえばこっちのもの。魚の食性に訴えてイワナっぽい性格を持つカットスロートのポイントに向かってキャストすれば、ハイご覧の通り。これが彼の最大魚です。
カットスロートトラウト
こんな感じで毎日イエローストーンパーク内を方々歩いてはリビングストンへ帰るという毎日を最後の日まで過ごしました。今シーズンはそろそろ雪が降るのでお終いですが、来年以降にこんな釣りを計画してみてはいかがでしょう? ハーミットはできる限りアドバイスいたします。またその逆に世界の素晴らしい釣り場を知っている皆様には、是非ともそのお話を聞きせて頂けると嬉しいです。

カメムシは緑色と決めつけてはいけない、丸沼のドライフライフィッシング

気がつけば今月は今週でもうおしまい。ようやく涼しくなるのかと思ったら、今週はまた暑いそうな。それはそれでビールが美味しく飲めるかな、なんてポジティブに考えるようにしています。

先週は野反湖で命の洗濯をしてきたのですが、私は釣果がありません。今週は野暮用が多すぎて釣りプランを立てることが出来ず、結局「野反湖」の道具を積んでいたのでそのまま使うことになるけれど、何ができるかな? 考えた結果、今週もカメムシフライに頼って見るしかなかったので、その場所を変えて丸沼へと車を走らせた火曜日。

入漁証とボートの支払い時に環湖荘のスタッフに最近の状況をお聞きすると、すでに朝の気温は5℃だそうな。季節は進んでないように見えて山々の天気は例年通りのようで、木々の緑が少し黄色く色づき始めました。

気温が上がるまでは何にも無いだろうと、それまでは急深の岸際を回遊するレインボーを探してのサイトフィッシング、一撃必殺パターン。お魚はいるのですが例年よりも一回り小さく25〜30センチ前後でフッキングしない個体が多い。仕方なくフライサイズを下げて何本かのレインボーをゲット。

気温が上がるとブヨっぽい小さな黒い虫と、茶色い虫が水面に落ちているが、朝早く出てきた為に近い場所の焦点が合わず目がショボショボでなんだかよく分からない。ライズは時折起こるものの、肝心のカメムシは落ちてないんだなぁと思い、茶色いおパターンを投げていたら、ものすごく反応が良かった。今日はカメムシの日じゃ無いんだなと思ってましたヨ。

サイズはどんなに頑張っても40センチに届かなくかどうかの個体が最大。魚のコンディションも胸鰭がない個体が多く、いくら釣ってもそんな調子だったのでモチベーションが下がり始め、ツ抜けしたところで早上がりすることにした。帰り際に浮いている茶色い虫を見つけたので、それを拾い次回の釣りに繋げようとネットで拾い上げて写真を撮り始めた。あれ?なんか見慣れた形。よく見ればいつもよりもかなり小さい茶色いカメムシじゃあ〜りませんか!

思い込みと老眼はフライフィッシングの天敵だと思った今回の丸沼でした・・。

次回の為に茶色いカメムシを巻きます。

丸沼ダムサイト
初めて丸沼のダムに立ってみた。といっても鉄格子の隙間からカメラを入れて見た写真。さっきまで写真に見える場所で釣っていたんだよね(帰り際に撮りました)。
大尻沼と丸沼
写真の案内板の様に丸沼と大尻沼はダムがあるだけで繋がっています。その落差は20〜30mくらいかな?大尻沼の解禁は隔年なので来年解禁します。
丸沼の釣り
丸沼の解禁日は毎年異なりますが、だいたいゴールデンウィークの頃で11月末日まで釣りができます。入漁料は大人¥2,500で、ドライフライフィッシングを楽しむ場合はボート利用が断然有利。ボート代は¥2,900掛かります。丸沼はそこそこ大きいので、エレキを持っている方は持って行ったほうが良いでしょう。入漁証は朝6時半ごろから買えますが、あまり早く行っても朝は寒くて何もありません。
オールとライジャケ
環湖荘で料金を払ったら、ボート置き場から少し離れた場所にこんかバンがあります。ここからオールを持って行きボートに備えます。ライジャケがない方は同時にここで借ります。使い終わったらきちんと戻しましょう。
丸沼の釣り
こんな青い空の写真を出すとさぞ天気が良かったのだろうと思われてしまいますが、コレは帰り間際の写真。朝からずっと曇りでお昼は雨が降っていました。そんな天気だったのでむしろドライへの反応は良かったのだと思います。水中写真を撮った直後なので水滴が写ちゃってます。
カワムツ
フライを小さくし過ぎると、恒例のカワムツくん。岸ギリギリを狙うとコヤツが釣れちゃいます。沖で起こる散発ライズはレインボートラウトです。
レインボートラウト
考えてみれば前回もモホークが良かった話を書いたかも? フライパターンはフォームビートルの他にモホークを巻きましょう。時間を見つけてタイイングティップスに記載しますので、しばしお待ちを。
ボートフィッシング
一緒に行った後輩は沖で連発しているんです。「何使っているの?」と問うと、「カメムシパターンですよ、茶色だけれど・・。」と言う。確かになんか茶色いもの落ちてたしね。
茶色いカメムシ
初老の私は小さいものに目を凝らすのが苦手なんです。なので、虫を掬ってマクロレンズで引き延ばして後で見ればいいやと網に入れると、よく見ればカメムシじゃありませんか!それも、いつもよりもグッと小さく、フックサイズでいえば12番ぐらいかな?念の為ひっくり返してみるとお腹は鮮やかなオレンジではなく、ブラウンオレンジ、あるいはブラウンオリーブといった感じ。
レインボートラウト
お魚はいっぱい釣れたけれど、胸鰭が無い個体が多いのが残念。サイトで岸際の魚を探しても、泳いでいるのは最大で40センチくらいしかない。大尻沼の大きさと比べたら、かなり寂しい・・。
レインボートラウト
帰り際に掬ったカメムシを船の上に乗せて写真を撮っていたら、別のカメムシがまた舞い込んでくる。でもみんな同じ茶色。浮いている姿勢をよくみるとひっくり返ってもがいているもの。また、温泉にでも浸かっているかのようにじっと動かず羽を少し広げて大きく見せているものなど、その浮いている姿勢は多様だった。いずれにせよサイズを気にしなければ、今が丸沼の旬です。真面目に釣ったら相当数のレインボーが釣れる事間違いなし!と言いたいですが、あとはお魚とお天道様のご機嫌次第です。今週末は丸沼へGo!

 

Main Boulder River / ボルダーリバー

前回のブログで書いたモンタナ釣行のお話は実は二日目の話で、到着翌日はこれから始まる釣りに必要なランチ食材の買い出しやら釣り券の購入やらで色々と準備をしなきゃならんのです。だから釣りは午後から適当に知っている川へ入ろうかなぁ、なんて考えてました。リビングストンの町中でイエローストンリバーを攻めても良いんですが、水量が多いのでどちらかというとボートトリップ向きで、入渓したとしても前後にあまり動けないので私は主にその支流を楽しみます。近くの支流といえば州道89号線を少し走ればミル・クリークがあり、大きさを気にしなければカットボー(カットスロートとレンボーの混血)やレインボー、それにマウンテンホワイトフィッシュ(日本で言えば大きなウグイ)が釣れます。もう一つはリビングストンから東に数マイルにあるミッションフィールド空港を北に曲がればシールズリバーがあり、この川でも立派なカットスロートトラウトとブラウンが釣れます。

この町に住んでいる間にその景色を見て感動して泣いた事が一度だけあるのですが、その川の名前がボルダーリバーです。「牧場より上に行けば良い魚が釣れるぞ。」と言われ一人で行ったのですが、山々をバックに牧歌的な風景を見て涙がポロポロと溢れ出たのを今でも覚えています。

話は飛びますが、現在ダンベイリーには日本人が勤めています。ハーミットのHPをくまなく見ている方はご存知だと思いますが、モンタナ通信のビビアンさん(ペンネームなのでちゃんと日本人ですヨ)。旦那さんもリックさんもダンベイリーで働いている、フライジャンキーなご夫婦。なのでもし一念発起でここへ訪れても、彼女が日本語でサポートしてくれるので、何があっても大丈夫。お店でお土産をいっぱい買ってもらえれば、安心して釣りができる釣り場も教えてくれますので、皆さんのお越しを待っています。

僕らの旅は今回円安だったので、日程の間は超ビンボー旅行でガイドは一日だけ。あとはいつもの通り自分の知っている好きな釣り場を巡るか、今年の良い場所を聞いていくかのどちらか。すると、私の来米に合わせて休みを合わせて頂いたリックさん夫妻に釣りへ誘っていただいたので、到着翌日はこのボルダーリバーへ行くこととなりました。ちなみに私は今までウェスト・ボルダーばかり釣りをしていたので、メインボルダーで釣りをするのは初めてのこと。ユルユルな旅でしたので写真の撮り忘れが多いですが、温かく見守る気持ちで以下をご覧ください。

メインボルダー
通常僕らが行く場合は国道90号線を通ってビックティンバーを経て南に降りメインボルダーロードを南下するのですが、今回は景色を楽しんでほしいとリビングストンからの裏道であるスィングリーロードを通っていただきました。そして最初の休憩地点がこのナチュラルブリッジ&フォールで、表紙の写真の下流に滝があります(写真を撮らんかった)。
ボルダーリバー
今回の釣り場はかなり上流部なので、水温が上がるまではライズがないかも?との事で、到着したのはお昼少し前。確かに川に入ればメチャクチャ冷たかったデス。
ボルダーリバー2
初めて海外で釣りをするMr..Kをリックさんに任せて英語漬けにしてみた。その姿はまるで親子の様。私は少し離れて緩い場所でライズを探します。ちなみにフライは何が良いのかを聞くと、パープルヘイズ・パラシュートと、アダムス・ダブルパラシュートを渡されました。ビビさんはというと、遠く離れて上流部へ雲隠れ。
レインボートラウト
しばらく眺めていると渋いライズが少しずつ始まるけれど、意外に強敵なので珍しくティペットをグッと長くして、ドラッグが掛からぬようにユルユルに流すとようやくヒット。サイズは25〜30センチサイズ。
ボルダーリバーの釣り
あ、いたいた。ビビさんはあんなに上へ行っちゃった。後で聞くと上のエリアはライズのらの字も無く、なーんもナッシングだとのこと。ライズが渋いので一旦車に戻りランチタイム。リビングストンにあるパン屋さんで購入したターキーサンドイッチ、とても美味しかった。その後はポイントを少し下流へずらして再度入渓することに。
ボルダーリバーの道
こんな田舎道をみんなでテロテロ歩きながら雑談。釣り人が憧れる、いつも仲良く釣りに出かける理想の夫婦像ですな。
パープルヘイズ
水温が上がらず渋いながらもライズを見つけては貰ったパープルヘイズをキャストしての拾い釣り。人気のポイントなのか釣れにくい場所で、いやらしいライズをしているのです。
ボルダーでフライフィッシング
Mr.Kの初日はこの渋いライズには勝てず、コテンパンにやられましたが良い経験です。リックさんは自分の釣りを割いてガイドして頂き本当に感謝です。
レインボートラウト
午後はライズがバンバン始まるのかと思いきや、15時を境にな〜んも無くなってしまったので早めの退散と相成りました。久しぶりに訪れたボルダーリバーだけれど、この景色は是非とも皆さんにも味わってもらいたいなぁと思う、日本人がハマる北海道みたいなシチュエーションだと思います。

Stillwater River / スティルウォーターリバー

モンタナのリビングストンに住んでいた頃は、少しの情報があればどこへでも釣りへ出かけたものです。当時の高速道路は制限速度が無く(と言っても時速100マイルで走れば捕まりますが)、片道200マイルなんて普通に行ったものです。町の裏には歩いてい15分ほどでイエローストーンリバーが流れているので、本当はそんなに遠くへ行く必要はないのだけれど、常に新しい環境に触れてみたくなるものですよね。

リビングストンを中心として東西南北へ出掛けていたのですが、今回紹介する東側に流れるスティルウォーター・リバーは私にとっては初めての川。「レイバーデー(勤労感謝の日)明けでイエローストン・リバーはスレているので、よかったらスティルウォーターへ行ってみない?」と言われ、なんか川の名前からして穏やかな流れで静かなボートトリップができそうだと感じて二つ返事でお願いしたのです。

ベアツース・マウンテンは日本語で言えば熊牙山かな? 富士山よりも高い標高3,904mの山々を水源に持つスティルウォーターリバーは長い流れを経て、リビングストンから西へ1時間のコロンバスの町でイエローストーンリバーへと注ぎ込む。それこそなんでこの川へ今まで来なかったかというと、アメリカは日本と違い私有地を流れている所が多いのです。釣り人にフィッシングアクセスを多く解放している川は良いのだけれど、知らずに私有地を歩いていたら下手すると住人にライフルで威嚇されるかもしれませんからね。そんな場所はボートトリップに限るのです。

さて、今回は前情報を入れずに適当にフライを持って行ったのですが、元ルームメイトだったクリスに「バッタある?6番ロッドはある?ティペットは2Xは持ってきた?」などなど。おいおい、そんなにデッカイのがくるのかよ、と心配しつつ、ボートへ乗り込むのでした。

その様子は以下の通り。以後この川へ行かれる方の参考になれば幸いでゴザイマス。

タンドラとフィッシングボート
ガイドのクリスはダンベイリーで働いていた時代のルームメイトで今はガイド業。前回はランクル80だったけれど、タンドラに乗り換えたばかりだとの事。「あれ?マッケンジーボート(グラスファイバーで出来た川下り用釣りボート)は?」と尋ねると、ローウォーターの時はゴムボートなのだとか。出てみてわかったけれど、底をするほど浅いところが多いので、いざとなったら押すのです。
なぬ?これがスティルウォーターなの? これじゃ全く反対でラフティング中に釣りでないの! 通りでライジャケの着用年齢やらボートの制限など厳しく書かれていた訳だ。後で聞いた話だが、この川で沈没するガイドもいるのだとか。こりゃフロートボートじゃないとダメですな。そんな激流降りの合間に「ハイそこに入れて!」と支持されます。
スティルウォーターリバー
ポイントによってはユルユルエリアなのですが、午前中は水温が低くお魚がドライになかなか出てくれません。同船のMr.Kは海外のフライフィッシングは始めてなので、全てクリス任せ。ドライで出ない時間はインジケーターを付けてドボンチョしてました。
ブラウントラウト
大物はなかなか姿を見せないものの、25〜30センチほどのレインボーやらブラウンはドライフライに釣れてくれますから飽きません。時にボートを降りてライズ狙い。
カワゲラの抜け殻
川原の石を見るとそこらじゅうにストーンフライの抜け殻だらけ。「この虫なんて名前?」と聞いた所で日本とは違い「ストーンフライ(カワゲラ)」としか返ってこない。そう、アメリカ人は細かな種類なんて気にしない。むしろ、「グレーダンカラーのミディアムサイズのストーンフライがハッチしていた。」なんて感じで教えてくれる。
レインボートラウト。
この川はレインボーとブラウンの混生。早い流れではレインボー。肩やちょっとした巻きではブラウントラウト。フライはホッパーの10番。
ストーンフライ
川原を走り回っている個体を見つけたが、これはメスとの事。大きさにして4センチくらいかな?肝心のバッタは全然飛んでいないし流れていない。むしろコイツの方が流れている感じ。
ストーンフライのオス
面白い事を教えてもらったのだが、このストーンフライのオスは羽が短く飛ばないとのこと。なので早速その辺りを探すと細いフナムシの様なオスが走り回っていた。ちゃんと成虫なんですが、なるほど、この羽根じゃ飛べないわな。そして右下はそれに合わせてクリスがくれたフライ。
クリスのフライボックス
ガイドのフライボックスってすごいんですぜ。暇を見つけては巻き貯めるので、死ぬほど入ったフライボックスを常に10個くらい持ち歩いてます。
レインボートラウト
クリスにフライをチョイスしてもらって釣れたレインボートラウト。この大きさでも強い引きに翻弄されてました。
スティルウォーターリバー
私は後方に乗って常に二人の背中を見ての釣り。ドライフライにこだわって釣りしている私にはサイズアップはありませんでした。
ブラウントラウトの釣り
喰いが渋かったのでクリスがデッカいストンフライのニンフに替えた所、デカブラウンがヒット。この後無事にランディングしたのですが、ボート後ろの私に向かってポーズをお願いしたら、写真を撮る前にそのままリリースしてしまいました。でも私の中にはしっかり20インチブラウンを記憶しました。
レインボートラウト
その後イエローストンリバーの合流付近でレインボーがやたらと釣れたあとはまた喰い渋り。ドリフトボートの釣りの場合、記念撮影がとても難しいのでこんな写真ばかり。
トレーラーとボート
最後はイエローストーンリバーに合流し、3キロほど降った所にあるスティルウォーターゴルフ場下流にあるボートランチで終了。のんびりゆったり、久しぶりのボートトリップをたっぷりと楽しみましたとさ。

青空の下にある碧い野反湖でレインボートラウトと遊ぶ

秋はどこへやらで相変わらず湿気が多い初夏みたいな9月。先だってのモンタナはこちらとは逆で例年に比べ少し寒く水温が上がらない状態だったけれど、空気は乾燥していて釣りをするには過ごしやすい気候だった。今の私はこのジメジメから抜け出したい気分。そう、モンタナの風を思い出しながら、似たような景色の中でボーッとしたいのである。

このブログでは本栖湖の話が多いけれど、湖の美しさで言えば野反湖が私は一番好きだ。関東近郊の湖は数多くあれど、そのロケーションの美しさはダントツであり、ニュージーランドのレイク・テカポと比べても引けを取らないのではなかろうか。標高約1,500mにある野反湖は周りを1,900m級の山々に囲まれた天に近い湖で、私は常々「日本のニュージーランド」と口にする程、四季折々の美しさを持つ。

天気予報は晴れのち曇り。午後には雷雨のマークが付いている。標高が高いので朝の気温は10数℃といったところで湿気は少ない。まさしく海外気分を楽しめる気候と、青い空を持っている群馬県にある天空の楽園なのだ。

この湖は高速道路からのアクセスが悪い事から地元の方が多い釣り場だが、良いポイントへ入ろうと思うと地元エサ師とのポイント争奪合戦になる。なので僕らは家を2時に出て現地へ5時前には到着して用意。がしかし、早く来たつもりでも一番良い場所には6名のエサ師がすでに鎮座していおり、結局はその戦いに敗れてしまう。

賑わうニシブタ沢に釣友を残し、私は人のいない奥を目指す。そこは天空の青と湖の碧がグラデーションを作り、時に風が止まると無音の世界に陥る。聞こえるのは私の歩く音ばかり。水面の変化に目を凝らし延々と水辺を歩き続けると、気がつけばすでに湖を半周していた。休憩するのにちょうど良い石を見つけ、コンビニで買ったおにぎりを頬張り、湖をボーッと眺める。人混みに疲れたらこの時間がとても大切だなぁ。

魚っけが無く緊張感は無くなってしまった事で気持ち良くうたた寝をしてしまい、あっという間に時が過ぎていく。しかし沢のワンドに残してきた釣友の事が少し心配になったので、また湖伝いに魚を探しながら戻ることにした。

場所を動かずその場で釣りをし続けた釣友は、声を掛けずともその満足げな雰囲気で察する事ができる。声高に語る彼はドライでもシンキングでも釣れたそうで、最大は57センチだそうな。ではでは、ハイキングを楽しんだ事だし帰るとしますか。私はレインボートラウトに触る事なくルート405を攻めながら下るのでした。

朝霞ガーデン
モンタナから帰って来てその日曜日に行った朝霞ガーデン。簡単に釣れる幸せ。ドライで5本釣ったら飽きちゃったので、朝練に来られた方々と雑談の場。その後にキャスティングスクールを行い、日焼けした顔が更に黒くなってしまった。
野反湖の夜明け
朝焼けの野反湖。この奥がニシブタ沢なのだけれど、エサ釣り師の密集地隊となっていたので、私はその場を離れた。だって静かな自然の中でボーッとしたかったんだもの。
青空と野反湖
シラカバ淵を経て南へと向かう。雲はすぐそこで、時に自分の中を抜けていく。風は無く無音の世界。釣り人はひとっこひとり見えない。しかし、魚も見えない。期待したカメムシやビートルも落ちていない。
蛇帝ヶ原
山の天候は目まぐるしく変わる。さっきまでオーブンで焼かれている様な気がするくらいの陽射しを浴びていたのだけれど、曇った瞬間に寒くなってくる。でもこの方がライズは起きるんですよね。その後カモシカ淵でず〜っとライズを待っていたけれど、回遊魚は一度も見ず。前回ボイルしていた場所は鏡のように静か。水温が18℃と、ちょっと高いからなのかなぁ。
野反湖キャンプ場
野反湖キャンプ場にひと張りのテントも無いって初めて見たかも? キャンプブームが終わった感がありますな。これでようやく僕らがキャンプする気が出て来ました(笑)
野反湖の釣り
朝も早かったし少し疲れたので、ウェーダーを脱いで、備え付けの木製テーブル&チェアでゴロ寝。あぁ、なんて気持ちが良いのだろう。心地よい風が少し吹いていたので1時間半程寝てしまった。
野反湖のレインボートラウト
釣友の元へ戻るとご覧の通り。良いサイズがバカバカ釣れています。エサ師はすでに帰り静かになったので、私もロッドを出す事に。私のカメムシドライに出たレインボーは5本で、そのうち2本はランディング寸前にネットに驚いてしまいバラしてしまいました。使用済みのフライは大尻沼などと兼用だからバーブレスなので致し方なしかな。でも十分にその引きを楽しめました。それよりも50センチオーバーのイワナを前にして、イワナはすでに禁漁に入ったものだと勘違いして狙わなかった事が悔やまれる。
野反湖
期待した午後の部はライズもなく全くの無反応なので、あまりにも気配がないので早めに退散する事に。その際入れ替わりに入ってきたスペイキャスターに「どう?釣れた?」と聞かれたので、「いえ、全然釣れません。」と答える。すると、「ここで釣れない様じゃ、どこへ行っても釣れないよ!」と言われてしまいました。そうですか・・、精進いたします。

 

フライフィッシング事情、モンタナの良いところ悪いところを考えてみた

9月も中旬を過ぎたというのに日本の暑さはおさまらず、毎日ギュウギュウ詰めの満員電車に押し込まれる日々。動き出す電車は人々の体温にクーラーは勝てず、湿度の高い車内は体臭に満ち溢れている。身動きが取れない私は首筋を滴る汗を拭うことも出来ず、思わずため息が漏れてしまう。あぁ、またモンタナの風に吹かれたい・・。

モンタナ釣行から現実に戻され、早一週間。腑抜けな状態から少しずつ自分を取り戻し始めたけれど、今週はそんなモンタナを思い出して、青い空を探しに釣りへ出かけようかな。そう日本にだって素晴らしい釣り場はたくさんあるのです。

”隣りの芝生は青く見えるもの” で、アメリカのモンタナと言えばフライの聖地的なイメージがあると思う人も多いはず。しかしこの諺通りに日本の環境の良さに気付かない事も多いもの。今回はそんなモンタナの良いところと悪いところを見ながら日本の良いところを皆さんで考えてみてください。ちょっとダラダラと書きますのでお付き合いください。

モンタナについて

知らない方も多い方と思うので、少しモンタナについてお話ししましょう。モンタナ州はアメリカの北西部にあるカナダと隣接する州で、その面積はなんと日本とほぼ一緒ぐらいの大きさ。その大きさがありながら人口は宮崎県の人口(約107万人)より少し多いくらいないのである(ちなみに熊本県が姉妹提携都市)。なのでモンタナで人が満ち溢れるのは都市部と観光地のみ。僕らが訪れる釣り場なんて田舎だから、とにかくイメージは青い空と緑の大地が広がるのみで、その緑の谷間を縫って無数の河川が流れているのである。北緯で言えば北海道よりもちょっと上ぐらいの位置にあるので、ダンベイリーがあるリビングストンが日本の稚内と同じ北緯(但しリビングストンの標高は1,372m)。それだけ寒い所なので州内はどこへ行ってもトラウト天国な訳で、日本よりもトラウトを釣ることができる河川が物凄く多い。人生が何回あっても全ての川を制覇するなんて出来ないことでしょうな、きっと。

ではそんなモンタナの良いところは何か?

年券は安い:モンタナに住んでいる人は州内の釣り年券が$21。しかし僕らは住んでいないので年券は$100(約1.5万円)。でも日本全国と同じ広さを全て釣りができるのだから、安いかな? ちなみに日釣り券は$14で、5日連続券が$56(¥8,400)。今は円安なので日釣り券で考えるとチト高いかなぁ。
TAX(小売売上税)が無い:日本で言うところの消費税がありません。他の州へ入った途端、6〜10%前後掛かるので、お買い物はモンタナが良いでしょう。
お魚はどこへ行ってもネイティブ:モンタナはどこで釣りをしてもほぼネイティブ。サイズを気にしなければどこへ行っても釣れる感じで、北海道で釣りをしたことがあるのであれば、ほぼ同じような感じ。
田舎なので治安が良い:釣り場に近い町は日本の田舎と同じ。人々は優しいし治安が良いのです。私がダンベイリーで働いていた頃にニュース番組を見ていても、犯罪はほぼなく山火事のニュースばかり。私は家に鍵をかけずにいつも外出してたしね。
日本にいない固有種のトラウトが釣れる:イエローストーン国立公園内ではカットスロートトラウトが釣れます。その性格は日本のイワナに近く、見た目はレインボートラウトに近いもの。平均は30センチ前後で、大きいものは50センチを超えます。

では魚がどれだけ釣れるか?と問われると、日本の北海道と同程度で大きさや数は私の感覚だと同じくらいかな? 海外だからといって常にイレグイなんてことはありません。管釣りでは無いので、自然災害やその年の状況により変化があり、釣具屋の情報やガイド無しでの釣行では、いきなり北海道へ行って適当な川を見つけてフライを投げ入れるようなもので、それで釣れるかどうかは時の運になるでしょう。

マイナス面をお話しすれば、現在円安とアメリカのインフレをダブルパンチに受けて、なんでも高い状態。たとえばビックマックのセットは$10(¥1,500)で、モンタナはTAXが無いのでまだマシで、他の州へ行けばもっと高くなります。現在は宿の値段もコロナ禍前に比べると倍以上。エアチケットも同じ。ガソリンは1ガロン$4(1リットル¥162前後)なので日本よりも若干安い程度だけれど、以前に比べるとものすごく高いのです。そしてガイドフィーは一日約$650でチップを入れれば700〜750ドル(11万円以上)と、目ん玉飛び出る価格。トータルで5年前に比べて倍以上の価格が掛かるので(感覚的には2.5倍)、一回の釣行で一番安い軽自動車の新車が買えてしまう位の勢い。単純に大きな魚を釣りたい欲求を満たすだけであれば、北海道でガイドをつけて同じ期間を過ごせば、その費用は1/3で済むことでしょう。

故人・開高 健氏は『河は眠らない』でこんな一節を語ってました。「日頃サンマばっかり食べて生活を節約して、アラスカへ来て一生の思い出になるような魚を釣りなさい。これは一回投資しただけで、何千万回と甦って利息が付く、精神に利息が付く。無駄ではない、まったく無駄ではない。」

そんな言葉に感銘している私にとっては、財産なんてものは要らない。旅で感動した景色は筆舌尽くしがたく、それをまた体が求めてしまうのである。私とていつかは死ぬのだから、必要以上のものなど何も要らぬ。物よりも多くの思い出。だから私は死ぬまで釣りの旅に出でかけ続けることでしょう。お金が溜まり次第、またどこかへ・・。

リビングストンにあるダンベイリー
私が1996年に夏の間だけ勤めていたダンベイリー。この店の屋根裏部屋に住んでいたのですが、現在は改装されとても綺麗だとのこと。数軒隣にあるマレー・バーで良く呑んでました。
ダンベイリーの木拓(もくたく)がある壁
一時はダンベイリーの経営は大丈夫かと思ってましたが、オーナーが代わり完全復活。殿堂壁とも呼べる木拓で一番古いものは1938年。第二次世界大戦前からあるお店なんですゼ!
ダンベイリーの店内
現在のオーナーはデールで、彼は私が勤めていた前年までダンベイリーで働いていて、その翌年に後数軒隣にティンバートレールという自転車ショプを開業。現在はそのショップとスキーを統合し、ダンベイリーアウトドアーズとなっている。なのでフライフィッシング用品以外にアウトドア用品も充実。今までにない活気に満ち溢れたショップになった。写真の彼は今回の釣りに同行したミスターKとでもしておきましょうか。
リビングストンの町並み
ダンベイリーのあるリビングストンは、イエローストーン国立公園のノースゲートに向かう、ガーディナーよりも北に位置する。飛行機でボーズマンに乗り入れ、イエローストーンへ向かう曲がり角にあると思ってください。西部劇を思い出させるその町並みは昔も今もそのまんま。でも以前よりも街は活気があります。
ホンダのリッジライン
今回の旅で借りたレンタカーはホンダのリッジライン。名前からすぐにエアフロラインとのコラボかと想像した(笑)。現地ではパジェロと同じくらいの車格だと思って運転していたけれど、サイズはランクル300よりも大きい。最新の車だけあって色々とくっついているので、その設定が大変。それにしても空が広いモンタナ。決して写真じゃおさまらない広さなんです。
バイソン(バッファロー)
ナショナルパークで釣りをすると、必ずこのバイソン(バッファーロー)渋滞にハマる。そして那須サファリパークかと錯覚するが、彼らは野生ですので決して近づいてはなりません。吹っ飛ばされて怪我をされる観光客がたまにいます。
マモースの温泉
イエローストーンのノースゲート(ルーズベルトアーチ)を経て最初のジャンクションがマモース(日本語でマンモス)にあるマモース ホットスプリングス。日本で言えば草津の湯畑かな? 地球上の約半分の温泉、約3分の2もの間欠泉があるので、温泉だらけの場所。その中でも七色に見えるグランド・プリズマスティック・スプリングが有名だけれど、それはファイアーホールリバーの近所にある。
スルークリーク
こんなだだっ広い川でグリーンドレイクを啄むトラウトを探すのですが、釣りとハイキングをいっぺんにしているようです。モンタナの微風は心地よく無音。聞こえる音は飛び立ったバッタの音と遠くから聞こえるバイソンの唸り声のみ。時に釣りを忘れてただボーッと過ごすだけで幸せを感じます。