2尺ヤマメという言葉が生まれた昭和の時代

商売柄この言葉に翻弄されフィッシング バムになってしまった人を多く見てきた。私もいつしかその一人になってしまったようであるが、まだまだ半人前なのである。

サクラマス
ボイルとともにアドレナリンが駆け巡るソルトウォーターの釣りと双璧にある静の釣り、サクラマス。前触れもなくドンとくる衝撃は心臓に悪い

フライフィッシングの中で何釣りが一番好きか?と、問われれば、釣りのプロセスを総合すればやっぱりヤマメなのだが、尺ヤマメの倍以上もある大きさを一度手にしてしまうと、麻薬的な感動が忘れられずにまた今年も長い竿を振り回すことになるのだろう。

川
こんなゆったりとした大河。一体どこを攻めれば良いか?その答えを何年もかけて見つけてきたつもりだったが、27年前の教科書に既に書いてあった・・。

今年は何か新しいことをやろうと決めた私は、解禁からヤマメ釣りをしながら気もそぞろで大河巡りをして二尺の様子を探っている。いつもと違う川でポイント巡りはとても新鮮なのだが、竿を出さない時間ばかりが過ぎていく。そして昨日は今年初めてのサクラマスのハネを見た。いわゆる馬鹿っ跳ねというやつで、体が痒いんだか機嫌がわるいのだかわからないが、先輩曰く「気持ちいいから跳ねる」のだそうだ。イルカの曲芸のように魚体を大きく持ち上げ水面に落ちたその後、瀬を登り一つ上のプールへ姿を消した。その光景を目の当たりにし、今年の二尺ヤマメスイッチを押されたような気がした。

沢田賢一郎
二尺ヤマメの熱にうなされるようになったのは当時この写真とコピーを見せつけられたから。その熱にうなされ続けている人はまだまだ多い

ふと思い出して読み返したこの昭和64年1月号に記載された沢田氏の記事。自分ではようやく二尺ヤマメの気持ちがわかり始めたような気になっていたが、その答えは既にこの時書かれていたことに、ただ頭がさがるばかり。この27年の月日の間に唯一変わったことはキャスティングの進化だけ。キャスティングが進化してもキャッチ率は変わっていない宝くじのような魚。今年も多くの釣り人を悩ませる事は間違いない。

サクラマス
今年は何人の人から報告がもらえるでしょうか?嬉しさが共有できる魚。お気に入りのタックルは TFO Derr Creek 12’6″ #5/6Hardy Marquis の組み合わせ

そんな再確認をしつつ、今年は早くから『サクラ・サク』の連絡をいただき、お客様と一緒に喜んでいる日々。周期的に当たり年だと思うので、一人でも多くの人の『サクラ・咲く』連絡が来ることを願いつつ、私も1日も早くサクラサクと叫びたい。私のこの釣り、間も無く開幕です。

サクラマス
サクラマスはそのほとんどがメス。そしてヤマメのオスと産卵する個体が多い
サクラマス
たまに顎がしゃくれたオスっぽい個体も釣れるけれど
アングリング昭和64年
沢田賢一郎氏の『二尺ヤマメ』・降旗章氏の『本栖湖ブラウン』・丸橋英三氏の『セールフィッシュ』当時のアングリングには夢が溢れていた。そして、この号に私も先輩たちと一緒に名が連なっていることに感謝。

 

春が来たのか?

爆風・烈風・氷点下。いつもの解禁とはちょっと様子が違うのは、行っている場所が違うからなのであります。

エクストレール
本流釣り師は皆さん戦車(傷つけても良い4WDをこう呼ぶ)を所有。河原でに泥まみれになるのだが、その最中で車体が半分水に浸かるために車が洗車される

「管理人さんの3月は毎年、K1からスタートですよね?」とお客様に突っ込まれましたが、今年はK1の尺アマゴはみなさんにお任せすることにして、いつもと違うことをしようと北関東へ馳せ参じましたのさ。

爆風
爆風と寒さにたえられないのですぐに撤退。解禁日なので、まずは一匹

解禁前に下見に来たポイントには人影もなく、10分も立っていれば爆風で体が冷え切ってしまう解禁日。ライズはどこにもありませぬ。

つい大声を出して叫んでしまった私。逃がした魚はいつでも大きいのです

ポイントを数箇所回った時点ですでにめげ始め、新しく開拓しようと思った支流を避けて知っている支流へと逃げ込んだ私たち。ライズがないので仕方なく早々にドライも諦めルースニングで攻めるいつものライズポイント。そして思わぬ手応えにビックリ。

ズッシリとしたロッドの曲がりに応えて、尾の切れ上がった見事なヤマメがグリングリンしながらもがいているではありませんか。浮かせてランディングしようと思ったらティペットの継ぎ目で高切れするという体たらく。オ〜マイガ〜ッ!

逃した魚はいつも大きいのです、誰しも・・・。

カップメン
春の釣りで車に常備するものは、ストーブとケトル、そして水。それさえあればカップ麺の他に温かいコーヒーが飲むことができる

身も心も冷え切った体にカップラーメンを流し込み、なぜか北へ北へ逃げ込んでしまう私たちは、いつしか雪景色の中で釣るハメに・・。ライズを探して逃げる渓には先客ありで、もう帰宅時間間近。駄目元で向かった最後のポイントはエサ師が群れていて、ひとしきり抜いたご様子で納竿の最中。あ〜ぁ、今日はダメかな。

ヤマメ
放流モノなので、よりの写真はありません

もう陽は暖かさを失い始めた時間なのに、よく見れば雪にライズするヤマメちゃんがいるじゃないですか。慌ててロッドにミッジをセットし、放流モノを幾つかキャッチしてホッとする私。でも、寒すぎて同じフライで2本目を狙おうとすると、フライが凍ってしまい釣れないんですね、コレガ・・。

寒い
4投するとラインが全く出ません。今回のタックルは Winston Boron III LS 8feet 4番
ミッジ
ミッジにフロータントが効かず、凍ってしまう始末。だってマイナス3℃なんだもの

なんともかんとも微妙なスタートで始まった今年の関東渓流釣行。すでに来週はどこへ向かうかで仲間内で論議していますが、暖かくて穏やかならば、なんの問題もないのに・・・。

ネット
ネットは2匹目以降は凍っていてランディング出来ません、とほほ・・。もちろんウェーダーも凍ってしまい、脱いでもマネキンのよう

 

データを永久保存?

今年も管理人の釣行は週2回ペース。仕事が趣味の私は釣りしかないんだよね。ってか、趣味が仕事ってことかな?ようは釣具屋は釣りへ行かなきゃ、ただの人ですから。 続きを読む データを永久保存?

釣竿に魂を!

キャスティング
ほとんどの方々の修正点はバックキャスト

春も近づくと自分のキャスティングを再チェックするために多くの人がキャスティングスクールを訪れます。その参加の回数と上達は比例していて、そのうち私を追い越して有名人になった時、「キャスティングは管理人さんに習いました。」と言われたい私です。

さてさて、フライフィッシングはゴルフと共通点が多いことをご存知?というか、すでにやられている人は周知のことかもしれない。簡単に言えばクラブがたくさんあるように、フライフィッシングにも適した距離や魚の大きさに応じてラインの番号を変えていく必要があります。ゴルフよりもその番号がたくさんあり、さらに番号を変えるとロッド(竿)リールまでも変えないといけないというもの。収拾癖のある人は財産を食いつぶしてしまうであろうほど、その数は無限大なのです(そんな旦那を持つ奥様方、「あなたが売りつけているのね。」と私を責めないでください)。

キャスティング
飛距離が伸びる感覚は、ゴルフで言う250ヤード越え?あ、私はゴルフをやらないので、その感覚わかりません。

で、よくある質問ですが、「どのロッドがよく飛びますか?」という質問。逆に言えばフライフィッシャーマンへの殺し文句は、「このロッドは飛びますゼ、お客さん。」が殺し文句と言えるでしょう。しかし、クラブもロッドも使うのは人間。練習という努力を全くしないで、ロッドだけ変えても飛ぶようになることはまずないでしょう。もし飛んだとすれば、たまたまスタイルにマッチしただけと言えないでしょうか?

ロールキャスト
ロールキャストはピックアップ時に行う大切なキャスト。水辺が近くにある時は、その練習もしています

釣具屋的には、「合わないから新しい竿を買う。」は商売ですから有り難いことですが、その反面、ほとんど使わずに使われないロッド達が不憫で仕方く思う次第・・。フライロッドは試し振りが頻繁にできるわけではないので、そんな現状で中古へ回されるロッドがありますが、新しいロッドを買ったら少しだけキャスティングを学ぶ努力をしていただければロッドをすぐに手放せずに済みます。買ってはみたものの、今までのテイストと違って振りにくいと感じる方は、キャスティングスクールにいらしていただければ、そのロッドの振り方を教えますので、スクールをそんな利用の仕方でもありかもしれません。

ま、この話は書こうと思えば広がりが凄いので、この続きはいずれ今度・・。

魚
偏光フィルターがないので分かりづらいですが、この写真の中に魚がいます。さてその魚はなんでしょう?わかったらスゴイ

買ったロッドを知り、そのロッドの振り方をマスターしたい方々は、納得がいくと釣りへ行きたくなります。で、昨日は朝早くから朝練(朝霞ガーデンで練習会)に参加して、その後にキャス練。あ、なるほどな、という新たな発見をした午後はまた釣りへ出かけるというする人たち。向かった先は、そう先日お話しした「赤いニクイ奴」散策へ。

マルタ
第一陣の群れはまだ小さく、本格的な集団が現れるまでもう少し先かも?何れにしても季節到来です
魚
弾丸ダッシュを体感するの図

前日の雨でちょっと濁りが辛いかと思って出かけた川には、すでに第一陣が水しぶきを上げていますゾ。その後ろには産んだ卵を根こそぎ食ってやろうと鯉が大行列。そして更に下流のプールにはなぜかボラの群れ。現在、釣る気になればマルタ・コイ・ボラ・ニゴイという4種を手中にできる解禁前の前哨戦。私は用があったので、釣りをせずに帰りましたが、今週のどこかで一人遊んできます。

気分はもう解禁

長良川から帰ってきて早二週間。関東の解禁まではまだ時間があるので、シーバスやら鯉やらを楽しんでいるが、ちょっと食傷気味。そうだ、川を覗きに行こうかな。そんな気分になったのは、昨年の大水でK4がどう変わったかを事前に知りたかったためかもしれない。ということで、皆さんの釣欲を上げるためのご報告を少し。 続きを読む 気分はもう解禁

気分は桃太郎のおばあさん?

管理人的にはこれ以上仕事は増やしたくなかったのだけれど、皆にやれと言われたので始めることになりました、ブログ。書く時間がどんだけあるのやらと思いますが、時間を見つけて書いてみます。

で、ネタを新たに書き起こすのが面倒だったので、とりあえず、以前フェイスブックに書いた小話を一つ。

釣り人(フライフィッシャーマン)はトラウト(鱒)のエサとなる川に流れる虫を日々研究し毛鉤を巻いている。それはカゲロウだったり、バッタだったりアリだったり。次回訪れる時に流れていた虫を参考にした毛鉤を持ち込んで釣るのだが、とある川では色々な物が流れてくることがある。

東京にほどなく近い有名なK川は湧水を多く含む里川で、近くには国道が走っている。街は年々賑やかになるが、川に隣接するある店裏でライズ(エサを食べる為に跳ねること)するヤマメは強敵だった。色々なフライ(虫に似せた毛鉤)を試してみてもなかなか釣れない。手を尽くしても手応えは全くなかったのだが、最後に使った白の小さなマラブーフライに反応し、ようやく目的の魚を手にした。

「コヤツ、何を喰っているのだ?」と、ストマックポンプ(食べていた物を見る為にゲロさせる道具)を使い、胃の内容物を見ると、なんと米粒で腹一杯だ。さらに赤いエビのしっぽ。そしてその上流部にはお寿司屋が・・。実は魚は偏食でありグルメなんです。 次回はエビのしっぽフライ必携だなと思ったその日。

これは里川に限った事ではない。山奥へイワナ狙いにお客さんと出かけた時の事。深い谷を降りてようやく渓へたどり着き準備を始める。するとイワナがライズ、目の前である。何を喰っているのかと目をやると、強い風が吹くたびに落ちているバッタであった。

本日はバッタなのだと確信しフライをバッタフライを探していると、また川面でポチャンと波紋ができた。その周りをよく見ると、イワナがカエルを追いかけ回している。「今度はカエルか。」って言っても、そんなフライは持ってはいない。

ようやくタックル(道具)を準備し終わると今度は上流からやや大きな物が流れてきた。その正体はモグラ。さすがにこんな大きな物は食べないだろうと、二人で大笑い。

さてロッド(竿)を振るかと上流へ歩き出そうとした瞬間、今度はガラガラと音を立ててとてつもない物が落ちてくる。崖崩れかと思ったら、なんと子鹿が落ちてきたのだ。子鹿は僕らと目が合い、唖然としながらなすすべもなく渓流を流されていくが、僕らには何もする事ができない。その姿が見えなくなる頃に仲間から声が掛かった。

「稲見っち、ディアヘアカディス持ってる?」
「なぜに?」と問い返すと、
「だって、ディア(鹿)流れて行ったじゃん。」(爆笑)。

嘘のような本当の話なんです、マジで。
嘘のような本当の話なんです、マジで。

その後ディアヘアカディスとバッタフライで入れ食いを堪能した、嘘のような本当の話です。